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本編
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ベイリーの顔がみるみる青ざめていく。
エリア様とリアム様、二人の前で自分の失態を晒してしまった。
強気に出ていた態度をガラリと変える。
「ご機嫌よう。本日はお招き有難うございます」
さっきまで怒鳴っていたベイリーが、いきなり猫撫で声で喋り出した。
変わり身の速さに唖然とする。
「今、マヒロを性奴隷だと言うのが聞こえてきたが……」
「アンジュのことを泥棒猫とも言ったね?」
「そ……そんなわけ……ありませんわ……。それはこの方達が話していましたの。ねぇ? そうでしょう?」
ベイリーが取り巻きの女たちに責任転嫁を試みる。
しかし取り巻きたちは誰一人反応しなかった。
「貴方たち、なにか言いなさいよ!! βのクセに!! 私の言うことが聞けないの?」
ベイリーが怒鳴ろうとも、みんな視線を落として黙り込んでいる。
自分達は関係ないと態度で示していた。
焦るベイリーは取り繕うのに必死になるが、どんなに詰め寄られても取り巻きの女たちは沈黙を貫いている。
「リアム様、ベイリーはずっとアンジュさんに嫌がらせをしてたです。今日だって、婚約破棄をさせようと詰め寄ってましたのだ」
「何をおっしゃるの? 憶測で決めつけないでくださらない?」
「憶測なんかじゃない!! お前はエリア様でもリアム様でも、結婚できればどっちでもいいんだろ? だから、俺にエリア様との仲を取り持てと言ってきた!!」
「そ……そんなの、嘘ですわ。貴方は嘘をついていらっしゃる」
「キャンベル嬢は、私のマヒロを嘘つきだと言うのか?」
エリア様の一言に慌てて謝っても、もう遅い。
取り巻きたちも掌を返したように、ベイリーの失態を話始めた。
「キャンベル様は、アンジュさんから婚約破棄を申し出るよう脅していました」
「マヒロ様を下民だと……」
「私たちはキャンベル様に逆らえば、仕事の契約を切ると脅されております」
次々と出てくるベイリーの苦情に失態。
これに対し、ベイリーは裏切りだと騒ぎ立てた。
「貴方たちは私を裏切るのですね? 日頃あれだけ贔屓にしてあげているというのに!! ご自分の立場を分かってらっしゃらないようですわ!」
金切り声で叫び出した。
「もうやめろよ!! みんなベイリーに我慢して付き合ってただけだろ?」
「貴方は私への態度を改めなさい!!」
こんなやつに敬意なんて払えるもんか。
「俺に対してもアンジュさんに対しても、酷い扱いしかしなかった。アンジュさんのドレスだって馬鹿にした。リアム様がデザインしたドレスを……。それに、俺のようなやつがエリア様には似合わないって」
「そ……そんな……言いがかりはやめて下さらない?」
「もう十分だ。キャンベル嬢」
リアム様が口を挟む。
「アンジュのドレスは僕がデザインから生地に至るまで全て手掛けた。それを貶されるなんて、心外だ」
「いえ、私はそんなの一言も……」
まだ嘘を突き通すベイリーには呆れてしまう。
もう、何を言ってもこの二人の怒りを鎮めることなど不可能なのに……。
エリア様とリアム様、二人の前で自分の失態を晒してしまった。
強気に出ていた態度をガラリと変える。
「ご機嫌よう。本日はお招き有難うございます」
さっきまで怒鳴っていたベイリーが、いきなり猫撫で声で喋り出した。
変わり身の速さに唖然とする。
「今、マヒロを性奴隷だと言うのが聞こえてきたが……」
「アンジュのことを泥棒猫とも言ったね?」
「そ……そんなわけ……ありませんわ……。それはこの方達が話していましたの。ねぇ? そうでしょう?」
ベイリーが取り巻きの女たちに責任転嫁を試みる。
しかし取り巻きたちは誰一人反応しなかった。
「貴方たち、なにか言いなさいよ!! βのクセに!! 私の言うことが聞けないの?」
ベイリーが怒鳴ろうとも、みんな視線を落として黙り込んでいる。
自分達は関係ないと態度で示していた。
焦るベイリーは取り繕うのに必死になるが、どんなに詰め寄られても取り巻きの女たちは沈黙を貫いている。
「リアム様、ベイリーはずっとアンジュさんに嫌がらせをしてたです。今日だって、婚約破棄をさせようと詰め寄ってましたのだ」
「何をおっしゃるの? 憶測で決めつけないでくださらない?」
「憶測なんかじゃない!! お前はエリア様でもリアム様でも、結婚できればどっちでもいいんだろ? だから、俺にエリア様との仲を取り持てと言ってきた!!」
「そ……そんなの、嘘ですわ。貴方は嘘をついていらっしゃる」
「キャンベル嬢は、私のマヒロを嘘つきだと言うのか?」
エリア様の一言に慌てて謝っても、もう遅い。
取り巻きたちも掌を返したように、ベイリーの失態を話始めた。
「キャンベル様は、アンジュさんから婚約破棄を申し出るよう脅していました」
「マヒロ様を下民だと……」
「私たちはキャンベル様に逆らえば、仕事の契約を切ると脅されております」
次々と出てくるベイリーの苦情に失態。
これに対し、ベイリーは裏切りだと騒ぎ立てた。
「貴方たちは私を裏切るのですね? 日頃あれだけ贔屓にしてあげているというのに!! ご自分の立場を分かってらっしゃらないようですわ!」
金切り声で叫び出した。
「もうやめろよ!! みんなベイリーに我慢して付き合ってただけだろ?」
「貴方は私への態度を改めなさい!!」
こんなやつに敬意なんて払えるもんか。
「俺に対してもアンジュさんに対しても、酷い扱いしかしなかった。アンジュさんのドレスだって馬鹿にした。リアム様がデザインしたドレスを……。それに、俺のようなやつがエリア様には似合わないって」
「そ……そんな……言いがかりはやめて下さらない?」
「もう十分だ。キャンベル嬢」
リアム様が口を挟む。
「アンジュのドレスは僕がデザインから生地に至るまで全て手掛けた。それを貶されるなんて、心外だ」
「いえ、私はそんなの一言も……」
まだ嘘を突き通すベイリーには呆れてしまう。
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