魔力のいらない世界であなたと

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1章

15話

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「んもー、いいとこだったのに」

渋々ベッドから降り、下半身丸出しのままインターホンへ向かう。

そのまま出るのかと思ったがなにやら操作して戻ってきた。

「...出なくていいのか....?」

「邪魔されたくないから音切ってきたよ。これでゆっくりできるね」

助かったと思ったのも一瞬で再び後孔へ当てがわれ先端がぬぷりと埋められていく。

ぎゅっと目を閉じた時だった。


ガッシャーン!!


今度はガラスの割れる音が響き渡った。

「は!?なに!?」

さすがに男もこれには驚いたのかすぐにベッドから降りてスタンガンを持つ。

どうやらベランダのガラスが割れたようでレースのカーテンが風でゆらゆらと揺れている。

カーテンの向こうから現れたのはミィーファだった。

は?どうしてあいつがここに!?

「あんた律さんにつきまとってるやつだろ!どうやって入ってきたんだよ!」

「つきまとっていたのはあなたでしょう」

ミィーファは俺と目が合うと綺麗な瞳をキッと細め男を睨みつけた。

男はバチバチとスタンガンを鳴らしながらミィーファへ襲いかかる。

危ない!

そう声を上げる前にミィーファは危なげなく避け、次の瞬間には男が床にうつ伏せで倒れた。

は....?今なんかやったのか....?

速すぎてなにも見えなかった。

え、めちゃくちゃ強くね?さすが副団長様....。
とりあえず助かった....。

ミィーファは男を近くにあった縄で縛り上げた。
なぜ縄があったのか....考えるのはやめよう。

「律さん!!」

ミィーファが駆け寄ってきた。

うわ、今更だがあいつにこの姿を見られるのはきつい。
こんなみっともない姿は見せたくなかった。

「遅くなってすみません....」

いや、むしろ早い気がするんだが。
なんでここがわかったんだ?

服は全部はだけられているだけだったのでそれを正そうとしてくれたが、先に手枷を解いてくれるように頼んだ。

足枷を外してもらっている間に自分で服を正す。

「ありがとう」

「....いえ、無事でよかったです」

「なんでここがわかったんだ?」

「トモキさんがデンワで"下の階"と言っているのが聞こえたと。マンション前に律さんのケイタイが落ちていたのでトモキさんがケイサツに連絡してくれたんですが....。その....いても立ってもいられず....」

単独乗り込んできたってわけね....。
間違ってたらどうするつもりだったんだよ...。まあお陰で助かったけど。
ってことはさっきの来客は警察だったのか?

ベッドから立ちあがろうとしたら脚に力が入らず叶わなかった。

その直後、玄関の方でガチャガチャと音が聞こえ、即座にミィーファが守る様に俺の前を塞ぐ。

「杉下さーん?」

あの男の名字だろうか。何人かの足音が聞こえ、警察の制服を纏った男の人が2人入ってきた。

「杉下さん!?」

縛られてぐったりしている男に警察官の1人が近づく。

「大丈夫ですか!?」

もう1人は周囲を警戒しつつこちらへ声をなげた。

「あー、はい」

一応。

とりあえず警察署でまとめて話を聞くということになったのだがまだ脚に力が入ってくれない。

「すんません、もうちょっと待ってください....」

すでに男は連れていかれている。
早く、とは思っているのだが自分の意思ではどうしようもない。

「私が下まで連れて行きます」

ミィーファがそう言ったかと思うとふわりと身体が浮いた。

「!?おいっ、これはやめろっ」

軽々と横抱きされてしまいさすがに慌てる。

「わっ、暴れないでくだっ....!」

「いいから下ろせ!」

「わかりましたからっ、暴れないでっ」

下ろしてもらうとようやく少し脚に力が戻り、肩を借りれば歩けるようになったのでそのままミィーファの肩を借りた。


警察署で起こった事を全て話した。
どうやらノエルというやつは度々悪質なストーカーを繰り返していたらしい。

まさか自分がストーカーをされるとは思わず全く気付かなかったが、ずっと後をつけられていたようだ。

盗聴器が仕掛けられているかもしれないから、と部屋の捜査をしてくれるようで今日はホテルに泊まった方がいいと言われた。

"盗聴器"という日常ではほとんど使わない単語が自分の家にあるかもしれないと思うと嫌悪感が込み上げる。

「...あの、あいつはどうなるんですか?」

ミィーファとは別の部屋で聴取を受けていたので状況が全くわからない。
不法侵入と器物損壊.....だよな....。
でもそれは俺を助けるためであって。

現に警察もガラスの割れる音を聞いたから入ったと言っていたし、ミィーファが来なければ確実にヤられていた。

「俺を助けるためだったんです。もちろん割ったガラスは弁償しますから、どうか大目に見てやってもらえませんか」

お願いします。と頭を下げれば警察官は慌てたように言った。

「頭を上げてください。見たところ本当に助けるためだったようですし、本人が反省しているのなら大事にはならないかと。ただ、ああいったことは大変危険ですので今後はしないよう、あなたからもお伝えください」

その言葉にほっと息をつく。

「わかりました。ありがとうございます」


なんだかんだで結局警察署を出たのは午前0時を少し過ぎた頃だった。

ミィーファの聴取も同じくらいに終わり、厳重注意で済んだようだ。

ホテルが決まっているようでしたら送ります、と警察官の方が言ってくれたのでお言葉に甘えることにした。

「お前はバーに送ってもらえ」

ミィーファにそう告げるとばっと手をとり真っ直ぐに俺を見据えてきた。

「今日だけでもいいですから、側に居させてもらえませんか」

待て待て待て、そのセリフはいかん。
人が居る前で言うセリフじゃない!

チラリと警察官を窺うと驚いたように目を丸くしている。

ですよね。俺もびっくりだわ。

「....わかったから離せ。あと、その言い方は誤解を招くからやめろ」

少し気まずい雰囲気のままホテルまで送ってもらうことになった。
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