【完結】ヒロインはラスボスがお好き

As-me.com

文字の大きさ
18 / 58

野生の変態(王子)が現れた

しおりを挟む
    そして入学式当日。

 私は真新しい制服に身を包み、セバスチャンの前でくるんと1回転する。

「どう?セバスチャン」

 紺色を基本にしたブレザーに赤いラインが入っているシンプルなデザインの制服で胸元には黄色いリボンが結ばれている。このリボンは学年ごとに色が違うのだ。(ちなみに男子はネクタイ)

「よくお似合いですよ。アイリ様」

 そう言いながらセバスチャンは私の髪を後ろにまとめパチンと髪飾りをつけた。(髪の毛は伸ばしたので今は腰まであります)

「これはもしかして……」

「もちろん、アイリ様のナイトです」

 そういってつけたのはコウモリの羽の形をしたバレッタ。黒く艶やかに輝いている。もちろんこれは普通のバレッタではない。

『きゅいっ』

 バレッタがぷるぷるっと揺れ、可愛らしい鳴き声が聞こえた。
そう、私を守るナイト(ペット)になるとついてきたあのコウモリだ。今はセバスチャンの能力でバレッタに変身している。名前はナイトである。

「ナイト、他の人間がいる時は決して動いたり鳴いたりしてはいけませんよ?でもアイリ様の緊急時は即座に私に報告しに来るように」

『きゅいっ!』

 授業中とか場合によってはセバスチャンが側にいられない時があるのでもしもの時用らしい。(昨日の変態王子を警戒して)本当は普通にペットとして飼おうと思っていたのだが、これはこれで可愛いからよしとする。

「よろしくね、ナイト」

『きゅいっ』

 ナイトがまたぷるぷるっと揺れた。



******



 その後ルーちゃんと共に入学式を無事に終わらせ教室へと移動する。遠目にドS王子の姿を確認したがルーちゃんがべったり側にいてくれたおかげが入学式では近寄ってこなかった。(こっちを見てたけど)ルーちゃんには感謝しかない。
 だって、ドS王子の目付きが気持ち悪いんだもん!(じっとりまばたきせずに見てくるし)

 ドS王子から距離をとり、反対側の道から教室へと向かう。教室の入り口にそのクラスの生徒の名前が張り出してあるのでそれを確認するまでドキドキものだ。
 出来ればルーちゃんとは同じクラスになりたい。そして王子とは別になりたい。そして廊下の角を曲がったとき、

「あ!」

 目の前に野生のスライムが現れた!違った、野生の金髪碧眼王子が現れた!
 反対側の道から来たはずなのに、なぜここに?!

 王子は私と目が合いその姿を確認したとたん、急にうるうると涙を浮かべ両手を広げて、なんと私に抱きついたのだ!

「やっと見つけた!僕の女神ぃっほげぇっっ」

 ……抱きついた――――と思われた次の瞬間。(実際には触れるまで後3ミリ)王子は床に突っ伏していて、その背中にはルーちゃんといつの間にかいたセバスチャンの足が乗っていた。二人とも口元は微笑んでいるのに目が怖い。(今なら視線で人が殺せそうだ)

「これは、昨日とは違う害虫ですねぇ」

「ええ、第2王子の方ですわ」

 グリグリと踵で王子を踏みつけながら二人の会話は続く。

「嫌な気配を感じて急いで来てみれば、この穢らわしい手でアイリ様に抱きつこうなどと万死に値します」

「まったく、王子という生き物は揃いも揃ってわたくしの親友を狙うなど……お仕置きが必要ですわね?」

「な、なぜルチアがいるんだよ~っ!?くそっこんな風に僕を誘惑しても惑わされないぞ!この魔性の女め!僕は真実の愛を貫くんだっ」

 ドM王子はやはりドMに開花していたようで、まんざらでもない顔で頬をちょっぴり赤くしながらルーちゃんを睨んだ。

「害虫のくせに人間の言葉を話してはいけませんことよ?わたくしは王子を誘惑したことなどありませんわ」

「くっ!言葉攻めまで……!ここは学園だと言うのに破廉恥な!この変態女め!」

 変態はお前だ。

 ドS王子も気持ち悪かった(狂気の視線が)が、ドM王子はまた別の意味で気持ち悪かった。

 ルーちゃんはそんな王子をゴミ屑でも見るかのような目で見下ろし、パチンと指を鳴らした。するといつの間にかいたボディーガードさんが鞭を手渡す。さっきいなかったのに本当にいつの間にか現れた。(セバスチャンは瞬間移動でもしたかのように現れたが)

 ピシッ!とルーちゃんが鞭を打つ音が響く。

「さぁ、お仕置きの時間ですわよ?」

「ぼ、僕はそんな愛の無い行為なんかに負けない~っっ!」

※自主規制。


 ルーちゃんにお仕置きされ目を回したドM王子(しかしその表情は恍惚としていた)は警護の人に回収されていった。

 またボディーガードさんが教えてくれたのだが、第2王子はルーちゃんに頼んで殴られたり踏まれたりされていた(自ら望んで)が、「やっぱりこんな愛の無い行為など体だけの関係だ!どんなにテクニシャンでも僕の心までは奪えない!この破廉恥め!」と訳のわからない中傷をされてルーちゃんがまたもやブチギレし、王妃様直伝の鞭でメッタ打ちにしてやったそうだ。
 しかしルーちゃんを中傷するわりには鞭で打たれてちょっと幸せそうな顔をするので大人たちも複雑な思いでいるらしい。だが「僕は真実の愛を貫くんだ!あの僕の初めてを奪った愛しい人を探すんだ!(初めて頬を殴った人)」と豪語しているらしく、ルーちゃんは第2王子を心底ゴミ屑のように思っているそうだ。

 どうしよう、変態が増えた。(ゲームより悪化してる気がする)
私はまたもやフラグのへし折りに失敗していたようだ。

「アイリ様、ご無事ですか?」

「……うん、ありがとう。セバスチャン」

 バレッタがちょっとだけ揺れる。ナイトも心配してくれてたみたいだ。ナイト的には自分が反応するより先にセバスチャンが来たので驚いているようでもあった。

「私はアイリ様の執事ですから。どんなときも駆けつけてお守りする契約です」

 “1年間だけは”。と言葉に出さずに唇の動きだけでセバスチャンが付け足す。

 どんなことからも守るといいながら、やっぱりセバスチャンはいじわるである。

「わかってるわよ」

 まだその1年は始まったばかりなのだから。

「さぁ、アイリちゃん行きましょうか」

「うん、同じクラスだといいね」

 セバスチャンとボディーガードさんに見送られ、私たちは教室へと急いだ。

    
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

処理中です...