裏切りシスターは、溺愛神父様にド鬼畜更生セックス♡される

くぴぽちゃん

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数日前に遡る

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「ルキくん。うちの教会、庭に大きい石が置いてあるでしょ」
「そんな物ありましたっけ…」
「ほら、あの、羽根の形みたいなやつ。知らない?」
「もしかして彫刻の事を石って呼んでいますか?」
「うん?うん、それかな。僕手持ち無沙汰でさ、それをツンツン押して遊んでたんだけどね。」
「何をしてるんですか」
「台座から落としちゃった。」
「何をしてるんですか?」
「なんか壊れちゃった。」
「こわれ…壊しちゃったんですか!?」
「羽根の原型がね、もう無い」
「分かりました。今度からは暇でもツンツンしないで優しく触ってあげてくださいね。俺が何とかしてみます。知らないけどボンドとかでくっつくのかな」

ルキは「この人いつか天罰とかでめちゃくちゃな死に方するんだろうな……」と思いながらシスター服のスカートをたくし上げる。現場の様子も分からないので何も持たず、パタパタと小走りで彫刻の元へ向かった。
いつも「あれちょっと邪魔だよねぇ」とか言っているから「神聖なやつなんじゃないんですか?」と返していたが、まさか純粋に「邪魔めなでっかい石」と判別していたとは思わなかった。
というか神父が自分の教会の彫刻を「何かよく分からないけど石が置いてあるなぁ」と認識しているとも思わないので。
いくら国からの支給品とは言ったって。

「これか。わ、ホントに酷い……」

ルキは惨状を見つけて、現状を把握して、眉根を寄せる。
確かに彫刻は壊れていたし、原型も残っていない。何も知らなければ「もしかしてうちの教会っていじめられてるのかな?」と思うくらいには崩壊していた。

周囲に誰もいないのを確認して、シスター装束のベールを取り払う。肩に付く黒のウルフカットをゴムで括り、彼は首元に白のタオルを巻いた。
日光の下で長時間作業する事を悟ったのである。ルキは日曜大工をするお父さんみたいな見た目になって、ひとまず欠片を拾い集めていく。

直せるのか分からないけど、直すと決めていた。
ミシェルが困った顔をしていたから。
ミシェルは直して欲しいと言った訳では無いけど、相談してきたと言うことは、多分困っていたという事の筈だ。
だったら解決してあげたい。

要するにルキは、常にミシェルの役に立ちたいのだ。
ミシェルが少しズレているなら、ルキがその部分を隠せば良いし解決すれば良いと思っている。あの人は綺麗な人だから、少し抜けているくらいで丁度良いのだ。
それに、それを助けるだけであの美しい人が自分に微笑んでくれるなら、とても破格に素敵だと思う。
そしてそれを知っているのが自分だけなのは、ロマンス小説の秘密みたいで素敵だった。
これは乙女チックな独占欲と、崇拝的な恋心である。

「シェルさん。直りました。」
「え?本当に直ったの。壊した本人が言うのもアレだけど結構取り返しのつかない感じじゃなかった?」
「はい」
「僕はもうあれを「友情」って名前を付けて現代アートとして隠蔽を謀ろうとしていたのに……」
「立体パズルってあるじゃないですか」
「うん」
「割とその要領でいけました。」
「いけるものなんだ」
「パーツを繋ぎ合わせて、そこにUVレジンをして…。」
「UVレジン」
「今日晴れてて良かったです。」
「お前は本当に凄いな……修復業界の革命児か……?」

と言う訳でルキは根性で彫刻を直し、ミシェルへの報告に来ていた。ミシェルは木造の机に向かい帳簿を付けていたが、「溶接技能者なのかも…」という顔をして手を止める。

「あ、お仕事はそのままで。報告だけなので」
「え?いやいやいや。流石に。というか壊したの僕だし。喉乾いたよね、何が飲みたい?」
「気にしないでください」
「何が飲みたい?」
「シェルさんのお手煩いを減らしたいので水でお願いします」
「なんだこの子は。紅茶にするね」

遠慮するルキを椅子に座らせ、ミシェルはキッチンに歩いて行った。ルキは彼の仕事を中断させてしまった気がして、なんとなく気まずくもそもそと立ち上がったり、部屋の中を小さく歩き回ったり、ミシェルの付けていた帳簿を眺めたりする。
彼の仕事を止めてまで伝える事でも無かった気がして、居心地が悪いのだ。

ミシェルは神父という職業者の中でも、おそらく多忙に位置する人物である。ルキはミシェルを「少し抜けている」と評しているが、彼はそれを差し置いても一際優秀で格段に敬虔な信徒だった。
そうで無ければあの若さで神父は勤められないし、決して規模の小さくないこの教会を、神父とシスターの二人のみで運営出来る訳も無い。

ミシェルは神話の天使みたいな人なのだ。神格的に傑物で、しかし春のそよ風に舞う花びらみたいに、軽やかでふわっとした魅力に満ちている。
優秀だから穏やかで、穏やかだから何にも優しい。少し抜けていてもそれを覆すほどの愛嬌がある。だからこそ、ミシェルは飾り気の無い自然な性格をしているのだ。
ちなみにこれは簡潔に言い換えると、「優秀な天然」となる。
少なくともルキはそう解釈していた。

「ルキ君砂糖いる?」
「お手を煩わせたくないので無しでいいです」
「入れちゃったからね」
「ありがとうございます。俺甘いのめっちゃ好きです」
「過去形だと普通に受け入れるんだよな……難儀な子だ……」

戻ってきたミシェルがルキの両手にソーサーを渡す。その上にカップに注がれたミルクティが置かれた。どうせ聞いても同じ答えしか返ってこないので、ミルクも入れてしまったみたいである。ルキは甘党なので素直に受け取って、「お礼にお菓子も乗っけちゃお」とソーサーにチョコレートが並べられるのを、「溶け…溶ける……!」と見つめていた。

ミシェルが自分用のカップを乗せた盆を持ち、窓際の枠に腰掛ける。窓の向こうに咲いているミモザと相まって、彼は朗らかに美しかった。肌はが朝露に濡れた白百合が如く透き通り、グレーの瞳は霧に包まれた森の穏やかさを宿している。
ルキが思わず見惚れて固まっていると、ミシェルが窓を薄く開けながら聞いた。

「ルキ君はこの後なにするの」
「洗濯祭壇掃除壁面掃除孤児院に様子見配給準備明日の施し会場の設置夕飯調理居住スペース清掃汚物回収配達物届」
「ビックリした。ごめんね、止まってね。」
「………」
「止まってくれてありがとう。あのね、多すぎます。悲しきワーカーホリックかお前は。僕はお部屋でゆっくり何するの?って意味で聞いたのに」
「でも俺、今日お祈りと彫刻修復しかしてないですよ」
「そっか。知らなそうだから教えてあげるけど、彫刻修復は一日分のカロリーがある作業だからね」
「……?」
「何でそんな腑に落ちない表情なんだ……?」

ルキは納得のしきれない表情を隠さず、表面の溶けたチョコレートを口に入れた。指先に付いたのも舐め取って、「でもシェルさんの部屋、俺が掃除しないと一生汚いじゃないですか」と言い張る。こうなると彼らは言い合いになるので、「言うほどばっちくも無いでしょ」「別に俺が掃除しなくてもそれで綺麗なら良いんです。何も言わないです。でもこの前野良犬が部屋に迷い込んでたのにシェルさん気付かなくてそのまま三ヶ月間ナチュラルに同棲してたじゃ無いですか。」「それは僕もビックリした」「俺も三ヶ月間気付きませんでした。」「ルキ君気付いた時悲鳴あげてたもんね」「何で気付かないんですか」「シェパード大きいのにね……。」「掃除します。」「うん、よろしくね……」とミシェルが折れた。

ルキはそれにくふくふ笑いながら、口を大きく開けて「はい」と答える。ミシェルは自分が笑われているのに気付いたので、「ルキ君お掃除上手だもんね。この前なんか"お掃除"って言い張りながら雨漏り直してたし……」とわざとらしく話をとぼけた。
その拗ね方もチャーミングで、ミシェルのこんな表情を見れるのも自分くらいだ、とルキは嬉しくなる。
柔らかい風に吹かれる美青年は、ルキの金色をした瞳の表面を、映画みたいに流れていった。

「……ルキ君?」

ミシェルが窓の外を向きながら、黙ってしまったルキに視線だけを寄越した。ルキは視線をそらして、空になったカップを小脇に置く。
髪を括っていたゴムを解き、脱いでいたベールを被り直した。
可憐なシスターはベールからこぼれた黒髪をモタモタと仕舞いながら、奥ゆかし気な表情で再度ミシェルを見つめる。

「その……」
「うん。どうしたの」
「俺、優秀ですか。」
「今の所何かしらの資格を取るべきだぞって思うレベルには優秀だと思う……」
「シェルさんのお役に立ちましたか。」
「産まれてきてくれてありがとう……」
「んふ、そうですか。ふふ。」

ルキはそう言われて、花の溢れるみたいに微笑んだ。
それからはにかんだ表情になって、小首を傾げて小さく俯く。
忙しない感情の変化がおぼこい少女みたいで、ミシェルはそれが面白くて、ルキの猫みたいに巨大な目がチトチト動くのを観察していた。

「あ、そういう事か。おいでルキ君」
「! はい」

ミシェルが窓枠から腰を下ろした。儚く美しい神父に手招きをされて、ルキは嬉しさも隠しきれぬまま駆け寄る。
ミシェルがルキの細い腰を抱き寄せた。ベールの下に流れる黒髪を撫でて、その緩やかに跳ねるシルエットを愛おしく見つめる。木漏れ日の中でレースのカーテンが揺れた。

美男子が二人寄り添うように並び立つ姿は、まるで一幅の絵画の様である。柔らかい光が彼らの輪郭を照らし、幸福そうな微笑みが互いを映し合う。
子鹿の様なブラウンの髪色をした青年と、ぱきりと黒に象られた青年は、陽光が射し込まれて魅入るほど程美しかった。
ルキの身長に合わせてミシェルが頭を屈める。そのまま口を寄せてやると、ルキは満悦の表情をしてミシェルの唇をちまちま舐めた。

「ふっ♡ぷちゅ♡んふふ、」
「ルキ君、口開けて」
「んぁ♡…ひっ♡んぢゅむっ、♡♡」

ミシェルの長い舌が、ルキの小さな咥内に侵入する。いつの間にか手が頭の裏に回っていて、もたげる首を柔らかく支えていた。覆い被される様なキスに、多幸感で押しつぶされそうになる。離せないように優しく抑えつけられるのが少しいじわるで、堪らなくってドキドキした。

「んひ♡♡んー……っ、ぷは♡」
「はは、かわいいーね」

ミシェルが舌先をぢゅっと吸ってから唇を離すと、ルキはだらしなく開いた口をそのまま、幸福気にニコニコしている。うっとりと余韻に浸っているみたいで、力の抜けた小指をミシェルの服の皺に引っ掛けて縋りついていた。
何も言わずにミシェルを純真に見つめていて、その桃色の頬は恋をしているみたいにも崇拝しているみたいにも見えた。
そして実際、ミシェルに恋をしているし崇拝もしている。

「あー……ルキ君、ずっと一緒にいてね……」

それが何だか無性に満ち足りた一枚に思えて、ミシェルがルキを抱え直して、抱き締める。頬ずりをされるのをルキは無抵抗に受け入れながら、子供みたいな滑舌で「はい」と返事をした。

「約束だよ。絶対だからね。僕の側にちゃんといてね」
「んひ、シェルさん、俺が助けないと困っちゃいますもんね」
「……そうだよ。お前がいないと僕は駄目なんだから。ルキ君にもその自覚があって何よりだよ。安心した。」
「でも、石像を壊すのは本当に気を付けてください。シェルさんはそういうの興味無いかもしれないですけど、一応国から贈呈されている物ですからね。壊したのが知られたら謀反だーってなっちゃいますよ」
「ふふ、うん。」
「それでうっかり邪教集団の一員だとか勘違いされたら、シェルさん捕まっちゃいますよ。邪教は禁忌だし、逮捕で済むかも分かりませんよ。そうなったら多分、正規の方法では助けられないですからね」
「ん?正規の方法以外では助けてくれるんだ……」
「? はい。当たり前です。」
「当たり前なんだ……。当たり前なのか……?」
「ただ、ちょっと俺の命が懸ります。」
「そっか。絶対にやめてね」

ミシェルは仕方がないのでルキを窓にくっつけてあげて、「ほら、ミモザだよ。穏やかな気持ちになるね」と花を見せてあげた。なんだかブラックな思考に行っていたので、お花を見せて健康的な思考にしてあげようと思ったのである。
この子はどうして、こんなに極端に人に尽くして精一杯に生きているんだろうと思った。ルキの出自を考えると気持ちは分からなくも無いけれど、とは言え適切な範囲を越えている気がする。
おそらくこれを単語に直すと心酔・もしくは傾倒による暴走になるのだが、ミシェルとしては、もう少し可愛らしいヒューマンエラーであって欲しかった。
好かれるのは嬉しいんだけど、ルキはそれにしたって少々過激なのだ。いつかとんでもない爆発をしそうで怖いのである。

「あれ。ルキ君、少し寝る?」
「……いえ。掃除、します。シェルさんはして良いって言いました。」
「そうだね。でも見てみなよ。ミモザってフワフワしているよ。その上で寝てみたら特別な体験になるんじゃないかな。天気も良いし、風も穏やかに涼しいね。今日は大仕事をしたし、さっき温かいものを飲んだばかりだから、きっと今寝たら気持ちいいと思うよ」
「……」
「3時間だけでも寝ておいで。そしたら僕の部屋の鍵を渡してあげるから。掃除が出来るようになるよ。」

情操教育をしていたらルキの巨大な目が半分に閉じかけていたので、ミシェルは窓を全開にして、ルキをそこにくぐらせた。ルキは言いくるめられた挙句ミモザ畑の上にポト…と置かれてしまい、それに朝から高カロリーな修復作業をしていたから疲れていて……大人しく花の上に寝そべる。
それは確かに、心地が良かった。花特有の粉っぽいカラフルな匂いがした。
ミシェルはいつだって、ルキの知らないものを教えてくれる。

「おやすみ、ルキ君」

寝る時におやすみと言うのも、教えてくれたのはミシェルである。
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