【完結】公爵様を寝取った悪役令息に転生しましたが、子供が産まれるので幸せになるために、この事件解決させていただきます。

亜沙美多郎

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番外編〜エリアスとアシルの出会い編〜

叱責

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「ご無沙汰しております」
 アシルが何とか挨拶をする。
 クラリッサは直ぐさま立ち上がり、アシルの隣に控えた。
「他の使用人は一生懸命働いているけれど、貴方はアシルの付き添いという名目で怠けてらっしゃるのね」
「も……申し訳ありません」
 怯えて震えている。クラリッサは自ら座ったのではない。アシルがそうしてくれと頼んだのだ。
「彼女は悪くありません。僕が隣にいて欲しいと頼んだのです」
 
 付き添いも立派な仕事だと言いたいが、声が詰まって出てこない。アンナの鋭い睨みに、情けなく俯いてしまった。
 自分がクラリッサを守ってあげなければならない。でもこれ以上歯向かえば、どんな仕打ちをされるか……。それこそアシルどころかクラリッサも解雇される恐れもある。
 学費を稼いでいると言っていた。例え自分が追い出されても、クラリッサの席は確保したい。

 しかしアンナはアシルを無視し、容赦なくクラリッサに詰め寄る。
 
「公爵家の人間でもないアシルさんに、付き添いなど無用ですわ。外出するならともかく、ここはベルクール家の敷地内ですわよ? それを付きっきりだなんて、貴方はベルクール邸が危険だとでも言いたいのかしら」
 
「そんな、まさか……思っておりません」
 
「では、仕事をしている振りをして遊んでらっしゃるのね。子供のように声を出して笑うだなんて。もっと気を引き締めて下さらない? ベルクール公爵家の名誉に関わりますから」
「申し訳ございません」
「分かったら、さっさと仕事に戻りなさい!! ここには有能な使用人しか必要ないわ。貴方くらい、私の一言でいつだって解雇出来ますわよ」
「直ぐに仕事に移ります。どうか、お許しを」
 深々とお辞儀をし、続いてアシルに向き直すと、「お部屋の掃除をして参りますので、ごゆっくりなさって下さい」泣きそうに声を震わせている。
 
 脅しとも思えなかった。
 アンナは本気でクラリッサを解雇しようと働くだろう。それがアシルが最も困る手段だと知った上で。
 アシルは歓迎されてはいない。関わればどうなるのか。見せしめにクラリッサをクビにする事で、他の侍女へも警告を促すつもりだ。
 
「では、今日は僕も部屋へ帰ります」
 アシルの言葉にアンナは満足気に含み笑いを浮かべ、「あら、私もお茶に誘って頂けるかと期待しましたのに」思ってもいないセリフを吐いた。
 
 アンナはアシルが一人で外に出られないのを知っている。危険はなくとも、オメガであるゆえ、いつどうなるとも、、、、、、、、限らない。もしも庭の片隅で倒れてしまっても、助ける人がいなければ自力でどうにかするしかない。
 
 アンナの企みは読めていた。
 アシルが外に出ないよう仕向けているのだと。
  エリアスと会っているのも知っているのだろう。今までは大人しくしていたのに、急にエリアスとコンタクトを取り始めたアシルを警戒しているとも考えられる。

 何にせよアシルとクラリッサ、どちらかが失態を犯す瞬間を、虎視眈々と狙っているのには変わりない。

 そして二ヶ月後、クラリッサは突然の解雇を言い渡された。
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