36 / 66
第九章
初デート⁇⑩
しおりを挟む
イルカショーが終わって会場を出た。自然に手は繋がれる。
「お昼過ぎてるし、お腹空いたよね?」
「あ、うん」
「フードコートがあるみたいだからそこでいい?」
「うん」
「行こう」
優柔不断な由奈は何でも決めることが苦手だが、瑞希といると引っ張ってくれるのでとても心地よい。かと言って無理強いするわけではないところが、完璧だと思う。
小学生の頃からモテモテだったが、共学の中学校に行っていたら大変なことになっていただろう。学校は離れだが、男子校で良かったと改めて思う。
フードコートは、お昼を過ぎた時間でポツポツと空いている席がある。
「由奈ちゃんは何にする?」
バーガーに、ラーメン、オムライス、どんぶり、うどんと、水族館の中とは思えない充実したラインナップだが、優柔不断の由奈には選択肢が多すぎて悩んでしまう。
「どれにしよう……」
「決まらない?」
「うん……」
「僕は、バーガーにしようと思うんだけど、一緒にしない?」
「うん!」
昔から優柔不断な由奈のことを、幼馴染みの瑞希は覚えていてくれたのかもしれない。
ふたり仲良くバーガーのセットを買い、空いている席に座った。瑞希のトレーにはバーガーが二つ乗っている。
「バーガー二つも食べられる?」
「余裕だよ」
「かなり背は伸びたみたいだけど、細いからあまり食べないのかと思った」
「細く見られるけど、そんなに細くないよ。中学校でバレー部に入ってから、食べる量がかなり増えて母さんも驚いてる」
「そうなんだ。男子の食事って想像できない」
「由奈ちゃんは姉妹だもんね」
「うん」
「由香ちゃんは元気?」
「この夏は塾ばっかりだよ」
「そっか、受験生なのか」
「うん。志望校も決めたみたいで頑張ってるよ」
「由奈ちゃんは卒業式の日、看護師になりたいって言ってたね」
「うん」
覚えてくれていたことが嬉しい。バーガーを食べながらも、進路についての話になる。
「おばあちゃんが入院した時の看護師さん達に憧れて」
「そうなんだ。じゃあ、高校から看護科のあるところに行くの?」
「まだこれからかな……」
「お昼過ぎてるし、お腹空いたよね?」
「あ、うん」
「フードコートがあるみたいだからそこでいい?」
「うん」
「行こう」
優柔不断な由奈は何でも決めることが苦手だが、瑞希といると引っ張ってくれるのでとても心地よい。かと言って無理強いするわけではないところが、完璧だと思う。
小学生の頃からモテモテだったが、共学の中学校に行っていたら大変なことになっていただろう。学校は離れだが、男子校で良かったと改めて思う。
フードコートは、お昼を過ぎた時間でポツポツと空いている席がある。
「由奈ちゃんは何にする?」
バーガーに、ラーメン、オムライス、どんぶり、うどんと、水族館の中とは思えない充実したラインナップだが、優柔不断の由奈には選択肢が多すぎて悩んでしまう。
「どれにしよう……」
「決まらない?」
「うん……」
「僕は、バーガーにしようと思うんだけど、一緒にしない?」
「うん!」
昔から優柔不断な由奈のことを、幼馴染みの瑞希は覚えていてくれたのかもしれない。
ふたり仲良くバーガーのセットを買い、空いている席に座った。瑞希のトレーにはバーガーが二つ乗っている。
「バーガー二つも食べられる?」
「余裕だよ」
「かなり背は伸びたみたいだけど、細いからあまり食べないのかと思った」
「細く見られるけど、そんなに細くないよ。中学校でバレー部に入ってから、食べる量がかなり増えて母さんも驚いてる」
「そうなんだ。男子の食事って想像できない」
「由奈ちゃんは姉妹だもんね」
「うん」
「由香ちゃんは元気?」
「この夏は塾ばっかりだよ」
「そっか、受験生なのか」
「うん。志望校も決めたみたいで頑張ってるよ」
「由奈ちゃんは卒業式の日、看護師になりたいって言ってたね」
「うん」
覚えてくれていたことが嬉しい。バーガーを食べながらも、進路についての話になる。
「おばあちゃんが入院した時の看護師さん達に憧れて」
「そうなんだ。じゃあ、高校から看護科のあるところに行くの?」
「まだこれからかな……」
0
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる