聖女♂な王子は国に裏切られて捨て駒にされたから、魔王様の嫁になるわ

ハヤイもち

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第一章 戦う聖女

第一話 捕らえられた魔王城にて

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 魔王が椅子に座った俺の頬に手を伸ばした。

「俺は王子だぞ?ベッドに誘いたければ、それ相応の礼儀があるだろう」

 俺はパシッとその手を払う。
 内心の動揺を悟られないように、
 余裕たっぷりに魔王を見下ろしながら、足を組みなおす。

「全く往生際が悪いな」
「・・・・あっ」

 いつの間にか魔王は俺を腕の中に抱いていた。
 するりと王子の服をはだけさせと、顎を掴んで口づけをしてくる。

「ふっ、ちゅっ、くちゅっ、うっふぅっちゅっ」

 口を開け、舌を差し入れ、口内を掻きまわしていく。
 自分勝手にも見える魔王の口づけは、激しく、分厚い舌が熱い唾液とともに口に入ってくるのは苦しい。
 しかし、思いがけない気持ちよさに勝手に体が火照っていく。

「・・・いっ、いい加減に、しろっ!」

「どうした?威勢がいいのは口だけか?」

 今度は魔王がゆったりと笑った。

「・・・ほざけっ!魔物風情が」

「その強がり、いつまで続くか見ものだな」



 ※※※

 -時はさかのぼり、総攻撃の前日。

 王国のお城の大広間にて。


「明日、魔王軍に総攻撃を仕掛ける。指揮はユーリ、お前に任せる」
「親父殿、謹んでお受けします」

 俺は父親である国王の前で恭しく片膝をつき、頭を下げながらも、内心冷めた気持ちでいた。

 なぜなら、俺は生贄だからだ。

 国王は隠しているつもりだろうが、皆わかっている。
 この戦い人間側の勝ち目はない。

 そのため国王は最初から俺を捨て駒として戦の先頭に立たせ、時間稼ぎをするつもりだ。

 その間に自分や他の王子達を安全なところに逃がす作戦だ。

 国王は聖女の血を引く俺を疎ましく思っている。
 他の王子達もそうだ。

 聖女が王国内で、民衆にもてはやされことが気に食わないのだ。

 国王が俺に指揮を任せた時、立ち並ぶ兄弟たちはにやにやと残忍な笑みを浮かべていた。

 目障りな俺が明日には魔族によって殺される。

 そう、俺は明日、魔王軍と戦い死ぬのだ。

 ※※※



「よぉ、聖女ちゃん、よかったなぁ。まさかあの親父殿がお前に期待して総指揮を任せてくれるなんて。うれしいよなぁ?」

 広間を出た俺に第3王子と第4王子がが話しかけてくる。

「初めてだよな、お前が最高指揮官として戦場に出るのは。びびって漏らすんじゃねーの?」

「聖女ちゃんの聖水って魔族にも効くのか?明日試してみろよ」

 ぎゃはははと下品な言葉でからかう兄弟たちに俺はいつも通り張り付けた作り笑顔を向けた。

「そうですね、俺なんかの指揮でお兄様たちを動かすなんて本当に恐れ多いですが、精いっぱい頑張ります」

 俺がそう言うと第三王子は何が気に入らなかったのか俺の胸倉をつかんだ。

「てめぇっイラつくんだよ、いっつも気持ちわりぃ笑顔張り付けて、へこへこして。てめぇみたいなのが王族として俺たちと同じ扱いを受けるのは吐き気がする、聖女だか何だか知らねーが森の奥に引っ込んでお祈りでもしてればよかったんだ」

「やめろ、ムスラ」

 第4王子がそれを止めると、チッと舌打ちして、俺をそのまま乱暴に突き飛ばされた。

「それも今日で終わりだ。明日が楽しみだ」

 そう捨て台詞を残し、兄弟は満足げに笑いながら去っていった。

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