手のひらサイズの無限の世界〜初恋と青春は鍵付きで〜

せいとも

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第九章

初デート⁇⑩

 イルカショーが終わって会場を出た。自然に手は繋がれる。

「お昼過ぎてるし、お腹空いたよね?」
「あ、うん」
「フードコートがあるみたいだからそこでいい?」
「うん」
「行こう」

 優柔不断な由奈は何でも決めることが苦手だが、瑞希といると引っ張ってくれるのでとても心地よい。かと言って無理強いするわけではないところが、完璧だと思う。

 小学生の頃からモテモテだったが、共学の中学校に行っていたら大変なことになっていただろう。学校は離れだが、男子校で良かったと改めて思う。

 フードコートは、お昼を過ぎた時間でポツポツと空いている席がある。

「由奈ちゃんは何にする?」

 バーガーに、ラーメン、オムライス、どんぶり、うどんと、水族館の中とは思えない充実したラインナップだが、優柔不断の由奈には選択肢が多すぎて悩んでしまう。

「どれにしよう……」
「決まらない?」
「うん……」
「僕は、バーガーにしようと思うんだけど、一緒にしない?」
「うん!」

 昔から優柔不断な由奈のことを、幼馴染みの瑞希は覚えていてくれたのかもしれない。

 ふたり仲良くバーガーのセットを買い、空いている席に座った。瑞希のトレーにはバーガーが二つ乗っている。

「バーガー二つも食べられる?」
「余裕だよ」
「かなり背は伸びたみたいだけど、細いからあまり食べないのかと思った」
「細く見られるけど、そんなに細くないよ。中学校でバレー部に入ってから、食べる量がかなり増えて母さんも驚いてる」
「そうなんだ。男子の食事って想像できない」
「由奈ちゃんは姉妹だもんね」
「うん」
「由香ちゃんは元気?」
「この夏は塾ばっかりだよ」
「そっか、受験生なのか」
「うん。志望校も決めたみたいで頑張ってるよ」
「由奈ちゃんは卒業式の日、看護師になりたいって言ってたね」
「うん」

 覚えてくれていたことが嬉しい。バーガーを食べながらも、進路についての話になる。

「おばあちゃんが入院した時の看護師さん達に憧れて」
「そうなんだ。じゃあ、高校から看護科のあるところに行くの?」
「まだこれからかな……」






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