手のひらサイズの無限の世界〜初恋と青春は鍵付きで〜

せいとも

文字の大きさ
24 / 66
第八章

夏休み①

しおりを挟む
 夏休みに入っても、規則正しい生活をしている。

 午前に部活がある日が多く、普段と変わらない時間に登校する。夏休みでも、いつも通り朱里と待ち合わせをして学校に向かう。

「文化祭に演奏する曲が決まったので発表します」

 普段から練習している中から、盛り上がる曲を中心に選曲されている。

 由奈はクラリネット、朱里はフルートを担当している。同じ木管楽器を選んだのだ。子供の頃から同じビアノ教室に通っていた。実は、瑞希も受験勉強が忙しくなるまでは、同じ先生にピアノを習っていたのだ。小学校では知られていなかったが、三人の中では一番上達が早く繊細な音を奏でていた。

 イケメンで頭が良く、運動神経も抜群で更にはピアノも弾けるなんて、由奈はあまり知られたくないと思っていた。瑞希自身も誰にも言ってなかったので、知っているのは由奈と朱里くらいだろう。由奈と朱里も中学に入学のタイミングで長年通っていたピアノ教室を辞めてしまった。

 中学校の部活では、お互いに運動部も検討したが人間関係で吹奏楽部を選んだのが正解だった。

 夏休みの部活は、文化祭に向けた練習が中心になる。三年生と奏でる最後の発表の場だ。

 部活が終わると一度家に帰り、午後から朱里と図書館へ行く。
 
 絵里香達の抜けた後のグループでは、夏休みの宿題のアイデアなどが話し合われたり平和だ。以前とは違い、由奈と朱里も時々参加している。

 図書館へ向かって歩いていると、前方に派手な集団が見えた。

 夏休みに入り染めたのか茶髪に化粧ばっちりの絵里香達だ。その中には小学校では目立たない存在だった美雪の姿もある。中学になり美雪は変わってしまったと思う。いつも真面目でどちらかと言えば、からかわれる存在だった。それが、絵里香達とつるむのに必死になっているように、由奈には見えてしまう。

 美雪本人が無理してなければいいのだが、いじめられないようにだったり、抜けるタイミングが分からず今に至っていたら気の毒だ。

 かと言って由奈や朱里も関わりたくないし巻き込まれたくない。

 元から要注意だった絵里香達と美雪の関係は本物なのだろうか。



しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

中学生ユーチューバーの心霊スポットMAP

じゅん
児童書・童話
【第1回「きずな児童書大賞」大賞 受賞👑】  悪霊のいる場所では、居合わせた人に「霊障」を可視化させる体質を持つ「霊感少女」のアカリ(中学1年生)。  「ユーチューバーになりたい」幼なじみと、「心霊スポットMAPを作りたい」友達に巻き込まれて、心霊現象を検証することになる。  いくつか心霊スポットを回るうちに、最近増えている心霊現象の原因は、霊を悪霊化させている「ボス」のせいだとわかり――  クスっと笑えながらも、ゾッとする連作短編。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です* 最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

少年騎士

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

処理中です...