50 / 66
第十二章
文化祭⑦
幕の向こう側が気にはなるが、とにかく今はこちらに集中するしかない。
でも、瑞希の存在は気になる……。
瑞希もきっと忙しい中で、わざわざ文化祭を見に来てくれたんだと思うと、今度は心配よりも嬉しさが滲み出てくる。恥ずかしくない演奏をしなくてはと気合いが入る。
時間になり、吹奏楽部が紹介される。
そして――。
幕が上がりいよいよ三年生の集大成の演奏が始まる。
舞台上から見下ろすと、前方右端に母と瑞希の姿が見えた。クラスメイトの姿もチラホラ見えるが、瑞希を見て大騒ぎしていたはずの真子達の姿は舞台からは確認できなかった。
客席から指揮者に視線を移し、スタンバイする。体育館内に響いていた拍手もやみ、シンと静まり返った。
さあ、始まりだ――。
振り下ろされる指揮棒を合図に、迫力のある音が体育館全体に響き渡る。
そこからは、体育館全体を魅了する。
クラッシックからアニメの曲まで、引退する先輩達によって選ばれた幅広い年代に楽しんでもらえる曲を演奏していく。
最後の一音が会場に響き、指揮者によって締めくくられる。
体育館からは、大きな拍手が響き渡り、三年生の先輩の両親が涙を流している姿も見える。由奈の母も、目元を拭っている。
やり遂げた達成感と、間違わなかった安堵と、何よりもこれで先輩が引退する寂しさとが一気に押し寄せる。先輩達からもすすり泣く声が聞こえてきた。
頑張って来た分だけ、涙が流れるのだろう。由奈も二年後、達成感に涙を流したいと思った。
拍手のなか幕が下り、すぐに片づけて次の部に交代しなくてはならない。感傷に浸る暇はない。
それぞれの楽器を持ち、音楽室に戻った。
「お疲れ様。素晴らしい演奏だったと思う。三年生は今日で最後だが、自信を持って次のステージに進んでくれ。先生は、君達を応援している」
「「「はい!ありがとうございました」」」
顧問から三年生へのエールの言葉が送られる。
今は、みんな晴れやかな顔をしている。先輩達の築いてくれた吹奏楽部を受け継いでいきたい。
でも、瑞希の存在は気になる……。
瑞希もきっと忙しい中で、わざわざ文化祭を見に来てくれたんだと思うと、今度は心配よりも嬉しさが滲み出てくる。恥ずかしくない演奏をしなくてはと気合いが入る。
時間になり、吹奏楽部が紹介される。
そして――。
幕が上がりいよいよ三年生の集大成の演奏が始まる。
舞台上から見下ろすと、前方右端に母と瑞希の姿が見えた。クラスメイトの姿もチラホラ見えるが、瑞希を見て大騒ぎしていたはずの真子達の姿は舞台からは確認できなかった。
客席から指揮者に視線を移し、スタンバイする。体育館内に響いていた拍手もやみ、シンと静まり返った。
さあ、始まりだ――。
振り下ろされる指揮棒を合図に、迫力のある音が体育館全体に響き渡る。
そこからは、体育館全体を魅了する。
クラッシックからアニメの曲まで、引退する先輩達によって選ばれた幅広い年代に楽しんでもらえる曲を演奏していく。
最後の一音が会場に響き、指揮者によって締めくくられる。
体育館からは、大きな拍手が響き渡り、三年生の先輩の両親が涙を流している姿も見える。由奈の母も、目元を拭っている。
やり遂げた達成感と、間違わなかった安堵と、何よりもこれで先輩が引退する寂しさとが一気に押し寄せる。先輩達からもすすり泣く声が聞こえてきた。
頑張って来た分だけ、涙が流れるのだろう。由奈も二年後、達成感に涙を流したいと思った。
拍手のなか幕が下り、すぐに片づけて次の部に交代しなくてはならない。感傷に浸る暇はない。
それぞれの楽器を持ち、音楽室に戻った。
「お疲れ様。素晴らしい演奏だったと思う。三年生は今日で最後だが、自信を持って次のステージに進んでくれ。先生は、君達を応援している」
「「「はい!ありがとうございました」」」
顧問から三年生へのエールの言葉が送られる。
今は、みんな晴れやかな顔をしている。先輩達の築いてくれた吹奏楽部を受け継いでいきたい。
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる
谷川 雅
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞 読者賞受賞作品】
「君は25歳の誕生日に異世界へ飛ばされる――準備、しておけよ」
そんなリアルすぎる夢を見たのは、中学3年・15歳の誕生日。
しかも、転移先は「魔法もあるけど生活水準は中世並み」、しかも「チート能力一切なし」!?
死ぬ気で学べ。鍛えろ。生き抜け。
目指すのは、剣道×農業×経営×工学を修めた“自己完結型万能人間”!
剣道部に転部、進学先は国立農業高校。大学では、園芸、畜産・農業経営・バイオエネルギーまで学び、最終的には油が採れるジャガイモを発見して学内ベンチャーの社長に――
そう、全部は「異世界で生きるため」!
そしてついに25歳の誕生日。目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。
武器は竹刀、知識はリアル、金は……時計を売った。
ここから始まるのは、“計画された異世界成り上がり”!
「魔法がなくても、俺には農業と剣がある――」
未来を知る少年が、10年かけて“最強の一般人”になり、異世界を生き抜く!
※「準備型転移」×「ノンチートリアル系」×「農業×剣術×起業」異色の成長譚!
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。