転校生とフラグ察知鈍感男

加藤やま

文字の大きさ
49 / 53
学年末テスト

第49話 テスト前、好きな子のために徹夜して作るものとは…

しおりを挟む
 翌日、放課後一足先に図書室に入ってアリス達が来るのを待つ。そこに、アリスが1人でやって来た。
「あれ?栄一と長名は一緒じゃないの?」
「あの2人は…実は先週末部活があったみたいで、今居残りさせられてる…」
「それは…自業自得だな。勉強会に乗じてイチャついた罰だな。」
「そんなこと言っちゃ可哀想だよ。まぁ、楽しんではいたけどね。」
 2人で笑っていると図書委員の人にひと睨みされてしまった。
「…そういえば、今日北王子君は?」
「あぁ、別に約束してるわけじゃないし、予定が空いてれば勉強見てもらうだけだから大丈夫よ。」
「そっか…」
 北王子君を見た感じだと勉強を見るだけとは思えなかったけど…わざわざ教えてあげる必要もないか。
「じゃあ、始めようか。」
 久しぶりにじっくりアリスが勉強しているところを見るが、この数日で相当できるようになっているような気がする。さすが成績トップの北王子君。きっと教えるのも上手いんだろう。
 ここまでくると質問することもあんまりなく、集中して勉強しているとあっという間に下校時間になった。
「そういえば、最近忙しかったのは何だったの?」
 勉強道具を片付けながらアリスがふと聞いてきた。
「いや、実は…これを作ってたんだ。」
 カバンの中からノートを取り出し、アリスに手渡す。
「何…これ?テスト対策ノート?」
「そう。アリス専用対策ノート。全5教科のボリュームパックだよ。」
「え…本当に?…これ作っててずっと徹夜してたの…?」
「別に、俺が作りたくて作ってただけだから。自分の勉強にもなったし。見返りとかは要求しないよ?」
「そんなの心配してないし…もう…只男って…本当にバカ…」
 そう言いながらアリスの目からは涙が次々と溢れ出していた。
「な…どうした!?」
「…うわぁーん!…感動したぁ…ここまでしてもらって赤点取るわけにはいかないよぉ…頑張る気しか起きないよぉ…」
「…それなら良かった。まぁ一緒に3年生になりたいし。」
「なるよ!なるなる!もう4年生でも5年生でも何年生でも一緒になってあげるよ!」
「それは3年までで大丈夫です。」
 間に合わせるために急いで作ったものだけど、やる気に繋がってるみたいで安心した。
 そこから1週間は顧問にこってり絞られた栄一と長名も加わって、対策ノートを中心に放課後や休み時間も活用して勉強漬けの日々を送り、ついに学年末テスト当日を迎えた。

 テストの手応えやテスト返し直後は結果についてあえて触れないようにしていた。全てのテストが返ってきて点数一覧が配られる日にみんなで結果発表することにしたのだった。
「みんな…点数の紙は持った?せーの、で一斉に見せるのよ。いい?…せーの!」
 正直、他の3人の結果はどうでも良かった。とにかくアリスの点数に目をやる。他の2人も同じ考えらしく、3人で顔を突き合わせてアリスの結果を覗き込む形になった。
「ふふっ、みんなして私のを見るなんて…人気者は辛いなぁ。」
「そういうのはいいから。」
「もう、ノリが悪いなぁ…ほら、しっかり見てもいいよ。」
 こっちの気も知らずに軽口を叩いて場を和ませそうとしている。
 ただ、点数を見てみると軽口を叩く理由が分かった…赤点だらけだった前回とは見違える点数だ。赤点が…ない!どころか全教科平均点を超える点数を獲得している!
「ふっふっふ…これが私の実力よ!崇め奉りなさい!っていうのは冗談で。みんなのおかげです!特に只男、ありがとう!」
「いやいや、こんなにできるなんて正直びっくりだよ。すごいすごい!」
「そういう只男だって点数上がってるし、清香は言うまでもなく化け物じみてるし、栄一君だって…ん?栄一君!?」
 アリスの叫び声に釣られて栄一の点数を見て絶句した。数学の点数が…
「0点!?どうした?」
「いやぁ…最初の解答欄飛ばしちゃった、てへ。」
「いやいや、可愛子ぶっても意味ないから。」
「でもね、えーちゃ…栄一君は解答欄が合ってたら90点はあるんだよ。」
 長名がフォローを入れる。
「まぁ…今までもできてるし、そんなにできてるなら追試も一発合格でしょ。」
「うんうん。栄一君はちょっと心配だけど、これで全員進級できるね!やったぁ!打ち上げだぁ!」
 アリスが小躍りしていると、後ろから北王子君が近づいてくる。
「打ち上げいいね!それならクラスのみんなも誘ってカラオケ行こうよ!」
「あっ…いや…そ、そうだね。そうしよっか。」
「おーい、今日打ち上げに行ける人ー?放課後カラオケ行くよー!」
 多分、アリスの打ち上げはテスト前に言っていたケーキ屋に行くことを指していた気がするけど、北王子君の陽な雰囲気に押されて断れない空気になっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~

root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。 そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。 すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。 それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。 やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」 美人生徒会長の頼み、断れるわけがない! でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。 ※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。 ※他のサイトにも投稿しています。 イラスト:siroma様

元暗殺者の俺だけが、クラスの地味系美少女が地下アイドルなことを知っている

甘酢ニノ
恋愛
クラス一の美少女・強羅ひまりには、誰にも言えない秘密がある。 実は“売れない地下アイドル”として活動しているのだ。 偶然その正体を知ってしまったのは、無愛想で怖がられがちな同級生・兎山類。 けれど彼は、泣いていたひまりをそっと励ましたことも忘れていて……。 不器用な彼女の願いを胸に、類はひまりの“支え役”になっていく。 真面目で不器用なアイドルと、寡黙だけど優しい少年が紡ぐ、 少し切なくて甘い青春ラブコメ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

負けヒロインに花束を!

遊馬友仁
キャラ文芸
クラス内で空気的存在を自負する立花宗重(たちばなむねしげ)は、行きつけの喫茶店で、クラス委員の上坂部葉月(かみさかべはづき)が、同じくクラス委員ので彼女の幼なじみでもある久々知大成(くくちたいせい)にフラれている場面を目撃する。 葉月の打ち明け話を聞いた宗重は、後日、彼女と大成、その交際相手である名和立夏(めいわりっか)とのカラオケに参加することになってしまう。 その場で、立夏の思惑を知ってしまった宗重は、葉月に彼女の想いを諦めるな、と助言して、大成との仲を取りもとうと行動しはじめるが・・・。

処理中です...