彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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二章

51話 いろいろあった午前

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桜さんのおばあちゃんは早くにでも入院させた方がいいと言う。
つまり今日だ。
桜さんと学校を休み、タクシーで病院に行った。

「その、ありがとね」

帰りのタクシーで桜さんはうつむいてそう言った。

「こちらこそ」

俺はそれだけ言って桜さんの頭を撫でる。

「今日は学校休もうか」
「ダメだよ。体調悪いわけでもないのに」
「顔色悪いじゃないか」

桜さんは口ごもり、承諾した。
おばあちゃんが入院したのだ。
心配になって当然である。


「ありがとうございます」

カードで支払いを済まし、タクシーから降りる。
家に入り、軽食を作った。
桜さんは疲れてしまったのか、ソファで寝転んでしまった。

「ごめんね。なんか、来てくれたばかりなのに」
「謝らなくていいよ。できることなら何でもやるから言ってね」
「ありがと…」

こんなに落ち込んでいる桜さんの姿を見るのは初めてだ。
俺は元気づけようとリンゴを剥く。

「どうぞ」
「ありがと」

ソファの目の前の小さな机に向いたリンゴを置く。

「わ、これみ…。蔭西くんが剝いてくれたの?可愛い」
「まぁ少しでも元気づけようと思って」

桜さんはうさぎの形に剥いたリンゴを手に取り、食べずにじっと見ている。

「蔭西くんって器用?」
「いや、まぁ自炊するし」
「へー」

リンゴをぱくりと食べて、んふー、と息を漏らす。
桜さんはあっという間に全部食べてしまい、眠ってしまった。
朝早かったせいもあるが、きっといろいろな感情が一気に押し寄せてきたからだろう。
身体的にも肉体的にも疲れている。

「おやすみ、美智」

俺はそうとだけ言って、布団をかけてあげる。
すぅすぅ、と可愛らしく寝息を立てているのに対して
俺のポケットに入っている携帯はバイブが止まらない。

携帯を開くと、ロック画面におびただしい数の通知が表示された。
ほぼすべてが父からだと思われるもので、電話やメールの通知だった。
今になって心配しているのだろうか。
だとしたら「手遅れだ」とだけ言いたい。

「姉ちゃん…」

その中に一軒、姉からのメールがあった。

≪帰省します!このホテルに泊まろうと思ってるから会いたかったら来てね≫

メールと共にURLが送られてきた。

「せっかくだ。紹介するか」

俺は桜さんの寝顔を見て、呟いた。
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