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30話
バン!と勢いよくドアが開いたかと思えば何かが通り過ぎていった。
キィン!という金属音でいる場所がわかったくらい速い。
ベッドではリベルが振り下ろした剣をどこから取り出したのかノックスが短剣で防いでいた。
「リベル!」
リベルはここまで走ってきたのかまだヒート期間だからか、息が上がっている。
「っ...、なんで団長様がここにいるんだよ。....ん?もしかして、ヒートか?」
「ベラベラうるさい....っ」
「え、なに、団長様のくせに相手いないのか?」
「チッ...、二度と喋れなくしてやろうか」
「ははっ、それは勘弁してくれよ。喋れなくなったら生きてる意味なんかなくなっちまう」
ノックスはとても鍔迫り合いをしているとは思えないくらい楽しそうだ。
うん?そういえば今相手がいないって言ってなかったか....?でも、あの女の人は....?
いや、今考えるのはやめよう。とりあえず助けを呼んできた方がいいよな。
「リベル!俺誰が呼んでくる!」
「待て!」
「えっ?」
「俺から離れるな」
ドクン、と心臓が跳ねた。
「っ....、俺の剣の、届く場所にいろ」
「わ、わかった...」
届く距離がどのくらいかはわからないがとにかく部屋からは出るなってことだよな?
せめて邪魔にならないように端に移動した。
「ひゅ~。かっこいいねぇ。....それじゃあ、守ってみせろよ?」
ノックスが口笛を吹いて蹴り上げた脚をリベルは後ろに跳んで躱す。
その後は何が起こっているのかほとんどわからなかった。
キン、キンと剣がぶつかり合う音を追うので精一杯。時折止まったときに姿は見えるものの、どちらが優勢なのかは全くわからない。
それが暫く続いたかと思ったらようやく2人とも止まった。
リベルは後ろを向いているのでわからないが、ノックスはところどころに赤い線が入っている。
「おいおい、ヒートなのにこの強さか?化け物だな」
「はっ...、じきに人が来る...。その前に、っ...、引け」
「なんだよ、捕まえないのか?」
「.....今、お前を捕まえられる奴が...いない。ふっ、...それに、今はそんなことを、している場合ではない....っ...。お前も、長居はしたくない...だろ」
「....チッ、わーかったよ。あんたがいなけりゃチヒロを連れて行けたのに。ついてねえなぁ~」
リベル越しに突き刺さる視線を受け止めるとノックスの顔がにやりと歪んだ。
「チヒロ、ここが嫌になったらいつでも俺んとこ来いよ」
手をひらひらと振って黒豹になったと思ったら短剣を咥えて開け放たれていたドアから音もなく出ていった。
その直後、廊下がざわざわと騒がしくなる。
「リベル団長!ご無事ですか!?今黒豹が...!」
「....ああ、追わなくて、いい...。はぁ...、砦を出たかどうかだけ、確認しろ...」
「はっ!」
慌ただしく入ってきた獣騎士団員が、胸に手を当てまた慌ただしく出ていく。
出て行くのを見計らったかのようにリベルが剣を杖にしてがくっと膝を折った。
「リベル!?大丈夫か!?ケガは...?」
慌てて駆け寄るがかすり傷程度で大きな傷はなさそうだ。
「はぁ...、大丈夫だ....」
「よかった...。助けてくれてありがとう」
「っ..、当然だ。....それより、離れろ」
「っ!またそれかよっ。...俺じゃなんの役にも立たない?」
「くっ...、そうじゃ、ない....っ」
「じゃあ頼れよ!...さっきノックスが相手いないって言ってたけど...本当か?」
「....?ああ....」
その言葉に、ただほっとした。これで相手が女の人ならもう好きだと認めてるだろう。
でも相手は男だ。今まで男の人を好きになったこともないし、なるとも思っていなかった。
この感情は本当に恋なんだろうか。
「....リベルが嫌じゃなければだけど、それ、俺じゃダメ...?」
「.................は?」
けっこう大胆なことを言った自覚はある。でも触ることに抵抗があればやっぱり恋じゃないってわかるし、試してみたい。
もちろんリベルの役に立ちたいのもあるけど。
ただ、なかなか反応してくれず、恥ずかしさがどっと押し寄せてきた。
な、なんで無言!?やっぱ嫌だったとか...!?
「や、やっぱりなんでもない!今のは忘れ——んんっ」
これ以上の無言には耐えられない、と撤回しようとしたら後頭部に手が回されてぐいっと引き寄せられ、まるで噛みつくようなキスをされた。
あまりにも激しく、いつ息をすればいいのかもよくわからない。
「んっ...は、ぁ...んんっ...」
突然のキスに驚いたものの、無視されるよりよっぽどいい。
いや、むしろ嬉しいかもしれない。
いつの間にか抱きかかえられていた。その間もキスが止むことはなく、ぎこちなくそれに応えるとさらに深さが増す。
いい加減息が苦しくなってきたとき、どさりとベッドに下ろされようやく顔が離れた。
その時、リベルとの間に銀糸が引くのが見え、かあっと顔が熱くなる。
「.....お前、俺がどんだけ我慢してやったと思ってんだ」
「へ...?」
が、我慢...?なんか怒ってる...?
「手加減なんてしてやれないからな。覚悟しろよ」
なんか怖いんですけど!?ちょっと目据わってません!?
「手加減ってどういう....、わっ!ちょ、なんで俺が脱がされてんの!?」
あっという間に下着まで脱がされてしまった。
俺が抜くのを手伝うって話だったよな!?
リベルは先程よりも息を荒げもはやこちらの声が聞こえているかも怪しい。
もしかして俺、早まった....?
キィン!という金属音でいる場所がわかったくらい速い。
ベッドではリベルが振り下ろした剣をどこから取り出したのかノックスが短剣で防いでいた。
「リベル!」
リベルはここまで走ってきたのかまだヒート期間だからか、息が上がっている。
「っ...、なんで団長様がここにいるんだよ。....ん?もしかして、ヒートか?」
「ベラベラうるさい....っ」
「え、なに、団長様のくせに相手いないのか?」
「チッ...、二度と喋れなくしてやろうか」
「ははっ、それは勘弁してくれよ。喋れなくなったら生きてる意味なんかなくなっちまう」
ノックスはとても鍔迫り合いをしているとは思えないくらい楽しそうだ。
うん?そういえば今相手がいないって言ってなかったか....?でも、あの女の人は....?
いや、今考えるのはやめよう。とりあえず助けを呼んできた方がいいよな。
「リベル!俺誰が呼んでくる!」
「待て!」
「えっ?」
「俺から離れるな」
ドクン、と心臓が跳ねた。
「っ....、俺の剣の、届く場所にいろ」
「わ、わかった...」
届く距離がどのくらいかはわからないがとにかく部屋からは出るなってことだよな?
せめて邪魔にならないように端に移動した。
「ひゅ~。かっこいいねぇ。....それじゃあ、守ってみせろよ?」
ノックスが口笛を吹いて蹴り上げた脚をリベルは後ろに跳んで躱す。
その後は何が起こっているのかほとんどわからなかった。
キン、キンと剣がぶつかり合う音を追うので精一杯。時折止まったときに姿は見えるものの、どちらが優勢なのかは全くわからない。
それが暫く続いたかと思ったらようやく2人とも止まった。
リベルは後ろを向いているのでわからないが、ノックスはところどころに赤い線が入っている。
「おいおい、ヒートなのにこの強さか?化け物だな」
「はっ...、じきに人が来る...。その前に、っ...、引け」
「なんだよ、捕まえないのか?」
「.....今、お前を捕まえられる奴が...いない。ふっ、...それに、今はそんなことを、している場合ではない....っ...。お前も、長居はしたくない...だろ」
「....チッ、わーかったよ。あんたがいなけりゃチヒロを連れて行けたのに。ついてねえなぁ~」
リベル越しに突き刺さる視線を受け止めるとノックスの顔がにやりと歪んだ。
「チヒロ、ここが嫌になったらいつでも俺んとこ来いよ」
手をひらひらと振って黒豹になったと思ったら短剣を咥えて開け放たれていたドアから音もなく出ていった。
その直後、廊下がざわざわと騒がしくなる。
「リベル団長!ご無事ですか!?今黒豹が...!」
「....ああ、追わなくて、いい...。はぁ...、砦を出たかどうかだけ、確認しろ...」
「はっ!」
慌ただしく入ってきた獣騎士団員が、胸に手を当てまた慌ただしく出ていく。
出て行くのを見計らったかのようにリベルが剣を杖にしてがくっと膝を折った。
「リベル!?大丈夫か!?ケガは...?」
慌てて駆け寄るがかすり傷程度で大きな傷はなさそうだ。
「はぁ...、大丈夫だ....」
「よかった...。助けてくれてありがとう」
「っ..、当然だ。....それより、離れろ」
「っ!またそれかよっ。...俺じゃなんの役にも立たない?」
「くっ...、そうじゃ、ない....っ」
「じゃあ頼れよ!...さっきノックスが相手いないって言ってたけど...本当か?」
「....?ああ....」
その言葉に、ただほっとした。これで相手が女の人ならもう好きだと認めてるだろう。
でも相手は男だ。今まで男の人を好きになったこともないし、なるとも思っていなかった。
この感情は本当に恋なんだろうか。
「....リベルが嫌じゃなければだけど、それ、俺じゃダメ...?」
「.................は?」
けっこう大胆なことを言った自覚はある。でも触ることに抵抗があればやっぱり恋じゃないってわかるし、試してみたい。
もちろんリベルの役に立ちたいのもあるけど。
ただ、なかなか反応してくれず、恥ずかしさがどっと押し寄せてきた。
な、なんで無言!?やっぱ嫌だったとか...!?
「や、やっぱりなんでもない!今のは忘れ——んんっ」
これ以上の無言には耐えられない、と撤回しようとしたら後頭部に手が回されてぐいっと引き寄せられ、まるで噛みつくようなキスをされた。
あまりにも激しく、いつ息をすればいいのかもよくわからない。
「んっ...は、ぁ...んんっ...」
突然のキスに驚いたものの、無視されるよりよっぽどいい。
いや、むしろ嬉しいかもしれない。
いつの間にか抱きかかえられていた。その間もキスが止むことはなく、ぎこちなくそれに応えるとさらに深さが増す。
いい加減息が苦しくなってきたとき、どさりとベッドに下ろされようやく顔が離れた。
その時、リベルとの間に銀糸が引くのが見え、かあっと顔が熱くなる。
「.....お前、俺がどんだけ我慢してやったと思ってんだ」
「へ...?」
が、我慢...?なんか怒ってる...?
「手加減なんてしてやれないからな。覚悟しろよ」
なんか怖いんですけど!?ちょっと目据わってません!?
「手加減ってどういう....、わっ!ちょ、なんで俺が脱がされてんの!?」
あっという間に下着まで脱がされてしまった。
俺が抜くのを手伝うって話だったよな!?
リベルは先程よりも息を荒げもはやこちらの声が聞こえているかも怪しい。
もしかして俺、早まった....?
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