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☆第三十四話 脅威☆
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「なるほど、理解した。貴殿の奮闘を感謝する!」
「有り難う御座いますっ! あっ!」
悪党の屋敷でもある森の隠れ家での出来事を、正人が魔法衛士隊の隊長へ報告を終えたと同時に、森からの熱砂が蛇のように流れて来た。
「どうした――むむっ!」
「たっ隊長っ! あの砂…っ!」
マスクヒーローの視線を追った隊長も流砂に気付いて、早駆けの若者も大蛇の如きその姿にゾっとする。
「あれが砂ドラゴンですっ!」
超人の聴力だから聞き取れた音は、砂同士が擦れ合う微音のみで普通の人には聞こえない程に小さく、しかし流砂は地面の起伏に関係無く滑るようにやって来ていた。
正人や早駆け隊員の報告を聞いていた隊長が、素早く判断をして命令を下す。
「全隊っ、ウォールっ! 水流魔法っ!」
「「「「はいっ!」」」」
返答をしながら、魔法部隊が隊列を素早く横並びの十人二列へと変えて、まさしく流砂に対して壁となる防御の陣形を組んだ。
――ッザザザザザザザッ!
人類の存在など全く意識していないらしい流砂は、流れるままに街の壁へ向かって、その量を増やしてゆく。
水の蛇みたいな砂が目の前十メートル程にまで接近をしたタイミングで、隊長が号令。
「第一っ、水流魔法っ!」
「「「はいっ!」」」
前列十人の隊員達が前方へ杖を翳すと、先端のクリスタルが青く光って魔方陣が輝き、魔法が発動をした。
――っさらさらさらざざザザザドドドドドっ!
クリスタル前方の魔方陣から、直径一メートルを越える極太水流が発生し、流れ来る砂生物へと降りかかる。
――っザザアアアアアっ!
魔法使い十人分の水流を浴びせられる砂が、その勢いで流れを止められて散らされて、また集まろうとして水流阻止をされた。
「な、なる程…水が、染みこんでいく…っ!」
流砂を逃さないように囲み、更に中心へと水流を浴びせると、砂漠色だった砂が水分を含んで濃いブラウン色になって、動きも遅くなってゆく。
「ようしっ! これで後は、凍らせればっ!」
――ッグググググ…ッ!
水分で重くされた流砂生物が、再びドラゴンの形に戻ろうとするも、砂が重くてその速度は明らかに隙だらけという様相だ。
魔法部隊の隊長は、ドラゴンに戻る前に、なにより街への被害が出る前に決着を付けようと、部隊へと続いての命令を下す。
「第二っ、氷結魔法っ!」
「「「「はいっ!」」」」
号令の直後に素早く前後の列が入れ替わり、前へ出た十人が杖を翳して魔法を発動。
――っ…きらきらきらキラキラキラキラっ!
淡い群青色な魔方陣から、氷の粒みたいな光が大量に発生をして、濡れた砂生物へと浴びせられ始めた。
――ッグアアアァァァッ…!
胸部から上だけがドラゴン型となった流砂生物が、氷に包まれながらその動きを確実に止められ、氷結凝固をさせられてゆく。
「やった…っ!」
魔法衛士隊とドラゴンの戦いを、傍らで注視していた正人も、砂ドラゴンが水と氷結を受けて無力化されてゆく光景に、想わず安堵を覚えたり。
「魔法やめっ!」
隊長の命令で、みなが揃って魔法攻撃を終えると、戦場には氷に包まれたドラゴンの大きな胸像が、静かに佇んでいた。
魔法部隊から三人の衛士が掛け出して、氷漬けドラらゴンを油断無く調査開始。
「「「…………」」」
頭から、地面に接している胸元までを入念に調べた隊員たちは、駆け足で隊長の前へと戻り、報告をする。
「調査報告っ! 砂ドラゴンは、地面と接している面までをも氷に包まれ、完全に封印されておりますっ!」
「うむ。後は、コイツを海へ捨てるだけだな」
「おおぉ…♪」
魔法部隊の完全勝利に、正人も想わず笑顔のガッツポーズだ。
この時、正人や早駆け青年などの、ドラゴン形態と対峙したメンバーがもう少し注意深ければ、もしかしたら更なる激戦は防げたのかも知れない。
「伝令は、衛士隊本部へ氷像の運搬を――」
「っぅうわあああああっ!」
「っむぅっ!?」
調査報告をした隊員の悲鳴が上がり、隊長と、急いで宙へ舞った正人は、周囲を確認。
「…あっ!」
上から見ると、衛士隊三人の背後から足下へと細い流砂が滑り寄っていて、鎧の隙間から隊員たちの衣服の内部へと、砂に流入をされていた。
「あの砂っ、どこから…ああっ!」
見ると、新たな流砂は氷像の後方から迂回をして、衛士隊へと密かに接近。
三人の衛士隊員を砂で飲み込み、そのまま氷漬けドラゴンの後ろへと、引きずりながら連れ去ってしまった。
「あのドラゴンっ…そうかっ!」
正人は、ようやく気付いた。
氷漬けにしたドラゴンは、上半身というか、胸から上しか無かったのだ。
「つまりっ、身体の大部分はまだ…っ!」
上空から確かめると、ドラゴン像の後ろには、氷漬けにされていないどころか濡れてすらいない流砂が、大量に流れ着いていた。
「隊長っ、砂ドラゴンの本体は後ろですっ!」
「なにっ!?」
――ッゴアアアアアアッ!
確認をする隊長をあざ笑うかのように、数舜で形を取り戻した砂ドラゴンが咆哮を上げる。
「な、なんという怪物っ!」
しかも砂ドラゴンは形を取り戻しただけでなく、流れながら地中の砂も身体に引き込んで構成材料とし、凍らされた囮の体積までもが復活。
そして新たな変容として、砂を微振動させていないにも拘わらず、既に腹部が赤熱化を見せていた。
「なぜっ、もう炎の準備まで…っ!」
衛士隊へ向けて大きな口を開ける砂ドラゴンは、喉の奥から既に炎がチロチロと溢れ出ている
「ヤっ、ヤツは炎を吐きますっ!」
「むっ! 火炎防御っ!」
早駆けの隊員が上申をすると、隊長は防御の陣形を号令し、部隊はやはり三角形の陣形となった。
「また炎をっ!」
正人も衛士隊の前方へ降り立ち、火炎を吹き返そうと大きく息を吸う。
「すうううううううううううぅぅぅぅぅ…っ! えっ!?」
仮面のヒーローも衛士隊も、向けられる火炎攻撃を警戒していたら、砂ドラゴンはその頭をオドサンの街へと向け、業火を放った。
「――っなんだとっ!」
――ッゴァァアアアアアアアッ!
完全に裏をかかれてしまい、正人はまたあらためて、砂ドラゴンの思考力にしてやられた格好である。
砂ドラゴンの吐き出す火炎が街の防壁へと浴びせられると、石の壁はあっという間に赤熱化されて溶かされて、蕩け落ちて大きく抉られる形とされてしまった。
「ま、街の壁が…っ!」
「全隊っ、盾となるっ!」
「「「「「はいっ!」」」」」
魔法衛士隊が早駆けで壁の前へと急ぎ、砂ドラゴンを止めようと陣形を作る。
同時に、森から街へと戻ってきた部隊も、その光景に想わず息を飲んだ。
「な、なんと…っ! 全隊っ、合流っ!」
「「「「「は、はいっ!」」」」」
既に疲労困憊な部隊であっても、街への被害は絶対に止めなければならない。
森への部隊が魔法部隊へ合流をすると、魔法部隊の盾となるべく、魔法防御の盾をあらたに預かる。
引っ張られて来た悪党の手下三人も、砂ドラゴンの異容や街の壁の惨状に、想わず悲鳴を上げていた。
「ひっ――ひええーっ!」
「ォオドサンの街がぁっ!」
「チクショーーーっ! ボスのバカヤローーーっ! あんなのっ、もうダメだイヤだあああああっ!」
特に魔法使いの青年は、魔法生物の恐ろしさを知っているからか、ボスへの罵詈雑言を止められないらしい。
このままでは、砂ドラゴンの火力で衛士隊だって無事では済まないし、街への侵入や被害だって止められないのではと、正人は焦る。
「く…っ! 魔法使いっ!」
拘束されている魔法使いが異様に怯えているように見えて、正人は疑問をぶつけた。
「あの砂ドラゴンは、全身復活と同時に火炎を準備出来たっ! 何か理由が――」
「尻尾を見ろおおっ!」
言われて見ると、砂ドラゴンの尻尾から、飲み込まれた衛士隊員三人の脚が。
「あっ、あいつぁっ、衛士隊の魔法能力をっ――ぃい命を取り込んでやがるんだああああっ! きっとっ、身体の中で衛士たちの身体を使って熱の魔法とか使ってっ、いつでもすぐに火炎が吐けるんだあぁっ!」
「なんだって…っ!」
正人はようやく、自分が砂ドラゴンを完全に見誤っていると知った。
その姿の為か、どこかで動物の延長みたいに考えてしまっていたのである。
もし生前の正人が、ファンタジー系に明るかったら、もしかしたらそんな判断ミスはしなかったかも知れない。
しかし、目の前で暴れて咆吼を上げて火炎を吐くドラゴンなど、そもそも会話が出来るという発想も出来なければ、ましてや知的生命体であると推測出来るのは、余程のファンタジー愛好者だけだろう。
しかし正人は、素直に想う。
「僕のせいだ…っ!」
超人として、不老不死以外の全てを貰っているのに、遂に街への被害を防げなかった。
「どうすれば…っあっ!」
砂ドラゴンを見上げた正人の目の前で、難敵はしかし盾となった衛士隊たちへ新たな火炎を吐かず、羽根を羽ばたかせて頭上を越え、ついに街へと侵入をする。
「なんとしてもっ、止めるっ!」
~第二十四話 終わり~
「有り難う御座いますっ! あっ!」
悪党の屋敷でもある森の隠れ家での出来事を、正人が魔法衛士隊の隊長へ報告を終えたと同時に、森からの熱砂が蛇のように流れて来た。
「どうした――むむっ!」
「たっ隊長っ! あの砂…っ!」
マスクヒーローの視線を追った隊長も流砂に気付いて、早駆けの若者も大蛇の如きその姿にゾっとする。
「あれが砂ドラゴンですっ!」
超人の聴力だから聞き取れた音は、砂同士が擦れ合う微音のみで普通の人には聞こえない程に小さく、しかし流砂は地面の起伏に関係無く滑るようにやって来ていた。
正人や早駆け隊員の報告を聞いていた隊長が、素早く判断をして命令を下す。
「全隊っ、ウォールっ! 水流魔法っ!」
「「「「はいっ!」」」」
返答をしながら、魔法部隊が隊列を素早く横並びの十人二列へと変えて、まさしく流砂に対して壁となる防御の陣形を組んだ。
――ッザザザザザザザッ!
人類の存在など全く意識していないらしい流砂は、流れるままに街の壁へ向かって、その量を増やしてゆく。
水の蛇みたいな砂が目の前十メートル程にまで接近をしたタイミングで、隊長が号令。
「第一っ、水流魔法っ!」
「「「はいっ!」」」
前列十人の隊員達が前方へ杖を翳すと、先端のクリスタルが青く光って魔方陣が輝き、魔法が発動をした。
――っさらさらさらざざザザザドドドドドっ!
クリスタル前方の魔方陣から、直径一メートルを越える極太水流が発生し、流れ来る砂生物へと降りかかる。
――っザザアアアアアっ!
魔法使い十人分の水流を浴びせられる砂が、その勢いで流れを止められて散らされて、また集まろうとして水流阻止をされた。
「な、なる程…水が、染みこんでいく…っ!」
流砂を逃さないように囲み、更に中心へと水流を浴びせると、砂漠色だった砂が水分を含んで濃いブラウン色になって、動きも遅くなってゆく。
「ようしっ! これで後は、凍らせればっ!」
――ッグググググ…ッ!
水分で重くされた流砂生物が、再びドラゴンの形に戻ろうとするも、砂が重くてその速度は明らかに隙だらけという様相だ。
魔法部隊の隊長は、ドラゴンに戻る前に、なにより街への被害が出る前に決着を付けようと、部隊へと続いての命令を下す。
「第二っ、氷結魔法っ!」
「「「「はいっ!」」」」
号令の直後に素早く前後の列が入れ替わり、前へ出た十人が杖を翳して魔法を発動。
――っ…きらきらきらキラキラキラキラっ!
淡い群青色な魔方陣から、氷の粒みたいな光が大量に発生をして、濡れた砂生物へと浴びせられ始めた。
――ッグアアアァァァッ…!
胸部から上だけがドラゴン型となった流砂生物が、氷に包まれながらその動きを確実に止められ、氷結凝固をさせられてゆく。
「やった…っ!」
魔法衛士隊とドラゴンの戦いを、傍らで注視していた正人も、砂ドラゴンが水と氷結を受けて無力化されてゆく光景に、想わず安堵を覚えたり。
「魔法やめっ!」
隊長の命令で、みなが揃って魔法攻撃を終えると、戦場には氷に包まれたドラゴンの大きな胸像が、静かに佇んでいた。
魔法部隊から三人の衛士が掛け出して、氷漬けドラらゴンを油断無く調査開始。
「「「…………」」」
頭から、地面に接している胸元までを入念に調べた隊員たちは、駆け足で隊長の前へと戻り、報告をする。
「調査報告っ! 砂ドラゴンは、地面と接している面までをも氷に包まれ、完全に封印されておりますっ!」
「うむ。後は、コイツを海へ捨てるだけだな」
「おおぉ…♪」
魔法部隊の完全勝利に、正人も想わず笑顔のガッツポーズだ。
この時、正人や早駆け青年などの、ドラゴン形態と対峙したメンバーがもう少し注意深ければ、もしかしたら更なる激戦は防げたのかも知れない。
「伝令は、衛士隊本部へ氷像の運搬を――」
「っぅうわあああああっ!」
「っむぅっ!?」
調査報告をした隊員の悲鳴が上がり、隊長と、急いで宙へ舞った正人は、周囲を確認。
「…あっ!」
上から見ると、衛士隊三人の背後から足下へと細い流砂が滑り寄っていて、鎧の隙間から隊員たちの衣服の内部へと、砂に流入をされていた。
「あの砂っ、どこから…ああっ!」
見ると、新たな流砂は氷像の後方から迂回をして、衛士隊へと密かに接近。
三人の衛士隊員を砂で飲み込み、そのまま氷漬けドラゴンの後ろへと、引きずりながら連れ去ってしまった。
「あのドラゴンっ…そうかっ!」
正人は、ようやく気付いた。
氷漬けにしたドラゴンは、上半身というか、胸から上しか無かったのだ。
「つまりっ、身体の大部分はまだ…っ!」
上空から確かめると、ドラゴン像の後ろには、氷漬けにされていないどころか濡れてすらいない流砂が、大量に流れ着いていた。
「隊長っ、砂ドラゴンの本体は後ろですっ!」
「なにっ!?」
――ッゴアアアアアアッ!
確認をする隊長をあざ笑うかのように、数舜で形を取り戻した砂ドラゴンが咆哮を上げる。
「な、なんという怪物っ!」
しかも砂ドラゴンは形を取り戻しただけでなく、流れながら地中の砂も身体に引き込んで構成材料とし、凍らされた囮の体積までもが復活。
そして新たな変容として、砂を微振動させていないにも拘わらず、既に腹部が赤熱化を見せていた。
「なぜっ、もう炎の準備まで…っ!」
衛士隊へ向けて大きな口を開ける砂ドラゴンは、喉の奥から既に炎がチロチロと溢れ出ている
「ヤっ、ヤツは炎を吐きますっ!」
「むっ! 火炎防御っ!」
早駆けの隊員が上申をすると、隊長は防御の陣形を号令し、部隊はやはり三角形の陣形となった。
「また炎をっ!」
正人も衛士隊の前方へ降り立ち、火炎を吹き返そうと大きく息を吸う。
「すうううううううううううぅぅぅぅぅ…っ! えっ!?」
仮面のヒーローも衛士隊も、向けられる火炎攻撃を警戒していたら、砂ドラゴンはその頭をオドサンの街へと向け、業火を放った。
「――っなんだとっ!」
――ッゴァァアアアアアアアッ!
完全に裏をかかれてしまい、正人はまたあらためて、砂ドラゴンの思考力にしてやられた格好である。
砂ドラゴンの吐き出す火炎が街の防壁へと浴びせられると、石の壁はあっという間に赤熱化されて溶かされて、蕩け落ちて大きく抉られる形とされてしまった。
「ま、街の壁が…っ!」
「全隊っ、盾となるっ!」
「「「「「はいっ!」」」」」
魔法衛士隊が早駆けで壁の前へと急ぎ、砂ドラゴンを止めようと陣形を作る。
同時に、森から街へと戻ってきた部隊も、その光景に想わず息を飲んだ。
「な、なんと…っ! 全隊っ、合流っ!」
「「「「「は、はいっ!」」」」」
既に疲労困憊な部隊であっても、街への被害は絶対に止めなければならない。
森への部隊が魔法部隊へ合流をすると、魔法部隊の盾となるべく、魔法防御の盾をあらたに預かる。
引っ張られて来た悪党の手下三人も、砂ドラゴンの異容や街の壁の惨状に、想わず悲鳴を上げていた。
「ひっ――ひええーっ!」
「ォオドサンの街がぁっ!」
「チクショーーーっ! ボスのバカヤローーーっ! あんなのっ、もうダメだイヤだあああああっ!」
特に魔法使いの青年は、魔法生物の恐ろしさを知っているからか、ボスへの罵詈雑言を止められないらしい。
このままでは、砂ドラゴンの火力で衛士隊だって無事では済まないし、街への侵入や被害だって止められないのではと、正人は焦る。
「く…っ! 魔法使いっ!」
拘束されている魔法使いが異様に怯えているように見えて、正人は疑問をぶつけた。
「あの砂ドラゴンは、全身復活と同時に火炎を準備出来たっ! 何か理由が――」
「尻尾を見ろおおっ!」
言われて見ると、砂ドラゴンの尻尾から、飲み込まれた衛士隊員三人の脚が。
「あっ、あいつぁっ、衛士隊の魔法能力をっ――ぃい命を取り込んでやがるんだああああっ! きっとっ、身体の中で衛士たちの身体を使って熱の魔法とか使ってっ、いつでもすぐに火炎が吐けるんだあぁっ!」
「なんだって…っ!」
正人はようやく、自分が砂ドラゴンを完全に見誤っていると知った。
その姿の為か、どこかで動物の延長みたいに考えてしまっていたのである。
もし生前の正人が、ファンタジー系に明るかったら、もしかしたらそんな判断ミスはしなかったかも知れない。
しかし、目の前で暴れて咆吼を上げて火炎を吐くドラゴンなど、そもそも会話が出来るという発想も出来なければ、ましてや知的生命体であると推測出来るのは、余程のファンタジー愛好者だけだろう。
しかし正人は、素直に想う。
「僕のせいだ…っ!」
超人として、不老不死以外の全てを貰っているのに、遂に街への被害を防げなかった。
「どうすれば…っあっ!」
砂ドラゴンを見上げた正人の目の前で、難敵はしかし盾となった衛士隊たちへ新たな火炎を吐かず、羽根を羽ばたかせて頭上を越え、ついに街へと侵入をする。
「なんとしてもっ、止めるっ!」
~第二十四話 終わり~
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