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第一章 黒猫の恋
【閑話】お風呂の後も甘かった
しおりを挟む「あぁそうそう……手始めに、とりあえず引っ越そっか?」
と弦が恐ろしい発言をした後、ゆっくりお風呂どころではなくなった私は、髪と身体を手早く洗い早々に浴室を出る事にした。
シャワーを浴びて浴室の扉を開けると、脱衣場にはふわふわのバスタオルを広げてにこにこ笑う弦が待ち構えていて、ドロッドロに甘やかすとの宣言通り、ここでもしっかりと甘やかされた。
「さぁ、名月。お水飲んで。そしたら、ここにきて。」
軽くタオルドライの後よく冷えた冷たいお水を手渡され、そのまま手を引かれて洗面台の前に立たされると、別のタオルで丁寧に頭と身体を拭いてくれた。
その時、ちょいちょい弦の手つきがおかしいような気がするが、気のせいだろう……と思う。
「ほら見て、名月の身体中に俺の花が咲いてるよ。」
鏡に映る弦の表情は恍としていて、幸せそうな笑みまで零している。そのまま背中に唇を滑らせ、強めに吸い付いてきた。
ピリッとした刺激が快感を呼び覚ます。
「あんっ…もう、弦!これ以上は無理ぃ……身体持たない…んっ……」
背中にちゅっちゅっとキスを落とす弦に抗議の声を上げるが、どこ吹く風な弦は構わずキスを落としている。
身体がだんだん熱くなって、背すじがゾクゾクしたと思ったら……
へくちっ!
ピタッと弦の動きが止まった。
「あ、寒かったよね……ごめん。キスマークだらけの名月につい欲情しちゃった。」
弦は慌てて私にシャツを頭から被らせ、背中からギュッと抱きしめた。
「……弦っ!弦がつけたんでしょ!も、嫌っ!」
「うんうん、俺が悪いね。ごめんね。愛してるよ?機嫌直して?」
そう言って頬にキスすると、弦は私をするりと抱き上げ寝室へ向かう。
「弦…これ恥ずかしいって……」
「ふふっ、真っ赤になっちゃって、俺の名月はほんとに可愛いね。」
弦は蕩ける笑顔を向け、顔中にキスを落としてくる。私は恥ずかしさに真っ赤になって、弦からのキスを受けるのが精一杯だ。
もう、甘いよ……弦が甘すぎるよ……
そして、今、弦は嬉々として、甲斐甲斐しく私の髪にドライヤーをかけている。
「名月が俺のシャツを着てて、名月から俺と同じ匂いがしてる……どうしよう……堪らないんだけど…」
ドライヤーをかけながら、またまた不穏なことを口にしだした弦の手つきが、これまた徐々に怪しくなってきたところで、私のお腹が轟音を響かせながら鳴った。
ぐ~きゅるるる…げこ
またまた、弦の動きがピタッと止まる。
なんか、フルフルと手が震えてる気がするんだけど……
不審に思い、背後の弦に訝しげな視線を送ると、もう我慢出来ないとばかりに弦が盛大に吹き出した。
「ふっは!…ごめんごめん、お腹すいたよね?俺朝は食べないから、ご飯のことすっかり失念してたよ。これからは一緒に朝ごはん食べるようにするね。」
うわぁ、これは恥ずかしい…カッと顔が熱くなる。茹でダコどころでは無い程に真っ赤になった自覚がある。
弦は笑いながら、恥ずかしくて真っ赤になった私の頭をぽんぽんと撫でた。
「そろそろ名月の服も乾く頃だから、下のカフェでブランチにしよっか。」
ブランチ!その提案大賛成です!
目を輝かせて弦の方を見ると、にっこりと綺麗な笑顔で、弦は続けた。
「その後に、名月の部屋に荷物とりにいこうね?」
あ、やっぱりそっちの話は継続中なのね……
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