10 / 20
10
しおりを挟む
翌朝、エリーゼは鳥のさえずりで目を覚ました。
柔らかなベッド、温かい部屋。一瞬、夢かと思った。だが、これは現実だった。
侍女たちが入ってきて、朝の支度を手伝ってくれる。
「おはようございます、エリーゼ様」
「おはようございます」
美しいドレスに着替え、髪を結い上げてもらう。鏡に映る自分は、もう虐げられた令嬢ではなく、王妃候補だった。
朝食は、王族の私室で取ることになった。
「おはよう、エリーゼ」
アレクシスが微笑んで迎えてくれた。
「おはようございます」
テーブルには、豪華な朝食が並んでいた。パン、果物、チーズ、卵料理。全てが美味しそうだった。
「よく眠れましたか」
「はい、とても」
「それは良かった。今日から、王妃としての教育が始まります」
「はい、覚悟しております」
食事の後、エリーゼは教育係の老婦人、マリアンヌ侯爵夫人に会った。
「はじめまして、エリーゼ様。私は、あなたの教育を担当するマリアンヌです」
厳格そうな顔立ちの老婦人だったが、目は優しかった。
「よろしくお願いいたします」
「では、早速始めましょう。まずは、王宮の礼儀作法から」
エリーゼは緊張した。自分は十分な教育を受けているつもりだったが、王宮のしきたりは別物かもしれない。
「では、王族への挨拶の仕方を見せてください」
エリーゼは立ち上がり、完璧なお辞儀をした。
マリアンヌの目が見開いた。
「まあ……完璧ですわ」
「ありがとうございます」
「では、テーブルマナーは」
エリーゼは、ナイフとフォークの使い方、食事の作法を一つ一つ示した。
マリアンヌは驚きを隠せない様子だった。
「では、外国語は」
「フランス語、イタリア語、ラテン語を少々」
エリーゼが答えると、マリアンヌはフランス語で話しかけた。エリーゼは流暢に返答した。
「素晴らしい……」
マリアンヌは感嘆の声を上げた。
「あなた様は、既に十分な教育を受けていらっしゃる。これなら、私が教えることは少ないでしょう」
「いえ、まだまだ学ぶことがあるはずです」
エリーゼは謙虚に言った。
「王宮特有のしきたりや、政治的な知識など」
「その通りです。では、そちらを中心に教えましょう」
それから数週間、エリーゼは熱心に学んだ。
ヴェルディア王国の歴史、政治の仕組み、各国との関係、貴族たちの家系。覚えることは膨大だった。
だが、エリーゼは全てを吸収した。母が与えてくれた教育の基礎があったからだ。
「驚きました」
マリアンヌが言った。
「これほど優秀な生徒は初めてです。まるで、生まれながらの王妃のよう」
「ありがとうございます。でも、これは全て、亡き母のおかげです」
「素晴らしいお母様だったのですね」
「はい」
エリーゼは母のペンダントに触れた。
ある日、ソフィアがエリーゼの部屋を訪ねてきた。
「エリーゼお姉様、遊びましょう!」
「ソフィア、今は勉強中なの」
「また勉強? お姉様、真面目すぎるわ」
ソフィアは笑いながら、エリーゼの腕を引っ張った。
「たまには休まないと。ね、庭園を散歩しましょう」
「でも……」
「いいから、いいから」
結局、エリーゼはソフィアに連れられて庭園に出た。
「ほら、こんなに良い天気なのに、部屋に閉じこもっていたらもったいないわ」
「そうね」
エリーゼは深呼吸をした。秋の爽やかな空気が、心地よかった。
「エリーゼお姉様、本当によく勉強するわね」
「王妃になるためには、学ばなければならないことがたくさんあるから」
「でもね、お姉様」
ソフィアは真剣な顔で言った。
「知識も大切だけど、心も大切よ。お姉様の優しい心、それが一番素敵なのよ」
「ソフィア……」
「兄様が恋をしたのは、お姉様の知識じゃなくて、お姉様の心だったと思うの」
エリーゼは微笑んだ。
「ありがとう、ソフィア」
二人は庭園のベンチに座り、花々を眺めた。
「ねえ、お姉様。前の家では、辛かったでしょう」
「ええ」
「よく、耐えられたわね」
「諦めなかったから」
エリーゼは遠くを見つめた。
「いつか必ず、ここから抜け出せると信じていたから」
「強いのね、お姉様」
「いいえ、ただ必死だっただけよ」
その夜、初めて王宮での夜会が開かれた。
エリーゼは美しいドレスを着て、アレクシスと共に出席した。
「緊張していますか」
「少し」
「大丈夫。あなたなら、必ず皆を魅了できます」
広間に入ると、多くの貴族たちが集まっていた。
「エリーゼ様、お美しい」
「素晴らしいドレスですわ」
称賛の声が上がる。
だが、一部の貴族夫人たちは、冷たい視線を向けていた。
「あれが、噂の令嬢ですか」
「虐げられていたと聞きましたが、本当でしょうか」
「王妃に相応しいかしら」
ひそひそ話が聞こえてくる。
エリーゼは動じなかった。こういう反応は予想していた。
ある貴族夫人が、エリーゼに話しかけてきた。
「エリーゼ様、初めまして。私はフェルナンド伯爵夫人です」
「お会いできて光栄です」
「お聞きしましたが、以前は大変なご苦労をされたとか」
明らかに皮肉を込めた言い方だった。
「ええ、多少は」
エリーゼは穏やかに答えた。
「でも、その経験が私を強くしてくれました」
「まあ、強く、ですか」
「はい。苦難は、人を成長させます」
エリーゼの毅然とした態度に、伯爵夫人は言葉を失った。
その時、アレクシスが割って入った。
「フェルナンド伯爵夫人、エリーゼは素晴らしい女性です。もし、彼女の価値を理解できないのなら、それは残念なことです」
伯爵夫人は顔を赤らめ、その場を離れた。
「大丈夫ですか」
「はい、ありがとうございます」
「嫌な思いをさせてしまって、申し訳ない」
「いいえ」
エリーゼは微笑んだ。
「これくらい、以前の生活に比べれば何でもありません」
アレクシスは感心した様子で見つめた。
「あなたは、本当に強い」
「あなたがいるから、強くいられるのです」
夜会の途中、エリーゼは王妃と話す機会があった。
「エリーゼ、慣れてきましたか」
「はい、少しずつ」
「一部の貴族たちが、冷たい態度を取っていることは知っています」
王妃は優しく言った。
「でも、気にしないでください。時間が経てば、必ずあなたの価値を理解してくれます」
「ありがとうございます」
「それに、アレクシスがあれほど愛している女性です。間違いがあるはずがない」
王妃は微笑んだ。
「私も、あなたを娘として愛していますよ」
「王妃様……」
エリーゼの目に涙が浮かんだ。
「ありがとうございます」
その夜、部屋に戻ると、エリーゼは窓辺に座った。
月が美しく輝いている。
「お母様、私、幸せです」
小さく呟いた。
「こんなに温かい人々に囲まれて。こんなに愛されて」
ペンダントを握りしめる。
「あなたが教えてくれたこと、全て無駄ではありませんでした」
涙が溢れた。
だが、それは悲しみの涙ではなく、感謝の涙だった。
新しい世界は、まだ始まったばかり。
これから、どんな困難が待っているかは分からない。
だが、エリーゼには、それを乗り越える力がある。
そして何より、愛する人と、温かい家族がいる。
それがあれば、何だって乗り越えられる。
エリーゼはそう信じていた。
柔らかなベッド、温かい部屋。一瞬、夢かと思った。だが、これは現実だった。
侍女たちが入ってきて、朝の支度を手伝ってくれる。
「おはようございます、エリーゼ様」
「おはようございます」
美しいドレスに着替え、髪を結い上げてもらう。鏡に映る自分は、もう虐げられた令嬢ではなく、王妃候補だった。
朝食は、王族の私室で取ることになった。
「おはよう、エリーゼ」
アレクシスが微笑んで迎えてくれた。
「おはようございます」
テーブルには、豪華な朝食が並んでいた。パン、果物、チーズ、卵料理。全てが美味しそうだった。
「よく眠れましたか」
「はい、とても」
「それは良かった。今日から、王妃としての教育が始まります」
「はい、覚悟しております」
食事の後、エリーゼは教育係の老婦人、マリアンヌ侯爵夫人に会った。
「はじめまして、エリーゼ様。私は、あなたの教育を担当するマリアンヌです」
厳格そうな顔立ちの老婦人だったが、目は優しかった。
「よろしくお願いいたします」
「では、早速始めましょう。まずは、王宮の礼儀作法から」
エリーゼは緊張した。自分は十分な教育を受けているつもりだったが、王宮のしきたりは別物かもしれない。
「では、王族への挨拶の仕方を見せてください」
エリーゼは立ち上がり、完璧なお辞儀をした。
マリアンヌの目が見開いた。
「まあ……完璧ですわ」
「ありがとうございます」
「では、テーブルマナーは」
エリーゼは、ナイフとフォークの使い方、食事の作法を一つ一つ示した。
マリアンヌは驚きを隠せない様子だった。
「では、外国語は」
「フランス語、イタリア語、ラテン語を少々」
エリーゼが答えると、マリアンヌはフランス語で話しかけた。エリーゼは流暢に返答した。
「素晴らしい……」
マリアンヌは感嘆の声を上げた。
「あなた様は、既に十分な教育を受けていらっしゃる。これなら、私が教えることは少ないでしょう」
「いえ、まだまだ学ぶことがあるはずです」
エリーゼは謙虚に言った。
「王宮特有のしきたりや、政治的な知識など」
「その通りです。では、そちらを中心に教えましょう」
それから数週間、エリーゼは熱心に学んだ。
ヴェルディア王国の歴史、政治の仕組み、各国との関係、貴族たちの家系。覚えることは膨大だった。
だが、エリーゼは全てを吸収した。母が与えてくれた教育の基礎があったからだ。
「驚きました」
マリアンヌが言った。
「これほど優秀な生徒は初めてです。まるで、生まれながらの王妃のよう」
「ありがとうございます。でも、これは全て、亡き母のおかげです」
「素晴らしいお母様だったのですね」
「はい」
エリーゼは母のペンダントに触れた。
ある日、ソフィアがエリーゼの部屋を訪ねてきた。
「エリーゼお姉様、遊びましょう!」
「ソフィア、今は勉強中なの」
「また勉強? お姉様、真面目すぎるわ」
ソフィアは笑いながら、エリーゼの腕を引っ張った。
「たまには休まないと。ね、庭園を散歩しましょう」
「でも……」
「いいから、いいから」
結局、エリーゼはソフィアに連れられて庭園に出た。
「ほら、こんなに良い天気なのに、部屋に閉じこもっていたらもったいないわ」
「そうね」
エリーゼは深呼吸をした。秋の爽やかな空気が、心地よかった。
「エリーゼお姉様、本当によく勉強するわね」
「王妃になるためには、学ばなければならないことがたくさんあるから」
「でもね、お姉様」
ソフィアは真剣な顔で言った。
「知識も大切だけど、心も大切よ。お姉様の優しい心、それが一番素敵なのよ」
「ソフィア……」
「兄様が恋をしたのは、お姉様の知識じゃなくて、お姉様の心だったと思うの」
エリーゼは微笑んだ。
「ありがとう、ソフィア」
二人は庭園のベンチに座り、花々を眺めた。
「ねえ、お姉様。前の家では、辛かったでしょう」
「ええ」
「よく、耐えられたわね」
「諦めなかったから」
エリーゼは遠くを見つめた。
「いつか必ず、ここから抜け出せると信じていたから」
「強いのね、お姉様」
「いいえ、ただ必死だっただけよ」
その夜、初めて王宮での夜会が開かれた。
エリーゼは美しいドレスを着て、アレクシスと共に出席した。
「緊張していますか」
「少し」
「大丈夫。あなたなら、必ず皆を魅了できます」
広間に入ると、多くの貴族たちが集まっていた。
「エリーゼ様、お美しい」
「素晴らしいドレスですわ」
称賛の声が上がる。
だが、一部の貴族夫人たちは、冷たい視線を向けていた。
「あれが、噂の令嬢ですか」
「虐げられていたと聞きましたが、本当でしょうか」
「王妃に相応しいかしら」
ひそひそ話が聞こえてくる。
エリーゼは動じなかった。こういう反応は予想していた。
ある貴族夫人が、エリーゼに話しかけてきた。
「エリーゼ様、初めまして。私はフェルナンド伯爵夫人です」
「お会いできて光栄です」
「お聞きしましたが、以前は大変なご苦労をされたとか」
明らかに皮肉を込めた言い方だった。
「ええ、多少は」
エリーゼは穏やかに答えた。
「でも、その経験が私を強くしてくれました」
「まあ、強く、ですか」
「はい。苦難は、人を成長させます」
エリーゼの毅然とした態度に、伯爵夫人は言葉を失った。
その時、アレクシスが割って入った。
「フェルナンド伯爵夫人、エリーゼは素晴らしい女性です。もし、彼女の価値を理解できないのなら、それは残念なことです」
伯爵夫人は顔を赤らめ、その場を離れた。
「大丈夫ですか」
「はい、ありがとうございます」
「嫌な思いをさせてしまって、申し訳ない」
「いいえ」
エリーゼは微笑んだ。
「これくらい、以前の生活に比べれば何でもありません」
アレクシスは感心した様子で見つめた。
「あなたは、本当に強い」
「あなたがいるから、強くいられるのです」
夜会の途中、エリーゼは王妃と話す機会があった。
「エリーゼ、慣れてきましたか」
「はい、少しずつ」
「一部の貴族たちが、冷たい態度を取っていることは知っています」
王妃は優しく言った。
「でも、気にしないでください。時間が経てば、必ずあなたの価値を理解してくれます」
「ありがとうございます」
「それに、アレクシスがあれほど愛している女性です。間違いがあるはずがない」
王妃は微笑んだ。
「私も、あなたを娘として愛していますよ」
「王妃様……」
エリーゼの目に涙が浮かんだ。
「ありがとうございます」
その夜、部屋に戻ると、エリーゼは窓辺に座った。
月が美しく輝いている。
「お母様、私、幸せです」
小さく呟いた。
「こんなに温かい人々に囲まれて。こんなに愛されて」
ペンダントを握りしめる。
「あなたが教えてくれたこと、全て無駄ではありませんでした」
涙が溢れた。
だが、それは悲しみの涙ではなく、感謝の涙だった。
新しい世界は、まだ始まったばかり。
これから、どんな困難が待っているかは分からない。
だが、エリーゼには、それを乗り越える力がある。
そして何より、愛する人と、温かい家族がいる。
それがあれば、何だって乗り越えられる。
エリーゼはそう信じていた。
328
あなたにおすすめの小説
厄介払いされてしまいました
たくわん
恋愛
侯爵家の次女エリアーナは、美人の姉ロザリンドと比べられ続け、十八年間冷遇されてきた。
十八歳の誕生日、父から告げられたのは「辺境の老伯爵に嫁げ」という厄介払いの命令。
しかし、絶望しながらも辺境へ向かったエリアーナを待っていたのは――。
行き倒れていた人達を助けたら、8年前にわたしを追い出した元家族でした
柚木ゆず
恋愛
行き倒れていた3人の男女を介抱したら、その人達は8年前にわたしをお屋敷から追い出した実父と継母と腹違いの妹でした。
お父様達は貴族なのに3人だけで行動していて、しかも当時の面影がなくなるほどに全員が老けてやつれていたんです。わたしが追い出されてから今日までの間に、なにがあったのでしょうか……?
※体調の影響で一時的に感想欄を閉じております。
「わざわざ始まるまでまたないで、今のうちに手を打ったってよくない?」
イチイ アキラ
恋愛
アスター公爵令嬢エステルは、夢をみる。それは先を映す夢。
ある日、夢をみた。
この国の未来を。
それをアルフレッド王太子に相談する。彼女を愛して止まない婚約者に。
彼は言う。
愛する君とぼくの国のためなら、未来を変えるのも仕方なくない?
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦
縁の鎖
T T
恋愛
姉と妹
切れる事のない鎖
縁と言うには悲しく残酷な、姉妹の物語
公爵家の敷地内に佇む小さな離れの屋敷で母と私は捨て置かれるように、公爵家の母屋には義妹と義母が優雅に暮らす。
正妻の母は寂しそうに毎夜、父の肖像画を見つめ
「私の罪は私まで。」
と私が眠りに着くと語りかける。
妾の義母も義妹も気にする事なく暮らしていたが、母の死で一変。
父は義母に心酔し、義母は義妹を溺愛し、義妹は私の婚約者を懸想している家に私の居場所など無い。
全てを奪われる。
宝石もドレスもお人形も婚約者も地位も母の命も、何もかも・・・。
全てをあげるから、私の心だけは奪わないで!!
私の宝物を奪っていく妹に、全部あげてみた結果
柚木ゆず
恋愛
※4月27日、本編完結いたしました。明日28日より、番外編を投稿させていただきます。
姉マリエットの宝物を奪うことを悦びにしている、妹のミレーヌ。2人の両親はミレーヌを溺愛しているため咎められることはなく、マリエットはいつもそんなミレーヌに怯えていました。
ですが、ある日。とある出来事によってマリエットがミレーヌに宝物を全てあげると決めたことにより、2人の人生は大きく変わってゆくのでした。
婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります
柚木ゆず
恋愛
婚約者様へ。
昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。
そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?
『姉に全部奪われた私、今度は自分の幸せを選びます ~姉の栄光を支える嘘を、私は一枚ずつ剥がす~』
六角
恋愛
復讐はしない。——ただ「嘘」を回収する。 礼儀と帳簿で宮廷の偽りを詰ませる“監査官令嬢”の華麗なる逆転劇。
王家献上宝飾の紛失事件で濡れ衣を着せられ、家族にも婚約者にも捨てられて追放された子爵家次女リリア。 数年後、彼女は王妃直属の「臨時監査官」として、再び宮廷の土を踏む。
そこで待っていたのは、「慈愛の聖女」として崇められる姉セシリアと、彼女に心酔する愚かな貴族たち。しかし、姉の栄光の裏には、横領、洗脳、そして国を揺るがす「偽造魔石」の陰謀が隠されていた。
「復讐? いいえ、これは正当な監査です」
リリアは感情に流されず、帳簿と証拠、そして真実を映す「プリズム」を武器に、姉が築き上げた嘘の城を一枚ずつ剥がしていく。 孤立無援の彼女を支えるのは、氷のように冷徹な宰相補佐レオンハルトと、豪快な近衛騎士団長カミュ。 やがてリリアは、国中を巻き込んだ姉の洗脳計画を打ち砕き、自分自身の幸せと、不器用な宰相補佐からの溺愛を手に入れる——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる