ボスルートがあるなんて聞いてない!

文字の大きさ
5 / 38

4.初めての薬草採取!

しおりを挟む
 教えてもらった採取場所は、西門から出て少し歩いた森の中で、おっさんと一緒に通ってきた道が遠目に見える所だった。


 魔物については一安心なんだけど........、肝心の薬草を見つけるのが難しい...!見た目が似たような葉っぱだらけで見分けがつかない。それでもようやく一つ見つけたのだが.....これめっちゃ時間かからん?辛すぎ。

「なあ、ブルー、ブルーはこの薬草見分けつく?」

『いえ。ですが取り込めばわかります』

「マジ!?じゃあこれ取り込んで!そんで生えてるとこ教えて!」

『わかりました』

 ブルーに手伝ってもらったら、さっきまで見つからなかったのが嘘のようにぽんぽん見つけてくれる。ブルーがいてくれてよかった!
 そして、ノルマの半分くらい採取を終えたところでブルーが俺を呼んだ。

『マスター』

「どうした?」

『魔物です』

「えっ」

 どこだどこだと見回すと、100m程先にぼよんぼよんとした物体が見えた。スライムだ。
 このまま放っておいてもよさそうだけど、テイムできる条件とか数とか知っておきたいしな。

 近づいてもブルーの時と同様で襲ってきたりはせず、ぼよんぼよんと上下に動いているだけ。
 ....やばいな。ブルーを見てるからか愛着まで湧いてきたぞ。今後スライムは倒せないな...。

 ブルー曰く、テイムする時にあげる物は取り込められればなんでもいいんじゃないか、ということだった。ブルーもテイムされるのは初めてなので定かでは無いが。ま、やってみるしかないよね!
 因みに自分より大きい物は取り込めないらしい。


 試しに採取した薬草をあげてみた。
 やっぱり同じように匂いを嗅ぐ仕草をしてから取り込んだ。

 ..........テイムできたか?

『はいマスター』

「!?」

 え?俺今声出してないよな!?

『はいマスター。念話できるので発声は必要ありません』

 え!そうなのか!

『すみません、マスター。伝え忘れていました』

 ブルーが申し訳なさそうに言った。心なしか萎んでないか?可愛いんだけど。

「いいよいいよ。あの時は時間なかったし。ゆっくり知って行けばいいよ」

 慰めるように撫でてやると、先程の失敗を取り戻すためか早口でまくし立てる。

『マスター!他にも合体できたり、小さくなったりもできます!』

 激しく上下にぼよんぼよんしたかと思えば、さっきテイムしたばかりのスライムに体当たりするように体をくっつけた。するとむにょん、と体が重なり、どんどん一体化していく。あっという間に一体のスライムになり、俺の膝程まであった体は1.5倍くらいになった。

「おお!」

 感心していると今度はみるみる体が縮んでいく。すっかり小さくなった体はソフトボールくらいの大きさだ。

 て、手乗りスライム...だと!?かわいすぎるんですけどー!

「やっば!ブルー!めっちゃかわいい!街に居る時はこのサイズで俺の肩に乗っててよ!」

 ブルーを持ち上げてふにふにとつつく。小さくなっても弾力と手触りは変わらないようだ。

『そっ、それはいいのですがマスター、つつきすぎでは....?』

「あ、ごめんごめん。じゃあ再開するか!」

 もう一体のスライムは"あお"と呼ぶことにした。安直だなとは思うがわからなくなるよりはいいだろ。見た目ではどっちかはわかんないんだけどね。基本は一体になってもらって、必要な時だけ分かれてもらうことにした。因み一体の時の呼び名はブルー。


 2体になったことで作業のスピードが先程より格段にに上がり、ノルマのほとんどを採取し終えた時、再びブルーが俺を呼んだ。

『マスター、人間です』

「人間?」

 俺と同じような依頼でも受けたのだろうか。気になって目を向けると木にもたれかかるようにして、こちらをにやにやしながら見ている人影があった。

「おぉ、ようやく気づいたか」

「げっ」

 いつから居たのか知らないが、確かセロとか呼ばれていたギルドに居た男だ。思わず漏らしてしまった声に、怒ることなくむしろ笑った。それが気味悪くて少し後ずさる。ブルーとあおも合体してもらい、俺の近くへと寄らせた。

「何の用?」

「なんだよ。依頼達成できるか心配で先輩が見に来てやったんじゃねえか」

「頼んでない。それにもう終わるし」

「ははっ、そんな生意気な口利いてられんのも今のうちだぞ?」

「は?どういう———っ!?」

 いつの間にこんなに近づいたのか。50mは離れていたのに、音もなく隣に立っていた。この筋肉は伊達じゃないってわけね.....。
 咄嗟に離れようとしたが、その前に腕を掴まれてしまう。

「いっ....!」

「ほせぇ腕だな。こんなんで本当に冒険者を続けるつもりか?」

「っ、だから、危険なことはするつもりないって言ってるだろ!離せ!」

 痛い痛い!ほんとに痛いから!ってかあんたと比べたらだいたいの人が細腕になるんじゃないか!?これでもリアルの時より筋肉ついてるんだからな!

 心の中で悪態をついていると頭の中で声が響いた。

『マスター、反撃しますか?』

 いや、駄目だ。絶対手だすなよ。

『ですが....』

 俺は大丈夫だから。そこ動くなよ。

『.....わかりました』

 こいつは俺らより絶対強いし、もし反撃できたとしても大したダメージにはならない。それどころか、怒って逆にこちらが反撃をくらってしまえば、ブルーたちは一撃で倒されてしまうだろう。
 ゲームではテイムした魔物なら復活することもあるようだが、アナザー・ワールドここではどうなるかわからない。最悪の事態を避けるためにも、大人しくしているのが一番だ。

「この状況で他のことを考える余裕があるんだな」

 なにがおもしろいのか笑みをさらに深くする。

「こっちはどういう状況かさっぱりなんだけど」

 なにがしたいのかわかんないけどいい加減手離してくれないかな!?振りほどこうとしてもびくともしないし、絶対跡ついてる!

「へぇ?案外鈍いんだな。.......じゃあ、こうすればどうだ?」

「なっ!?」

 おもむろに左手を俺の服の襟に添えたと思ったら、おもいっきり下へ引っ張り、なんの躊躇いもなくびりびりと引き裂いた。

 あー!俺の一張羅!なにしてくれてんだよ!よし、わかった!嫌がらせに来たんだな!

「最っ悪。俺これしか持ってないんだけど」

「はっ、心配すんな。俺好みの新しい服買ってやるよ」

 弁償は当たり前だとしてもなんでお前好みの服なんだよ!そこは俺好みの服だろ!

「....趣味悪そうだから遠慮しとく」

「ははっ!ひでぇな。....それよりもっと狼狽えると思ったんだが....。まさか経験済みか?」

 いや、十分狼狽えてますけど。こんな経験日本でしてたまるか。そろそろ離してくれませんかね。

「気が済んだなら離せよ」

「まさか!むしろこっからが本番だろ?」

 服破っといてまだ足りないの!?まさか殴る気じゃないだろうな.....。
 なんて考えていたら足をすくわれ、強かに背中を打ちつけた。その衝撃に一瞬呼吸が止まる。

「がっ!はっ.....。いってー......。なんなんだよもう.....」

 痛みで涙が滲む。左腕は解放されていたが、すぐには動けなかった。その間に俺の上に跨り、破れた服から覗く素肌をさらりと撫でる。

「なっ、なにして!?やめろよっ!」

 殴るんじゃなかったのか!?いや、それも嫌だけど!

「やっぱいい表情かおすんなぁ。なぁ、俺んとこ来いよ。そしたら優しくするぜ?」

「はぁ?意味がわからんっ!嫌だって言ってるだろ!ってか触んなって!」

 明らかに俺のこと嫌いな感じだったのになんだこの変わりようは。殴られなかったのはよかったのだが、脇、腰、腹と豆だらけのかさついた手が這っていくのが気持ち悪い。男相手にこんなことしても楽しくないだろうに、こいつもしかして男が好きなのか?

 えっ、てことは俺今襲われかけてる?
 ようやく状況を理解した時、なぜか跨っていたセロが素早い動きで俺からどいた。
 嫌だって言ったのが伝わったのかと思ったけど、どうやら違うらしい。森の奥を睨みつけて戦闘態勢に入っている。
 なにかいるのかと俺も破れた服を片手で押さえながら立ち上がった。

 直後、森の奥から全身に黒を纏った人が音もなく現れた。

 ———えっ、なんでヴァルクが.....。

 それはセロも思ったようで、身体をわなわなと震わせながら叫んだ。

「なんでこんなところに黒の悪魔がいるんだよ!」

 ヴァルクは魔法使いメイジだ。対してセロは自身の身体に見合った大きな剣を構えている。今の間合いだと、完全にヴァルクが有利だ。それをセロもわかっているんだろう、険しい表情をしている。
 かくいう俺はそれ以前の問題だ。どちらにも敵いはしない。幸いヴァルクの目線はセロにしかいっていないようなので、ブルーたちと共にじりじりと後ずさる。

 ヴァルクが左腕を上げ、口元がぼそりと動いた直後、指先からけたたましい音とともに眩い光が走り抜けた。

「ぐあっ!!」

 セロの苦しげな声が届いた時には、地面の上で伸びていた。

 い、一撃!?今の、雷魔法だよな....。
 ちらりとヴァルクを伺うと、既に彼はこちらを見ており、目が合った。

 びくり、と身体が震えたが、逃げられるわけもなく、両腕で頭を守りながらぎゅっと目を閉じた。
 まさか、気絶イベントは必ず起こるのか!?街に入る時に気絶しなかったツケがここで回ってきたのかもしれない。

 だが、いつまで経っても衝撃はやってこない。恐る恐る目を開けてみると、思ったより近くに顔があった。

「わっ、えっ....?」

 あれ....?攻撃されない.....?
 相変わらず、無表情でなにを考えているのかは全く読めない。
 ......しかしイケメンだな。俺もイケメンに作ったつもりだったけど、全然敵わない。男らしさもあるのに、綺麗でもあるのだ。

 こんな状況にも関わらず見惚れていると、不意にヴァルクの視線が下がった。

「あっ.....」

 さっき触られた記憶が嫌でもよみがえり、びりびりに破れた服を引き寄せ、肌を隠す。
 その時、ふわりと肩になにかをかけられた。
 なんだ?黒いコート....いや、マントか。でもなんで?ヴァルクがかけてくれたようだが意図がわからない。

 顔を上げて声をかけようとした時には、長い髪を翻し、すでに背中を向けて森の奥へと歩いてしまっていた。


 え.......、もしかして、助けてくれた......?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?

銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。 王命を知られる訳にもいかず… 王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる? ※[小説家になろう]様にも掲載しています。

【完結】健康な身体に成り代わったので異世界を満喫します。

白(しろ)
BL
神様曰く、これはお節介らしい。 僕の身体は運が悪くとても脆く出来ていた。心臓の部分が。だからそろそろダメかもな、なんて思っていたある日の夢で僕は健康な身体を手に入れていた。 けれどそれは僕の身体じゃなくて、まるで天使のように綺麗な顔をした人の身体だった。 どうせ夢だ、すぐに覚めると思っていたのに夢は覚めない。それどころか感じる全てがリアルで、もしかしてこれは現実なのかもしれないと有り得ない考えに及んだとき、頭に鈴の音が響いた。 「お節介を焼くことにした。なに心配することはない。ただ、成り代わるだけさ。お前が欲しくて堪らなかった身体に」 神様らしき人の差配で、僕は僕じゃない人物として生きることになった。 これは健康な身体を手に入れた僕が、好きなように生きていくお話。 本編は三人称です。 R−18に該当するページには※を付けます。 毎日20時更新 登場人物 ラファエル・ローデン 金髪青眼の美青年。無邪気であどけなくもあるが無鉄砲で好奇心旺盛。 ある日人が変わったように活発になったことで親しい人たちを戸惑わせた。今では受け入れられている。 首筋で脈を取るのがクセ。 アルフレッド 茶髪に赤目の迫力ある男前苦労人。ラファエルの友人であり相棒。 剣の腕が立ち騎士団への入団を強く望まれていたが縛り付けられるのを嫌う性格な為断った。 神様 ガラが悪い大男。  

完結·氷の宰相の寝かしつけ係に任命されました

BL
幼い頃から心に穴が空いたような虚無感があった亮。 その穴を埋めた子を探しながら、寂しさから逃げるようにボイス配信をする日々。 そんなある日、亮は突然異世界に召喚された。 その目的は―――――― 異世界召喚された青年が美貌の宰相の寝かしつけをする話 ※小説家になろうにも掲載中

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

待て、妊活より婚活が先だ!

檸なっつ
BL
俺の自慢のバディのシオンは実は伯爵家嫡男だったらしい。 両親を亡くしている孤独なシオンに日頃から婚活を勧めていた俺だが、いよいよシオンは伯爵家を継ぐために結婚しないといけなくなった。よし、お前のためなら俺はなんだって協力するよ! ……って、え?? どこでどうなったのかシオンは婚活をすっ飛ばして妊活をし始める。……なんで相手が俺なんだよ! **ムーンライトノベルにも掲載しております**

【完結】エルフのじぃさん(900)若いオトコ(40)に求愛される! 

志麻友紀
BL
「湖のアルマティよ、あなたは美しい。その湖の色の瞳も、美しい白銀の髪も……」 「この髪は白髪なんだがな……」 「ハーフエルフのあなたは900歳。俺は40歳、人間は長く生きて100年だ。あと60年俺が生きたとしても、あと40年もあなたを未亡人のまま残していくことを思うと……」 「誰が未亡人だ!馬鹿者!」  ハーフエルフのアルマティはレジタニア国王ウーサーの求愛を以前より受けていた。ウーサーは40の男盛り、なにが悲しくて900歳のエルフのじじぃになど夢中になっているのか?と思う。 しかし10歳のときより育てた愛し子は、一向に自分を諦める気配もない。  仕方なくお試しで一度抱いてみるか? とアルマティはウーサーとひと夜を共にする。そしてウーサーが寝ているあいだに彼に自分への恋心だけを失わせる忘れ薬を飲ませるのだった。  翌日、ウーサーはアルマティと愛し合った記憶をすっかりなくしていた。アルマティもまたいつもと変わらぬ態度で彼の背を見送る。  しかし、その胸は“再び”犯した罪への記憶に囚われていた。 そう、アルマティは過去にもウーサーに自分への恋心を忘れさせる薬を飲ませたのだった。  雨の宿に閉じこめられた十日間。18の彼の情熱に押し流されるように抱かれた。そして、その記憶を奪った。  しかし、二度も忘れ薬を使ったことでウーサーは夢魔に囚われて倒れる。  アルマティは夢魔を倒すためにウーサーの夢の中へとはいる。  夢魔を倒せば彼はすべての記憶を思い出す。  勝手に恋心をうばった自分を彼は許さないに違いない。  その覚悟をもって……。 ※私的にはハッピーエンドなんですが、色々ご意見あるとおもうので、ハッピーエンドのタグはあえてつけません。でも、私のお話なのでハッピーエンドです。

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

処理中です...