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2章 冒険の仲間
30話 フィン・フレガルド
しおりを挟む「あの、助けてくれてありがとうございました」
「いいって事よ。可愛い女の子を守るのが男の勤めだからな」
キョウカが男にお礼を言うと男は豪快に笑いながら軽く手を上げる。どうやら悪い人ではない様だ。
「それより大事な人って」
「ああ。それはノリがデカいが。まあ将来的に大事な人になるだろうって話かな」
前言撤回。やばい人だった。
「そ、そうですか。じゃあ私はここで」
「あ、ちょっと待った!俺は嬢ちゃんに話があるんだって」
「ナンパならよそでどうぞ!」
キョウカは男に背を向けると全速力で走り出す。
「指輪に関する話、でもか?」
キョウカが目を見開いてそのばで足を止める。そして振り返ると男の中指に光る指輪が目に入った。
「それは!間違いなくオリジナル」
「おっと。興奮するのは分かるが、ちと落ち着きな。ここは人目があり過ぎる」
男の言葉にキョウカは口を塞ぐ。どうしてオリジナルリングを持っている。嫌、何故オリジナルリングを持っているのにこちらに接近した?何故オリジナルリングの存在をキョウカに伝えた。様々な考えがキョウカの頭をよぎるがそんな事を考える前に男が敵意はないと言いた気に両手を挙げる。
「俺はフィン・フレガルト。これでも割と長めに冒険者をしている。どうだい。人が少ない場所でお茶でも」
「・・・分かった」
キョウカの返事に男は笑顔になると「付いてきな」と言って前を歩いていく。
「・・・」
幾ら敵対する気はないとジェスチャーされても完全に信用などは出来ない。キョウカはフィンを注意深く見ていた。百九十を超えるであろう身長に動きやすさを重視した軽めの服装。そして肩から下げている棍棒と大きな斧。いかにも歴戦の冒険者と言わんばかりの格好だった。
「ここだ」
フィンが店に入って行ったのを確認して数秒後にボイスを呼び出してから店に入る。
「いらっしゃい」
そこは小さなカフェで六十程度のメガネをかけたお爺さん一人しかいなかった。
「言ったろ。ここなら人がいねえから思う存分内緒話できるぜ」
「フィン貴様。俺の店に客がいねえ事を」
「あーわりぃわりぃ。なんか頼むからよ」
「当たり前だ」
穏やかそうな見た目とは裏腹にフィンとの会話を聞くに乱暴そうな人だ。しかしキョウカにはニッコリ笑いかけ「何がいいかな?」と言う。
「あっと。じゃあ紅茶とか、あります?」
「勿論あるさ。とっておきをご馳走しよう」
そう言うと店主の男は奥へと消えていく。
「さて、では話をって、そいつ妖精か?」
「え?うん。正確には準妖精だけど」
「ほほう。まあでもアリシスなら当然か。ちと触らせてくれ」
フィンが興味津々にボイスに触ろうとする。ボイスは異様に嫌そうな顔をする。その時。
「おっと」
見覚えのある布がフィンの手を襲った。
「てめえ!キョウカとボイスから離れやがれ!」
「ライヤ!?どうしてここに?」
「終わったから迎えに行こうと思ったら知らない男とどっか行くのが見えたから!だめだろ知らない人について行っちゃ!」
事情を知らないとはいえライヤの物言いに少しイラッとしたキョウカ。
「あのねぇ、この人は」
「ガッハッハッハ!!いいねぇ!久しぶりに楽しそうな奴が来た!」
キョウカが事情をライヤに説明しようとするがフィンの笑い声に妨げられる。
「さあ、武器を取りな」
「言われるまでもねえ」
フィンが肩に担いだ棍棒を、ライヤは収納の指輪からマキにおすすめされたナイフを取り出した。
「ちょっと待っ」
キョウカの静止を聞かずライヤはフィンとの距離を詰める為走り出す。フィンもそれを受けて立とうと棍棒を構える。
「おらぁぁぁ!!」
フィンの棍棒はフィンの身長と同じ程の大きさだ。よってそれは当然凄く重いはず。だが。
「はっやっ!!」
その棍棒の速度はライヤの想像を軽く凌駕する速度で襲いかかる。
「取り出し!捕縛布!」
捕縛布を店の柱に巻きつけ自分の体を引っ張る。そして先程までライヤがいた場所にフィンの棍棒が容赦なく振り下ろされる。
「うわっ!」
「棍棒が地面にぶつかっただけでこの衝撃かよ!」
店の地面に勢いよく叩きつけた棍棒は遠くに居ても恐ろしさを感じた。あの一撃をもしライヤがモロに喰らったら一撃でお陀仏だ。
「なるほどなるほど。いい動きだし魔道具の使い方もいい。魔道具使いとしては上々だ。だが」
フィンが視線を移す。その目に映る標的が、ライヤからキョウカへ。
「へ?私?」
「俺が見たいのはそれじゃねえ!もしこんな状況になったらお前はどうする!?」
恐るべき一撃必殺の棍棒が今度はキョウカへ襲いかかる。
「キョウカ!!」
ライヤが捕縛布を使いキョウカを連れて移動しようとするが、それでは遅い。遅すぎる。キョウカを助ける為に出来る事。絶対に救出する事ができる力。
「頼む」
ライヤは祈るように、腕に力を込める。正確に言えば、指にしっかり嵌められたオリジナルリング、雷鳴の指輪に。
「俺はどうなってもいい!だから、キョウカを!仲間を守る力を!!貸してくれぇぇぇ!!!」
ライヤの叫びに雷鳴の指輪は呼応し、大量の電気を放電する。そして棍棒は振り下ろされた。
「何っ!?」
棍棒を振り下ろしたフィンが驚きの声を挙げる。そこにキョウカの姿がなかったからだ。
「こいつは」
フィンが見つけたのは地面の一部分が焼けているような後。
「やはり、お前が雷鳴の指輪の使い手か」
フィンが店の入り口に視線を向けるとそこには大量の電気を体から放出しながらしかしお姫様抱っこをしてキョウカには決して電気が当たらない様こちらを見ているライヤがいた。
「ちょ、こら離せ!あんたら興奮しすぎ」
真っ赤になってライヤの腕から逃れようとキョウカが手足をバタバタと動かすがライヤは逆に更に抱きしめる力を強める。
「あんま暴れるなよ。ここから脱出すんぞ」
「え、あ、うん」
フィンを注意深く見ながら言うライヤがいつものライヤとは違ってカッコ良く見えてキョウカは言葉を失う。いや、そう言う事が言いたいのではない。
「そうじゃなくて」
「面白え!!」
またしてもキョウカの言葉を邪魔してフィンが叫ぶ。そして未だに肩に担いでいた斧を左手で、先程まで使っていた棍棒を右手に持ちライヤに肉薄する。
「走れ、稲妻!!」
「おっと!!はっ!素晴らしい能力じゃねえか!!だが!経験不足だったなぁ!!!」
ライヤの稲妻を器用に全て躱しきったフィンが斧を振り切る。
「いや、これで十分だ」
「っ!!」
ライヤが稲妻を放ったのは襲いかかってくるフィンの動きを制限する為。つまりフィンは自らライヤの攻撃範囲に飛び込んできたのだ。
「ライトニングフィスト!!!!」
雷鳴の指輪が出せる最大の出力を込めた渾身の一撃を拳に乗せてフィンの顔面を思い切り殴りつける。その一撃にフィンが店の壁に全力でぶつかる。動いてくる気配はない。
「ふぅ、ふぅ。は、はぁぁ。くっそ疲れたぜ」
「やっちゃったよ。というか」
「ふふ。ガッハッハッハ!!!思った以上だ!!思った以上に強い!!こんなに心躍る戦いは久しぶりだぜ!!!」
「はっ!?」
そこには大口を開けて笑うフィンが立っていた。
「俺の全力だったって言うのに」
「まあ、当たってねえしな」
「なぁ!?どう言う事だよ」
「おい!!今度こそは聞いてもらうからしっかり聞け!!!」
大声で叫ぶキョウカに二人は目を丸くして見る。
「ここ、お店なんだけど」
キョウカはそういいながら先程から怖い笑顔で激しい戦闘を見ていた店主の姿があった。
「さて、この店の修繕費は全て払ってもらうぞ」
「「あ、はい」」
怖い顔の店主に逆らう事が出来ずに険悪な雰囲気など一瞬で消えた二人。
「あれ、財布がねえ」
「あっ」
弁償する為に少ないお金を出そうとしたライヤが財布がない事に気がついた。
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