【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第一章 原作前

第15話 スキル習得

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「ねえ、カイラさん。さっきツヴァイ兄さんを治していた回復魔法だけど、やり方とか教えてもらったりできるかな?」

 今後、リズとレベル上げを続けていくのに、怪我はしたくないけどすることもあると思う。

 もちろんリズに怪我などさせるつもりは当然ないけど、不測の事態が無いとは言いきれない。

 だからこそ回復魔法はぜひとも手に入れておきたい。

「回復魔法ですか? 別に構いませんが他の魔法と同じ、いえ、それ以上回復魔法の才能を持つ者は少なく、とても希少です。ですので習得できない可能性の方が高いのでご了承ください」

「ああ。それで大丈夫。カイラさんよろしくお願いします」

「では、時間もありませんので、やり方だけお教えしますね」

「はい」

 こんな時によく思い出すのは夏八○勲なつやぎいさ○さんがドラマの中で言ったセリフ。

      今度やろうは馬鹿野郎
      明日やろうも馬鹿野郎
 思い立ったら、すぐ何でもやらなきゃダメだ

 俺がまだヨチヨチ歩きしていた頃のドラマのセリフだ。

 役者の先輩からの受け売りだけど、ここぞと言うときに思い出す。

 まあ、やっちゃって失敗したこともあるけど、たいがい思ったより良い方向に向かうことが多かった。

 だからこそ希少と言われる回復魔法は今ここでなんとしても、ものにする。

「ではナイフか何かでほんの少し好きなところ、そうですね、指先に傷をつけてくださいますか?」

「なるほど、実践でおぼえるのですね。なら――」

 解体用のナイフを抜き、躊躇せずに指先に突き刺した。

 っ! チクッとしたけど、思ってほどではなかった。

「はい。良いでしょう。でしたら……これが一番わかりやすいと思いますので、失礼致しますね」

 そういうと、俺の背後に回り、抱き抱えるように身を寄せてきた。

「ちょ、ちょっとカイラ伯爵令嬢様! 何をしておりますの! ドライに勝手に抱きつかないでくださいませ!」

「リズ。あれは回復魔法をドライの魔力で発動させるために必要なことよ。わたくしもカイラではないですが、やってもらいましたもの」

「でもでも、そんなにくっつかなくても良いのではなくて!」

「じゃあリズ、あなたもドライにくっついて、一緒に教えてもらえば良いじゃない。ほらほらくっついて」

「え、ちょ、きゃっ」

 あれよあれよという間に後ろからカイラさん、左手にリズで右側にファラがくっついて来た。

 なんだこれ……回復魔法を覚えなきゃいけないのに、背中もだけど、柔らかで幸せな物がふにゅんと七つ。

 …………七つ?

『私よ。回復魔法は私も持ってないからついでに覚えられないかなって。良いでしょ?』

 ああ、イスか。いいと思うけど、イスはスラ……インフィニティだから覚えられそうだな。

 しかし、器用だな。リズの胸も膨らませたまま細い触手みたいなものを伸ばして、俺の手に絡み付いている。

「ふふ。ドライ様。両手に花でございますわね。わたくしも王女様ほどの年の頃で、婚約者がいなければお願いしていたかもしれませんね」

「いや、カイラさん、あまりからかわないでくださいよ。リズ、大丈夫だから、そんな顔しないの。可愛い顔が台無しだよ」

 半眼で瞳のハイライトを消し、カイラさんを睨むリズ。俺への思いが変に重くなってない?

 でも俺の言葉に気をよくしてくれたようで、頬を染めて眼のハイライトが戻った。

 ほっ。原作だとこんな顔するシーンも無かったよな……。主人公と仲睦まじいシーンが 多かった。

 あっ、そういえばサブヒロインたちが仲間になったとき、少し拗ねるシーンはあったけど……。

 うん? 今の状態に似てなくもない? ファラが婚約者と言い出したときと、カイラさんのとき。

 拗ねるが少し行きすぎてるのは、まだ十歳だから感情の起伏が激しいだけ、だな。

 そしてリズとファラの二人も指先をツンと傷つけ、イスは伸ばした触手の先を二股にした……それでいいのか?

「では、準備もよろしいようですので始めますね。まずはわたくしの方でみなさんの魔力を回復魔法独自の流れで刺激していきます――」

「「「――っ!」」」

 ゾワ、違う。グワッと体内の魔力が動き出した。こんな感覚は始めてだから戸惑ってしまう。

 いつもは呪文を唱えるとフッと手の先に集まり、体から抜けていく感じだからだ。

「魔力が全身を回っている感覚はありますでしょうか?」

「はい。ぐるぐるしてますわ」

「うん。頭の先から足の先まで動き回ってます」

「凄い。以前やってもらった時はこんなこと無かったのに……なぜ」

 リズもファラも同じなようだ。ファラは前とは違うみたいだけど、大丈夫なのか?

「あら。でしたら三人ともに回復魔法を覚えられる可能性がございます。これが感じられないなら不可能と言われておりますので」

 ん? だったら王女様は今回の挑戦で可能性が出たってことか。やっぱり何事もやれる時にやらなきゃ駄目だってことだな。

「王女様に関しては、前例の無いことですので……わかりかねます。が、可能性として以前お試しになった方がわざとこの試技をしなかったのではと愚考致します」

「は? どうして? 教会の司教様にやってもらったのよ? そんなことをすれば不敬罪になりかねないのに」

「そうですね。グリフィン王家で回復魔法が使える王子、王女は継承権の順位が上がります。ですから――」

 腕に抱きついたままのファラが後ろを向き、声をかけることでカイラさんの言葉を止めた。

「カイラ! そこまでにしておきなさい……どこに耳があるか、わかったものではないのだから……消されるわよ」

「……承知いたしました。少々不用心が過ぎたようです」

『ん~、近くには誰もいないけどね~。隠密使っていても、私ならサクっと、見つけられるから誰か来たら教えた方がいい?』

『お願いします』と声には出さずリズの胸元から伸びている触手を優しくつんつんとしておいた。

『あらドライ、あなた念話ができたのね』

 念話? 回復魔法を覚える前に、知らず知らずに別のスキル。念話を覚えていたようです。
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