彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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一章

40話 昔話

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「少し、私の昔話をしましょう」
「はい」
「まず、私には望くん以外の友達はいませんでした」

そう言い、坂ノ宮望と書かれている所を指さした。
指をさしたところには女子としか思えないぐらいに華奢で綺麗な顔立ちの人がいた。
写真にとらえられたその笑顔は、「ピュア」という言葉を具現化したように思える。

「このころは毎日のように遊んでいました。でも、中学生になってから…」

どこか物憂い表情を浮かべ、所々言葉に詰まりながら話を続けた。

「中学生になって、いきなり距離を置かれて…」

いよいよ泣きそうな雰囲気になってきた。
それほどまでに坂ノ宮さんが好きだったのだろう。
今でもあの頃の痛みを忘れられないぐらいに。

「自分から友達を作ろうとしても、皆私のことを無視してきました」
「それは御崎家だから?」
「それもあるだろうけど、あの頃の私は結構自分の主張が激しかったのもあるかもしれません」
「あぁ」

御崎さんはパタンとアルバムを閉じ、鼻をすすった。

「はい。私の話はここまで。次はあなたの番」
「え、俺?」
「私が言ったんですから。まぁ、あなたの昔話を聞きたいから私の話をしたのだけれど」
「罪悪感に付け入るなんて…」
「それも一つの手ですよ?」
「…わかりました」

俺は渋々、自身の昔話を始めた。

「御崎さんも知っていると思いますが、蔭西家は最初は普通の家でした。なので小学校の頃はなんとも」
「それは良かったわね」
「でも、いきなり大きくなったのでマスコミに取り上げられたりして中学生の頃には友達が1人もいなくなりました。友達だけなら良かったんですが、なぜか事務的な連絡もしてくれなくて」
「それは、大変ですね。まぁあの頃は連日蔭西家の話題で持ちっきりでしたから」
「はい、終わりです」

こう言葉にしてみるとなんと味の薄いこれまでの人生。

「ふふっ。似た者同士ですね」

唐突に御崎さんが言う。

「そうですね。味のない人生をお互い送ってきてますね」
「でも、あなたのこれからはそうでもないようですけど?」
「え?」
「ずっと黙っていましたが、口角上がりっぱなしで気持ちが悪いですよ」

何を言っているんだ、と思い自分の口元を触る。
あー、御崎さんの言う通りだ。

「………」

俺は無理やり口角を下げると、御崎さんに向き直る。

「あのファミレスにいた、カメラを下げている女性と何かありました?」
「いや、まぁ…。はい」
「良かったじゃないですか。これからの人生は薔薇色ではないですか」
「…ありがとうございます」
「私にも分けてよね」

寂しそうに、そういう。

「もちろん。頼まれたのであなたの恋路を助けますよ」
「…ありがとう」

少し湿っぽい雰囲気になってしまった。
しかしそれを破るように部屋の外から「ご夕食の準備ができました」と呼びかけがあった。
実にいいタイミングだ。

俺と御崎さんは呼んでくれた給仕の方と一緒に客室へと向かう。
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