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2章 冒険の仲間
18話 疑問
しおりを挟む「うし、みんな準備は出来たな。出発だ!」
「うん」
「はい!」
人々をゾンビから元の人間に戻す為にビーンと対決をする事になったライヤ達はビーンの元へ移動を始めるところだった。
「それじゃあ行ってきます」
「はい。どうか息子を宜しくお願します」
村長に挨拶をして村を出る。
「で、目的地はどこなんだ?俺聞いてない」
「休憩時間に聞けば良かったじゃんか。音の方向的に多分ここ」
地図を取り出したキョウカがある地点に指を刺す。
「この地点に古びた洋館があるみたいです。恐らくそこにビーンさんがいらっしゃるのかと」
「なるほど。というか地図なんてあったっけ?」
「私が貰ってきました。休憩中に色々な本を読ませて頂いて欲しい本は貰ってしまいました」
地図は本になっておりこの地点だけでなく様々な場所が見る事が出来る。
「よし、じゃあその洋館に行くぞ」
ライヤがそう言うと洋館に向かって歩き始める。ナズナはそのままライヤの後へ着いていくがキョウカは不満を行った。
「魔導車で突っ込めば良くない?そうすればゾンビも怖くないし」
「そんな事してゾンビを轢いちゃったらダメだろ。人間に戻せるんだからよ」
「それに魔導車が汚れたり壊れたりしたら大変ですよ。移動手段が壊れたらアウトです」
ライヤとナズナの言葉は歩くのが大変で面倒くさいと言う理由のキョウカでは勝てない。大きなため息を吐くとキョウカも二人の後ろを歩き始めた。
「あ、前方にゾンビがいます。結構な数ウロウロしてますね」
歩き始めて数時間。途中で休憩を挟みながらも洋館を視認できる場所まで辿り着いた。しかしゾンビの数は今まで見た中で一番の量だ。
「こんな大量のゾンビを配置するって事はここに自分がいるって伝えてる様なもんだな」
「実際二十四時間以内に見つけるって言う内容も無理難題ってほどではないしね。ビーンとか言うやつは大して頭良くないんでしょ」
キョウカがビーンに鋭い言葉を放つ。会ったことも無い人相手に容赦がない。
「まあここまでこれば後は突撃あるのみ!ナズナ頼む」
「はい!やります!」
ナズナが変化の指輪を発動させ三人の姿を変え、三人は一瞬でゾンビの姿へと変わった。
「これでゾンビに襲われずに行けるね。なんだめちゃくちゃ簡単なクエストだったね」
キョウカが油断しきってゾンビの群れを悠々と歩く。その様子を暫く見ていたゾンビは突然にキョウカに襲いかかってきた。
「え!?なんで!?」
「なっ!?とりあえず痺れさせる!」
キョウカに飛びかかったゾンビをライヤが痺れさせるとゾンビがライヤも標的に入れたのかライヤにも襲いかかってくる。
「うわぁ!?」
「ちょ!囲まれてる!この人数差じゃ対応出来ないんだけど!」
キョウカもボイスの力で音の壁を貼りゾンビの動きを止めるがなにせ数が多すぎる。
「こうなれば、お兄様!お姉様!捕まって下さい!」
二人は言葉もなくナズナにしっかりと捕まる。するとゾンビの変身が解けると同時にナズナの姿が巨大な鳥へと変わる。
「飛びます!しっかり捕まってて下さい!」
ナズナが空へと飛び立つとゾンビ達はその姿を暫く見つめた後何事もなかった様に解散していった。
「ふう助かった。しかしなんで変化がバレたんだ?」
「分かりません。でもここにいるって事はゾンビの中でも上位種のゾンビで仲間を感知する能力が高かったのかもしれません」
「そうか。完全に油断しまくってた」
うん。そこは反省してもらわないと困る。いくら何でも油断し過ぎだった。
「それよりナズナ重くないか?大丈夫か?」
「ちょっと重いですけど、頑張ります」
しかし二人を乗せる事が出来る程大きな鳥なのでスピードもかなりあった。お陰で空の旅は一分もかかったからどうかわからない程短かった。
「お兄様!洋館の入り口に凄いゾンビが!」
「キョウカ!」
「おっけ」
空を飛びながらライヤが強力な雷をゾンビに放つ。地面に落ちた稲妻はそこから広い範囲に伝わり入り口を守っていたゾンビ達ほぼ全員が感電した。
「ボイス!」
そこで倒れ伏したゾンビ達をボイスによる衝撃で鳥が無事に着陸出来る程のスペースを開ける。後は地面に降りるだけだ。
「頼もー!お約束したライヤでーす!」
「な!何ぃ!?まさかこの洋館に辿り着いたと言うのか!?あれからまだ八時間しか経っていないぞ!」
結構な時間が経過していた様だ。しかし期限は二十四時間。随分と時間を残して洋館にたどり着けた様だ。
「ゾンビ共!俺を守れ!」
洋館は三階建てになっているらしく一階で寛いでいたビーンはライヤ達を見ると一目散に三階へと逃げて行った。
「逃すかよ」
ビーンが通った道には大量のゾンビが行手を塞いでいる。しかし動きが制限される洋館の中では脅威にはならない。
「止まれぇ!」
ライヤが雷を操作してゾンビを足にだけ見事に命中させる。足が感電した事によりゾンビ達は歩く事が出来ずに地面に倒れ伏す。
「一撃で全部のゾンビを。なんか成長してないライヤ?」
「冒険者たるもの日々成長していかないとな!」
「流石お兄様ですね!」
歩けないと言っても腕を伸ばしてライヤ達を捕まえようとするゾンビ達を躱して三人はビーンが入っていった三階の一番奥の部屋を開けた。
「なぁ!?こんな早く!?」
三階の窓から縄を垂らして逃げようとしていたビーンが振り返り再び一目散に逃げようとするが。
「させませんよ!」
素早くナズナに取り押さえられた。
「俺たちの勝ちだ。ゾンビ化した人たちを元に戻してもらうぜ」
「ち、ちくしょう!俺が、俺が村長に」
「そういうのいいから早く解け!もしくは解き方教えろ」
「元に戻す方法は一つ。この指輪を破壊する事だ」
ビーンが大粒の涙を流しながら告白するとキョウカが素早く指輪を破壊した。
「これで元に戻るのか?」
「あ、お兄様!外を見て下さい!」
ナズナの言う通り外の景色を窓から覗くとゾンビが暖かい光に包まれて人間に戻っていた。
「やったな、クエスト達成だ」
◇
「本当にありがとうございました」
「いえいえ。それじゃあお元気で!」
三人の冒険者は村の人々総出による歓迎を受けて村を出て行った。
「お兄様?なんだか浮かない顔してませんか?」
「いや、少し疑問があってな。洋館周辺のゾンビには俺たちの変装がバレたのにシオンはなんでバレなかったのかなって」
「下級のゾンビだったんじゃないの?」
確かにそうかもしれない。だが妙に違和感があった。キョウカやナズナが変装している時ゾンビは妙に近くにいたのにシオンの時は近づいてすらいなかった様な。
「それにゾルティアさんも。一度ビーンさんの事をビーンって」
「別に可笑しな事ではない気もしますけど」
「まあ、それもそうか」
ライヤは考えすぎだったと頭を切り替えて次なる街へと向かって足を進めた。
◇
「いやぁ良かった。本当に!これで村の平和が守られたのうゾルティア」
村長が笑顔でゾルティアに語りかけるがゾルティアは大きなため息をついた。
「おーいお兄ちゃん!実験は成功!彼は私が思うよりずっといい王様になりそうだよ!」
屋敷の扉が強く開けられるとシオンが楽しげに中へ入ってきた。
「そうか。僕は彼は気に食わないけど、君がいいのなら従おう」
「え?ゾルティア?シオン?なんの話をしているのだ?」
村長が二人に問いかけるが二人は何の反応もしない。
「お、親父。そいつらから離れろ。そいつらだ、そいつらなんだよ!俺を誑かしたのは」
人々をゾンビ化させた事を反省していたビーンが震えながら声を上げる。
「お兄ちゃん。私変装疲れた。解いてもいい?」
「構わないよ。どのみち目撃者なんていないんだし」
ゾルティアの言葉に応じてシオンは自らの姿を変えた。ツインテールが解けた長い黒髪に赤色のメッシュの髪を揺らし、口には牙、背中には黒い羽を生やしたシオンがそこにはいた。
「あ、目撃者いるよ。せっかくだから殺す前に自己紹介してあげるね!」
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「私は吸血鬼、ヴァンパイアクイーンのミクリ!こっちは私のお兄ちゃんでハイヴァンパイアのカイだよ!バイバイ!」
ミクリは自己紹介を終えると満足げに村長とビーンを殺した。その日、村は血の海と化した。
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