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4章 オリジナルリング
61話 病院にて
しおりを挟む「・・・知らない天井だ」
冒険者の少年ライヤ・アラタはどこがで聞いたことのあるセリフを呟きながら目を覚ました。
「お兄様?」
小さな声がした方向に振り向くとそこには妹の様に可愛いナズナが少し潤んだ目でライヤを見ていた。
「おはようナズナ。えっと、俺記憶が曖昧なんだが」
「お兄様ぁぁぁ!!!!」
「ぐはっ!」
ライヤの言葉を遮ってナズナがライヤの胸へとダイレクトアタックを喰らわせる。ライヤのライフが削られた。
「おいタヌキ、あんまし病院で騒ぐんじゃねえよ。今医者呼んできてやる」
カゼジロウが扉を開けてそう言うとそのまま扉を閉めて出て行く。
「え?あいつって」
「医者ぁぁぁ!!!ライヤが目ぇ覚ましたぞ!!早くきやがれ!!!」
「私、あの人にだけは正論言われたくありません」
なんというブーメラン。病院で騒ぐなと言った直後に自分が騒ぐとは。
「ん?病院」
ライヤはそこでここが病院のベットで、自分が病院のベットで眠っていたのだと言うことを理解した。
数分後医者が来てライヤの体を隅々まで検査していった。その結果は。
「うん。正常だね。あとは怪我さえ完治すれば退院出来るよ」
「そ、うですか。ありがとうございました?」
病室に戻ったライヤは腕を組みながら今までの事を振り返ることにした。何故なら記憶が曖昧だから。
「えーっと確か」
「おーすライヤ。なんか意外と平気そうでなんか気が抜けたんだけど」
「まあまあキョウカちゃん。元気なのはいいことじゃねえか」
「キョウカ!フィンさん!」
キョウカとフィンが入ってきた後検査前にここにいたナズナとカゼジロウも何やら口喧嘩をしながら病室に入ってくる。
「全員集合か。ちょうどいいや、俺ミクリに攫われた後くらいから記憶が曖昧でさ。シルも呼んでみんなに何があったのかとか色々教えてくれよ」
ライヤの言葉に一同の顔が暗くなる。カゼジロウ以外。
「そうだな、そこも踏まえて話す」
「うん。俺、何でカゼジロウがここにいるのか気になって仕方ない!お前捕まった筈だろ!?」
「ナッハッハッ!逃げてきた」
カゼジロウが話すと話が脱線しそうなのでフィンとキョウカがこれまであったことを説明した。ライヤが攫われた後のカゼジロウの協力の条件や理由、吸血鬼との激闘。そして、シルとの別れ。
「そっ、か」
シルとの別れを聞きライヤも話していたフィンも静まり返る。実に重い空気が病室に漂う。
「何はともあれ、ありがとなカゼジロウ。命懸けで俺を助けに来てくれて」
「礼なんて要らねえよ。ダチを助けるのは当然の事だ。当然の事なんだよ」
二度目はフィンの肩に手を置いて言う。これがカゼジロウなりの優しさなのだろう。
「そうだな。いつまでも悲しがってたらシルに笑われちまう。よし!悲しがるのは辞めだ!今後の事を話し合わねえとな!」
「ん?待って。そういえば俺吸血鬼になったんだよね?牙と羽も生えてたんだよね?どうやって人間に戻してくれたんだ?」
「あー、その話ですか。それが、私達にもよく分からないんです」
◇
「・・・ライヤは?ライヤは無事か?」
シルが塵となった後。一同はライヤの元へと駆けつけていた。
「息はある。死んではいない、けど」
「あれ?待ってください!お兄様の髪の毛の色、赤くないですよ」
「え?」
ナズナに言われてキョウカも気がつき、口元を見る。
「牙が、無くなってる」
「背中の羽も、消えてるな」
何が起こったのか分からず一同が顔を見合わせる。
「えっと、つまり」
「お兄様は吸血鬼じゃ無くなった、って事ですか?」
キョウカとナズナの疑問にフィンは頭を捻らせて答える。
「そう、なるな」
皆が唖然とするなかカゼジロウだけが首を傾げる。
「何だよ?吸血鬼の親玉倒したんだからライヤが元に戻るのは当然じゃねえのか?」
「吸血鬼の血を一度入れられた場合、その血は何らかの方法で抜かないといけないんだと思ってました」
「まあ、何にせよライヤは人間に戻った、それでいいんじゃない?」
キョウカの適当な回答に呆れたいが、実際何故ライヤが吸血鬼で無くなっているのかが分からない。吸血鬼じゃなくなったんだからいい。そう考えざる終えないのかもしれない。
「とりあえず、お医者様に見せに行きませんか?私達が見るよりお医者様の方がしっかり検査出来るでしょうし」
「そうだな。キョウカちゃんやナズナちゃんの傷の治療もしないとだしな」
「フィンもね」
「オイラは!?」
◇
「と、この様な事がありまして」
「つまり、分からない、と?」
「うん。医者にその事伝えたら精神科医紹介された」
吸血鬼は今や忘れ去られた存在だ。確かに「吸血鬼に噛まれたので検査して欲しい」と言って吸血鬼らしい姿が全くない人間を見せられたら頭がおかしいと考えても。
「吸血鬼じゃなくなったとしても十日間も目を覚さなくて心配しましたよー!」
「え?マジで!?俺そんなに寝てたの!?」
「そう。マジで心配したんだから」
キョウカが少し恥ずかしそうに顔を少し赤らめてそう言う。その反応にライヤも少し顔を赤らめる。
「初々しいカップルか」
「うっ、うるせぇ!そんなんじゃねえよ!?なあキョウカ!?」
カップル。その言葉を聞いてキョウカがミクリを騙す為に言った言葉がフラッシュバックしてくる。そうすると顔が更に真っ赤になる。
「え?あれ?キョウカさん?」
ライヤが身を乗り出してキョウカの顔を見てくる。あんな言葉を言った後にライヤの顔なんて見たら。
「見んなこの変態!」
「何故!?」
理不尽なビンタがライヤに襲い掛かる。ライヤのライフが削られた。
「まあそれはそうと、今後をどうするかだぜ」
「今後、次のオリジナルリングの場所か」
キョウカが精神の指輪を握りしめると精神の指輪が光を放つ。その方向にまだ封印していないオリジナルリングがある。
「この方向的にある街は」
「王都、オリオンリース」
この国で一番栄えた街。言わばこの国の首都こそが王都オリオンリースだ。一番初めのオリジナルリング、雷鳴の指輪を授かった場所こそがこの王都である。
「おお!王都か!王都行きたかったんだよ!!」
「オリジナルリングを初めて竜から授かった場所ですもんね!私も王都行きたいです!王都にはこれまでの街とは比べ物にならない程の多くの本がありますから!」
ライヤとナズナが興奮を露わにしてキョウカに迫る。二人にとっては確かに夢の街かも知れない。
「近い!」
「だから理不尽!」
またしてもキョウカのビンタがライヤに炸裂。先程の攻撃でライヤのライフはもうゼロだ。
「オイラは別に何処でもいいぜ」
「え?」
「え?」
カゼジロウとはライヤを取り戻す間だけの契約だった筈だが。
「別に着いてってもいいだろ?オイラ他に行くとこねえしお前らの戦力になってやるよ。ありがてえだろ」
「いらない。お前は牢屋に戻れ」
「牢屋が嫌だから脱獄してきたんだろうが!」
カゼジロウとキョウカが言い合いを始める。
「まあまあキョウカちゃん。カゼジロウはこう見えて割と強いし仲間になってくれるならありがてえじゃねえか」
「そうですよお姉様。この男は変態でどうしようもない変態ですが奴隷としては役に立ちますよ」
「おい、オイラは奴隷になるつもりはねえぞ」
キョウカは少し悩むが確かに戦力は多いに越した事はない。実際カゼジロウがいなかったらライヤを救う事は出来なかっただろう。
「んー。分かったよ。ただし!服は着てよ」
「今オイラがどんな格好してるのかが見えねえのか」
そういえば今カゼジロウはタンクトップにふんどし、靴下というコーディネートを
「普通の服着て」
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