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24 寒い黒宮
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天帝の怒りに触れ生きながら腐り死んだ文官長の有様は宮内で伏せられ、かつての王室は封鎖された。直樹が案内されたのは、高い塔の最上階で、ジジが過去にいた王室だと言う。ジジは椅子を引いて窓際に腰掛け、直樹もそれに習った。
「黒国では王は白珠を出し和合をすればよいと考える慣習があります。それがこの部屋です。誰よりも天に近い天塔の中で交合を繰り返す、そんな場所でした。直樹、私は慈地と言う苗字の日本人です。松江藩の医師で、当時流行していた痘瘡で死に、黒国の神王になりました。そして、この世界の役割交合に馴染めず、興味本位で遊びに来ていた獣人の女性と恋に落ちました。それがシンラの祖になる女性です」
そんな風に話してくれたジジは指で『慈地』と漢字で書いたのだ。
「私が付けた内側からの閂もあります。嫌なら部屋から出なくてもよいのですよ」
ジジは
「墨染」
と黒豹を呼び寄せると、直樹の目の前で伏せさせた。
「私がいるから王は神獣が得られない。だが、墨染の腹に子がいる。直樹の為のものでしょう。しばらく黒の宮にてお過ごしなさい。私の神獣がいてくれます」
「はい……あの……」
「交合を強要されませんよ。墨染を置いて行きます。墨染、黒王を守りなさい」
ジジはそう言い残し扉から出て行き、外の明と合流する。
「赤王、気になる事があります。森の宮に」
「ああ」
赤竜が飛び上がり、泣きそうな表情の直樹のいる窓を旋回すると森へ向かった。
ほんの数刻で森の宮に到着すると、ジジはシンラを知恵の館へ呼び寄せる。明はレキを連れていた。
「彼は?」
ジジが明に尋ねると、
「俺の和合者だ。探らせていた」
と話す。ジジは頷き席に腰を下ろす。ジジの知恵の館には四人しかないない。シンラが居心地悪そうに座っていた。明がシンラと直樹を分かつ存在になったからだ。
「シンラ、直樹を保護したと話しましたね。詳しく話してください」
ジジの眼差しに口を閉ざしていたシンラが重々しい口振りで話す。
「夜盗の赤頭を追っていた時に、夜盗一団に野合殺されたクロを、せめて綺麗にして埋めてやろうとしたのだ」
フルトリから保護した経緯は多少聞いていたが、野合に合っていたとは知らずジジは秀麗な眉をしかめた。
「直樹が黒の宮から捨て置かれて二十年だ。その間の殆ど赤頭ザトの夜盗団にいたらしい。ーーレキ、話してくれ」
明の言葉の後を受ける形でレキが頭を下げる。
「お聞き苦しいこともあるが、よろしいか」
ジジは頷き、シンラを見た。シンラも頷く。
「盲の黒王は自我も無く彷徨っていたようだ。時折手に入る食料は全て出会う人に渡していた。気狂いと思われていたが、すぐに捕まった女の代わりに赤頭に気に入られ野合されるようになった。ザトは凶暴性の塊みたいなやつで、クロと呼ばれた子供は瀕死の状態でいつもいたらしい」
「まるで……罪を償うような……」
歯を食いしばり怒りを堪えるシンラの横で、ジジは目頭を覆った。
天帝は今までの黒王のありように怒りを覚えたのだろう。女性と交わり王性を失ったジジから続く短命な黒王。その怒りを一心に受けた直樹は、守られるべき民から目をくり抜かれ犯され、森へ捨てられた。そして盛りで夜盗一団の性欲のはけ口として、二十年も……。
「天帝の怒りは直樹の人を大切にする、あいつ本来の性質によって解かれたんだろう。だから黒王は許され、直樹の王気が感じられた」
二十年間大気の気脈を読み、直樹を探すためにあちこちを巡っていた明がそう告げる。
「そして黒王、直樹のための神獣が誕生します」
ジジはシンラを見ると、シンラの眉の寄せた顔に儚く笑いかけた。
「シンラ、直樹の白珠によってあなたの傷が治ったのは、あなたが私の……かつての黒王の血を引くからです。もしかすると、あなたは直樹の黒王の和合者になり得るかもしれません」
「ジジ」
シンラが思わずといったように立ち上がる。
「それでは、直樹を迎えに行きたい」
「まだだめだ。天帝がまだ見ている。俺たちには感じるんだよ」
明が茶を啜りながら言った。
朝夕の歩行幸とやらが終わると、出窓の縁に座り、泣きながら膝を抱えるのが日常だ。
身支度をして文官に連れられ、王宮を歩く。黒宮は寒々しく、直樹は見知らぬ大人に囲まれながら静かに歩いた。宮の奥まで人々が一堂に膝を床に付き平伏し、誰もが目を伏せている。
直樹の身の回りの支度をしてくれる年嵩の女官も、お勤め中に説明をしてくれる文官も、直樹と全く視線を合わさないのだ。
「夕のお勤め、お疲れ様でした。しばしごゆるりと」
朝夕、ただ、広い宮を歩くだけ。
直樹の本当の居場所だというこの宮で見るのは、顔の見えぬ黒い頭ばかりだった。塔の部屋に取り残された直樹は、薄ら寒い部屋の隅に行き、やはりいつもの定位置に向かう。
「シンラ……」
離れたのはほんの少し前のことだ。
毎日そうやって過ごした。どれくらい経つのか、忘れてしまったほどだ。
食べないと知っているのに出される豪華な食事。一人で食べる食事は少しも手をつけず、新しい寝台もなんだか嫌な気持ちがして使っていない。
それを誰も気にしない、冷めた宮。
「シンラ、会いたいよ」
窓を開け放ち真っ暗な空を眺め、長い漆黒の髪が冷たい風に揺れていたが、ふいに強い風が吹いて、直樹は顔を上げた。
「え、わっ……あ……!」
目の前に赤竜の顔がある。竜なのに片方の真っ赤な瞳は、赤王が片方だけ交換した瞳だと、赤王が教えてくれたのだ。
「直樹!」
赤王の後ろにシンラがいて背から飛ぶと、直樹をきつく抱き締めて、驚いて震える直樹にの唇を唇で塞いで来た。
「んっ……」
シンラの舌が滅茶苦茶に動き回り、直樹は息苦しさに涙を流す。舌は直樹の上顎を撫で歯列を確認し、直樹の舌を探り当て絡み付け、痺れるほど吸われた。
「んぁ……」
苦しくて痛いのに下肢が痺れて力が入らなくなる。
「くっ、ははは……!森の王よ、直樹が倒れそうだぞ」
赤王明が笑いながらシンラを呼び、シンラがようやく唇を離してくれ、直樹は泣きながらシンラにすがり付いた。
「シンラ、シンラ、僕は…ここが嫌だ。森に……森に帰りたい!」
一度なめし皮のマントを手放すと二度と会えなくなりそうで、直樹はしっかりと掴んでシンラを見上げると、
「ああ、もういいぞ。サービス残業はおしまいだ。乗れ、直樹。行くぞ」
と赤王に言われる。
「明さん?」
「義理は果たしたってことだ。黒王のな」
明が手を差し出すと、直樹を抱き上げたシンラがためらうことなくその手を伸ばし、赤竜の背に乗った。そこに墨染も飛び乗る。
「二十年も王不在でやってきたんだ。どうとでもなるだろうさ、ここは」
「あっ……」
ぐるりと旋回した竜の背でたたらを踏み、直樹は明にしがみついた。
明は驚いた顔をして、手綱を握ったまま大笑いをする。
「あ、あの……」
「あっはははは。二十年振りでもたたらを踏むか。直樹、お前はやっぱり、お前だわ。竜の上でよろよろだ」
一頻り笑った後、赤王が晴れやかな顔で、マナに笑い掛けてきた。
「お帰り我が友、直樹。二十年振りだ。諸王もお前の帰還を待ちかねている。特にアルバートはお前に会いたがっていたぞ」
「あの衣装は苦手ですが、アルバートには会いたいです。シンラは会って欲しくないな……驚くほど綺麗なんだ」
「お前より可愛い奴はいない」
「綺麗と可愛いは違うよ」
「では、直樹は綺麗で可愛い」
竜の背の上で肩を寄せ合う二人を見て、明はジジの進言を早めに切り上げて正解だったと思う。
『国に、黒王直樹をもう一度認めさせなくてはなりません』
ジジはそう呟いた。
「王性は戻ったが直樹を黒宮に行かせ、国地土に知らしめる必要があります」
黒王直樹の心象はずっと生きている。明はそう思っていた。だから厳しくも、直樹を王宮に連れていった。
赤竜の瞳で見ていた直樹は、日に日に疲弊し窓枠に座り込み泣いていることが多くなり、明はジジが持ち掛けた期間より早くシンラを連れて、直樹を迎えに来たのだ。
「もう大丈夫だ」
思わず口端が上がる。
今ここに直樹がいて、天帝に贖罪を果たしたクロと呼ばれていた身体がいる。
『王の役割とはなんですか?』
直樹は何度も聞いてきた。
心象による国造り。
和合の為の交合。
そしてーー。
一番大切なのは王位継続……王であり続けることだ。
ジジが言うようにこの世界が不慮の死の魂の安寧の場所ならば、そうなのかもしれない。
「魂の寿命が一定にあるとするならば、その子どもは生前をそれだけあちらで生きたのでしょう」
『欠けたる者』はあちらで深い罪を追うた者、『満たされた者』は様々な悲しみを受けた者、そんな魂の住まう五国には、静かな時間が流れる。そしてこの世界でも罪を重ねた者は、魂の消滅という終焉を迎えるのだと、ジジは村々に説いて回っていた。それが真理かどうかは分からないが、腑に落ちる気がするのだ。突き詰めれば、精一杯生きる、ただそれだけのことだ。
「あーあ、しばらくは、王様をやるしかねえなあ」
自分が死ねば、魂の和合の相手のレキも死に、国も崩壊する。
明は赤竜の手綱を握り直した。
「直樹、落ち着いたら、赤国に遊びに来い。山のような雪を見せてやる」
「黒国では王は白珠を出し和合をすればよいと考える慣習があります。それがこの部屋です。誰よりも天に近い天塔の中で交合を繰り返す、そんな場所でした。直樹、私は慈地と言う苗字の日本人です。松江藩の医師で、当時流行していた痘瘡で死に、黒国の神王になりました。そして、この世界の役割交合に馴染めず、興味本位で遊びに来ていた獣人の女性と恋に落ちました。それがシンラの祖になる女性です」
そんな風に話してくれたジジは指で『慈地』と漢字で書いたのだ。
「私が付けた内側からの閂もあります。嫌なら部屋から出なくてもよいのですよ」
ジジは
「墨染」
と黒豹を呼び寄せると、直樹の目の前で伏せさせた。
「私がいるから王は神獣が得られない。だが、墨染の腹に子がいる。直樹の為のものでしょう。しばらく黒の宮にてお過ごしなさい。私の神獣がいてくれます」
「はい……あの……」
「交合を強要されませんよ。墨染を置いて行きます。墨染、黒王を守りなさい」
ジジはそう言い残し扉から出て行き、外の明と合流する。
「赤王、気になる事があります。森の宮に」
「ああ」
赤竜が飛び上がり、泣きそうな表情の直樹のいる窓を旋回すると森へ向かった。
ほんの数刻で森の宮に到着すると、ジジはシンラを知恵の館へ呼び寄せる。明はレキを連れていた。
「彼は?」
ジジが明に尋ねると、
「俺の和合者だ。探らせていた」
と話す。ジジは頷き席に腰を下ろす。ジジの知恵の館には四人しかないない。シンラが居心地悪そうに座っていた。明がシンラと直樹を分かつ存在になったからだ。
「シンラ、直樹を保護したと話しましたね。詳しく話してください」
ジジの眼差しに口を閉ざしていたシンラが重々しい口振りで話す。
「夜盗の赤頭を追っていた時に、夜盗一団に野合殺されたクロを、せめて綺麗にして埋めてやろうとしたのだ」
フルトリから保護した経緯は多少聞いていたが、野合に合っていたとは知らずジジは秀麗な眉をしかめた。
「直樹が黒の宮から捨て置かれて二十年だ。その間の殆ど赤頭ザトの夜盗団にいたらしい。ーーレキ、話してくれ」
明の言葉の後を受ける形でレキが頭を下げる。
「お聞き苦しいこともあるが、よろしいか」
ジジは頷き、シンラを見た。シンラも頷く。
「盲の黒王は自我も無く彷徨っていたようだ。時折手に入る食料は全て出会う人に渡していた。気狂いと思われていたが、すぐに捕まった女の代わりに赤頭に気に入られ野合されるようになった。ザトは凶暴性の塊みたいなやつで、クロと呼ばれた子供は瀕死の状態でいつもいたらしい」
「まるで……罪を償うような……」
歯を食いしばり怒りを堪えるシンラの横で、ジジは目頭を覆った。
天帝は今までの黒王のありように怒りを覚えたのだろう。女性と交わり王性を失ったジジから続く短命な黒王。その怒りを一心に受けた直樹は、守られるべき民から目をくり抜かれ犯され、森へ捨てられた。そして盛りで夜盗一団の性欲のはけ口として、二十年も……。
「天帝の怒りは直樹の人を大切にする、あいつ本来の性質によって解かれたんだろう。だから黒王は許され、直樹の王気が感じられた」
二十年間大気の気脈を読み、直樹を探すためにあちこちを巡っていた明がそう告げる。
「そして黒王、直樹のための神獣が誕生します」
ジジはシンラを見ると、シンラの眉の寄せた顔に儚く笑いかけた。
「シンラ、直樹の白珠によってあなたの傷が治ったのは、あなたが私の……かつての黒王の血を引くからです。もしかすると、あなたは直樹の黒王の和合者になり得るかもしれません」
「ジジ」
シンラが思わずといったように立ち上がる。
「それでは、直樹を迎えに行きたい」
「まだだめだ。天帝がまだ見ている。俺たちには感じるんだよ」
明が茶を啜りながら言った。
朝夕の歩行幸とやらが終わると、出窓の縁に座り、泣きながら膝を抱えるのが日常だ。
身支度をして文官に連れられ、王宮を歩く。黒宮は寒々しく、直樹は見知らぬ大人に囲まれながら静かに歩いた。宮の奥まで人々が一堂に膝を床に付き平伏し、誰もが目を伏せている。
直樹の身の回りの支度をしてくれる年嵩の女官も、お勤め中に説明をしてくれる文官も、直樹と全く視線を合わさないのだ。
「夕のお勤め、お疲れ様でした。しばしごゆるりと」
朝夕、ただ、広い宮を歩くだけ。
直樹の本当の居場所だというこの宮で見るのは、顔の見えぬ黒い頭ばかりだった。塔の部屋に取り残された直樹は、薄ら寒い部屋の隅に行き、やはりいつもの定位置に向かう。
「シンラ……」
離れたのはほんの少し前のことだ。
毎日そうやって過ごした。どれくらい経つのか、忘れてしまったほどだ。
食べないと知っているのに出される豪華な食事。一人で食べる食事は少しも手をつけず、新しい寝台もなんだか嫌な気持ちがして使っていない。
それを誰も気にしない、冷めた宮。
「シンラ、会いたいよ」
窓を開け放ち真っ暗な空を眺め、長い漆黒の髪が冷たい風に揺れていたが、ふいに強い風が吹いて、直樹は顔を上げた。
「え、わっ……あ……!」
目の前に赤竜の顔がある。竜なのに片方の真っ赤な瞳は、赤王が片方だけ交換した瞳だと、赤王が教えてくれたのだ。
「直樹!」
赤王の後ろにシンラがいて背から飛ぶと、直樹をきつく抱き締めて、驚いて震える直樹にの唇を唇で塞いで来た。
「んっ……」
シンラの舌が滅茶苦茶に動き回り、直樹は息苦しさに涙を流す。舌は直樹の上顎を撫で歯列を確認し、直樹の舌を探り当て絡み付け、痺れるほど吸われた。
「んぁ……」
苦しくて痛いのに下肢が痺れて力が入らなくなる。
「くっ、ははは……!森の王よ、直樹が倒れそうだぞ」
赤王明が笑いながらシンラを呼び、シンラがようやく唇を離してくれ、直樹は泣きながらシンラにすがり付いた。
「シンラ、シンラ、僕は…ここが嫌だ。森に……森に帰りたい!」
一度なめし皮のマントを手放すと二度と会えなくなりそうで、直樹はしっかりと掴んでシンラを見上げると、
「ああ、もういいぞ。サービス残業はおしまいだ。乗れ、直樹。行くぞ」
と赤王に言われる。
「明さん?」
「義理は果たしたってことだ。黒王のな」
明が手を差し出すと、直樹を抱き上げたシンラがためらうことなくその手を伸ばし、赤竜の背に乗った。そこに墨染も飛び乗る。
「二十年も王不在でやってきたんだ。どうとでもなるだろうさ、ここは」
「あっ……」
ぐるりと旋回した竜の背でたたらを踏み、直樹は明にしがみついた。
明は驚いた顔をして、手綱を握ったまま大笑いをする。
「あ、あの……」
「あっはははは。二十年振りでもたたらを踏むか。直樹、お前はやっぱり、お前だわ。竜の上でよろよろだ」
一頻り笑った後、赤王が晴れやかな顔で、マナに笑い掛けてきた。
「お帰り我が友、直樹。二十年振りだ。諸王もお前の帰還を待ちかねている。特にアルバートはお前に会いたがっていたぞ」
「あの衣装は苦手ですが、アルバートには会いたいです。シンラは会って欲しくないな……驚くほど綺麗なんだ」
「お前より可愛い奴はいない」
「綺麗と可愛いは違うよ」
「では、直樹は綺麗で可愛い」
竜の背の上で肩を寄せ合う二人を見て、明はジジの進言を早めに切り上げて正解だったと思う。
『国に、黒王直樹をもう一度認めさせなくてはなりません』
ジジはそう呟いた。
「王性は戻ったが直樹を黒宮に行かせ、国地土に知らしめる必要があります」
黒王直樹の心象はずっと生きている。明はそう思っていた。だから厳しくも、直樹を王宮に連れていった。
赤竜の瞳で見ていた直樹は、日に日に疲弊し窓枠に座り込み泣いていることが多くなり、明はジジが持ち掛けた期間より早くシンラを連れて、直樹を迎えに来たのだ。
「もう大丈夫だ」
思わず口端が上がる。
今ここに直樹がいて、天帝に贖罪を果たしたクロと呼ばれていた身体がいる。
『王の役割とはなんですか?』
直樹は何度も聞いてきた。
心象による国造り。
和合の為の交合。
そしてーー。
一番大切なのは王位継続……王であり続けることだ。
ジジが言うようにこの世界が不慮の死の魂の安寧の場所ならば、そうなのかもしれない。
「魂の寿命が一定にあるとするならば、その子どもは生前をそれだけあちらで生きたのでしょう」
『欠けたる者』はあちらで深い罪を追うた者、『満たされた者』は様々な悲しみを受けた者、そんな魂の住まう五国には、静かな時間が流れる。そしてこの世界でも罪を重ねた者は、魂の消滅という終焉を迎えるのだと、ジジは村々に説いて回っていた。それが真理かどうかは分からないが、腑に落ちる気がするのだ。突き詰めれば、精一杯生きる、ただそれだけのことだ。
「あーあ、しばらくは、王様をやるしかねえなあ」
自分が死ねば、魂の和合の相手のレキも死に、国も崩壊する。
明は赤竜の手綱を握り直した。
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