55 / 74
二章
50話 お話
しおりを挟む
授業が終わり、桜さんと一緒に下校した。
桜さんの家は駅から少し遠い小さなマンションだった。
「その、狭いけど上がって」
「お邪魔します」
そう言い、扉をくぐり桜さんの家に踏み入る。
「美智、おかえり」
同棲しているおばあちゃんだと思われる声がした。
「ただいま」
「あれ、そのカッコイイ男の人は?」
「え、っと、その、私の彼氏よ」
桜さんが照れながらも言う。
俺は改まるようにして背筋を伸ばした。
「まぁ!どうも、これからも美智をよろしくお願いします」
「えっと、蔭西箕六です」
ひとまず自己紹介をする。
「えっと、じゃあ座ってもらって」
「あ。ああ・えっと…」
俺は食卓テーブルだと思われるテーブルにある椅子に腰かけた。
「その、話したいことって言うのはおばあちゃんの事なんだけど…」
俺は台所でお茶を入れてい暮れている桜さんのおばあちゃんに目をやる。
そういえば自分は自分の叔母は叔父に会ったことがないなぁ、と思う。
「ガンが見つかったの。手術しないとダメなぐらいに進行したのが」
桜さんはいたって落ち着いてそう言った。
しかし、机の上に置かれている拳には力が込められていた。
「大丈夫なの?」
「大丈夫じゃない。でも、家にそんなお金はない。だから…」
「いいよ」
「え!?」
今の自分には、自分一人では20年あっても使いきれないぐらいのお金がある、
それに、学校に通いながら何かいい仕事をするつもりだ。
「蔭西」という苗字を使えばそんな仕事はたくさん見つかる。
「その代わりなんだけど、この家に少しの間住まわせてくれない?」
「えっ」
次は困惑したような表情を浮かべた。
それはそうだろう。
いきなり異性からそんなことを言われた困惑するどころか、まず追い出すだろう。
「俺、家を出たんだ。あてもないから…。でも、全然断ってもらっても構わない」
「いいよ」
「…本当に?」
「困ってる人は助けないと」
俺は目の前の手を無造作に掴む。
「ありがとう…。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう。お金を貸してくれるんだもん。こんなことでいいならしてあげるよ」
俺は手を離し、桜さんに向き合う。
「それに、私の彼氏だし」
「…ありがとう」
少し湿っぽい空気が流れる。
本当に自分は幸せ者だな、と同時に思う。
「えっと、じゃあ、夜ご飯作るかな!」
桜さんはそう言うと立ち上がり、台所でエプロンをした。
白色のエプロンで、桜さんにとてもよく似合う。
こうやって桜さんを見ると、なんだか新婚感があるなぁ。
などと勝手に思い、勝手に恥ずかしくなってしまった。
桜さんの家は駅から少し遠い小さなマンションだった。
「その、狭いけど上がって」
「お邪魔します」
そう言い、扉をくぐり桜さんの家に踏み入る。
「美智、おかえり」
同棲しているおばあちゃんだと思われる声がした。
「ただいま」
「あれ、そのカッコイイ男の人は?」
「え、っと、その、私の彼氏よ」
桜さんが照れながらも言う。
俺は改まるようにして背筋を伸ばした。
「まぁ!どうも、これからも美智をよろしくお願いします」
「えっと、蔭西箕六です」
ひとまず自己紹介をする。
「えっと、じゃあ座ってもらって」
「あ。ああ・えっと…」
俺は食卓テーブルだと思われるテーブルにある椅子に腰かけた。
「その、話したいことって言うのはおばあちゃんの事なんだけど…」
俺は台所でお茶を入れてい暮れている桜さんのおばあちゃんに目をやる。
そういえば自分は自分の叔母は叔父に会ったことがないなぁ、と思う。
「ガンが見つかったの。手術しないとダメなぐらいに進行したのが」
桜さんはいたって落ち着いてそう言った。
しかし、机の上に置かれている拳には力が込められていた。
「大丈夫なの?」
「大丈夫じゃない。でも、家にそんなお金はない。だから…」
「いいよ」
「え!?」
今の自分には、自分一人では20年あっても使いきれないぐらいのお金がある、
それに、学校に通いながら何かいい仕事をするつもりだ。
「蔭西」という苗字を使えばそんな仕事はたくさん見つかる。
「その代わりなんだけど、この家に少しの間住まわせてくれない?」
「えっ」
次は困惑したような表情を浮かべた。
それはそうだろう。
いきなり異性からそんなことを言われた困惑するどころか、まず追い出すだろう。
「俺、家を出たんだ。あてもないから…。でも、全然断ってもらっても構わない」
「いいよ」
「…本当に?」
「困ってる人は助けないと」
俺は目の前の手を無造作に掴む。
「ありがとう…。ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう。お金を貸してくれるんだもん。こんなことでいいならしてあげるよ」
俺は手を離し、桜さんに向き合う。
「それに、私の彼氏だし」
「…ありがとう」
少し湿っぽい空気が流れる。
本当に自分は幸せ者だな、と同時に思う。
「えっと、じゃあ、夜ご飯作るかな!」
桜さんはそう言うと立ち上がり、台所でエプロンをした。
白色のエプロンで、桜さんにとてもよく似合う。
こうやって桜さんを見ると、なんだか新婚感があるなぁ。
などと勝手に思い、勝手に恥ずかしくなってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる