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シガル編
シガルノネツ
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飽食。
飽きるほど食べることに困らない、
それ程に食糧に溢れている國
と、思うのだろう。
一般的には、来たことのない一般人にとっては。
それほどまでに人口は少なく人気がない。
限界集落ならぬ限界國、しかし限界と形容するに足る厳しさは人口のみであり、
他は驚き平均以上、高水準。
特に名を冠するに至るほどの食糧、食料自給率は目を見張るものがある。
さて、この國の人口が少ない理由、あまり知られずにひっそりと息を潜めているのがここに繋がる。
ポイントは食料、その数、その中身にある。
食文化とはデリケートなもので、本國では当たり前な常識でも、
他國では考えられないあり得ない、
随分と引かれてしまうものがある。
それでも引かれる程度で人格を否定されたり、匙を投げられたり、例えば口に出すにも恐ろしいといった風に恐れ多いものではない。
シガル、飽食のシガル。
この國は飽食で知られている。
この國には____食人文化がある。
例えば死刑。例えば闘技場。
例えば殺人事件の犠牲者。
これらの死体を食っている。喰っているのだ。
何とこの近代化進むこの時代においても、
未だに続いている。
國が建ったその日から今も尚続いている。
そんなに長ければ習慣化するもので、習慣に慣れるもので、中にはその習慣を好むものも少なくなかった。けれども食える時は死者が出た時のみ。それはあまり多くなかった。
裏向き死体集め目的の闘技場を建設、運営しても尚足りなかった。
ああ、そうだ、一つ忘れていた。
この國では行方不明者が多いんだ。
食料自給率の次に挙げられそうな程、
でも挙がらずにもみ消されるほど。
特に。旅人、外人、性別年齢関わらず約八割。
俺はこんな旅人特化の無法地帯に進んで入る。
色んな理由はあるが、
一番は樹官ですら立ち入らないからだ。
だから俺は入る、入國する、潜伏する。
一生ここで暮らそうかとも取れるような大きな決心を以て。俺は門を叩いたのだ。
とても歓迎された。歓迎されたとも。
枝とナイフと矢と剣。その他数十の凶器の雨だ。今までで一番の熱意だ。
一回目こそ熱そのものだったけど、それは出國、いや脱國亡命時だったし、
二回目も入國時ではない上に熱とは似て非なる、零度だったし、凍っていたし凍ったし。
だから一番、熱と形容するに足る凶器の狂気だったよ。
生憎俺自身に対してではなく、
俺の肉に対してだったが。
この話の、この國への入國の顛末は、
俺の凍った腕が功を奏した。
前述、包帯を巻いて以降俺に対して魔術の効きは、致命傷度は暴落した。
それでも俺は人間で、生身に変わりはないので魔術以外の狂気な鋭利は相変わらず。
つまり剣やナイフや矢といった魔術以外のその他数十の凶器は俺に有効。とても有効なのだ。が。
ここで凍った腕はそれらを氷細工のように、脆く繊細に、元からそうであったかのように砕いてアイスダストにしていった。
降りかかる熱を、火の粉をただの粉、細氷にしていった。
結局、顛末の顛末は俺の勝利で確定し、
俺は俺の市民権を得たのであった。
この間、大体十五分。
十五分で色んな手続きを省いて認められたと考えればお得なのだろうか?多少は傷ついたものの有難い事なのだろうか?
否、否だ。
俺の外傷はそうであれ、俺の内傷はそうもいかない。詳しく言えば凍った腕、今回のMVP。
止まっていた、強制的に留めていたその場凌ぎを解放してしまったのだ。
結構軽傷に済んだと見えるものの、
現実傷はかなり深い。
失った、いや失われた体温は多い。
「それに疲れた。つっかれた。」
俺は取り敢えず宿を借りた。
冷えた身体を布団の中でゆっくりゆっくりと時間をかけて温めよう。暖を取ろう。
夕食も忘れて昼寝と言うには遅く、就寝には早い。
夕寝という言葉がピッタリな時間に寝てしまった。
この時間は寝るのは気持ち良いが起きた時の喪失感と罪悪感が中々のものなので、いつもはあまりしようとしない、意識的に封印していた休養麻薬だが、この日に限っては失ったものもモノなので、
俺はその麻薬に手を出した。
先の障害、
起きた後の一般的就寝時間などは考えずに。
ぐっすりと眠ったのだ。
飽きるほど食べることに困らない、
それ程に食糧に溢れている國
と、思うのだろう。
一般的には、来たことのない一般人にとっては。
それほどまでに人口は少なく人気がない。
限界集落ならぬ限界國、しかし限界と形容するに足る厳しさは人口のみであり、
他は驚き平均以上、高水準。
特に名を冠するに至るほどの食糧、食料自給率は目を見張るものがある。
さて、この國の人口が少ない理由、あまり知られずにひっそりと息を潜めているのがここに繋がる。
ポイントは食料、その数、その中身にある。
食文化とはデリケートなもので、本國では当たり前な常識でも、
他國では考えられないあり得ない、
随分と引かれてしまうものがある。
それでも引かれる程度で人格を否定されたり、匙を投げられたり、例えば口に出すにも恐ろしいといった風に恐れ多いものではない。
シガル、飽食のシガル。
この國は飽食で知られている。
この國には____食人文化がある。
例えば死刑。例えば闘技場。
例えば殺人事件の犠牲者。
これらの死体を食っている。喰っているのだ。
何とこの近代化進むこの時代においても、
未だに続いている。
國が建ったその日から今も尚続いている。
そんなに長ければ習慣化するもので、習慣に慣れるもので、中にはその習慣を好むものも少なくなかった。けれども食える時は死者が出た時のみ。それはあまり多くなかった。
裏向き死体集め目的の闘技場を建設、運営しても尚足りなかった。
ああ、そうだ、一つ忘れていた。
この國では行方不明者が多いんだ。
食料自給率の次に挙げられそうな程、
でも挙がらずにもみ消されるほど。
特に。旅人、外人、性別年齢関わらず約八割。
俺はこんな旅人特化の無法地帯に進んで入る。
色んな理由はあるが、
一番は樹官ですら立ち入らないからだ。
だから俺は入る、入國する、潜伏する。
一生ここで暮らそうかとも取れるような大きな決心を以て。俺は門を叩いたのだ。
とても歓迎された。歓迎されたとも。
枝とナイフと矢と剣。その他数十の凶器の雨だ。今までで一番の熱意だ。
一回目こそ熱そのものだったけど、それは出國、いや脱國亡命時だったし、
二回目も入國時ではない上に熱とは似て非なる、零度だったし、凍っていたし凍ったし。
だから一番、熱と形容するに足る凶器の狂気だったよ。
生憎俺自身に対してではなく、
俺の肉に対してだったが。
この話の、この國への入國の顛末は、
俺の凍った腕が功を奏した。
前述、包帯を巻いて以降俺に対して魔術の効きは、致命傷度は暴落した。
それでも俺は人間で、生身に変わりはないので魔術以外の狂気な鋭利は相変わらず。
つまり剣やナイフや矢といった魔術以外のその他数十の凶器は俺に有効。とても有効なのだ。が。
ここで凍った腕はそれらを氷細工のように、脆く繊細に、元からそうであったかのように砕いてアイスダストにしていった。
降りかかる熱を、火の粉をただの粉、細氷にしていった。
結局、顛末の顛末は俺の勝利で確定し、
俺は俺の市民権を得たのであった。
この間、大体十五分。
十五分で色んな手続きを省いて認められたと考えればお得なのだろうか?多少は傷ついたものの有難い事なのだろうか?
否、否だ。
俺の外傷はそうであれ、俺の内傷はそうもいかない。詳しく言えば凍った腕、今回のMVP。
止まっていた、強制的に留めていたその場凌ぎを解放してしまったのだ。
結構軽傷に済んだと見えるものの、
現実傷はかなり深い。
失った、いや失われた体温は多い。
「それに疲れた。つっかれた。」
俺は取り敢えず宿を借りた。
冷えた身体を布団の中でゆっくりゆっくりと時間をかけて温めよう。暖を取ろう。
夕食も忘れて昼寝と言うには遅く、就寝には早い。
夕寝という言葉がピッタリな時間に寝てしまった。
この時間は寝るのは気持ち良いが起きた時の喪失感と罪悪感が中々のものなので、いつもはあまりしようとしない、意識的に封印していた休養麻薬だが、この日に限っては失ったものもモノなので、
俺はその麻薬に手を出した。
先の障害、
起きた後の一般的就寝時間などは考えずに。
ぐっすりと眠ったのだ。
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