独占欲全開の肉食ドクターに溺愛されて極甘懐妊しました

せいとも

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1巻

1-3

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 普段なら確認することのない搬送記録を閲覧すると、彼女は港浜南消防署の所属だった。
 病院を出て、彼女の職場までテンション高く車を走らせる。我ながらまるでストーカーだなと嘲笑あざわらいながらも、本能が彼女を欲していた。
 消防署の勤務は丸一日と以前に聞いたことがある。翌日は非番で、その次の日が出勤か休みかどちらかだ。俺達よりはしっかり休みはあるが、それでもハードな勤務に変わりない。
 車を消防署手前の路肩に止めて見ていると、ほどなくして彼女が出てきた。消防署の先にあるバス停に向かっているのだろう。車で追いかけてもいいが警戒されそうなので、車から降りて走って追いかけた。
 追いかけながら、名前すら知らないことに気づく。どうやって呼び止めたらいいのだろう……
『おい』と声をかけてみるが、全く気づいてもらえない。

「おい。チビ団子」
「はあ~?」

 この呼び方には、反応が返ってくる。だが、こちらを振り返って戸惑った様子だ。

「それにしてもチビだな」

 小さくて可愛いと思っているが、ついつい嫌な言い方をしてしまう。俺は小学生かと自分で突っ込みたくなるほど、無意識に好きな子をからかってしまう感覚だ。
 名前も名乗っていないから、アナタと言われたが無性に気に食わない。

「久遠柾だ」

 自分から名乗って彼女の名前を聞き出した。

「雫石月です」
「月、行くぞ」

 平静を装っていきなり呼び捨てにしたが、基本女性を呼び捨てするどころか、下の名前で呼ぶことはない。少しでも月に近づきたい一心で必死だ。
 普段なら帰って適当に腹を満たすか、空腹のまま寝てしまうのに、夜勤明けの空腹を口実にメシに連れ出す。
 車に乗るのを躊躇ためらう月に、昨日の患者の話題まで持ち出してしまうほど俺は必死なのだ。
 それほどまでに、俺の本能が彼女を欲している――
 車を走らせていると、助手席でうつらうつらしている姿でさえも愛おしく感じる。誰にも教えたことのない、俺の癒やしのレストランまで車を走らせた。
 レストランの前は綺麗な海が広がっている。このあとは、急変の患者が出たら病院に戻らなければならないが、何もなければ明日の朝まで休みの予定だ。月の存在がなければ、普段なら病院で仮眠を取ってそのまま働いている。月の存在が俺を突き動かすのだ。
 目覚めた月を連れて、レストランへと入る。以前から、ここの従業員の女性から好意の視線を感じていた。今まで世間話をする程度で放置していたのだ。どうせ俺の容姿と医者という職業に惹かれたとでも言うのだろう……
 だが、今日は月への敵意と嫉妬を感じる。だから、わざと親しく見えるような態度を取った。いや、これから親しくなるから決して嘘ではない。
 小さい身体で、もりもり食事をする月を愛しく思いながらも、このあとの作戦を考えていた。
 俺は、気長に攻めるタイプではない。
 狙った獲物を逃すつもりはない――




    第二章 俺様ドクターと急展開


「はぁ~、お腹いっぱい」

 美味しくてついつい食べ過ぎて、無意識に口から出た言葉。馴染みのある料理のはずが、お値段だけのことはあって初めて食べる料理のようだった。満腹で思わずお腹を擦ってしまう。

「ククッ、満足していただけたようで何よりだ」
「美味しかったです」
「ああ、そろそろ行こうか」
「はい」

 レジでさっと会計を済ませた柾さんが、私の腰に手をあてエスコートする。一連の動作がスマート過ぎて、口を挟む余地さえなかった。

「えっと……。ごちそうさまです?」
「何で疑問形なんだ?」
「初対面に近い人に本当に奢ってもらっていいんですか?」
「当たり前だろう? 俺が強引に連れて来たんだ」
「でも~」
「この話はおしまいだ」

 まだお店から出ていないところで、これ以上話をするのは得策ではない。今度、お礼をしようと考えながらお店を出て車に向かっている時だった。
 ――ゴロゴロゴロ
 雷の大きな音がしたと思った次の瞬間――
 ――ザァー
 突然のゲリラ豪雨に見舞われる。バケツをひっくり返したようなとはよく言ったもので、本当に一瞬にしてびしょ濡れだ。

「急いで」

 手を引かれて車まで走り乗り込むが、髪から水がしたたるほど濡れてしまった。私のお団子頭も、水分が染み込んで若干重たくなっている。
 柾さんを見ると、先ほどまでの貴公子スタイルでもなく、先日のボサボサ頭でもなく、固められていた髪は濡れてサラサラと前に落ちていた。いつもより少し幼く見えるけれど、前髪の隙間から見える視線は妖艶で、まさしく『水もしたたるいい男』とはこの人のためにある言葉ではないかと思ってしまう。

「びしょ濡れになってしまったな」
「びっくりしました」
「乾かさないと風邪を引いてしまうな。月のこのあとの予定は?」
「特には……。明日の出勤に備えて休養するぐらいです」
「奇遇だな。俺も呼び出しがない限りは休みだ」

 休みだといっても、呼び出しがあれば駆けつけるのだろう。お医者様は本当に大変だ。救急隊員はシフト制で、隊員が急病だったり人手がいる事件事故が起きない限りは呼び出されることはない。

「この先にあるリゾートホテルへ寄って、服を乾かすか……。ちょっと仮眠もしたい」
「えっと……この先って最近オープンしたばかりの人気スポットの高級リゾートじゃないですか?」
神楽坂かぐらざかリゾートが、宣伝してるところだ。『都会から近いオアシスを』だったか? テレビでよく取り上げられてるな」
「テレビで特集されているのをよく見ます。愛妻家で子煩悩な社長さんが、都心から近くて子連れでも気軽に行けるリゾートホテルを建てたんですよね」

『神楽坂リゾートエタニティ』は、都心から車で一時間ほどの距離に、都会の喧騒を忘れて家族やカップルで楽しめるオアシス空間をコンセプトに建てられたホテルだ。
 連日予約が埋まっていて、かなり先まで予約が取れないはず。
 ところが、柾さんはスマホを取り出してどこかにかけ始める。

「すまない。急なんだがエタニティに部屋を取ってもらえないか?」

 知り合いが働いているのだろうか? 電話相手の声は、私までは聞こえない。

「ああ。助かった。サンキュー」

 状況が理解できないまま待っていると、柾さんが説明してくれた。

「神楽坂リゾートの社長の弟が友人なんだ」
「そうなんですか?」
「ああ。たまたまキャンセルが出た部屋があるから、明日の午前中までなら使っていいって」
「雨で濡れたのを乾かすだけに使わせてもらうなんて、なんか申し訳ないですね」
「……気にするな」

 柾さんは何か言いたげだったけれど、私にはそれが何かわからない。純粋に風邪を引かずに済みそうだと思ったのだ。食事をして亮くんの状態も聞けてひと安心したので、このまま帰ると思っていたが、まだ一緒にいられることが嬉しい。この気持ちの意味が、恋愛経験のない私にはまだ素直に受け入れられずに戸惑っている。
 レストランから車で五分ほどで、ホテルが見えて来た。海沿いの広大な敷地の中に、たくさんのアミューズメント施設があるらしい。テレビで紹介されているのはほんの一部で、あとは泊まった人への楽しみのため配慮されているのだ。
 真っ白な入り口のゲートには、入場受付ブースがある。まるでテーマパークに来たような感覚だ。

「ようこそいらっしゃいませ。神楽坂リゾートエタニティへ。お名前をお伺いいたします」
「久遠柾です」
「久遠様。ありがとうございます。久遠様のお部屋の受付は、コテージエリアとなっております。このままお車で、水色の矢印の通りにお進みください。施設内全て徐行となっておりますので、ご協力くださいませ」
「ああ。ありがとう」

 入り口ゲートからすでに洗練された丁寧な接客で好印象を与える。ゲートを入ると、道路には景観を邪魔しない色合いで、目的地まで色別の矢印がついており、どこに向かえばいいのか一目瞭然だ。道路は一方通行になっていて対向車も来ない。
 ゴミ一つ落ちていない道路に、視線の先には海が広がり、綺麗な花が咲いている。
 先ほどのレストランから見る海の景色も素晴らしかったけれど、ここは別世界に入り込んでいるようだ。

「素敵ですね。雨に感謝しなきゃ」
「喜んでもらえて良かった」
「私では、予約すら取れませんから」

 ゲートで案内された通りに進むと、小高い丘の上に低層の大きな建物が見えて来た。きっと、この建物が本館なのだろう。
 本館の裏手を通り過ぎ、今度は下っていく。するとその先には驚くべき光景が広がっていた。まるで、童話の中に入り込んだようなコテージが点在している。たくさんの木が植えられて、林の中にいるような感覚になるのだ。すぐ側にビーチがあるとは思えない。公園や芝生の広場があり、各コテージの前には駐車場とバーベキューができるウッドデッキまであるのだ。

「夢の国に来たみたい……」
「俺も初めて来たが、これは子供が喜びそうだな」
「喜ぶでしょうね。私も感動してます」
「とにかく、風邪を引く前に風呂に入ろう。まだ時間はたっぷりあるんだ。あとでゆっくり見たらいい」
「そうですね」
「月、先に入って来い」
「えっ、柾さんお先にどうぞ。私の方が時間がかかるので」
「じゃあ、一緒に入るか?」
「へっ!?」
「冗談だ。じゃあ、すぐに上がってくるから、タオルでしっかり拭いておけよ」
「はい」

 バスルームに柾さんが入って行ったのでひと息つく。まだ少し水のしたたっている超絶なイケメンに、一緒に入るかと言われて動揺しないほうがおかしいだろう。それでなくても、ずっと胸が高鳴っているのだから。からかわれているとわかっていても、顔が火照ほてってしまった。
 冷静になって、気持ちを落ち着けようと部屋の中を見て回る。
 コテージは、広いリビングダイニングの一画に畳スペースまであり、更にはキッチンとお風呂とトイレが一階にある。
 リビングの端に階段があり、上がるとベッドルームが二部屋もあった。メインのベッドルームにはキングサイズのベッドが置かれて、家族連れなら川の字で寝られそうだ。
 もう一部屋も、シングルベッドが二台に簡易のベッドも畳まれて置いてある。大人数での旅行にも最適だ。


 一通り見終わって、リビングに戻るとちょうど柾さんがお風呂から出たところだった。バスローブを羽織っているけれど、胸元が大きく開いていて目のやり場に困る。
 普段から職場で筋肉質な男性は見慣れているはずが、一見細く見える柾さんが脱いだらムキムキなのはズルイ。思わず魅入ってしまった。

「俺に何かついてるか?」
「えっ?」
「いや、こっちを見てるから」
「いえ。何もありません。では、私も入ってきます!」
「ああ。風呂が沸いてるからゆっくり入ってこい。洗濯乾燥もここでできるから」
「そうなんですか?」

 ここに着いてからずっと驚きっぱなしなのに、バスルームも期待を裏切らない豪華さだ。普通のホテルなら、ホテル内にコインランドリーがあり、私も利用したことがある。
 だが、ここは広々とした脱衣所に大容量の洗濯乾燥機が置かれ、アイロンまで用意されていた。至れり尽くせりとはこのことだろう。
 濡れた服を洗濯機に入れて回し、バスルームに入った。
 家族連れでも一緒に入れそうなほど大きなバスタブには、たっぷりの湯が張られている。
 冷えた身体を温めながら、今朝からここに至るまでのことを振り返るが、急展開に驚くしかない。
 これからどうしたらいいのだろうか?
 仕事から帰ってお風呂に入るはずが、なぜか高級ホテルのお風呂に入っているのだ。今更どうしようもないので、団子頭をほどき髪から洗っていく。アメニティは上質のものが並び、バスルーム全体に良い香りが充満する。いつも以上に時間をかけてゆっくりとバスタイムを満喫した。
 柾さんは仮眠をするだろうし、洗濯が乾くまで待たなくてはならない。時間はたっぷりある。
 バスルームから出て、下着も一緒に洗ってしまったことを思い出した。全裸にバスローブを羽織るしかない。前をしっかり合わせてはだけないようにする。
 ドライヤーも高級なものが置かれていて、さすが一流ホテルだと感心した。ロングヘアーを入念に乾かしていく。元々ブラウンの髪は染めたことがなく、サラサラしているのが私の自慢だ。
 リビングに戻る頃には、かなりの時間が経ってしまった。
 柾さんは、リビングのソファに座ったまま寝ている。器用というのか職業病というのか、どんな体勢でも寝られるのだろう。起こすのは忍びないけれど、寝心地の良いベッドで寝た方が短時間でも疲れが取れるはずだ。

「柾さん、柾さん」
「んんっ」

 寝顔も綺麗なイケメンからの色っぽい吐息に、私の方が恥ずかしくなって頬が赤くなるのを感じた。
 どうしたらいいのか戸惑っていると、目の前のイケメンの目がうっすらと開く。

「せっかくならベッドでお休みになられたらどうですか?」
「誰だ? 天使……?」

 寝ぼけた様子の柾さんが呟いた天使の意味が理解できない。夢でも見ているのだろうか?

「大丈夫ですか?」
「はっ……!?」

 意識が夢の中から現実に戻ったのか、完全に起きてしまった。

「えっ、る、月か?」
「はい」
「反則だ」

 言葉と同時に手を引かれたと思ったら、柾さんの膝の上で横抱きに乗せられる。そして唇に柔らかい感触が触れたと思ったら、キスをされていた。
 突然の展開に、抵抗する暇もなく驚きで固まったまま動けない。ドキドキと早鐘を打つ私の鼓動が、柾さんまで伝わっているのではないかと思うほど、胸が高鳴っている。
 触れるだけだった唇が、だんだんと強く押しつけられ、更には舌が私の口内に割って入ってきた。
 実は、私にとってこれがファーストキスだったりする。救急救命士を目指して必死に勉強をしていたので、恋愛経験がないのだ。もちろん人工呼吸の経験はあるけれど、あれは仕事であってキスとはカウントされないだろう……

「んんっ」

 呼吸の仕方もわからないまま、続く口づけに思わず鼻から息が漏れる。慣れないことに、私の身体から徐々に力が抜けてぐったりしてしまう。

「大丈夫か?」

 私の変化に気づいた柾さんが、やっと唇を離してくれた。

「大丈夫じゃないです……なんで……」
「月が煽るからだろう?」
「煽る?」
「団子頭で威勢の良い姿も可愛いが、サラサラヘアーの天使になられたら我慢できるわけがない」
「て、天使~? 柾さんはさっきから何を言ってるんですか?」
「お前、自分の可愛さをわかってないだろう」
「はい?? 可愛い? 誰が?」
「だから、月が」

 チビ団子と言っていた本人が何を言っているのだろうか。全く理解できない。

「チビ団子って言われる方がしっくりきます」
「チビ団子は咄嗟に出た言葉だ。小さくて可愛くて威勢の良いところに、俺は一瞬でお前に心をもっていかれた。それがだ。団子を取ったらまた違った印象で……可愛過ぎるだろう」

 ボサボサマスク男にチビ団子と言われて、最悪の出会いだったのに……
 医者で天才貴公子と呼ばれていて、クールで厳しい人だと聞いていたはずの彼が、今、私の目の前で甘い言葉を囁いている。そのギャップと色気に、ドキドキする胸の高鳴りが最高潮だ。
 もう、何が起こっているのか冷静には処理しきれない。
 私はこのあとどうなるのだろう――

「目の前の獲物は逃がさない主義なんだ」
「……!」

 一気に柾さんの視線が色気全開に変わる。獣に狙われた小動物の気持ちがわかった気がした。

「今、彼氏はいるのか?」
「いないです……というか、いたこともないです」

 思わず余計なことまで口にしてしまった。私の言葉に目の前の貴公子の笑顔が黒くなる。

「じゃあ、今この瞬間から俺が月の彼氏だ。よそ見は許さない。俺に愛される覚悟をしろ」

 一方的に俺様発言が続いているけれど、なぜか柾さんの口から放たれた言葉は笑い飛ばせないほど真剣だ。きっと普通の男が言ったら笑い飛ばされるか、ストーカー扱いされてもおかしくないくらい自分勝手な発言なのに……

「私、女性らしくもないですし、恋愛経験もないんです。柾さんに見合うとは到底思えないんですが」
「見合う見合わないじゃない。俺が本能から欲してるんだ。恋愛経験がない? それは、俺にとっては最高にラッキーなことだな。もしかして、さっきのがファーストキスか?」
「はあ……人工呼吸以外では」
「月に、人工呼吸をしてもらった奴にも嫉妬する」
「はい?」
「俺自身、初めて感じる感情だ」
「……」

 思考回路が停止していて、何が正しいかわからない。たださっきキスされた時、驚きはしたが嫌ではなかった。
 最初の出会いが最悪だったのは間違いない。でも応急処置をしていく彼の姿に魅了されて、胸が高鳴ったのは事実だ。
 救急車で亮くんを搬送した時も、貴公子には興味がなかったけれど、医者としての彼なら助けてくれると安心感があった。あの時は、まさかボサボサマスク男と貴公子が同一人物だとは思わなかったけれど……
 ここ数日での出来事なのに、夢でも見ているようだ。目の前の柾さんからは、熱い想いが伝わってくる。

「あのっ、お手柔らかに……」

 これ以上抵抗しても、初心者の私には敵う気がしない。柾さんを見ていると、胸が高鳴りもっと知りたいと興味が湧いているのが事実だ。

「わかったと言いたいところだが、月が俺を煽るから我慢の限界だ」
「……!!」

 いきなり横抱きのまま立ち上がった柾さんは、迷うことなく二階への階段を上がる。たった今、自分の気持ちに素直になったばかりで、私にとっては未知の世界への階段だ。

「ま、待って」
「却下。待てない」

 もう彼の腕の中から逃げられないことを悟った。
 私は、一体どうなるの? 心の中の叫びは誰にも届かない。
 メインのベッドルームに迷わず入り、キングサイズのベッドに優しく寝かされた。上から私を見下ろす柾さんの視線が熱い。
 二度目のキスは、唇が触れた瞬間から深くて、口内を暴れ回る舌の動きに初心者の私は身を任せる。舌を絡め取られてはなぞられて、無意識に腰が浮いた。

「んんっ、あっ」

 自分の声とは思えない、漏れる吐息に羞恥心が増す。キスだけで、気絶しそうだ。
 甘い口づけに、力の入っていた身体から少しずつ力が抜けはじめた頃、柾さんの手が私のバスローブの紐をあっさりとほどいてしまう。

「えっ……」

 男性に裸を見られた経験のない私は、戸惑いと恥ずかしさで何とも言えない気持ちが溢れて、不安な声を漏らしてしまう。

「どうした?」
「……裸を見られるなんて、恥ずかしいです……」
「俺だけの特権だな。月、綺麗だ」

 恥ずかしがる私とは違い、慣れた手つきでバスローブを脱がされてしまった。雨で濡れた下着は洗濯機の中で、バスローブを脱ぐと何もつけていない。
 チビと言われるほど小柄な私だけど、胸は順調に成長してDカップあり、自分ではアンバランスに思えてコンプレックスなのだ。柾さんは、変に思わないだろうか?

「胸が大きいのがコンプレックスで……」
「大きくて綺麗なピンクで最高だ」

 再び唇を塞がれて、同時に手は胸をもてあそぶ。胸全体を大きな手が覆い優しく揉みしだく。柾さんの手は、男性の割には細くて繊細だ。この手がどれほどたくさんの人の命を救ったのだろう。その手が、今は私の胸を愛撫しているのだ。
 キスをしていた唇が、私の首から上半身へと下りていく。くすぐったさと気持ち良さに身を委ねた。
 左胸の先端を口に含まれ舌で転がされて、大きな手で右胸の先端を軽く抓られる。

「ハアッ」

 自然と漏れ出た喘ぎに、恥ずかしくなり手で口を塞いだ。

「気持ちいいか? もっと声が聞きたい」

 柾さんに口から手を外されて、頭上で両手を一括りに軽くまとめられた。そして無防備にさらけ出された胸を口に含まれ、私の手を頭上で押さえている手とは反対の手で、更なる刺激を与えられる。
 胸を揉みしだかれ、先端を甘噛みされ、ねられて……その刺激で、お腹がキュンとする。更に、下半身が熱くなってうずうずしていた。
 頭上の手が離れて、その手がお腹から下に撫でるように這っていく。
 胸の愛撫はそのままに、誰にも触れられたことのない下半身にたどり着いた手は、優しく撫でるように触れた。

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