仮の面はどう足掻いても。

月乃宮 夜見

文字の大きさ
2 / 60

2

しおりを挟む

 『仮の面』は魔法少女の敵対組織悪の組織。 構成員は下級多数と中級約200名に上級役員約30名、最上位幹部12名。 かなりの大所帯の組織だ。

 位が上がるにつれて与えられる仕事の役割やノルマの量も増えていき、最上位幹部になると一つの世界を任されるようになるらしい(噂で聞いた)。

 下級の構成員は一等と二等があり、何方も役職名はなく、識別番号も数字のみの簡易的なものになっていて、全ての『仮の面』構成員は二等の下級構成員から始まる。

 二等の扱いはアルバイトのようなもので、制服が与えられたり、一時的に担当場所の拠点での衣食住や給与の保証をされたりする。 しかし、担当場所で目的に目処が立つと、大抵は少々記憶の処理を施されてから解雇される。

 担当者が『こいつは使える』と判断された達は一旦本部まで連行……失礼。 御同行していただいて正規雇用(の、ようなもの)の手続きを行い、二等から一等の下級構成員ヘ昇格する。

 一等の扱いは殆どが中級や上級役員の雑用係で、二等との違いは目的に目処が立っても解雇されない事ぐらいだろう。 下級構成員の役割は中級、上級の補佐であり、お膳立てを手伝う役。 魔法少女達の敵としていうならば、『雑魚』にあたる。 ここから昇級するには、根気強いノルマの達成と安定した質の仕事が求められる。 

 中級になると、識別番号は変わらないが役職名が与えられる。 『幹部』として、魔法少女達の目の前に立ち塞がる事ができるのも、この辺りからだ。 ……下積みの時代が長いので、魔法少女達の前に立ち塞がる幹部達が生き生きとしているのは……仕方のない事だ…………多分。

 上級役員になれば『星官せいかん』と呼ばれる役職名が与えられ、識別番号も数字と文字を組み合わせた複雑なものへと変化する。 ここまで来ると話の後半辺りから投入される上位幹部になれる――という訳ではない。

 戦闘員として魔法少女達に立ち塞がってキラキラを回収するノルマもあるが、何方かと言えば最上位幹部達の補佐として、や組織内での仕事の手伝いを担う事が多くなる。

 中級から上級の仕事の差で、組織に不服を申し立てる達もいるが、上のの仕事ぶりを見られる良い機会なのではないだろうか。 ここの辺りで最上位幹部たる人物か中身を見定められている……と聞いた事があるが、噂は定かではない。 因みに、ここで上手くいけば、上級役員でも最上位幹部のように担当の世界が持てることもない、との噂だ。 実例は見た事ないが。

 最上位幹部は、組織を大々的に動かす事が出来る役職で、担当場所のボス的立ち位置まとめ役の役を担う事が多い。 ……らしい。 最上位幹部に関して言えば情報が入らないので、噂話程度のことしか分からない。 仮面の形が特徴的で見分け易い、と聞くが、私は未だに組織内で見かけたことはない。


×


 ここまでの話で大方予想はついているだろうけど、私は5-Gk52。 上位役員であり役職名は『房宿そいぼし』。 未だに見た事のない最上位幹部達の補佐が私の仕事だ。

 ついでに言うと上位役員ここまでなっておいて、組織のことに関して噂程度のことしか知らないポンコツ具合の持ち主だ。 ……もうちょっと、組織について勉強しておこう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

女神に頼まれましたけど

実川えむ
ファンタジー
雷が光る中、催される、卒業パーティー。 その主役の一人である王太子が、肩までのストレートの金髪をかきあげながら、鼻を鳴らして見下ろす。 「リザベーテ、私、オーガスタス・グリフィン・ロウセルは、貴様との婚約を破棄すっ……!?」 ドンガラガッシャーン! 「ひぃぃっ!?」 情けない叫びとともに、婚約破棄劇場は始まった。 ※王道の『婚約破棄』モノが書きたかった…… ※ざまぁ要素は後日談にする予定……

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...