164 / 200
同棲生活
164:人形作り。
しおりを挟む
ようやく、ラファエラに1週間ぶりの休日が訪れた。彼女はいつも通りの時間に起き、いつも通りにフォラクス(の、式神)が用意した朝食を一人で食べる。
「えーっと。今日は補充予定の在庫の確認と、土の配合の確認をしなきゃだ」
食べ終わって式神達にお礼を告げ、身支度を済ませてラファエラは店に足を運んだ。
「ん、大丈夫そう。……薬草を抜きに行くのと、薬を作るのは来週かな」
呟きながら店内に並べている商品達の補充を終わらせ、早朝に開いている店で簡単な買い物などをしながら帰る。
家に帰ると、ラファエラは早速とばかりに作業着に着替え、作ってもらった実験用の部屋へ向かった。
「よし、さっそく作ることにしよう」
そこで、大釜に入ったゴーレム用の土の配合を吟味する。中の土は、店が終わってから買ったり集めたりした物を混ぜ合わせて馴染ませたものだ。
「とりあえず、今回はこれでいいかな」
大きな釜に入った土をかき混ぜ棒で突きながら呟き、水の入った大きな瓶を取り出した。
「結構高かったんだから、少しくらいは動いてよねー」
言いつつ、天然物の魔力水を瓶内に上手く渦を作るように振りながらドボドボと釜に流し込む。
そして買った魔力水の瓶が2つほど空っぽになった後は、
「ふんふーん、うまく混ざってねー」
と、かき混ぜながら『うまく混ざってね』の歌(おばあちゃん仕込み)を鼻歌交じりに歌い、ゴーレムを造形するための粘土を作り上げた。
「いい感じに混ざったかな」
少し掬い、粘土の状態を確認する。それが終われば土を少し寝かせ、ゴーレムの造形をするのだ。
「あ、そうだ。待ってる間に(ゴーレムの)設計図でも考えとこ」
呟き、紙とペンを取り出してゴーレム用の設計図の書き込み始める。
「んー。とりあえず、薬草集めとお店のお手伝いくらいはできなきゃねー」
ふんふんと鼻歌を歌い、設計図を書き上げていった。
×
それから数時間後。
「ん、大丈夫そう」
粘る土をもちもちと手で弄びながら、頷く。そして、造形するために、大釜の中身を予め敷いてあった撥水加工のされたシートの上にひっくり返す。
「(ちゃんと動けるように、関節とかも作り込まなきゃ)」
設計図と睨めっこをしながら、ラファエラは手を動かした。更に細かく造形ができるように様々な形状の道具も使い、表面を滑らかに均したり、文字を書き込んだりする。
「ふんふふーん、ちゃんと完成してねー」
ゴーレムに聖書の文章を刻みながら、『ちゃんと完成してね』の歌(即興)を歌った。
造形をしていくうちに土が乾いていくので、魔力水の瓶に直接霧吹きの口を付けたもので湿り気を与える。
×
「よし、いい感じー」
それから更に数時間後。
ようやくゴーレムの造形が終わった。造形が終われば、後はゴーレムを乾かすだけだ。
「我ながら、結構いい出来だと思うんだ」
と、誰にともなくラファエラは満足気に言う。
「……そうですねぇ、随分と綺麗な形で。粘土造形を新しい御趣味にしていらっしゃるので?」
後ろから、フォラクスの声がした。
「えーっと。今日は補充予定の在庫の確認と、土の配合の確認をしなきゃだ」
食べ終わって式神達にお礼を告げ、身支度を済ませてラファエラは店に足を運んだ。
「ん、大丈夫そう。……薬草を抜きに行くのと、薬を作るのは来週かな」
呟きながら店内に並べている商品達の補充を終わらせ、早朝に開いている店で簡単な買い物などをしながら帰る。
家に帰ると、ラファエラは早速とばかりに作業着に着替え、作ってもらった実験用の部屋へ向かった。
「よし、さっそく作ることにしよう」
そこで、大釜に入ったゴーレム用の土の配合を吟味する。中の土は、店が終わってから買ったり集めたりした物を混ぜ合わせて馴染ませたものだ。
「とりあえず、今回はこれでいいかな」
大きな釜に入った土をかき混ぜ棒で突きながら呟き、水の入った大きな瓶を取り出した。
「結構高かったんだから、少しくらいは動いてよねー」
言いつつ、天然物の魔力水を瓶内に上手く渦を作るように振りながらドボドボと釜に流し込む。
そして買った魔力水の瓶が2つほど空っぽになった後は、
「ふんふーん、うまく混ざってねー」
と、かき混ぜながら『うまく混ざってね』の歌(おばあちゃん仕込み)を鼻歌交じりに歌い、ゴーレムを造形するための粘土を作り上げた。
「いい感じに混ざったかな」
少し掬い、粘土の状態を確認する。それが終われば土を少し寝かせ、ゴーレムの造形をするのだ。
「あ、そうだ。待ってる間に(ゴーレムの)設計図でも考えとこ」
呟き、紙とペンを取り出してゴーレム用の設計図の書き込み始める。
「んー。とりあえず、薬草集めとお店のお手伝いくらいはできなきゃねー」
ふんふんと鼻歌を歌い、設計図を書き上げていった。
×
それから数時間後。
「ん、大丈夫そう」
粘る土をもちもちと手で弄びながら、頷く。そして、造形するために、大釜の中身を予め敷いてあった撥水加工のされたシートの上にひっくり返す。
「(ちゃんと動けるように、関節とかも作り込まなきゃ)」
設計図と睨めっこをしながら、ラファエラは手を動かした。更に細かく造形ができるように様々な形状の道具も使い、表面を滑らかに均したり、文字を書き込んだりする。
「ふんふふーん、ちゃんと完成してねー」
ゴーレムに聖書の文章を刻みながら、『ちゃんと完成してね』の歌(即興)を歌った。
造形をしていくうちに土が乾いていくので、魔力水の瓶に直接霧吹きの口を付けたもので湿り気を与える。
×
「よし、いい感じー」
それから更に数時間後。
ようやくゴーレムの造形が終わった。造形が終われば、後はゴーレムを乾かすだけだ。
「我ながら、結構いい出来だと思うんだ」
と、誰にともなくラファエラは満足気に言う。
「……そうですねぇ、随分と綺麗な形で。粘土造形を新しい御趣味にしていらっしゃるので?」
後ろから、フォラクスの声がした。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる