俺の賃貸1DKボロアパートの部屋が『石の中』に設定されてしまった件

やすぴこ

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第二章 あっちの世界の人達と、俺の上司とお隣さん、あともふもふ

第24話 なんかそんな引きかたされると色々とモヤるよなぁ。

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「あれ……破滅の……? いや……そんなはずは……」

 お隣さんてば、さっきからずっとなんか俺の言葉を無視してぼそぼそ言ってんの。
 他にも『まだ予言には早い』とか『世界の終焉』とか『祓魔殿に連絡』とかなんか一般生活では絶対聞くことがない厨二病みたいな単語のオンパレード。
 それになんだか口調もいつもの荒っぽいものと違って真面目な感じになってるし。

 いかついパンクロッカーさながらのお隣さんが、こんなに顔面蒼白でビビっているのを見ると、恐怖とかよりも逆に笑いのほうが込み上げてくる。
 しかし、なんだってお隣さんは何も知らなかった異世界人より異世界の物を知っているんだ?

 あっ! もしかしてどっきりでも仕掛けようとしてるんかな。
 ここが危険な事故物件ってネタを仕込んどいて、自分はしばらく留守にするとか、結界がとか所々それっぽいワードを差し込んできながら、そこらへんに落ちてる適当な物を大げさに驚いてビビらそうとしているのかもしれん。
 それにしちゃ演技力よすぎなほど迫真なんだけど。

「もうっ! 白神さんってば。そんな手に引っ掛かりませんよ。どっか出掛けるって言って油断したところに驚かそうと思ってるんでしょ?」

 俺は女優顔負けな演技を続けているお隣さんにドッキリネタバレを噛ましつつ、あの玉の入手経路についても明かすことにした。
 そりゃ異世界とかドワーフとかは流石に言わないけどね。

「あれは知り合いの鉱石好きなおじさんから貰ったちょっと見た目が綺麗なだけのただの石ですよ。値打あるものと思ったけど、そうでもなかったんでってくれたんです」

 かなりボカしているけど、だいたい貰ったときの状況と相違ないはず。
 帰還の時間が押してたから押し付けられた形だけど、鉱石好きのドワーフだもの本当に値打ちがあると思っていた物だったら何があっても回収していただろうしね。
 正体不明の物でも、会って間もない俺にあっさりくれたんだから、元々捨てるつもりだったのを忘れていただけの可能性もあるしね。

「そ、そうなのか? ……いや、しかし……」

 あれ? お隣さんってばまだ演技続けている?
 驚愕の表情は解けたけど、まだ真剣な顔してあの玉を見ている。
 折角のドッキリを俺にネタバレされたから落とし所を見失っているのかな?

「そんなに気になるんなら要ります? 俺も別にこの石に興味はないので欲しかったらあげますよ?」

 一応落とし所としては、あの時俺の手から逃れるようにコロコロと転げ回っていたのは、ただ単に俺が掴み損なっただけの偶然だった……、という事にしているので、あの玉はただの石。
 うん、そうただの石なんだ。
 お隣さんにあげるって言っているのは、厄介払いって事じゃないんだ。
 欲しいと思っている人に譲った方がオールハッピー! それだけなんだよ。

 俺は乗り上げたままのお隣さんの肩から手を放して立ち上がりベッドまで歩いていく。
 そして、おもむろに玉へと手を伸ばした時……。

「危ない!! それに触るんじゃない!!」

 と、お隣さんが大声を出したんだけど、時すでに遅し。
 俺は一足先に玉を掴んで持ち上げていた。

「どうしたんですか。急に大声出すからびっくりしましたよ」

「さ、触って大丈夫なの……?」

「えぇ、普通の石ですし。ベタベタ触りまくってますよ」

 実際はまくると言う程ではないけど、特に痛みや被れはないし体調も悪いどころか調子がいいまである。
 なんと勘違いしたんだろ?
 もしかしてコバルトとかプルトニウムとかの放射性物質とかじゃないだろうな?

 けど、ガラバンさんはずっとリュックに入れていて大丈夫だったんだし、なにより俺に対して有害物質だった場合、酒に酔わなかった時みたいにリュックからこの部屋に転がり落ちた際に攻撃と察知して何らかの警告メッセージが出ていたはずだ。
 ちょっと、掲示板を信用し過ぎな気もするけど、既に魔法も部屋の機能も体験済みだからね。
 信じられる……というか信じないとやってられない。

 だって、俺の部屋が『石の中』に設定されてしまった事が、ただの俺の妄想だとしたら、ブラック企業で心身共に疲れ果てた末に気が狂ってしまったって事じゃないか。
 ……可能性としてはそっちの方が断然確率高いんだけどね!!

「本当に何ともないの?」

 ありゃ? まだその演技続けるの?
 まぁ本当にお隣さんが知る何かの危険物と勘違いしているだけって線もあるのかな?
 でも、この玉はお隣さんの知っているその危険物ではあり得ないんだよなぁ。
 だって異世界の物なんだからさ。

「別に何もありませんよ。ほら触った手も何ともなってないですし」

「ほ、本当だ……。た、確かにあの時の様な禍々しいまでの瘴気は感じられない……」

 いやだ、もう禍々しいまでの瘴気ですって。
 なんだよ瘴気って、本当にここ数日だけで一体どれだけの一般人では一生見聞きすることのない言葉に接してるんだよ。

「あっはははっ、そうだな。うんそうだ。あれは数多の犠牲の上に虚空に封印したんだった……ふぅ……」

 もうなんかさらりとオカルトワードをぶっ込んで来るのやめてもらえますか?
 『虚空に封印』とか、異世界に関係有りそうなフラグ臭がして勘弁して欲しいんですが。

「いやタモツくん、すまねぇ。あたしとしたことがすっかり取り乱しちまってたようだ」

 なんだかいつもの口調に戻ったお隣さんが俺に頭を下げた。

「勘違いで良かったですよ。見ての通りキラキラして綺麗なだけの石ですから。しかしその驚きようは一体何と間違えたんです?」

「それは……いや、やめとこう。一般人のタモツくんを巻き込むわけにはいかねぇ。さっき言いかけたこと含めて忘れてくれ」

「は、はぁ……」

 知りたくはなかったんだけど、こんな言われ方すると気になるんだよなぁ。
 まぁ変な事に巻き込まれなくて良かったんだけど。
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