手のひらサイズの無限の世界〜初恋と青春は鍵付きで〜

せいとも

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第七章

終業式②

 中学生になって初めての成績表をもらった。成績は5段階に分かれている。思っていたより高かった教科と思っていたより低かった教科。夏休みに復習が必要だ。
 
 宿題を渡されたが、小学校の時とは違い時間のかかるものも多い。

 読書感想文は必須になり、美術ではポスター。更には理科の研究は大掛かりだ。技術か家庭科を選んで作品も作らなくてはならない。それ以外にも国語や数学や社会も宿題が出ている。

 計画的に進めないと終わらないのではないか。

 小学校とは違い部活もある。

 忙しい夏休みになりそうな予感だが、瑞希とどこかに遊びに行きたい――。

「ゆーちゃんどうだった?」
「まあまあなのかな?」
「プッ、私も。でもゆーちゃんと図書館で勉強して良かった」
「うんうん。夏休みも部活帰りに一緒に図書館で宿題しない?」
「いいね。家で本読んだら寝ちゃいそうだから、まずは図書館で読書しようかな」
「それいいね。苦手なものから先に終わらせよう」
「うん!早くお弁当食べて、部活までに少し宿題しちゃおうよ」

 終業式は午前で終わり、昼からは部活だ。

 吹奏楽部の三年生は文化祭が終わるまで引退しないが、他の部活は三年生が引退を迎えている。

 一年生にとっては中学校生活に慣れたところだが、三年生にとっては受験に向けて中学校生活のラストスパートに入る。

 姉もこの夏休み部活はもちろん、塾の夏期講習と学校見学に行くと言っていた。まだまだ先だと思っていても、三年間はあっという間なのかもしれない。

「ねえねえ。斉藤くんって覚えてる?」
「もちろん。頭が良くて超イケメンだったよね」
「その斉藤くん!この前駅で見掛けたの」
「マジで?!どんな感じだった?」
「背が高くなってて更にイケメンになってた」
「え~いいなぁ。見たい!」
「卒業式の日、みんな連絡先聞いて撃沈してたよね」
「そっか。じゃあ、誰とも繋がってないのかぁ。残念」

 教室では、他の部活のクラスメイトも弁当を食べていて、由奈達にまで会話は筒抜けだ。突然出てきた瑞希の話題に、思わず耳を傾けてしまう。 

「今度待ち伏せしてみる?」
「斉藤くん電車通学だっけ?」
「見掛けたとき制服着てたしそうだと思う」

 朱里が由奈を見ると複雑そうな顔をしている。由奈自身、小学校を卒業してから手紙や交換ノートのやり取りをしているが、一度も会えていない。

 瑞希の話をしていたにぎやかだったクラスメイト達が教室から出て行き、由奈と朱里のふたりになった。

「モテモテだね」
「うん……。私以外にも瑞希くんに手紙送った子いるのかな?」
「どうだろう?それより、ゆーちゃんいつから呼び方が瑞希くんになったの?」
「え?ああ、うん。なんかね、手紙を書くときにみーくんって書いたらすごく子供っぽく見えて……。まだみーくんって言っちゃうときもあるけど、瑞希くんにしようと意識してるの」
「斉藤くんだと同級生のイメージだし、みーくんだと確かに子供っぽいし、瑞希くんってカレカノみたい」
「……」

 朱里の言葉に恥ずかしくなり頬が赤くなるのを感じる。

 カレカノ――。いつかは――。

 

 
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