彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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二章

59話 相談③

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「では早速だけれど、朝の話の続きをもっと詳しく教えてくれないかしら」
「わかりました」

俺は朝の話をさらに詳しく話す。
自分が家を出た経緯なども含めて。

「随分と愛に飢えた家庭だったのね。家とは大違い」
「まぁ、そうですね。確かに違います。正直俺は御崎さんが羨ましいですよ」
「ということは愛の過剰摂取ってこと?それでおかしくなったとか」
「そんな、麻薬じゃないんですから」

あはは、と少し笑ってそう言うが御崎さんは至極真面目だった。

「恋って『麻薬』よ。その人と一緒にいたい、とか、離したくない、とか。そういう思いはまさに、もっと欲しいと思う麻薬中毒者と同じ」

御崎さんはお茶をすすってもう、話を続ける。

「それも麻薬よりも恋のほうがよっぽどたちが悪い。だって誰でも手に入れることができるんだもん。だからこそ、自分の感情にセーブするのが大切なの」
「…御崎さんは本当に俺と同じ年なの?」
「ええ。ぴちぴちの十六歳よ」

自分とは大違いだ。
びっくりするほど大人びいていて、下手したら普通の大人よりも大人だ。
いい意味でいろいろな事を知っている。
きっとこれまでの人生の密度が違うのだろう。
周りの沢山のことに目を向けたりして…。
それに比べて自分はずっと自分の事ばっかりだった。

「…ありがとう。御崎さん」
「杏、でいいよ。なんか面倒だし」
「じゃあ杏さん。本当にありがとう」

自然と笑みが浮かび、俺は頭を下げた。
本当に心の底から感謝している。
なんだかスッキリしたうえに、自分がどうすればいいかも教えてもらえた。

「でなんだけど、望くんに聞いてくれた?」

話題が一転した。

「聞けたは聞けたけど、なんかトラウマがありそうだったよ。こう昔になにかあったような…」
「…そう」

そうとだけ返して杏さんはうつむいた。
自分によくしてくれたのに、何もできなくて申し訳ない。

「聞いておこうか?何かあったのか」
「本当?ありがとう。まるで蔭西さんを鳩みたいに扱ってごめんね」
「いやいいよ。力になれるならなりたいし。それと、俺も蔭西じゃなくて箕六でいいよ」
「ありがとう、箕六さん。ほら日も暮れてきたし早く帰ってちゃんと話しな」
「こちらこそ、今日はありがとう!」

俺は初めて、姉さんと桜さん以外の人に満面の笑みを浮かべて手を振った。
杏さんもそれに答えて笑顔で手を振ってくれた。
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