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第一章 原作前
第10話 伝説のスライムだったようです
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「ドライ。いかがなさいますか? あのままでもスライムさんは大丈夫そうですけど」
「ホーンラビットの角が刺さろうが、体当たりも気にしてなさそうだもんね」
『あら、あなたたち帰ってきたのね。おかえりなさい、怪我とかしてない?』
心配はあまりしていなかったけど、こう軽く返されて、心配までされちゃうと、ねぇ。
「あのさ、そのホーンラビットなんだけど、やっつけようか?」
「スライムさんが別に良いと言うのであれば、見守っておきますが」
『え? いいの? このウサギ、私の切り株でつまずくから迷惑なのよね。食事の邪魔だってわからないのかしら』
嫌なのは攻撃ではなくて切り株でつまずくことなんだ……。
「……じゃ、じゃあやっつけちゃうな。リズ、なるべく切り株に血が付かないようにね」
「そうですわね。スライムさんのお食事ですもの。わかりましたわ」
レベルが上がったからなのか、全力で走っても、足元の切り株を難なく避けられる。
ホーンラビットたちも、俺たちに気がついたのか、スライムさんじゃなくて、俺たちに向かってきてくれた。
数は十。一度にこれだけの数は初めてだけど敵は一列に並んで突っ込んできてくれる。
どこか広くなってるところは――あった!
「こっちだ!」
突っ込んでくるホーンラビットを誘導するように、切り株と切り株の間に誘い出す。
「こちらですわよウサギさん!」
リズも同じ作戦のようだ。切り株との間に立ち、剣を突きの構えで待ち受ける。
ホーンラビットは何も考えていないかのようにまっすぐ突っ込んでくる。だからタイミングを合わせるだけ――
ザシュッ――ザシュッ!
――ドンッと衝撃が来るけど、剣先十センチほど頭蓋を貫き刺さる。
もう何匹も倒してきたからやり方は簡単だが、敵は一匹じゃない。
だが、ここで止まっていたら残りのホーンラビットのいい的だ。
剣をさらに押し込んで勢いを殺した後は、ホーンラビットの顔に足を置いてバックステップ。
ズルリと抜けた剣を着地と同時に次のホーンラビットに向け、突き出す。蹴ってバックステップの繰り返しだ。
ワンパターンな攻撃だ。リズの様子をチラ見する余裕さえある。
リズも、『ほい! ですわっ!』『次っ! ですのっ!』と順調だ。
『おお! あなたたち中々やるわね。切り株を血で汚さないようにしてくれてるのね』
そこに! 気づくなんて! てか! のんきだな! 気が抜けるよ!
『ほら! そこよ! あっ! 次は右! いいわよ! ラスト二匹! やったー!』
いや、本当に。集中は切れなかったけど、変な力みが無かったからか終わってみれば俺が六匹。リズも四匹を倒し、少し息があがる程度で完勝だった。
『あなたたちお疲れ様。ありがとう』
直径が一メートル近い切り株の上でぷるぷるお食事中のスライムさんが嬉しそうな声を念話で送ってくる。
「どうということはありませんわスライムさん」
「集まっていてくれたから、効率よく倒せたしね」
そしてステータスを見てみるとレベルが5に上がっていた。
「ドライ、レベルが5に上がりましたわ!」
「俺も上がってる! 同じレベル5だ!」
『これでゆっくり食べられるわね。そうだ、お礼にそのウサギの血抜きしてあげるわ。人間は血抜きしなきゃ美味しく食べられないんでしょ?』
「そうだけど、スライムさんよく知ってるね?」
食べかけの切り株から、体を離し、俺たちが倒したホーンラビットに覆い被さったスライムさん。
じわりじわりと食べる切り株と違い、ホーンラビットの血抜きはあっという間なようだ。数秒で食べ続けている切り株の上に戻り、プルンと饅頭に戻った。
『あら、久しぶりにモンスターの血抜きも中々良いわね』
「博識ですわ」
『もちろんよ。これでも長く生きてるのよ。その程度どうということはないわ。それにユートに聞いたから間違いないだろうしね』
「ユート?」
ん? どこかで聞いたような……。
『異世界から来た勇者よ。ちょっと前に帰っちゃったけどね。変なヤツだったわ』
「「勇者!」」
いや待て、ちょっと前って勇者のユートって遥か昔に帰っちゃったとかリズが言ってたよね?
『そう呼ばれていたわよ? あれ? 知らない? ちょっと八百年前なだけよ?』
は? 八百年前がちょっと前なの!
「八百年前……もしかして勇者ユート様がテイムして、従魔にしていたスライムがスライムさんなのですの?」
『あら、やっぱり知ってるのね、その通りよ。あの頃は楽しかったわぁ』
……八百年前の勇者がテイムした従魔? ってことは八百年は生きてるスライム? それも後世に語り継がれてるスライム?
でも考えてみれば、ホーンラビットの攻撃を受けてもダメージをもらった感じはなかったし、念話だけど話が通じるし……。
ん? ちょっと待て。それ、無茶苦茶凄いことなんじゃ……。
「凄いですわ! 伝説のインフィニティスライムのイス様!」
『あら、名前まで伝わっているのね。その通りよ』
インフィニティって確か無限とか無限大って意味だよな! あの数字の8を横にした∞のだよな!
「ドライ! 聞きましたか! あの勇者ユート様の従魔イス様ですわよ!」
「……あ、ああ。八百年以上生きてるのか、それは強くて当然だし、ダメージも受けないはずだ。よな?」
いや、そんな伝説のスライムがなんでこんな森の浅いところになんでいるんだよ!
「ホーンラビットの角が刺さろうが、体当たりも気にしてなさそうだもんね」
『あら、あなたたち帰ってきたのね。おかえりなさい、怪我とかしてない?』
心配はあまりしていなかったけど、こう軽く返されて、心配までされちゃうと、ねぇ。
「あのさ、そのホーンラビットなんだけど、やっつけようか?」
「スライムさんが別に良いと言うのであれば、見守っておきますが」
『え? いいの? このウサギ、私の切り株でつまずくから迷惑なのよね。食事の邪魔だってわからないのかしら』
嫌なのは攻撃ではなくて切り株でつまずくことなんだ……。
「……じゃ、じゃあやっつけちゃうな。リズ、なるべく切り株に血が付かないようにね」
「そうですわね。スライムさんのお食事ですもの。わかりましたわ」
レベルが上がったからなのか、全力で走っても、足元の切り株を難なく避けられる。
ホーンラビットたちも、俺たちに気がついたのか、スライムさんじゃなくて、俺たちに向かってきてくれた。
数は十。一度にこれだけの数は初めてだけど敵は一列に並んで突っ込んできてくれる。
どこか広くなってるところは――あった!
「こっちだ!」
突っ込んでくるホーンラビットを誘導するように、切り株と切り株の間に誘い出す。
「こちらですわよウサギさん!」
リズも同じ作戦のようだ。切り株との間に立ち、剣を突きの構えで待ち受ける。
ホーンラビットは何も考えていないかのようにまっすぐ突っ込んでくる。だからタイミングを合わせるだけ――
ザシュッ――ザシュッ!
――ドンッと衝撃が来るけど、剣先十センチほど頭蓋を貫き刺さる。
もう何匹も倒してきたからやり方は簡単だが、敵は一匹じゃない。
だが、ここで止まっていたら残りのホーンラビットのいい的だ。
剣をさらに押し込んで勢いを殺した後は、ホーンラビットの顔に足を置いてバックステップ。
ズルリと抜けた剣を着地と同時に次のホーンラビットに向け、突き出す。蹴ってバックステップの繰り返しだ。
ワンパターンな攻撃だ。リズの様子をチラ見する余裕さえある。
リズも、『ほい! ですわっ!』『次っ! ですのっ!』と順調だ。
『おお! あなたたち中々やるわね。切り株を血で汚さないようにしてくれてるのね』
そこに! 気づくなんて! てか! のんきだな! 気が抜けるよ!
『ほら! そこよ! あっ! 次は右! いいわよ! ラスト二匹! やったー!』
いや、本当に。集中は切れなかったけど、変な力みが無かったからか終わってみれば俺が六匹。リズも四匹を倒し、少し息があがる程度で完勝だった。
『あなたたちお疲れ様。ありがとう』
直径が一メートル近い切り株の上でぷるぷるお食事中のスライムさんが嬉しそうな声を念話で送ってくる。
「どうということはありませんわスライムさん」
「集まっていてくれたから、効率よく倒せたしね」
そしてステータスを見てみるとレベルが5に上がっていた。
「ドライ、レベルが5に上がりましたわ!」
「俺も上がってる! 同じレベル5だ!」
『これでゆっくり食べられるわね。そうだ、お礼にそのウサギの血抜きしてあげるわ。人間は血抜きしなきゃ美味しく食べられないんでしょ?』
「そうだけど、スライムさんよく知ってるね?」
食べかけの切り株から、体を離し、俺たちが倒したホーンラビットに覆い被さったスライムさん。
じわりじわりと食べる切り株と違い、ホーンラビットの血抜きはあっという間なようだ。数秒で食べ続けている切り株の上に戻り、プルンと饅頭に戻った。
『あら、久しぶりにモンスターの血抜きも中々良いわね』
「博識ですわ」
『もちろんよ。これでも長く生きてるのよ。その程度どうということはないわ。それにユートに聞いたから間違いないだろうしね』
「ユート?」
ん? どこかで聞いたような……。
『異世界から来た勇者よ。ちょっと前に帰っちゃったけどね。変なヤツだったわ』
「「勇者!」」
いや待て、ちょっと前って勇者のユートって遥か昔に帰っちゃったとかリズが言ってたよね?
『そう呼ばれていたわよ? あれ? 知らない? ちょっと八百年前なだけよ?』
は? 八百年前がちょっと前なの!
「八百年前……もしかして勇者ユート様がテイムして、従魔にしていたスライムがスライムさんなのですの?」
『あら、やっぱり知ってるのね、その通りよ。あの頃は楽しかったわぁ』
……八百年前の勇者がテイムした従魔? ってことは八百年は生きてるスライム? それも後世に語り継がれてるスライム?
でも考えてみれば、ホーンラビットの攻撃を受けてもダメージをもらった感じはなかったし、念話だけど話が通じるし……。
ん? ちょっと待て。それ、無茶苦茶凄いことなんじゃ……。
「凄いですわ! 伝説のインフィニティスライムのイス様!」
『あら、名前まで伝わっているのね。その通りよ』
インフィニティって確か無限とか無限大って意味だよな! あの数字の8を横にした∞のだよな!
「ドライ! 聞きましたか! あの勇者ユート様の従魔イス様ですわよ!」
「……あ、ああ。八百年以上生きてるのか、それは強くて当然だし、ダメージも受けないはずだ。よな?」
いや、そんな伝説のスライムがなんでこんな森の浅いところになんでいるんだよ!
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