彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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一章

断章

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蔭西くんとの買い物はとても楽しいものだった。
カメラを買い、服を買った。
蔭西くんを私の服選びに連れまわすのは流石に気が引けたが
不快に思っていないようで文句ひとつ言わずに付き合ってくれる。
思わず嬉しくなってしまいファッションショーのようにいろいろな服を着ては蔭西くんに見せ、
買おうかどうか悩んでいた。
しかし、結局一着だけをもう一度着てみようということになった。

「どう?」
「可愛いよ。とてもよく似合ってる」

可愛いよ…。
その言葉を聞き、照れそうになる。

「よし、じゃあ買ってくる」

そう言ってなんとか誤魔化しながら私はレジに向かう。


帰りの電車の降り際で蔭西くんが恥ずかしそうに、そしてぶっきらぼうに

「そうだ。これ」

と言いながら可愛く包装された袋を取り出した。

「帰ったら開けてみて」
「え?プレゼント?」
「…うん」

とても、とても嬉しい。
思わず笑顔になってしまう。
嬉しいと同時に少し照れくさくもある。

「ありがとう。じゃあまた明日」

蔭西くんと離れるのが途端に寂しくなり、電車を降りてから振り返り手を振った。
電車が見えなくなり、家に帰ると私は早速もらった袋を開けた。
中に入っていたのは気になっていたピン止め。
これまでにないぐらい頬の筋肉が緩んだ。

あぁ、今日はいっぱい「嬉しい」を貰ってるなぁ。

今日の私は幸福でお腹いっぱいになった。

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初めて誰かにお弁当を作りたいと思った。
蔭西くんの喜ぶ顔をただ見たくて、作りたいと言う。
しかしいざお弁当作りに取り掛かると、いろいろな不安が浮き上がってくる。

味は濃すぎないだろうか、薄すぎないだろうか。
具材の大きさはこれくらいでいいのか。
栄養バランスはとれているか。
蔭西くんの口に合うのだろうか。

ずっとずっと不安で頭の中がぐちゃぐちゃになってしまいそう。
しかしこの不安よりもさらに強く大きい不安を抱えて、蔭西くんにお弁当を渡した。

蔭西くんに料理が下手な女と思われたらどうしよう。

お弁当を開け、一口目を蔭西くんが口に運ぶ。
しっかりと噛み、それを飲み込んだ。

「おいしい…」

そういい、蔭西くんは私の作ったお弁当を食べるスピードを加速させた。
その姿を見て、私はほっとし胸をなでおろす。

嬉しい。

ただただ嬉しい。
安堵しすぎて泣きそうなぐらいだ。
これからも蔭西くんにお弁当を作ってあげたい。
そう思った。

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