対ノ双龍天翔ケル時

恭介

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第2章 宿る意思

予兆

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暗い森で、二人は歩いていた。ディエナは礼を言い出せず、アポロはそれに気付かず。
ディエナは、自らの部族の野営地に戻る日が明日来ると言うことを知りながら、結果何も言わなかった。会話が途切れて、静寂が訪れる瞬間、アポロに救われた時、最も恐れていた事態となった。アポロは、人とは思えない声で言った。
「アハハハハ、さぁてディエナ。言イ残ス事ハ無イカ?」
人が発した物と思えない声だった。咄嗟に退こうとしたが、何かの力で動きを止められた。
「・・何のつもり?アポロ。新手のドッキリかしら?」─通じないだろう。はったりだ。
「魔法デハ無イ。ソノ方法デ解ケハシナイ。残念ダナ。我ガ生ケ贄、屠ラレル命ヨ。」
おかしい。まず、アポロでは無い。では何か?生け贄、屠られる命。複数の要因が重なり、一つの道が見えたが、有り得ない話だ。しかし、今起きている事そのものが有り得ない。つまり、仮説の内最も可能性が高い物となる。
推測の話をしましょう。そう切り出してディエナは言葉を繋げる。
「まず、貴方は人でない、何か。そして、恐らく邪龍か、それに近い存在。─合っているわね?」頷く。第一、正解。
目の前に恐怖の塊がいる。それでも脳を落ち着かせる。次、第二。が、それは最早出来なかった。
「貴様ハ、聖龍第一、"地を這う蜥"の出ダナ?ソレハ見テワカル。」
最後まで言い切る前に、20近い首を、目の前に放り出された。それは、自分の部族の、たった18人しか居ない皆の首だった。
「嘘・・・でしょ?あなた、こんなことをして心が痛まないの!?」
「ナンセンスな議論だ、そのことは。」答えたのは、邪龍でも、アポロでもなく、一人の少年だった。それは異常な眼をしていた。冷淡で、強欲な顔だ。このタイプは間違いなく、ろくなことが無い。ディエナは、この先に待つ事を知らなかった。
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