13 / 59
14 黒髪の子供
しおりを挟む
シンラは子供の遺体を抱きながら泉の水に浸け、ゆっくり洗い流していく。
腹の血を洗い流し、尻の狭間から白濁が流れていた。何人もと野合した穴は緩み空洞となり、溢れ出す白濁は泉の中に散る。せめても綺麗にして埋めてやりたかったからだ。
「髪が……」
茶色だと思っていたが汚れが落ちると漆黒に変わり、美しいうねりの長い黒髪にシンラはどきりとした。
「……っふっ……」
急に手の中の子供の痩せた胸が上下する。シンラは手の中の子供を抱き締めて、動揺した。先刻まで死体であった無惨な冷たい肉塊は、鼓動と呼吸のある生き物へと変わり、止まりそうな浅い呼吸を繰り返す。
「だめだ」
シンラは子供の唇を開き、抱き抱えながら息を吹き込み、二度、三度と、浅い呼吸に合わせた。
「ふ……っう!げ……げほっ……げぇぇっ」
男たちの出した白濁を胃から繰り返し嘔吐し、子供はシンラの腕の中で眠ってしまう。
シンラは泉から出ると裸の子どもを布で拭いてやり、ジジの薬を内臓が見える腹の刺し傷に塗って、持っていた包帯をした。
それから体を傾けると、男たちの手荒な野合を受け止めた尻の狭間、そして変色しててちぎれかかった小さな性器にも塗ってやる。
真っ赤に腫れ上がった尻襞には血が滲み、まだ男たちの精が溢れ出していた。
「若」
しばらく泉の近くの洞で風に当たっていると、双子の従者が帰ってくる。拐われたという、指を欠けさせられた女は捕まってすぐに死んだらしく、シンラの手の中にいる子供が替わりに野合の相手をさせられていた、と、黙って従う楽なガキだったから野盗たちがもったいないと、口々に話していたらしい。
「今、女の遺体をハトリが村へ運んでいます。それにしても……この子、生きていたんですね」
「ああ」
フルトリがふと、子供のこけた頬を触り、それから指を動かした。
「……若、この子供は目が見えないようです。『欠けたる者』です」
フルトリが子供を触診し終わり、シンラは手の中の子供の顔を改めて見つめる。幼い頃に見た白い腕の人は、この子どもと似ているような気もするのだ。
あの可哀想な人が野合の果てに子供が生まれ、しかし…子供もまた『欠けたる者』だったのかもしれない。あれから二十年は経っているのだ。
「フルトリ、この子を森の宮に連れていきたいのだが」
フルトリと呼ばれた従者は上の方で結わえた長い髪をぶん……と横に振る。
「若」
フルトリがしばらく黙ってから、
「若様は森の王。この世界の『満ちたる者』の長、立派な耳と尾を持っている『最も満ちたる者』です。その子は『欠けたる者』」
森の知恵者のジジの教えでは、身体が欠けた状態であるのは、前の生で『罪』を犯し、この世に生まれてきたからだと言う。
だから、人でありながら耳と尾という余りある『祝福』を持つ森の人との交合は、彼らへの『赦し』となり、和合し子を授かれば『救われる』のだと言う。
「若の情けを受けた者しか宮には受け入れられません。野盗による残酷な野合の後の子に対し、若様は交合出来ますか?若様は森の女を殺した赤頭の、野盗どもに汚された、子供の主になられますか?」
考えるまでもなく
「そのつもりだ。連れていくのに必要ならば、既に、せ、接吻は済ませた」
としどろもどろになりながら、シンラは答えた。
「……呼吸確保程度ですよね、それ。ちゃんとなさいましたか?天帝に申し開きが出来ますか?」
フルトリが弓を持ち洞から出ると、包んでいた粗い皮マントを開いて、傷だらけの子どもの肢体を見つめる。
情けを注がねば、この子供を森の宮に連れては行けないのは分かっている。シンラは唇を噛んでから、子供の腰を掴んで口を塞ぐ。
野合で精液を飲み込んだあと吐き出した口内はぬるつき、シンラを受け入れた舌はシンラの舌に触れ、無意識に絡みつきシンラは低く呻いた。
成人を越えたシンラは交合を知らないわけではないが、行動に移したことはない。王を簡単に野合に誘う者なく、シンラ自体も興味がなかったのだ。だから初めての深い接吻の強烈な快楽に、きつく舌を絡めそうになる。
「あ……ああー、あーあーーっ!」
息苦しさに子供が起き出し、シンラの腕の中でもがき暴れ始めた。その刺激さえ甘美なのだ。
「落ち着いてくれ、お前を守るために必要なのだ。頼むから、じっとしていてくれ」
そんな言葉を繰り返すと、悲鳴のような叫び声が微かになる。
「あ……あ……あ」
と、息を漏らすだけとなり、シンラはフルトリが見守る中、情を交わす口付けを終わらせて、なるべく怖がらせないように子供を抱き上げた。
「拙い情の交し方ですね。本来は精を体内に出す……」
「先程までの野合で尻の穴が裂けている子供をそのような!」
シンラの腕の中で小さくなりじっとしていた子供は、シンラの声にひく…と震える。
「あっ………あぅっ…」
声に驚き息を詰める仕草が可愛らしく、目が合えばどんなにかいいだろうとシンラは思いながら、子供の背中を揺らしてやった。揺らされて子供の尻の狭間から漏れる血混じりの体液が森に染みを作る。
そんな子供を見てフルトリは天を仰いだ。
「天帝が許せば宮か館に入れるでしょう。若、急ぎましょう。夜が来ます」
腹の血を洗い流し、尻の狭間から白濁が流れていた。何人もと野合した穴は緩み空洞となり、溢れ出す白濁は泉の中に散る。せめても綺麗にして埋めてやりたかったからだ。
「髪が……」
茶色だと思っていたが汚れが落ちると漆黒に変わり、美しいうねりの長い黒髪にシンラはどきりとした。
「……っふっ……」
急に手の中の子供の痩せた胸が上下する。シンラは手の中の子供を抱き締めて、動揺した。先刻まで死体であった無惨な冷たい肉塊は、鼓動と呼吸のある生き物へと変わり、止まりそうな浅い呼吸を繰り返す。
「だめだ」
シンラは子供の唇を開き、抱き抱えながら息を吹き込み、二度、三度と、浅い呼吸に合わせた。
「ふ……っう!げ……げほっ……げぇぇっ」
男たちの出した白濁を胃から繰り返し嘔吐し、子供はシンラの腕の中で眠ってしまう。
シンラは泉から出ると裸の子どもを布で拭いてやり、ジジの薬を内臓が見える腹の刺し傷に塗って、持っていた包帯をした。
それから体を傾けると、男たちの手荒な野合を受け止めた尻の狭間、そして変色しててちぎれかかった小さな性器にも塗ってやる。
真っ赤に腫れ上がった尻襞には血が滲み、まだ男たちの精が溢れ出していた。
「若」
しばらく泉の近くの洞で風に当たっていると、双子の従者が帰ってくる。拐われたという、指を欠けさせられた女は捕まってすぐに死んだらしく、シンラの手の中にいる子供が替わりに野合の相手をさせられていた、と、黙って従う楽なガキだったから野盗たちがもったいないと、口々に話していたらしい。
「今、女の遺体をハトリが村へ運んでいます。それにしても……この子、生きていたんですね」
「ああ」
フルトリがふと、子供のこけた頬を触り、それから指を動かした。
「……若、この子供は目が見えないようです。『欠けたる者』です」
フルトリが子供を触診し終わり、シンラは手の中の子供の顔を改めて見つめる。幼い頃に見た白い腕の人は、この子どもと似ているような気もするのだ。
あの可哀想な人が野合の果てに子供が生まれ、しかし…子供もまた『欠けたる者』だったのかもしれない。あれから二十年は経っているのだ。
「フルトリ、この子を森の宮に連れていきたいのだが」
フルトリと呼ばれた従者は上の方で結わえた長い髪をぶん……と横に振る。
「若」
フルトリがしばらく黙ってから、
「若様は森の王。この世界の『満ちたる者』の長、立派な耳と尾を持っている『最も満ちたる者』です。その子は『欠けたる者』」
森の知恵者のジジの教えでは、身体が欠けた状態であるのは、前の生で『罪』を犯し、この世に生まれてきたからだと言う。
だから、人でありながら耳と尾という余りある『祝福』を持つ森の人との交合は、彼らへの『赦し』となり、和合し子を授かれば『救われる』のだと言う。
「若の情けを受けた者しか宮には受け入れられません。野盗による残酷な野合の後の子に対し、若様は交合出来ますか?若様は森の女を殺した赤頭の、野盗どもに汚された、子供の主になられますか?」
考えるまでもなく
「そのつもりだ。連れていくのに必要ならば、既に、せ、接吻は済ませた」
としどろもどろになりながら、シンラは答えた。
「……呼吸確保程度ですよね、それ。ちゃんとなさいましたか?天帝に申し開きが出来ますか?」
フルトリが弓を持ち洞から出ると、包んでいた粗い皮マントを開いて、傷だらけの子どもの肢体を見つめる。
情けを注がねば、この子供を森の宮に連れては行けないのは分かっている。シンラは唇を噛んでから、子供の腰を掴んで口を塞ぐ。
野合で精液を飲み込んだあと吐き出した口内はぬるつき、シンラを受け入れた舌はシンラの舌に触れ、無意識に絡みつきシンラは低く呻いた。
成人を越えたシンラは交合を知らないわけではないが、行動に移したことはない。王を簡単に野合に誘う者なく、シンラ自体も興味がなかったのだ。だから初めての深い接吻の強烈な快楽に、きつく舌を絡めそうになる。
「あ……ああー、あーあーーっ!」
息苦しさに子供が起き出し、シンラの腕の中でもがき暴れ始めた。その刺激さえ甘美なのだ。
「落ち着いてくれ、お前を守るために必要なのだ。頼むから、じっとしていてくれ」
そんな言葉を繰り返すと、悲鳴のような叫び声が微かになる。
「あ……あ……あ」
と、息を漏らすだけとなり、シンラはフルトリが見守る中、情を交わす口付けを終わらせて、なるべく怖がらせないように子供を抱き上げた。
「拙い情の交し方ですね。本来は精を体内に出す……」
「先程までの野合で尻の穴が裂けている子供をそのような!」
シンラの腕の中で小さくなりじっとしていた子供は、シンラの声にひく…と震える。
「あっ………あぅっ…」
声に驚き息を詰める仕草が可愛らしく、目が合えばどんなにかいいだろうとシンラは思いながら、子供の背中を揺らしてやった。揺らされて子供の尻の狭間から漏れる血混じりの体液が森に染みを作る。
そんな子供を見てフルトリは天を仰いだ。
「天帝が許せば宮か館に入れるでしょう。若、急ぎましょう。夜が来ます」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる