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3章 血液城
55話 王子VS妖精術師
しおりを挟む「おおおおおお!!」
「ふっ!はっ!はぁ!」
フィンとカイの剣撃は止まらない。フィンの斧をカイが剣で受け止めると、すかさず片手の槍で攻撃。しかしその攻撃もフィンにはしっかり見えていて棍棒でガード。そうしている間に斧は剣の防御を突破。カイの体を切り裂きにかかる。
「ちっ!」
カイは堪らず体をコウモリへと変えて後方に下がる。
「逃さねえ!」
逃げるコウモリを数匹棍棒で叩き落とすがコウモリが集まって再びカイの形を成した時に何かが変わっていたかと言われると答えはノーだった。
「ちょこまかとすばしっこい野郎め。正々堂々とぶつかってこいってんだ」
「野蛮な戦い方だな。剣術の知識もないのかお前は」
フィンの戦闘スタイルは独学。力任せに斧と棍棒を振り回して敵を倒す。それに比べてカイの戦闘スタイルはとある一族の王宮剣術。しっかりとした戦い方があり、力よりは技で敵を翻弄して殺すといった剣術だ。簡単に言うと。
「正反対な戦闘スタイルだな」
「同感だ。全く反吐が出る」
一言だけ言葉を発すると再度剣撃戦へと突入する。常人から見たらギリギリ視界に入る速度の武器と武器とぶつかり合いは二人の体には一切のダメージはないものの広間の床や壁に少しずつ傷がついていく。
(こいつ、想像よりも力が強いな)
フィンは以前のカイとの戦闘でカイはスピードタイプの戦闘スタイルであると考えていた。故にフィンの自慢の力によってゴリ押ししていこうと考えていたが。
「そんな甘くはねえかっ!」
フィンの重い一撃にカイは防御体制を取って攻撃を受け止める。そしてそのまま攻撃に入ろうとするが、その瞬間には既にもう片方の武器による攻撃が来ている。無理をすればフィンの体を切り裂く事は出来るが、フィンの攻撃を回避する術がない。
(こいつ、想像以上に早い)
カイは以前のフィンとの戦闘でフィンは力任せに斧を振り回しているだけの全てをパワーで解決する戦闘スタイルだと睨んでいた。実際間違ってはいないのだが、フィンは力しか持ち合わせていない訳ではない。
「スピードで翻弄して心臓を一突きで終わらせてやろうと思っていたが、そう簡単にはいかないか」
二人の猛攻は止まらない。しかし突破口も見当たらなければ少し攻撃に打って出ようものなら返り討ちに会う。
「「やりずらい!」」
二人同時に斧と剣に力を込めて全力で振るう。二人の武器がぶつかり合い周辺に衝撃が走る。
「うおおおおおおりぁぁ!!」
「ちっ!」
やはり力ではフィンに部がある。力任せにカイを吹き飛ばした。
「やはり、隙を作るしかないか」
だが吹き飛ばされてもダメージはなく、空を飛び落下ダメージも受けない。
「フィン・フレガルド。僕が集めていた情報よりもずっと強い。何故だ?僕の計算に間違いはない筈」
「あ?そんなん知らねえよ。俺はてめえをさっさとぶっ飛ばしてライヤを助けに行かなきゃ行けねえんだよ!」
空を飛ぶカイにフィンはジャンプをして同じ場所に飛び何度めか分からない棍棒を振り下ろす。
「早い!?」
カイの防御は強固で今の状況を変えられる程の火力にはならないが、優勢な状況を作り出すことは出来た。
「おおおおおおお!!」
フィンの動きの読めない攻撃の嵐。その攻撃にカイは防御に徹して頭を回転させ打開策を考える。
「なるほど。フィン・フレガルドのこの力は心、想いの力とか言うやつか。心によって身体が強くなるなんてナンセンスだが、どうやらカジバノバカチカラという言葉もある様だしな」
カイはすぐ近くにいるフィンには決して聞こえない様に、早くブツブツと小言を言う。
「フィン・フレガルドの強化元が心。だが、いや。だからこそ」
強くなる理由が仲間を救い出すというものなのなら。
「ふっ。だが君の努力は無駄だった様だな」
「あ?」
「ライヤ・アラタは、ちょうど今完全に吸血鬼へと昇華した!!!」
「っっっ!!?」
カイの言葉にフィンは動揺した。それと同時に自分の失敗も理解した。
「隙ありだ」
命を投げ出してでも救いたい対象の消失。それは必ず心に動揺を与える。その心の強さを消し去ることは出来ないかも知れないが。
「がはっ!」
隙さえ生まれればフィンを殺せる。
「この状況でも死なないとは。認めてやろう。君は優秀な戦士だったよ」
「はっ!何終わったみたいな言い方してんだよ」
心臓を貫こうとする槍の一突き。その槍の動きをなんとか斧で逸らして貫く箇所を心臓ではなくもっと下へとする事に成功した。完全に防御できなかったが、なんとか致命傷は回避した。
「ったく卑怯なやつだぜ。騎士なら正々堂々勝負しろってんだ!」
「僕は吸血鬼だぞ?吸血鬼が騎士道精神なんて下らないものに従う必要がある?」
フィンは服を破り警戒を緩めないまま止血をする。が、やはりそんな時間をカイは与えてくれない。
「畜生が!」
仕切り直しと言わんばかりの武器の猛攻が再度始まる。しかし先程までとは全く違う。
「どうした!?力が入っていないな!?」
「てめぇ、弱った相手を前にした途端楽しそうだなぁ!!」
フィンが斧を、棍棒を振る度に傷口に激痛が走る。その痛みに耐えながらカイの猛攻を防ぎ、尚且つカイへの反撃をするという事は不可能だ。
「ちっ!これだけは使いたく無かったんだが!!」
フィンの強さは何も力と剣撃だけではない。今のカイとフィンの明確な違いは、戦況を大きく変えられる強力な指輪を所有しているかどうかだ。
「っ!第七のオリジナルリング、歪曲の指輪か!」
「ご名答だ!てめえの心臓捻り切ってやるよ」
フィンはカイの周辺の空間を把握。カイは回避する逃げ道、反撃の通路を計算。
「歪めろ!歪曲の指輪!!」
「そこだっ!」
カイは数秒後に自分が無事な事で歪曲の指輪の範囲から外れた事を確信した。しかし。
「よお、俺の目の前で何楽しそうな顔してんだ?」
「なっ!」
カイが振り返るとそこにはフィンが斧を構えて待ち構えていた。
「まさか、歪曲の指輪はブラフ!?僕の回避ルートを計算して自分の目の前に誘導したと言うのか!?」
「何言ってんだお前」
フィンは肩を鳴らしながら鼻で笑う。
「油断したてめぇを殴ることくらい簡単に出来るってんだよ!!!」
そう。歪曲の指輪を発動させるというのは嘘。カイは用心深い性格の持ち主。故に一度当たれば死に直結する指輪を警戒しない訳がない。歪曲の指輪に意識を向けすぎたカイはフィン本体への警戒が疎かになる。計算などしなくともただカイについて動けばいいのだ。結果見事にカイの脳天を捉えて棍棒でカイを全力で殴りつけられた。
「ゆっくり眠ってろや」
フィンは斧と棍棒を仕舞いキョウカの後を追う為歩き出す。
「・・・頭をかち割ったと思ったんだが」
「血液操作、硬化。僕はルゥの様に血液操作をするのは得意ではないけれど、即死攻撃を致命傷に抑えることくらいは出来る」
「化け物だな。文字通り」
カイは頭から大量の出血をしていて、頭の形が完全に凹んでいるが、なお立ち上がる。普通の人間には出来ない芸当だ。
「今のてめえを放置してキョウカちゃんの元には行けねえな」
「当然だ。ミクリとキョウカ・アリシスの元へは行かせない。お前は僕が殺す」
カイは剣をフィンは斧を握り、地面を強く踏み締めて走り出す。
「うおおおおおおお!!!」
「ァァァァァァァァ!!!」
二人の雄叫びが響き渡り、鮮血が飛び散る。そして、胴体から切り離された頭蓋骨が一個、床へと衝突した。
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