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4. 訓練所の眩い炎
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王都の訓練所には、朝から兵士たちの掛け声と剣戟の音が響き渡っていた。整えられた土の地面には無数の足跡が刻まれ、振り下ろされる木剣と木剣が乾いた衝撃音を立てては、湿った空気を震わせる。夏の盛りを思わせる陽射しが天窓から差し込み、剣を振るう兵たちの額を容赦なく照らしていた。
ヴィンセントに導かれて訓練所へ足を踏み入れたレイモンドは、整然と並ぶ兵士たちの姿を前に、ひとつ深く息を吐く。濃い汗と鉄の匂いが混ざり合い、戦場を思わせる濃密な空気が漂っていた。彼の銀の瞳が鋭く光を反射し、瞬時に場の全体を捉えていく。
「……見事な数だな」
思わず呟いた声に、横を歩くヴィンセントが低く応じる。
「遠征から戻った直後でまだ疲れも残るが、訓練を怠る兵は一人もいない。──あれが彼らの隊長だ」
視線の先にいたのは、蜂蜜色の金髪を汗で濡らし、紅の瞳を烈火のごとく燃やすアルベリック・ヴァーミリオンであった。
白いシャツは濡れた布のように体へ張り付き、引き締まった筋肉の線を透かして見せている。剣を振るうたびに肩から胸、腹部へと刻まれた線が浮かび上がり、周囲の兵士たちの視線をも自然と集めていた。しかし当の本人はそれを意識する様子もなく、軽妙な声を交えながら次々と剣を打ち込む。
「そこ! 腕だけじゃなく腰を使え! ほら、剣が軽くなっただろ?」
「遅い遅い! その構えじゃ敵の槍に貫かれるぞ、もっと下から!」
口調は明るいが、剣戟は苛烈だった。鋭い打ち込みは兵の木剣を弾き飛ばし、土煙を散らす。だが次の瞬間にはにやりと笑い、倒れ込む兵に手を差し伸べる余裕すらある。その姿は隊長としての威厳と、兵士たちから慕われる親しみを併せ持っていた。
レイモンドはその様子を見つめながら、胸の奥でかすかな昂ぶりを覚える。──あの剣を自分へ向けられたときの苛烈さを思い出す。廃屋で背を壁に押し付けられ、燃え盛るような瞳に射抜かれた夜のこと。喉の奥に微かな熱が宿り、彼はそれを悟られまいと瞬きで誤魔化した。
だが参謀としての矜恃が、すぐに彼の感情を押しとどめる。銀の瞳は冷静さを取り戻し、今度は兵全体へと向けられた。
「……剣の技量は申し分ない。だが、連携に綻びがあるな」
低く呟くと、隣のヴィンセントが視線を寄せた。
「綻び、か」
「ああ。例えば、今の三列目。隊列が崩れた瞬間、前衛の動きが途端に鈍った。彼らの力任せの突進は一見強いが、連携を断たれれば脆い。……兵の練度を上げるより、隊列の呼吸を合わせる訓練を増やすべきでしょう」
その言葉に、周囲の将校たちが息を呑む。的確すぎる指摘。剣の細部に立ち入るわけではないのに、全体を見渡した一瞬の観察で兵の弱点を暴き出す洞察力。まさにブラックウッドの血に連なる才知であった。
アルベリックもまた、兵を指導する手を止め、こちらを振り返った。汗で濡れた紅い瞳が、わずかに細められる。
「さすが参謀殿。俺が何度も口で言っても直らないことを、たった一言で突かれるとは」
からかうような口調に兵たちが笑いを漏らす。だがその瞳には本気の光が宿っていた。
「ほら聞いたか、お前たち。副団長殿や参謀殿にまで指摘されて、まだ直せないとでも?」
兵士たちが一斉に背筋を伸ばし、声を揃えて「はいっ!」と返す。その声にレイモンドは小さく頷いた。
視アルベリックは苛烈な剣戟を繰り広げながらも軽妙に兵を鼓舞し、レイモンドは全体を冷静に観察して弱点を指摘していく。その対照的な二人の姿を、ヴィンセントは沈黙のまま見届けていた。
* * *
天窓から差し落ちる陽は、磨かれた土の稽古場に長方形の光の板を幾枚も並べ、そこへ木剣と草鞋の影が縞のように走っていた。熱に満ちた空気は、汗と油と革の匂いを混ぜ、剣戟の乾いた音をより刺々しく響かせる。かけ声は波になり、波は規則を持って押しては返す。その波頭の先に立つのが、蜂蜜色の金髪を汗で濡らしたアルベリックだった。紅の瞳を楽しげに眇め、木剣を肩にかけたまま隊列の前へ滑り込んだ。
「はい、前列はもう半歩前。槍役は間を詰める、盾役は足を開けすぎない。……よし、いくぞ。合図は俺の手じゃない、隣の呼吸だ」
軽やかな声の終わりと同時に、彼はわざとらしく大きく息を吸い、音を立てて吐く。前列が釣られて胸郭を上下させ、自然と呼吸が揃う。アルベリックは満足げに顎を上げた。
「それでいい。合図はここだ、音じゃない、体だ。──構え!」
砂が小さく鳴り、木剣が一斉に斜めへ持ち上がる。アルベリックは兵の列へ正面から歩み入り、最初の若い兵の剣先を人差し指でちょん、と押した。微細な狂いが連鎖し、列の後ろの剣先まで震えが伝わる。
「見たか? 一人の揺れは列の揺れだ。だから“自分だけ”は存在しない。隊で立つ。……もう一回」
今度は押さない。アルベリックが目を細め、にやりと笑っただけで前列がみずから剣先を修正する。彼は満足げに頷くと、次の瞬間には木剣を振り下ろした。鋭い一撃が若い兵の木剣を打ち、乾いた破裂音が稽古場に弾ける。弾かれた兵の足が揺らぐ──が、倒れる前にアルベリックの手が背を支えていた。
「悪くない。腰は落ちてる。……ただ左の足の指、丸まってるぞ。土を掴め。掴んだら押し返せる」
言われた兵が顔を真っ赤にして「はい!」と答え、再び構え直す。アルベリックは笑いを喉の奥で転がした。
「次。三列目、来い。さっき参謀殿に“綻び”って言われたの、誰が一番悔しい?」
数人が一歩、二歩と前へ出る。アルベリックはあえて一番背の高い兵の隣に立ち、肩で軽くぶつかった。列がわずかに波打つ。
「ほら、今の。俺がぶつかった感覚を“隣へ渡す”な。受けたら捨てる。波を飲み込め。──行くぞ」
木剣がしなり、打ち合いが始まる。アルベリックは打つ、引く、踏む、誘う。小さな砂の音が常に彼の足元で鳴り続け、呼気は荒れず、目だけが獲物を追う獣の光を帯びていた。苛烈だ。だが一撃ごとに必ず一言の添えが落ちる。
「今のは“恐れ”、次は“間合い”」
「肩で振るな。手首で誘って、腰で殺せ」
「いい音だ。その音が三人先まで続いたら合格」
兵の中に、緊張と昂揚が入り混じった笑いが走る。痛みで顔を歪めながら、それでも歯を見せて笑う。鬼か教師か、その両方か。彼らがそう思っていることを、アルベリックは知っている。知ったうえで、少し楽しんでいる。
「休憩! 水、回せ。……が、回す前に一芸。盾役、前へ」
呼ばれた盾持ちの兵が進み出る。アルベリックは木剣を捨て、丸盾をひょいと片手で拾い上げて見せた。細い指が縁を叩く。
「盾は“受ける”器じゃない。“返す”器だ」
言いながら、彼は背後の砂をつまんでふっと兵の目元へ投げる。兵が瞬いた、その半拍で盾が滑る。縁で木剣を絡め取り、返す力で兵の膝が落ちる。倒れた兵が目を白黒させる間に、アルベリックはひらりと手を差し出した。
「俺は卑怯者だぞ。砂も石も使う。戦場は綺麗じゃない。──だから瞬くな。瞬きたいなら、瞬いた瞬間に“前へ”出ろ。いいか?」
起き上がった兵が息を弾ませ「はいっ!」と答える。周りから小さな笑いが漏れ、すぐに真顔へ戻る。アルベリックは喉の奥で笑い、盾を投げ返した。
「水飲め。吐息で喉を焼くな。半刻後、“行軍連携”に移る。参謀殿の“呼吸の綻び”を潰す練習だ。合図は三つ。足音、視線、そして……声」
アルベリックが最後の「声」を低く落とすと、兵の背に小さな戦慄が走った。彼らは知っている。隊長の声は、時に合図であり、時に刃であることを。
水桶が回り、鉄のカップが汗で滑る手の中を行き来する。アルベリックは兵の間を歩き、肩を叩き、腰を軽く蹴り、時に屈んで膝の角度を直す。笑って、からかって、けれど一寸も見逃さない。彼がそこにいると、怠け癖は土に潜る。彼がいなくなると、兵は互いを正す。──そういう循環が出来上がっていることを、レイモンドは少し離れた日陰から見て取っていた。
(教え方がうまい。苛烈さと冗談の混ぜ方、手を出す順番、怒る場面と笑う場面の見切り……“惚け”の仮面を被りながら、常に全体を見ている)
銀の瞳が隊列の端から端までを素早く舐め、メモに短く符丁を書き付ける。彼は剣の振り方そのものには口を出さない。だが、兵站と動線、休憩の挟み方、列の密度、交代の拍──そこに彼の領分がある。レイモンドが小声でヴィンセントへ伝えると、副団長は頷きだけを返し、視線をアルベリックへ戻した。
「半刻。行軍連携──開始!」
カップの音が止み、足音が揃う。アルベリックは列の外を流れるように並走し、突然に加速した。外から一気に間合いへ滑り込む癖を、彼は兵にうつす。先頭が踏み出した瞬間、二列目の視線が同じ方向を射る。三列目は音ではなく「肩の上下」を見る。行軍の拍は、いつしか一本の見えない糸になって彼らの背骨を繋いでいた。
「止まれ──“止まる前”に止まれ」
謎めいた命令に兵が戸惑った瞬間、アルベリックの木剣が先頭の足首の前でぴたりと止まった。汗が剣先から飛ぶ。
「合図から止まるな、合図を聞く“前”に止まれ。予感で止まれ。隣の呼吸で止まれ。軍は互いの“影”を見て動く。影が遅れたら死ぬ」
「影」という言葉が砂の上に残り、踏み消される。兵の目つきが一段鋭くなるのを見て、アルベリックは片眉を上げた。
「よし。次、“崩し”の練習。俺が崩す。お前らは“崩れない”。──三手で落とせなきゃ俺の負け、十呼吸耐えられなきゃお前らの負け」
ざわめきと笑いが混じる。賭け事の匂いが一瞬漂い、すぐひっこむ。アルベリックは足首を回し、木剣を指でくるくると回してから、ふっと消えた。そう見えた。実際には一歩、低く入っただけだ。だが低い一歩は隊の死角を穿ち、斜め後ろから縫い寄る縫い針のような一撃に変わった。
「一!」
先頭の防御が弾かれ、しかし二列目が肩で受ける。三列目が押し返す。アルベリックは笑った。
「二!」
今度は逆側から崩す。木剣が盾縁に当たって鈍い音を立てる。列が緩む。すかさず掛け声が飛ぶ。受け流して、詰める。
「三!」
最後は正面から。真っ向の打ち下ろしは、まるで冗談のように直線的だ。だが直線は速さで曲線を凌駕する。ギリ、と歯車が噛むような音がし、列は──耐えた。土の上に深い溝。汗で濡れた眉が一斉に上がる。
「十、数えろ」
アルベリックは木剣を肩に担ぎ、隊列の鼻先でゆっくり歩く。兵の胸郭が同じリズムで上下し、「四」「五」と数字が重なる。誰かの声がふっと途切れかけた瞬間、背中を小さく叩く手がある。互いを繋ぎ直す小さな助け。十が重なったとき、アルベリックがぱちんと指を鳴らした。
「お前らの勝ち。……いい顔だ」
笑いが弾け、肩と肩がぶつかり合う。倒れ込む者の背を別の手が支え、水のカップが差し出される。レイモンドはその輪の“温度”を読み取っていた。苛烈な剣の場で、傷つけ合う手と同じだけ、支え合う手がある。指導は厳しいが、誇りを奪わない。だから人はついてくる。
アルベリックは汗に濡れたシャツの裾を摘み、首筋を拭った。布地が肌に吸いついて離れるとき、短い音を立てる。紅の瞳が横目で日陰をちらりと見た。視線の先、レイモンドと目が合う。アルベリックは遠目にもわかるほど小さく片目をつぶった。公の場の冗談、だが冗談の奥の熱を彼だけが知っている。レイモンドはわずかに視線を逸らし、すぐまた戻した。銀に淡く熱が差す。誰にも気づかれない、小さな波。
「副団長殿」
アルベリックがこちらへ歩み、木剣の切っ先を下げて浅く礼をする。ヴィンセントは短く頷いたのみだ。
「隊列の呼吸は、参謀殿の指摘どおりに詰めろ。交代の拍も、今の十呼吸を基準に変えられる」
「了解。十を“七と三”に割ります。七で受け、三で押す。押しっぱなしは鈍る」
「ああ」
それだけで済ませる。余計な言葉は要らない。アルベリックは踵を返すと、今度は稽古場の端へ視線をやった。
「弓隊、手前へ。──参謀殿、弓は“間合い”が長いぶん、呼吸の綻びが出やすい。見ていてください。俺が“余白”を潰すから」
レイモンドが頷き、手帳のページをめくる。弓の弦を弾く音は剣の衝突とは別の調べで稽古場を満たす。アルベリックは的の前を平然と歩き、ふいに足を止めた。紅の瞳が的を見ていない。弓手の肩を見ている。胸の上下を見ている。矢が放たれる寸前に、彼は乾いた声で言った。
「今だ」
矢は放たれる。的の中心からわずかに外れた。アルベリックは笑った。
「俺の“今だ”に騙されるなら、敵の“今だ”にも騙される。弓は耳で射るな。胸で射れ」
弓手が息を溜め、数拍置いてから放つ。矢が中心へ吸い込まれ、歓声が低く湧く。アルベリックは指先で弦の振動を止め、弓手の背を軽く叩いた。
「いい。……誰か、今の呼吸を言葉にして残せ。今日来られなかった連中にも回せるように」
「俺がやります!」と若い兵が手を挙げる。アルベリックは親指を立てて見せた。
「頼んだ。文字は武器だ。剣より長く残る」
その言葉に、日陰のレイモンドがわずかに目を細めた。彼は静かに手帳へ一行、書き足す。──“教伝の仕組化”。剣の場に、知の場を重ねる者。
午後の陽が少し傾くと、稽古の色は変わる。個別の打ち合いから全体の流動へ。アルベリックは自ら前に立ち続け、時に誘い水のように列を壊し、時に堤防のように押し留めた。兵たちは疲れている。だが疲れの中で作られる連携ほど、戦場で強いことを彼はよく知っている。指導は苛烈さを増しながらも、どこか甘さを含んでいた。甘さとは、限界を正しく見極め、潰れない地点で止めるやさしさだ。
「──本日ここまで。各自、二人ずつで“反省の口”。良かった点を一つ、悪かった点を一つ。相手に渡せ。褒めない反省は腐る。貶すだけの反省は腐って匂う」
「はっ!」
疲労と満足の混じった声が返る。兵たちは互いの肩を叩き合い、笑いと真顔を交互に行き来しながら小さな輪をつくっていく。アルベリックはゆっくりと稽古場を巡り、その輪を一つずつ覗き、時に言葉を補い、時に何も言わず頷くだけで通り過ぎた。頷きだけで充分伝わる信頼が、そこにはあった。
陽がさらに傾いた頃、風が稽古場を抜けた。砂が細く走り、汗の匂いを薄める。アルベリックは最後に木剣を束ね、壁へ立てかけると、両手を腰に当てて大きく息を吐いた。紅の瞳が、再び日陰の二人を探す。副団長は変わらず無言。参謀は手帳を閉じ、静かに歩み寄ってきた。
「今日の“十呼吸”は有効だった。交代の拍が明確になったおかげで、前衛の消耗が偏らない。……弓の“胸で射る”も、言い得て妙だ」
「お褒めに与り光栄。──参謀殿の“綻び”の指摘が前提ですけどね」
軽い言葉の裏で、アルベリックは汗の流れる側頸を手の甲で拭う。白いシャツがまた肌に張り付き、陽が筋肉の稜線に沿って淡い金を置いた。彼はそのまま何でもない顔で続ける。
「次回は“静の訓練”を増やします。音を消した行軍、視線だけの指示。……戦場はうるさい。だから静けさを練っておく」
「良い判断だ」
ヴィンセントの短い言葉に、アルベリックは深くは頭を下げない。必要な角度だけで礼を済ませ、兵の方へ向き直る。
「解散。片付けは班ごと。水気を取れ、革は伸ばすな。傷は放置するな、誇りは放置していい」
最後の一言に笑いが走り、散っていく背が夕焼け色に染まる。稽古場から遠ざかる足音が薄れ、砂を踏む音だけが残る。アルベリックは少し遅れて歩き出し、ふと振り返った。日陰の銀と琥珀が並んで立つ。紅の瞳がそこに短く火を灯し、何事もなかったように消した。
この日の稽古は記録以上に、多くが兵たちの身体に残った。肩で受けた痛みの記憶、十呼吸の拍、砂の乾いた匂い、そして隊長の声。苛烈で、無邪気で、残酷に優しい声。翌日、彼らが隊としてもう一段強くなっているだろうことを、誰も口にしないまま確信していた。
ヴィンセントに導かれて訓練所へ足を踏み入れたレイモンドは、整然と並ぶ兵士たちの姿を前に、ひとつ深く息を吐く。濃い汗と鉄の匂いが混ざり合い、戦場を思わせる濃密な空気が漂っていた。彼の銀の瞳が鋭く光を反射し、瞬時に場の全体を捉えていく。
「……見事な数だな」
思わず呟いた声に、横を歩くヴィンセントが低く応じる。
「遠征から戻った直後でまだ疲れも残るが、訓練を怠る兵は一人もいない。──あれが彼らの隊長だ」
視線の先にいたのは、蜂蜜色の金髪を汗で濡らし、紅の瞳を烈火のごとく燃やすアルベリック・ヴァーミリオンであった。
白いシャツは濡れた布のように体へ張り付き、引き締まった筋肉の線を透かして見せている。剣を振るうたびに肩から胸、腹部へと刻まれた線が浮かび上がり、周囲の兵士たちの視線をも自然と集めていた。しかし当の本人はそれを意識する様子もなく、軽妙な声を交えながら次々と剣を打ち込む。
「そこ! 腕だけじゃなく腰を使え! ほら、剣が軽くなっただろ?」
「遅い遅い! その構えじゃ敵の槍に貫かれるぞ、もっと下から!」
口調は明るいが、剣戟は苛烈だった。鋭い打ち込みは兵の木剣を弾き飛ばし、土煙を散らす。だが次の瞬間にはにやりと笑い、倒れ込む兵に手を差し伸べる余裕すらある。その姿は隊長としての威厳と、兵士たちから慕われる親しみを併せ持っていた。
レイモンドはその様子を見つめながら、胸の奥でかすかな昂ぶりを覚える。──あの剣を自分へ向けられたときの苛烈さを思い出す。廃屋で背を壁に押し付けられ、燃え盛るような瞳に射抜かれた夜のこと。喉の奥に微かな熱が宿り、彼はそれを悟られまいと瞬きで誤魔化した。
だが参謀としての矜恃が、すぐに彼の感情を押しとどめる。銀の瞳は冷静さを取り戻し、今度は兵全体へと向けられた。
「……剣の技量は申し分ない。だが、連携に綻びがあるな」
低く呟くと、隣のヴィンセントが視線を寄せた。
「綻び、か」
「ああ。例えば、今の三列目。隊列が崩れた瞬間、前衛の動きが途端に鈍った。彼らの力任せの突進は一見強いが、連携を断たれれば脆い。……兵の練度を上げるより、隊列の呼吸を合わせる訓練を増やすべきでしょう」
その言葉に、周囲の将校たちが息を呑む。的確すぎる指摘。剣の細部に立ち入るわけではないのに、全体を見渡した一瞬の観察で兵の弱点を暴き出す洞察力。まさにブラックウッドの血に連なる才知であった。
アルベリックもまた、兵を指導する手を止め、こちらを振り返った。汗で濡れた紅い瞳が、わずかに細められる。
「さすが参謀殿。俺が何度も口で言っても直らないことを、たった一言で突かれるとは」
からかうような口調に兵たちが笑いを漏らす。だがその瞳には本気の光が宿っていた。
「ほら聞いたか、お前たち。副団長殿や参謀殿にまで指摘されて、まだ直せないとでも?」
兵士たちが一斉に背筋を伸ばし、声を揃えて「はいっ!」と返す。その声にレイモンドは小さく頷いた。
視アルベリックは苛烈な剣戟を繰り広げながらも軽妙に兵を鼓舞し、レイモンドは全体を冷静に観察して弱点を指摘していく。その対照的な二人の姿を、ヴィンセントは沈黙のまま見届けていた。
* * *
天窓から差し落ちる陽は、磨かれた土の稽古場に長方形の光の板を幾枚も並べ、そこへ木剣と草鞋の影が縞のように走っていた。熱に満ちた空気は、汗と油と革の匂いを混ぜ、剣戟の乾いた音をより刺々しく響かせる。かけ声は波になり、波は規則を持って押しては返す。その波頭の先に立つのが、蜂蜜色の金髪を汗で濡らしたアルベリックだった。紅の瞳を楽しげに眇め、木剣を肩にかけたまま隊列の前へ滑り込んだ。
「はい、前列はもう半歩前。槍役は間を詰める、盾役は足を開けすぎない。……よし、いくぞ。合図は俺の手じゃない、隣の呼吸だ」
軽やかな声の終わりと同時に、彼はわざとらしく大きく息を吸い、音を立てて吐く。前列が釣られて胸郭を上下させ、自然と呼吸が揃う。アルベリックは満足げに顎を上げた。
「それでいい。合図はここだ、音じゃない、体だ。──構え!」
砂が小さく鳴り、木剣が一斉に斜めへ持ち上がる。アルベリックは兵の列へ正面から歩み入り、最初の若い兵の剣先を人差し指でちょん、と押した。微細な狂いが連鎖し、列の後ろの剣先まで震えが伝わる。
「見たか? 一人の揺れは列の揺れだ。だから“自分だけ”は存在しない。隊で立つ。……もう一回」
今度は押さない。アルベリックが目を細め、にやりと笑っただけで前列がみずから剣先を修正する。彼は満足げに頷くと、次の瞬間には木剣を振り下ろした。鋭い一撃が若い兵の木剣を打ち、乾いた破裂音が稽古場に弾ける。弾かれた兵の足が揺らぐ──が、倒れる前にアルベリックの手が背を支えていた。
「悪くない。腰は落ちてる。……ただ左の足の指、丸まってるぞ。土を掴め。掴んだら押し返せる」
言われた兵が顔を真っ赤にして「はい!」と答え、再び構え直す。アルベリックは笑いを喉の奥で転がした。
「次。三列目、来い。さっき参謀殿に“綻び”って言われたの、誰が一番悔しい?」
数人が一歩、二歩と前へ出る。アルベリックはあえて一番背の高い兵の隣に立ち、肩で軽くぶつかった。列がわずかに波打つ。
「ほら、今の。俺がぶつかった感覚を“隣へ渡す”な。受けたら捨てる。波を飲み込め。──行くぞ」
木剣がしなり、打ち合いが始まる。アルベリックは打つ、引く、踏む、誘う。小さな砂の音が常に彼の足元で鳴り続け、呼気は荒れず、目だけが獲物を追う獣の光を帯びていた。苛烈だ。だが一撃ごとに必ず一言の添えが落ちる。
「今のは“恐れ”、次は“間合い”」
「肩で振るな。手首で誘って、腰で殺せ」
「いい音だ。その音が三人先まで続いたら合格」
兵の中に、緊張と昂揚が入り混じった笑いが走る。痛みで顔を歪めながら、それでも歯を見せて笑う。鬼か教師か、その両方か。彼らがそう思っていることを、アルベリックは知っている。知ったうえで、少し楽しんでいる。
「休憩! 水、回せ。……が、回す前に一芸。盾役、前へ」
呼ばれた盾持ちの兵が進み出る。アルベリックは木剣を捨て、丸盾をひょいと片手で拾い上げて見せた。細い指が縁を叩く。
「盾は“受ける”器じゃない。“返す”器だ」
言いながら、彼は背後の砂をつまんでふっと兵の目元へ投げる。兵が瞬いた、その半拍で盾が滑る。縁で木剣を絡め取り、返す力で兵の膝が落ちる。倒れた兵が目を白黒させる間に、アルベリックはひらりと手を差し出した。
「俺は卑怯者だぞ。砂も石も使う。戦場は綺麗じゃない。──だから瞬くな。瞬きたいなら、瞬いた瞬間に“前へ”出ろ。いいか?」
起き上がった兵が息を弾ませ「はいっ!」と答える。周りから小さな笑いが漏れ、すぐに真顔へ戻る。アルベリックは喉の奥で笑い、盾を投げ返した。
「水飲め。吐息で喉を焼くな。半刻後、“行軍連携”に移る。参謀殿の“呼吸の綻び”を潰す練習だ。合図は三つ。足音、視線、そして……声」
アルベリックが最後の「声」を低く落とすと、兵の背に小さな戦慄が走った。彼らは知っている。隊長の声は、時に合図であり、時に刃であることを。
水桶が回り、鉄のカップが汗で滑る手の中を行き来する。アルベリックは兵の間を歩き、肩を叩き、腰を軽く蹴り、時に屈んで膝の角度を直す。笑って、からかって、けれど一寸も見逃さない。彼がそこにいると、怠け癖は土に潜る。彼がいなくなると、兵は互いを正す。──そういう循環が出来上がっていることを、レイモンドは少し離れた日陰から見て取っていた。
(教え方がうまい。苛烈さと冗談の混ぜ方、手を出す順番、怒る場面と笑う場面の見切り……“惚け”の仮面を被りながら、常に全体を見ている)
銀の瞳が隊列の端から端までを素早く舐め、メモに短く符丁を書き付ける。彼は剣の振り方そのものには口を出さない。だが、兵站と動線、休憩の挟み方、列の密度、交代の拍──そこに彼の領分がある。レイモンドが小声でヴィンセントへ伝えると、副団長は頷きだけを返し、視線をアルベリックへ戻した。
「半刻。行軍連携──開始!」
カップの音が止み、足音が揃う。アルベリックは列の外を流れるように並走し、突然に加速した。外から一気に間合いへ滑り込む癖を、彼は兵にうつす。先頭が踏み出した瞬間、二列目の視線が同じ方向を射る。三列目は音ではなく「肩の上下」を見る。行軍の拍は、いつしか一本の見えない糸になって彼らの背骨を繋いでいた。
「止まれ──“止まる前”に止まれ」
謎めいた命令に兵が戸惑った瞬間、アルベリックの木剣が先頭の足首の前でぴたりと止まった。汗が剣先から飛ぶ。
「合図から止まるな、合図を聞く“前”に止まれ。予感で止まれ。隣の呼吸で止まれ。軍は互いの“影”を見て動く。影が遅れたら死ぬ」
「影」という言葉が砂の上に残り、踏み消される。兵の目つきが一段鋭くなるのを見て、アルベリックは片眉を上げた。
「よし。次、“崩し”の練習。俺が崩す。お前らは“崩れない”。──三手で落とせなきゃ俺の負け、十呼吸耐えられなきゃお前らの負け」
ざわめきと笑いが混じる。賭け事の匂いが一瞬漂い、すぐひっこむ。アルベリックは足首を回し、木剣を指でくるくると回してから、ふっと消えた。そう見えた。実際には一歩、低く入っただけだ。だが低い一歩は隊の死角を穿ち、斜め後ろから縫い寄る縫い針のような一撃に変わった。
「一!」
先頭の防御が弾かれ、しかし二列目が肩で受ける。三列目が押し返す。アルベリックは笑った。
「二!」
今度は逆側から崩す。木剣が盾縁に当たって鈍い音を立てる。列が緩む。すかさず掛け声が飛ぶ。受け流して、詰める。
「三!」
最後は正面から。真っ向の打ち下ろしは、まるで冗談のように直線的だ。だが直線は速さで曲線を凌駕する。ギリ、と歯車が噛むような音がし、列は──耐えた。土の上に深い溝。汗で濡れた眉が一斉に上がる。
「十、数えろ」
アルベリックは木剣を肩に担ぎ、隊列の鼻先でゆっくり歩く。兵の胸郭が同じリズムで上下し、「四」「五」と数字が重なる。誰かの声がふっと途切れかけた瞬間、背中を小さく叩く手がある。互いを繋ぎ直す小さな助け。十が重なったとき、アルベリックがぱちんと指を鳴らした。
「お前らの勝ち。……いい顔だ」
笑いが弾け、肩と肩がぶつかり合う。倒れ込む者の背を別の手が支え、水のカップが差し出される。レイモンドはその輪の“温度”を読み取っていた。苛烈な剣の場で、傷つけ合う手と同じだけ、支え合う手がある。指導は厳しいが、誇りを奪わない。だから人はついてくる。
アルベリックは汗に濡れたシャツの裾を摘み、首筋を拭った。布地が肌に吸いついて離れるとき、短い音を立てる。紅の瞳が横目で日陰をちらりと見た。視線の先、レイモンドと目が合う。アルベリックは遠目にもわかるほど小さく片目をつぶった。公の場の冗談、だが冗談の奥の熱を彼だけが知っている。レイモンドはわずかに視線を逸らし、すぐまた戻した。銀に淡く熱が差す。誰にも気づかれない、小さな波。
「副団長殿」
アルベリックがこちらへ歩み、木剣の切っ先を下げて浅く礼をする。ヴィンセントは短く頷いたのみだ。
「隊列の呼吸は、参謀殿の指摘どおりに詰めろ。交代の拍も、今の十呼吸を基準に変えられる」
「了解。十を“七と三”に割ります。七で受け、三で押す。押しっぱなしは鈍る」
「ああ」
それだけで済ませる。余計な言葉は要らない。アルベリックは踵を返すと、今度は稽古場の端へ視線をやった。
「弓隊、手前へ。──参謀殿、弓は“間合い”が長いぶん、呼吸の綻びが出やすい。見ていてください。俺が“余白”を潰すから」
レイモンドが頷き、手帳のページをめくる。弓の弦を弾く音は剣の衝突とは別の調べで稽古場を満たす。アルベリックは的の前を平然と歩き、ふいに足を止めた。紅の瞳が的を見ていない。弓手の肩を見ている。胸の上下を見ている。矢が放たれる寸前に、彼は乾いた声で言った。
「今だ」
矢は放たれる。的の中心からわずかに外れた。アルベリックは笑った。
「俺の“今だ”に騙されるなら、敵の“今だ”にも騙される。弓は耳で射るな。胸で射れ」
弓手が息を溜め、数拍置いてから放つ。矢が中心へ吸い込まれ、歓声が低く湧く。アルベリックは指先で弦の振動を止め、弓手の背を軽く叩いた。
「いい。……誰か、今の呼吸を言葉にして残せ。今日来られなかった連中にも回せるように」
「俺がやります!」と若い兵が手を挙げる。アルベリックは親指を立てて見せた。
「頼んだ。文字は武器だ。剣より長く残る」
その言葉に、日陰のレイモンドがわずかに目を細めた。彼は静かに手帳へ一行、書き足す。──“教伝の仕組化”。剣の場に、知の場を重ねる者。
午後の陽が少し傾くと、稽古の色は変わる。個別の打ち合いから全体の流動へ。アルベリックは自ら前に立ち続け、時に誘い水のように列を壊し、時に堤防のように押し留めた。兵たちは疲れている。だが疲れの中で作られる連携ほど、戦場で強いことを彼はよく知っている。指導は苛烈さを増しながらも、どこか甘さを含んでいた。甘さとは、限界を正しく見極め、潰れない地点で止めるやさしさだ。
「──本日ここまで。各自、二人ずつで“反省の口”。良かった点を一つ、悪かった点を一つ。相手に渡せ。褒めない反省は腐る。貶すだけの反省は腐って匂う」
「はっ!」
疲労と満足の混じった声が返る。兵たちは互いの肩を叩き合い、笑いと真顔を交互に行き来しながら小さな輪をつくっていく。アルベリックはゆっくりと稽古場を巡り、その輪を一つずつ覗き、時に言葉を補い、時に何も言わず頷くだけで通り過ぎた。頷きだけで充分伝わる信頼が、そこにはあった。
陽がさらに傾いた頃、風が稽古場を抜けた。砂が細く走り、汗の匂いを薄める。アルベリックは最後に木剣を束ね、壁へ立てかけると、両手を腰に当てて大きく息を吐いた。紅の瞳が、再び日陰の二人を探す。副団長は変わらず無言。参謀は手帳を閉じ、静かに歩み寄ってきた。
「今日の“十呼吸”は有効だった。交代の拍が明確になったおかげで、前衛の消耗が偏らない。……弓の“胸で射る”も、言い得て妙だ」
「お褒めに与り光栄。──参謀殿の“綻び”の指摘が前提ですけどね」
軽い言葉の裏で、アルベリックは汗の流れる側頸を手の甲で拭う。白いシャツがまた肌に張り付き、陽が筋肉の稜線に沿って淡い金を置いた。彼はそのまま何でもない顔で続ける。
「次回は“静の訓練”を増やします。音を消した行軍、視線だけの指示。……戦場はうるさい。だから静けさを練っておく」
「良い判断だ」
ヴィンセントの短い言葉に、アルベリックは深くは頭を下げない。必要な角度だけで礼を済ませ、兵の方へ向き直る。
「解散。片付けは班ごと。水気を取れ、革は伸ばすな。傷は放置するな、誇りは放置していい」
最後の一言に笑いが走り、散っていく背が夕焼け色に染まる。稽古場から遠ざかる足音が薄れ、砂を踏む音だけが残る。アルベリックは少し遅れて歩き出し、ふと振り返った。日陰の銀と琥珀が並んで立つ。紅の瞳がそこに短く火を灯し、何事もなかったように消した。
この日の稽古は記録以上に、多くが兵たちの身体に残った。肩で受けた痛みの記憶、十呼吸の拍、砂の乾いた匂い、そして隊長の声。苛烈で、無邪気で、残酷に優しい声。翌日、彼らが隊としてもう一段強くなっているだろうことを、誰も口にしないまま確信していた。
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