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サマリー5 騎士の鎧と歯茎弾き音
騎士クライグ
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カレーとプリンのレシピを念入にメモし調理のコツを聞き出した後、シュリア・マーベルは護衛と共に公務へと戻っていった。
その後、光平は疑問に思っていた件についての調査と考察を進めていた。
音無ハウスへ通う子どもたちや大人で呪いに罹った人々が解呪反応を示した時、黒い霧のようなものが体や口から漏れ出して少し苦しんだ後に解呪へと至る。
だが、しばらく失念していたのだがフィーネの解呪時だけ奇妙な反応が起きていたことだ。
黒い霧が骨ばった手となりフィーネの首を絞めていたことを思い出していた。
「あの時フィーネさんの体から溢れた白い炎があの黒い手を焼き払ったんだよね」
「光平先生が手で払ってくれたおかげで、体から魔力が溢れ出たような感覚があったんです」
聖賢の乙女たる資質を秘めたフィーネ特有の反応であったのか、それとも彼女だけ呪いの質が異なっていたのか?
それを検証するには情報や症例が少なすぎるため、今後も要観察ということで解呪時には二人揃うよう調整することに努めた。
王立治療院の併設施設としての音無ハウスは現在週休二日の運営になっている。
大体一日に4、5ケースほどをこなしながらの業務で、余裕のある日は訓練教材を皆で作りながら穏やかな日々を過ごしていた。
ルビナは絵心に恵まれささっと身の回りの物や身近な動物を描いてくれるので、非常に助かっている。
だがフィーネに至っては、描いた絵のほとんどがクトゥルー神話の邪神の如き姿になってしまうため、ルビナと光平は耐えきれず悲鳴を上げ割とガチで引いて震えていた。
「こんなに上手なのに、どうしてなんだろ? きっと芸術的センスが飛びぬけてるのね私」
「ごめん、それを子供たちに見せたら引きつけ起こす可能性あるから、ちょっと使えないや」
「先生までひどい」
「ご、ごめんなさい」
光平としてはクトゥルフの邪神を子供たちに直視させるわけにはいかぬと、本気でこの呪われた絵カードの処理に困っていた時だ。
「おっさんいる? ちっと知り合いが見て欲しいんだって」」
例の如く、キースが今日の夕食にプリンが出ると聞いて顔を出したのだろう。
ルビナは光平からコツを教わり、見事な硬さと甘さのプリンを仕上げる技術を獲得していた。
「あのキース君、知り合いって今日の予約に入ってない人?」
「だから連れてきたんだ。困り果てていてね、あの時のフィーネ様みたいに悩んでるんで一応見るだけ見てやってくれないか?」
そういう話だとフィーネも放っておけないと、訓練室へ戻ろうとした時だった。
ガチャリという金属音が音無ハウスの外から聞こえてきた。
背は光平と同じかやや高いぐらい。ダークブロンドの金髪とセルリアンブルーの青い目がまぶしい、輝くような爽やかイケメンが表情を曇らせながら立ち尽くしている。
何よりも驚いたのは身に着けていたのが、大仰な騎士甲冑だったからだ。
ファンタジー世界の定番とも言える本物の鎧の騎士姿に、おもわず光平も興奮を抑えきれない。
「あんたが、言の音を治してくてつっていう奴だな?」
そのイケメン騎士は、項垂れながらも光平に向かって絞り出すような呻き、叫びのような問いを投げかけた。
光平はおもわずその手をしっかりと掴んだ。
「お、おい!?」
「そうだよ、僕が言の音の呪いを解いたとされている音無光平って言います。舌先の動きがおかしくなったのはいつ頃から?」
「!? おっえっとその、なんでわかつんだ!」
イケメン騎士は目尻に涙を浮かべながら光平を見つめている。
促されるままその騎士は訓練室へ通されたが、最初に指示されたのは意外にも甲冑を脱ぐということだった。
「光平先生の指示には従ってもらいますからね」
有無を言わさぬ聖賢の乙女の言圧によって、イケメン騎士は甲冑をてきぱきと器用に外していく。
「こてでいいんだど?」
「では、あなたの名前を教えてください」
「ク、クダイグ、だ」
「クライグさんですね」
「そ、そうだ、そうなんだよ! みんな分かってくてないんだ!」
ラ行がタ行に置換している可能性について、光平の脳内では猛烈な推測予測、口腔内運動のシミュレーションが繰り広げられていた。
通常であれば、ラ行→タ行置換はありえる構音障害であり、7歳児には訓練を行うことも多い。
このケースでは、シュリアのような魔法受容体の障害や損傷、呪詛の可能性も検討しなくてはならない。今回は想定されるであろう原因症状の見立てが広すぎたのだ。
ただ、探りの意味で聞いてみた舌の先端にあたる舌尖について、本人は違和感を感じている。
ラ行音 は歯茎弾き音といって全行の中で最も発音難易度が高い音とされている。
単なる舌先の運動障害だけでは起こりにくい症状とあたりを付けた光平は、すぐにクライグの口の中と動きを丁寧に見極めようと舌の動きを真似させてみる。
やはりか、という症状と運動異常がいくつか観察されていく。
舌尖の挙上がうまくいっていない。
この場合に考えられるのが、舌裏にある縦の水かきのような膜が舌小帯(ぜっしょうたい)であり、これが舌尖まで融合してしまっている状態を舌小帯短縮症と呼ぶ。正面から見ると舌がハートの形になってしまっているのが特徴だ。舌尖(ぜっせん)が縫い付けられている状態に等しいので、舌先挙上が物理的に制限される形態異常の一つである。
対処法は極めて単純かつ合理的で、すぱっと切ってしまえばいいのだが、クライグの場合はこの舌小帯の形態も動きに問題は見られなかった。
症状や病態、いつからその症状が起きているのかを光平は丁寧に、時に話に聞き入りながらクライグの剣の腕に興味を持ちつつ、うんうんと聞き役に回った。
フィーネはこのとき、うれしくもあり、かなしくもあり、そのごちゃまぜなになった胸の奥に湧いた気持ちを悟られぬよう必死で抑え込むことにした。
あんなに楽しそうに話を聞いてくれたのは、自分だったからでは?
興味を持ってくれたのは私の話だったからでは?
いえ、きっと違うんだ。光平先生は私だからとかあのクソイケメン騎士の剣の話が聞きたい
のではなく……
誰にでも優しい人なんだという思い。
それは尊敬の対象として輝くあの人の背中がさらに眩しくなってうれしいのと、縮まってくれたという思いが、まだ足踏みであったことへの軽い絶望感が体内を循環していく。
でもうれしいのだ。男女問わず優しく差別なく対応する光平先生が、愛しくてたまらないと。
「剣の稽古で頭を強めにうたてたち(打たれたり)、衝撃を受けつことはしょっちゅうだ」
クライグからの問診で分かってきたのは、頭部外傷など中枢系のダメージからくる症状とは考えにくいことだった。
何度か治癒呪文も受けているし、問題なのは舌先挙上を必要とする歯茎弾き音(しけいはじきおん)のみの障害なのだ。
10秒ほど記録を取りながら次の一手を考えていた光平は、試しにr音の練習に初日から挑戦してみることにした。
「じゃあクライグさん、呪文詠唱のために新しい音を学びます」
「お、おう」
「同じ音を出すところから始めます、口を開けながらやってみよう」
光平 :うーー あーー
クライグ:…… あんたバカにしてんのか?
なるほどやはりこう来たか、という分かりやすい反応だった。
「なぜそう思いました?」
「こんなのだてでもできつ!」
やはり彼は未だに【怒り】の中で苦しんでいる。これは当たり前のことなのだ。
障害を負うようなひどい怪我や病の後、人は混乱や否認期を過ぎると、激しい怒りに苦しむ時期が訪れるという。
クライグの瞳には激しい怒りと悲しみが満ち、その拳は震えている。
荒ぶる騎士なら殴り倒されていたところだが、彼はそのようなことをしない。
背後でフィーネが何かを言おうとしていたが、あえて右手を上げ制止させ光平は言葉をつづけた。
「クライグさん、そこで怒りの気持ちを持つのは正常な反応なんです。間違っていませんよ」
「え!? お、おては!」
「自分に起きたことを、はいはいそうですか、とすぐに受け入れられる人がいたら、逆にその人が問題なんです、諦めてしまっているから」
「あきため……」
「そうです。だから私はうれしかったんですよ、諦めず向き合おう、立ち向かおうとする勇気があの怒りにこもっていたから」
「ゆ、ゆうき、だと、そ、そんなこと」
「いきますよ、これは基礎の中の基礎です、クライグさんついてきて」
怒りのマグマから顔をのぞかせたやる気の灯を光平は見逃さずに畳みかける。
光平 :あーー うーー
クライグ:あーー うーーー!
基礎に影響は受けてません、次少し短くいきますよ。口を開けながらですよ。
光平 :うーー あーー
クライグ:うーー あーー
「う」と「あ」の音が非常に綺麗に出てます。基礎となる音がしっかりしてるのはとてもいいこです。
クライグの怒りに満ちた目に、どうだ! という反骨の煌めきが見えた気がする。
十数回ほど反復練習を進めた後、光平はフィーネにメモを書きある物を持ってくるように依頼した。
その間、光平は自身が興味を持っていた剣術について怒涛のように質問し、その答えを目を輝かせながらうれしそうに聞いている。
クライグはこのことでプライドを維持出来たのだろう、音が間違うのも気にせず身振り手振りを混ぜながら騎士団の剣術について声を弾ませ話し続けた。
フィーネは二人の様子を見守りながら話のきれが良いところで、頼まれた包みを光平に差し出した。
「フィーネさんありがとう」その胸を溶かすような優しい笑みに、フィーネの頬が真っ赤に染まっていく。そういう気遣いをちゃんと受け止めてくれる光平という人間の心の繊細さと器の大きさがたまらないと。
その後、光平は疑問に思っていた件についての調査と考察を進めていた。
音無ハウスへ通う子どもたちや大人で呪いに罹った人々が解呪反応を示した時、黒い霧のようなものが体や口から漏れ出して少し苦しんだ後に解呪へと至る。
だが、しばらく失念していたのだがフィーネの解呪時だけ奇妙な反応が起きていたことだ。
黒い霧が骨ばった手となりフィーネの首を絞めていたことを思い出していた。
「あの時フィーネさんの体から溢れた白い炎があの黒い手を焼き払ったんだよね」
「光平先生が手で払ってくれたおかげで、体から魔力が溢れ出たような感覚があったんです」
聖賢の乙女たる資質を秘めたフィーネ特有の反応であったのか、それとも彼女だけ呪いの質が異なっていたのか?
それを検証するには情報や症例が少なすぎるため、今後も要観察ということで解呪時には二人揃うよう調整することに努めた。
王立治療院の併設施設としての音無ハウスは現在週休二日の運営になっている。
大体一日に4、5ケースほどをこなしながらの業務で、余裕のある日は訓練教材を皆で作りながら穏やかな日々を過ごしていた。
ルビナは絵心に恵まれささっと身の回りの物や身近な動物を描いてくれるので、非常に助かっている。
だがフィーネに至っては、描いた絵のほとんどがクトゥルー神話の邪神の如き姿になってしまうため、ルビナと光平は耐えきれず悲鳴を上げ割とガチで引いて震えていた。
「こんなに上手なのに、どうしてなんだろ? きっと芸術的センスが飛びぬけてるのね私」
「ごめん、それを子供たちに見せたら引きつけ起こす可能性あるから、ちょっと使えないや」
「先生までひどい」
「ご、ごめんなさい」
光平としてはクトゥルフの邪神を子供たちに直視させるわけにはいかぬと、本気でこの呪われた絵カードの処理に困っていた時だ。
「おっさんいる? ちっと知り合いが見て欲しいんだって」」
例の如く、キースが今日の夕食にプリンが出ると聞いて顔を出したのだろう。
ルビナは光平からコツを教わり、見事な硬さと甘さのプリンを仕上げる技術を獲得していた。
「あのキース君、知り合いって今日の予約に入ってない人?」
「だから連れてきたんだ。困り果てていてね、あの時のフィーネ様みたいに悩んでるんで一応見るだけ見てやってくれないか?」
そういう話だとフィーネも放っておけないと、訓練室へ戻ろうとした時だった。
ガチャリという金属音が音無ハウスの外から聞こえてきた。
背は光平と同じかやや高いぐらい。ダークブロンドの金髪とセルリアンブルーの青い目がまぶしい、輝くような爽やかイケメンが表情を曇らせながら立ち尽くしている。
何よりも驚いたのは身に着けていたのが、大仰な騎士甲冑だったからだ。
ファンタジー世界の定番とも言える本物の鎧の騎士姿に、おもわず光平も興奮を抑えきれない。
「あんたが、言の音を治してくてつっていう奴だな?」
そのイケメン騎士は、項垂れながらも光平に向かって絞り出すような呻き、叫びのような問いを投げかけた。
光平はおもわずその手をしっかりと掴んだ。
「お、おい!?」
「そうだよ、僕が言の音の呪いを解いたとされている音無光平って言います。舌先の動きがおかしくなったのはいつ頃から?」
「!? おっえっとその、なんでわかつんだ!」
イケメン騎士は目尻に涙を浮かべながら光平を見つめている。
促されるままその騎士は訓練室へ通されたが、最初に指示されたのは意外にも甲冑を脱ぐということだった。
「光平先生の指示には従ってもらいますからね」
有無を言わさぬ聖賢の乙女の言圧によって、イケメン騎士は甲冑をてきぱきと器用に外していく。
「こてでいいんだど?」
「では、あなたの名前を教えてください」
「ク、クダイグ、だ」
「クライグさんですね」
「そ、そうだ、そうなんだよ! みんな分かってくてないんだ!」
ラ行がタ行に置換している可能性について、光平の脳内では猛烈な推測予測、口腔内運動のシミュレーションが繰り広げられていた。
通常であれば、ラ行→タ行置換はありえる構音障害であり、7歳児には訓練を行うことも多い。
このケースでは、シュリアのような魔法受容体の障害や損傷、呪詛の可能性も検討しなくてはならない。今回は想定されるであろう原因症状の見立てが広すぎたのだ。
ただ、探りの意味で聞いてみた舌の先端にあたる舌尖について、本人は違和感を感じている。
ラ行音 は歯茎弾き音といって全行の中で最も発音難易度が高い音とされている。
単なる舌先の運動障害だけでは起こりにくい症状とあたりを付けた光平は、すぐにクライグの口の中と動きを丁寧に見極めようと舌の動きを真似させてみる。
やはりか、という症状と運動異常がいくつか観察されていく。
舌尖の挙上がうまくいっていない。
この場合に考えられるのが、舌裏にある縦の水かきのような膜が舌小帯(ぜっしょうたい)であり、これが舌尖まで融合してしまっている状態を舌小帯短縮症と呼ぶ。正面から見ると舌がハートの形になってしまっているのが特徴だ。舌尖(ぜっせん)が縫い付けられている状態に等しいので、舌先挙上が物理的に制限される形態異常の一つである。
対処法は極めて単純かつ合理的で、すぱっと切ってしまえばいいのだが、クライグの場合はこの舌小帯の形態も動きに問題は見られなかった。
症状や病態、いつからその症状が起きているのかを光平は丁寧に、時に話に聞き入りながらクライグの剣の腕に興味を持ちつつ、うんうんと聞き役に回った。
フィーネはこのとき、うれしくもあり、かなしくもあり、そのごちゃまぜなになった胸の奥に湧いた気持ちを悟られぬよう必死で抑え込むことにした。
あんなに楽しそうに話を聞いてくれたのは、自分だったからでは?
興味を持ってくれたのは私の話だったからでは?
いえ、きっと違うんだ。光平先生は私だからとかあのクソイケメン騎士の剣の話が聞きたい
のではなく……
誰にでも優しい人なんだという思い。
それは尊敬の対象として輝くあの人の背中がさらに眩しくなってうれしいのと、縮まってくれたという思いが、まだ足踏みであったことへの軽い絶望感が体内を循環していく。
でもうれしいのだ。男女問わず優しく差別なく対応する光平先生が、愛しくてたまらないと。
「剣の稽古で頭を強めにうたてたち(打たれたり)、衝撃を受けつことはしょっちゅうだ」
クライグからの問診で分かってきたのは、頭部外傷など中枢系のダメージからくる症状とは考えにくいことだった。
何度か治癒呪文も受けているし、問題なのは舌先挙上を必要とする歯茎弾き音(しけいはじきおん)のみの障害なのだ。
10秒ほど記録を取りながら次の一手を考えていた光平は、試しにr音の練習に初日から挑戦してみることにした。
「じゃあクライグさん、呪文詠唱のために新しい音を学びます」
「お、おう」
「同じ音を出すところから始めます、口を開けながらやってみよう」
光平 :うーー あーー
クライグ:…… あんたバカにしてんのか?
なるほどやはりこう来たか、という分かりやすい反応だった。
「なぜそう思いました?」
「こんなのだてでもできつ!」
やはり彼は未だに【怒り】の中で苦しんでいる。これは当たり前のことなのだ。
障害を負うようなひどい怪我や病の後、人は混乱や否認期を過ぎると、激しい怒りに苦しむ時期が訪れるという。
クライグの瞳には激しい怒りと悲しみが満ち、その拳は震えている。
荒ぶる騎士なら殴り倒されていたところだが、彼はそのようなことをしない。
背後でフィーネが何かを言おうとしていたが、あえて右手を上げ制止させ光平は言葉をつづけた。
「クライグさん、そこで怒りの気持ちを持つのは正常な反応なんです。間違っていませんよ」
「え!? お、おては!」
「自分に起きたことを、はいはいそうですか、とすぐに受け入れられる人がいたら、逆にその人が問題なんです、諦めてしまっているから」
「あきため……」
「そうです。だから私はうれしかったんですよ、諦めず向き合おう、立ち向かおうとする勇気があの怒りにこもっていたから」
「ゆ、ゆうき、だと、そ、そんなこと」
「いきますよ、これは基礎の中の基礎です、クライグさんついてきて」
怒りのマグマから顔をのぞかせたやる気の灯を光平は見逃さずに畳みかける。
光平 :あーー うーー
クライグ:あーー うーーー!
基礎に影響は受けてません、次少し短くいきますよ。口を開けながらですよ。
光平 :うーー あーー
クライグ:うーー あーー
「う」と「あ」の音が非常に綺麗に出てます。基礎となる音がしっかりしてるのはとてもいいこです。
クライグの怒りに満ちた目に、どうだ! という反骨の煌めきが見えた気がする。
十数回ほど反復練習を進めた後、光平はフィーネにメモを書きある物を持ってくるように依頼した。
その間、光平は自身が興味を持っていた剣術について怒涛のように質問し、その答えを目を輝かせながらうれしそうに聞いている。
クライグはこのことでプライドを維持出来たのだろう、音が間違うのも気にせず身振り手振りを混ぜながら騎士団の剣術について声を弾ませ話し続けた。
フィーネは二人の様子を見守りながら話のきれが良いところで、頼まれた包みを光平に差し出した。
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