五国王伝〜醜男は美神王に転生し愛でられる〜〈完結〉

クリム

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13 森のシンラ

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 幼い頃、父王に連れられて初めて森の見回りに行った時だった。森の片隅で細い悲鳴が聞こえた。

「野合だ、気にするでない。『満ちたる者』は『欠けたる者』に関わってはならない」

 幼い子供一人を多数で押し倒し着物を剥いでいる。白い細い腕が幼いシンラに伸ばされたようで、シンラは泣きそうになった。

「や……っ……ひぁ……っ、ああああっ……」

 甲高い悲鳴と泣き声が響く中で、シンラは父王に連れられて、振り返り振り返り『満ちたる者』の集落に向かったのだ。

「シンラ、一人に情けをかけてはいけない。我々『満ちたる者』は、森の守護者として生きるのだ」

 五国全てに接点を持つ森は、獣の耳と尾を持つ『満ちたる者』の集落と、生まれつき身体の一部が損傷していたり、不遇にも欠損した『欠けたる者』が捨てられ集う場でもある。

 『欠けたる者』は、集落どころか家を持つことは許されず、盗みや野合を繰り返すため、王は森の集落を見回るのだ。『欠けたる者』の中には粗野で、弱い女や子どもと野合という無抵抗な交合を繰り返しぼろぼろにして捨て死なせる者もいる。『満ちたる者』の父王は、それを森の摂理として、捨て置くのだ。

 見て見ぬふり。知って知らぬふり。それが理不尽で許せない。

 その方針を成人したシンラが父の跡を継いで森の王になり、なんとか変えようとしていた。

「あーー……ああああっ……あーっ……」

 また、誰かの悲痛な声が聞こえる。供を置き去りしてシンラは木々を伝い、空を抜ける。耳と尾が風に靡いた。

「野合か?」

 大きな下では、複数の男たちによる野合が起きていた。一人の子どものような体躯が集団に連れてこられ、立ったまま背後から尻肉を左右にいる男たちに開かれている。

 様々な髪色だが小集団になっており、腰に剣を差していた。中心で野合をする赤い髪の男の風貌から、シンラが探していた野盗集団だと分かる。

 あちこちの村や集落を襲っては食料を巻き上げる。それどころかわざと切りつけて指を落とし『欠けたる者』にして、連れ去っているというのだ。

 森の中で巡回に出ていたシンラはつい今しがたそれを聞き、通称『赤頭あかがしら』を追いついたのだ。森で動かし斬りやすい小回りの聞く刀を二本、腰から抜いた。

「あっ……ひぃっ……ひぁっ……ああああっ……ぐっ……う……」

 一人の汚れた小柄な者の口に男の濡れ光る屹立が押し込まれ、頭を鷲掴みにして動かし、背後から頭である赤い髪の男の屹立が貫く。

 濡れた肉を打つ音が静かな森に響き、男たちの卑猥な言葉と荒い息の中で、小柄な者がくぐもった悲鳴を上げながら、一旦崩れ落ちる。見ればまだ子供だ。

「お頭、次へ回してくだせえ」

「クロ、歯を立てたら、承知しねえぞ」

「おい、腰をもっとつき出せ」

 野盗の群れは十数人で、全裸の小柄な子供は汚れた長い茶色の髪を引っ張られ、別の男の屹立で貫かれては声にならない悲鳴を出した。

 しかしすぐに口に男の物が入り、仰向けの小さな体は次々に男に組み伏せられて、卑下した笑いが巻き起こった。

「ひどいな、子供に……」

 小さな子供への残酷な野合に、シンラは木上で目を背け、供を待つ振りをする。

 今切り込めば、野合の相手をさせられている子どもも巻き込んでしまうと、自分の中でうそぶいた。

 見て見ぬふり、死んだ父に何度も教え込まれてきた。

 供とてシンラが暴挙にでないための、目つけ役みたいなものだ。しかし、変えていくと決めたのではないか。シンラの手に力がこもる。

「ぅあ……ああああ……あ……あ……」

 何人もが子供の口と下肢に排出をし、子どもは男たちの体液まみれのまま、力なく顔を地に伏している。汚れた茶色の長い髪を、赤頭が踏みにじり唾を吐いた。

「汚なねえし、泣くだけで、面白みがない。飽きた。クロはもう、いらねえな」

 赤頭が剣を抜くと、小柄な子供の痩せた腹に突き立てる。野盗の何人かが息を飲んだ。勿論、シンラもだ。

「ひ……ぐ、ぁ……ぁ………」

 勿体無いだとか、もっと使いたかっただの、呟きが上がる中で、小柄な子供の腕がシンラが隠れ潜む木に向かい、ぱたりと地面に落ちる。

「臭えし汚えな、いくぞ」

 森の王の目下で、凌辱にまみれた子供が死んだ。

 野盗がすみかにしている岩山を探るのが本来の目的だが、シンラは二振りの剣を目の前に交差して、木の下に飛び下りようとする。

「まっ……て、ください!若っ」

 追い付いた供の一人が、シンラを止めた。小さな羽根耳が風に負けてへこんだように見える。

「若っ……速すぎますって。僕たちが赤頭を追いますから、若様はこちらにいてください」

「……わかった」

 最近シンラに就いた双子は、森の知恵者ジジの愛弟子で、シンラの苦しい思いを知っているだけに、目下の死体を憐れむシンラの心情を汲み取ったのだろう。

「行け」

「「はっ……」」

 双子が見えなくなると、シンラは木から飛び下り、無惨な死体を見下ろした。

 仰向けに倒れる子供の腹は腸が見てとれる程に切られ、下肢を見るとつるりとした幼そうな穂先の付け根には、草の葉できつく縛られ吐露を阻んでいる。どす黒く変色していて、千切れそうになっているのが痛々しい。

「可哀想に。確か……泉があったな」 

 一人心地に呟くと、野盗の精液と血で汚れた子どもを抱き上げると、シンラは走り出した。
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