JCダンサーは夢使いをやめられない!

泉蒼

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第1話 結菜、33代目の夢使いに

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その日の午後。
5時間目の数学の授業中に、結菜はうとうとしながら、ある夢を見ていた。
 その夢は、結菜が自宅で趣味のダンスを踊っているシーンから始まる――。

「よっと! ここでキメのポーズにつなげて、えいっ!」
 ベッドの上で結菜がくるりと華麗にターンしたその時。
 バタン!
 いきなり、結菜の部屋の扉が開かれ。
「こっらあああっ! 結菜ああぁぁ!」
と、キビシイ性格の父親・花咲海斗(はなさきかいと)が部屋に入ってきた。
部屋はスマートフォンから大音量でダンスミュージックが流れている。
その曲に合わせて、結菜が即興で考えたダンスを踊っている所だった。
だが。
「踊っている場合じゃないぞ! 予知夢で人助けをするんだああぁぁ!」
 父は趣味にうつつを抜かす結菜の首根っこをつかみ、ライオンの雄叫びのように叫んだ。
「キャアアア、予知夢で人助けって何なんのよっ?」
「言葉の通り、予知夢を使って人を助けることが結菜の使命ってことだ! いいか、父さんはダンス部に入るなんて絶対に許さないからなっ!」
「はあっ? いきなり何よ、それっ!」
 結菜には、父が言った言葉の意味がさっぱり分からない。それに、結菜の方はすでに昴に誘われたダンス部に入る気満々で想像を膨らませていたのだ。
「私の心には、未来のJC(女子中学生)ダンサー結菜の輝く姿が、はっきりと描かれてるんだから! 学校一モテる、私の偉大な野望を邪魔しないでよっ!」
 そうやって夢の中で結菜は、父に首根っこをつかまれながらも、首を振って必死に必死に抵抗していたのだった――。

 夢は、そこで終わった。
 ガタン!
「だから、お父さんっ! そんなの、嫌だってばっ!」
気付くと結菜は、自分の机を叩いて席を立っていた。
「……あ、あれっ?」
 クラス中から降り注ぐ視線に、結菜は違和感を感じて呆然とする。
 すると、担任の原口先生がチョークを置いて、黒板で振り返った。
「俺はみんなの先生だが、お前の父さんになったつもりはないぞ~」
 熊のように身体が大きい先生が頭をポリポリ掻くと、クラス中がどっと笑いに包まれた。
「花咲~、まずはトイレ行って、目ぇ覚ましてこ~い!」
「す……、すみましぇ~ん」
 先生に言われた結菜は、みんなにクスクスと笑われる中、おずおずと教室後ろの扉から出て行った。トイレに行く途中、結菜はふとこんなことを思うのだった。
(まさか……さっき見た夢も、予知夢でした~なんて言わないよねっ!?)
今朝、山岸昴にダンス部に誘われ、結菜は入部を前向きに考えていた。
町のダンススクールに入ってプロのダンサーを目指そうとも考えていたのだが、部活なら無料でダンスを習える。
何より、昴や新しい仲間たちとダンスに励む毎日は、想像するだけで楽しそうだった。
しかし。
さっきの夢が予知夢だとしたら、ダンス部に入るのは叶わないということになる?
――ダンスを楽しんで、たくさんの人にモテて、この世界で主人公になる――。
ダンス部に入って、中学生活をエンジョイしようと夢を膨らませていた結菜は、
(さっきの夢も、まさか予知夢なんかじゃないよねっ!?)
と、途端に不安に思うのだった。

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