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1章
8話
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「.....私もまだ信じられないのですが、....ここは、私の居た世界とは違うようなのです....」
なんとなく想像はしていたがやはり直接聞くと有り得ない、という思いが勝ってしまう。
「....ちなみに、ここに来る前にいた国の名前は?」
「っ、信じてくれるんですか?」
「あー、正直完全に信じたわけじゃない。...ただ、車と携帯知らない奴はこの国じゃいねえからな」
「そう、なのですね....。私のいた国はオルランドといいます」
オルランド....聞いたことねえな。
一応携帯で調べてみるがオーランドしかヒットせず、他は人名やお店の名前ばかりだ。
「.....残念ながらオルランドって国はねえな」
「.....やはりそうですか....」
「そういえばあそこで倒れる前の記憶はあるって言ってたよな?」
「ええ...。魔物討伐のためユグドラの森に居たのですが、報告より魔物の数が多く囲まれてしまって....。その時、死んだと思ったのです」
「!?」
「....ですが生きていたのでてっきりリツさんが治癒をしてくださったのかと」
待て待て、情報が多すぎる。
魔物なんてほんとにいんのか?そもそも傷なんてひとつもなかったぞ...?そんでもって——
「治癒って....。そんな魔法みたいなことできるわけないだろ」
「え....、この国では魔法が使えないのですか?」
「まて...、この国ではってことは....」
「はい。私の国ではほとんどの方が魔法を使えます」
「.....嘘だろ....。じゃあお前も使えるのか?」
「....いえ。私は使えません。魔法は体内にある魔力を込めることで使えるのですが私にはその魔力がないのです」
「全くないのか?」
「はい。髪と瞳に2つの色を持つ者は生まれつき魔力がないのです」
「へぇ~。綺麗さと引き換えってことなのかね」
俺の言葉にミィーファは驚いたように目をしばたたかせた。
「ふふっ、私の国でその様なことを言う人はいませんよ。...この色は嫌忌されているので」
「あ?なんでだよ」
「オルランドでは生活する上で魔力は欠かせないものなんです。お風呂に入る時や食事を作るときも魔力が必要なので。その度に人に迷惑をかけることになってしまうので嫌忌されるのも当然ですよ」
....なるほどね。
「....わからんでもないが、人なんて生きてるだけで他人に迷惑かける生き物だろ。お前の場合はたまたまそれが魔力のことだったってだけで」
そう言った途端、ミィーファの顔がくしゃりと歪んだ。
「っ、....ありがとうございます。助けてくださったのがリツさんでよかったです」
真っ直ぐに目を見据え、恥ずかしげもなく言った。
「あー....、話逸れたな...。つまり、なんでかわからんが日本に居たってことだよな。....魔法があるなら転移魔法とか?」
「いえ...。その様な魔法はありません」
「....そうか。じゃあ完全にわかんねえってことだな....」
あまりに突拍子もない話だがなぜか先程よりも信じている自分に驚いた。
「うっし、行くか」
「え....どこへ...?」
「ダチんとこ。ここで悩んでても解決策出ねえし行くぞ」
「は、はぁ....。ダチ...?」
混乱しているミィーファを問答無用で連れ出した。
知樹のバーまでは歩いて約15分。
だがミィーファを歩かせるのがなんか不安でバイクで行くことにした。
メットを被れば顔も隠れるため一石二鳥だ。
「....これは、車とは違うのですか...?」
「ああ、これはバイクだ。なるべくゆっくり走るがちゃんと捕まってろよ」
「わ、わかりました....」
「もっと腹の方まで腕回せ」
「こうですか?」
「それでいい。行くぞ」
エンジンをかけると音に驚いたのか腹に回っている腕にきゅっと力がこもった。
なんとなく想像はしていたがやはり直接聞くと有り得ない、という思いが勝ってしまう。
「....ちなみに、ここに来る前にいた国の名前は?」
「っ、信じてくれるんですか?」
「あー、正直完全に信じたわけじゃない。...ただ、車と携帯知らない奴はこの国じゃいねえからな」
「そう、なのですね....。私のいた国はオルランドといいます」
オルランド....聞いたことねえな。
一応携帯で調べてみるがオーランドしかヒットせず、他は人名やお店の名前ばかりだ。
「.....残念ながらオルランドって国はねえな」
「.....やはりそうですか....」
「そういえばあそこで倒れる前の記憶はあるって言ってたよな?」
「ええ...。魔物討伐のためユグドラの森に居たのですが、報告より魔物の数が多く囲まれてしまって....。その時、死んだと思ったのです」
「!?」
「....ですが生きていたのでてっきりリツさんが治癒をしてくださったのかと」
待て待て、情報が多すぎる。
魔物なんてほんとにいんのか?そもそも傷なんてひとつもなかったぞ...?そんでもって——
「治癒って....。そんな魔法みたいなことできるわけないだろ」
「え....、この国では魔法が使えないのですか?」
「まて...、この国ではってことは....」
「はい。私の国ではほとんどの方が魔法を使えます」
「.....嘘だろ....。じゃあお前も使えるのか?」
「....いえ。私は使えません。魔法は体内にある魔力を込めることで使えるのですが私にはその魔力がないのです」
「全くないのか?」
「はい。髪と瞳に2つの色を持つ者は生まれつき魔力がないのです」
「へぇ~。綺麗さと引き換えってことなのかね」
俺の言葉にミィーファは驚いたように目をしばたたかせた。
「ふふっ、私の国でその様なことを言う人はいませんよ。...この色は嫌忌されているので」
「あ?なんでだよ」
「オルランドでは生活する上で魔力は欠かせないものなんです。お風呂に入る時や食事を作るときも魔力が必要なので。その度に人に迷惑をかけることになってしまうので嫌忌されるのも当然ですよ」
....なるほどね。
「....わからんでもないが、人なんて生きてるだけで他人に迷惑かける生き物だろ。お前の場合はたまたまそれが魔力のことだったってだけで」
そう言った途端、ミィーファの顔がくしゃりと歪んだ。
「っ、....ありがとうございます。助けてくださったのがリツさんでよかったです」
真っ直ぐに目を見据え、恥ずかしげもなく言った。
「あー....、話逸れたな...。つまり、なんでかわからんが日本に居たってことだよな。....魔法があるなら転移魔法とか?」
「いえ...。その様な魔法はありません」
「....そうか。じゃあ完全にわかんねえってことだな....」
あまりに突拍子もない話だがなぜか先程よりも信じている自分に驚いた。
「うっし、行くか」
「え....どこへ...?」
「ダチんとこ。ここで悩んでても解決策出ねえし行くぞ」
「は、はぁ....。ダチ...?」
混乱しているミィーファを問答無用で連れ出した。
知樹のバーまでは歩いて約15分。
だがミィーファを歩かせるのがなんか不安でバイクで行くことにした。
メットを被れば顔も隠れるため一石二鳥だ。
「....これは、車とは違うのですか...?」
「ああ、これはバイクだ。なるべくゆっくり走るがちゃんと捕まってろよ」
「わ、わかりました....」
「もっと腹の方まで腕回せ」
「こうですか?」
「それでいい。行くぞ」
エンジンをかけると音に驚いたのか腹に回っている腕にきゅっと力がこもった。
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