手のひらサイズの無限の世界〜初恋と青春は鍵付きで〜

せいとも

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第九章

初デート⁇①

 充実した毎日を過ごしていると日が経つのはあっという間で、夏休みも後半になっていた。

 お盆に日帰りで祖父母の家に行き、改めて由奈の中学入学のお祝いをしてもらった。この日ばかりは受験生の姉も一緒に行ったが、それ以外はほぼ毎日塾に行っている。あと二年後には同じ立場になるのだと思うと受験生にはなりたくない。

 水族館へのデート?の約束は、交換ノートのやり取りですでに待ち合わせ場所と時間は決まっている。

 スマホがあれば一瞬で連絡が取れるし、当日着いてからでも連絡を取り合うことができるが、持っていないと細かく事前に決めておく必要があるのだと気づいた。

 小学生の頃は、親を通しての約束か公園で何時と曖昧な約束だった。それはそれで良かったのだ。携帯やスマホがなかった時代はどうしていたのだろうか?

「ねえねえお母さんが中学生の頃ってスマホなかったんでしょう?」
「なかったわね」
「どうやって約束してたの?」
「何時にどこでって待ち合わせしてたわよ。いつからだったか、ガラケーを持ち始めてメールで連絡に変わった気がするわ。でも繋がらない場所も多かったし、今よりもしっかり時間と場所を決めて約束してたわよ」
「おばあちゃん達の時代はどうしていたんだろう?」
「待ち合わせするしかないわね」
「遅れた時なんて連絡出来ないよね?」
「今よりもっと時間にきっちりしていたのかもね。今は、遅れても連絡出来てしまうから……」
「不便だっただろうね」
「元々なかったんだから、それが普通で不便だと思うこともなかったでしょう。どこに行っても公衆電話があったし、家の電話に掛けることもできたしね。今の方が、どこにいても連絡出来てしまうから、ある意味窮屈なのかもしれないわよ」

 母の意見を聞き納得する部分もある。スマホがあるから見るし連絡が来る。元からない世界だと気にすることもないのだ。

「ガラケーの前は、ポケベルってアイテムもあったのよ」
「ポケベル?何それ」
「ポケットベルって言うんだけど、お母さんより少し上のいとこが持ってたの。カードサイズの機械にメッセージが届くの」
「どうやって?」
「家の電話とか公衆電話とかから、ポケベルの番号に電話して、メッセージを番号で打ち込んでいくのよ」
「番号?」
「そう。『11』と打ったら『あ』になって、『12』と打ったら『い』、『21』は『か』ね」



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