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二章
57話 相談①
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その日はなかなか寝付けなかった。
表すことのできない感情がぐちゃぐちゃになって、それが煮詰まって…。
桜さんに嫌われてしまっただろうか。
重い愛。
重すぎる愛。
なにが自分をこんな風にしてしまったのだろう。
「はぁ…」
気づいたら陽が出ていた。
時間を確認すると朝4時23分だった。
俺は起き上がりランニングウェアに着替える。
気が重い時、辛い時はいつも決まって走っている。
無駄と言われれば無駄だ。
ただ自分がスッキリするための行動。
「行ってきます」
ドアを開けて、夏の朝の空気を肺いっぱいに吸う。
どこを走ろうか。
とりあえず走り出す。
気が向くままに走る。
走って、走って、走って。
息がつらくなっていくのとは裏腹にスピードは上がっていく。
「は、は、は、は」
景色を楽しむのも走る楽しみだ、と自分は思っているが
全く景色が入ってこない。
まるで何かから逃げるように必死に走っている。
「おわっ」
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ…。って蔭西さんじゃないですか」
目線を下ろすと、そこには灰色のウェアを着た御崎さんがいた。
「どうしたんですか?こんな早くに。こんな遠くまで」
そっちこそ、と思いながら走るのを再開する御崎さんの横を走る。
ペースはとても遅いが、話すのにはちょうどいい。
「今、家出をして桜さんの家に住んでいるんですよ」
「え!?良かったじゃないですか!1歩どころか10歩ぐらい進んだじゃないですか!」
「たださ、俺って重いのかなって」
「どのように?」
「それは…」
俺は昨日のことや自分の気持ちをすべて、口にした。
「私はその『重い愛』は別に嫌じゃないですけど、普通は嫌でしょうね~」
「で、ですよね」
「というよりもなんでそんなに焦っているんですか?」
焦っている?
何に焦っているというんだ?
別に自分はいつも通りのテンションで、焦ってなどいない。
「少し浮ついてるんじゃないですか?」
「え?」
「自分の嫌な事から、全部ではないですけど逃げてると思いますよ。蔭西さんはとても冷淡で、感情が死んでいるというのが私が会う前のあなたの印象です。噂や資料を見る限りその印象しかありませんでした。しかし実際にあってみるとそんなことはなく、とても明るく、情のある人間でした」
「………」
「でも今のあなたは、どこか抜けているというか悪い意味で『人間』になってしまっている」
「……………」
「居場所が欲しくて、生きる意味が欲しくて、とても必死。という感じがします」
何も言えない。
そんな具体的な自覚はないけれど、少しの心当たりがある。
「ちょっと休憩しませんか?話しながら走るのキツイ」
「あ、ああ。すみません」
俺と御崎さんは近くの公園に入りベンチに座る。
御崎さんは水を飲み、一息つく。
「で、さっきの続きですが心当たりあります?」
「…なくはないです」
「ならそこを改善することね。今日の放課後、うちに来れるかしら?」
「ええ。大丈夫です」
「なら来てください。少し話をしましょう。蔭西さんもしたいだろうし」
そう言って蔭西さんは公園を出た。
俺も少し遅れて出て、家へと向かう。
なんだか気持ちが軽くなった気がする。
メンタルはズタボロだが、落ち込むようなモノではない。
俺は今「人間の難しさ」に触れているのだと、この時実感した。
表すことのできない感情がぐちゃぐちゃになって、それが煮詰まって…。
桜さんに嫌われてしまっただろうか。
重い愛。
重すぎる愛。
なにが自分をこんな風にしてしまったのだろう。
「はぁ…」
気づいたら陽が出ていた。
時間を確認すると朝4時23分だった。
俺は起き上がりランニングウェアに着替える。
気が重い時、辛い時はいつも決まって走っている。
無駄と言われれば無駄だ。
ただ自分がスッキリするための行動。
「行ってきます」
ドアを開けて、夏の朝の空気を肺いっぱいに吸う。
どこを走ろうか。
とりあえず走り出す。
気が向くままに走る。
走って、走って、走って。
息がつらくなっていくのとは裏腹にスピードは上がっていく。
「は、は、は、は」
景色を楽しむのも走る楽しみだ、と自分は思っているが
全く景色が入ってこない。
まるで何かから逃げるように必死に走っている。
「おわっ」
「あ、すみません」
「いえ、こちらこそ…。って蔭西さんじゃないですか」
目線を下ろすと、そこには灰色のウェアを着た御崎さんがいた。
「どうしたんですか?こんな早くに。こんな遠くまで」
そっちこそ、と思いながら走るのを再開する御崎さんの横を走る。
ペースはとても遅いが、話すのにはちょうどいい。
「今、家出をして桜さんの家に住んでいるんですよ」
「え!?良かったじゃないですか!1歩どころか10歩ぐらい進んだじゃないですか!」
「たださ、俺って重いのかなって」
「どのように?」
「それは…」
俺は昨日のことや自分の気持ちをすべて、口にした。
「私はその『重い愛』は別に嫌じゃないですけど、普通は嫌でしょうね~」
「で、ですよね」
「というよりもなんでそんなに焦っているんですか?」
焦っている?
何に焦っているというんだ?
別に自分はいつも通りのテンションで、焦ってなどいない。
「少し浮ついてるんじゃないですか?」
「え?」
「自分の嫌な事から、全部ではないですけど逃げてると思いますよ。蔭西さんはとても冷淡で、感情が死んでいるというのが私が会う前のあなたの印象です。噂や資料を見る限りその印象しかありませんでした。しかし実際にあってみるとそんなことはなく、とても明るく、情のある人間でした」
「………」
「でも今のあなたは、どこか抜けているというか悪い意味で『人間』になってしまっている」
「……………」
「居場所が欲しくて、生きる意味が欲しくて、とても必死。という感じがします」
何も言えない。
そんな具体的な自覚はないけれど、少しの心当たりがある。
「ちょっと休憩しませんか?話しながら走るのキツイ」
「あ、ああ。すみません」
俺と御崎さんは近くの公園に入りベンチに座る。
御崎さんは水を飲み、一息つく。
「で、さっきの続きですが心当たりあります?」
「…なくはないです」
「ならそこを改善することね。今日の放課後、うちに来れるかしら?」
「ええ。大丈夫です」
「なら来てください。少し話をしましょう。蔭西さんもしたいだろうし」
そう言って蔭西さんは公園を出た。
俺も少し遅れて出て、家へと向かう。
なんだか気持ちが軽くなった気がする。
メンタルはズタボロだが、落ち込むようなモノではない。
俺は今「人間の難しさ」に触れているのだと、この時実感した。
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