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第二章 原作開始
第83話 勇者と枢機卿
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ドゴォォォォォン――
鉄扉を吹き飛ばした爆裂魔法の熱気をなんとかしなきゃマズい。
床に書いている時間もない、書いてあったクリーニングが消えるけど、急いで服に魔法陣、クーラーを上書きして発動。
「クーラー! 急冷!」
魔法陣の発動が少し遅れたせいで、チリッと肌が焼ける熱気がひろがった――
「グアッ!」
騎士たちの悲鳴が聞こえたが、魔法陣の冷気が広がり、急激に冷やされ、赤くなっていた石壁が元の灰色に戻る。
遅れてすいません!
心の中で謝罪しながら、爆裂魔法で崩れてしまった場所を飛び越え、通路の先に足を踏み入れる。
いた。アーシュの手を握り、牢屋から出てきたモラークス枢機卿。
「逃がさないぞ!」
「お前はドライ! 騒がしいと思ったらやっぱりお前かよ! この極悪人! ここは城の中だぞ! なに暴れてんだ!」
「勇者様! 今はこの場から逃げることだけをお考えください!」
「何でだよ! 俺様は勇者だぞ! 堂々と正面から出ていってこそだろ!」
『ドライ、アイツ、転移をしようとしているわ。なんとか邪魔しないと逃げられるわよ』
『うん! 転移の魔法陣が見えてるから邪魔しておく』
行き先を示すところを削れば――ってどこだよ! はじめて見るし! 適当にぐちゃぐちゃにしておけばいいか!
「カサブランカ王が勇者様を閉じ込め出さないと言っております。まずはここを出てからでございます。このようなものに関わっている場合では――」
「うるせえな! 爆裂魔法をくらいやがれ!」
くっ! 何で魔法撃てるの! 鑑定! って、まずい! アーシュの奴隷の魔道具外れてるよ!
石造りの通路にギリギリ入るほどの爆裂魔法の球体が現れた。
カサブランカ王が言ってたスキルを封じる奴隷の魔道具が無いなら、当然だ。
『ドライ! 転移の魔法より爆裂魔法をなんとかしなさい! 地下牢が無くなるわよ!』
「無茶苦茶だな!」
「弾けろ!」
「させるかよ!」
アーシュが作り出した爆裂魔法を無理矢理魔力で包み込むと同時に、しゃがみこんで地下牢の壁や床を守るように硬化と、クーラーの急冷を書いて発動させた。
ぐぅ――
流石勇者の爆裂魔法だ。結界にもなっていない魔力だけでそのエネルギーを封じるのは厳しかった。
パンと爆裂魔法を包んでいた魔力が弾けとんだ。残ったのは爆風と触れれば炭化しそうなほどの熱気。
そのゆらめく空気の壁の向こうで、モラークス枢機卿と勇者アーシュが転移の魔法陣の光の中に消えていくのが見えた。
『逃げちゃったじゃない! ってヤバいわよこれ! ドライ、は間に合わないし、しかたないわね! わたしが受けてあげるわよ! ふんにゃー!』
イスが俺の背後で通路をふさぐように大きくなった。
「イス!」
『くぅー、熱いじゃない! ドライ早くなんとかしなさい! このままだと私でもしぼんで熔けちゃうわ! クーラーの魔法陣が爆裂魔法の威力で消えちゃう前に!』
「うん! 氷魔法! アイスエイジ!」
アイスエイジは空間そのものを絶対零度に限りなく近くまで熱を下げる魔法だ。
「解除!」
だから爆裂魔法で上がった熱に触れれば相乗効果でほぼ零度程度まで下げられる。
が――
「かはっ!」
熱を帯びた空気を吸い込み、続けて冷気を吸い込んだ肺にダメージが来る。
『ドライ! 再生しなさい! めちゃくちゃ血を吐いてるわよ!』
『うん! それは大丈夫だけど!』
出せない声の代わりに念話で返事。だけど……灼熱はアイスエイジで相殺され、なんとかなった。
……アーシュとモラークス枢機卿を逃がしてしまったけど……。
やられた。モラークス枢機卿を捕まえるどころか、今回の原因である勇者のアーシュまで。
『……へえ。ヤバいところに行ったわね』
そんなことを念話で言ってくるイスだけど、ヤバいのは逃げられた俺たちだ。
『転移魔法の残滓をたどってみたんだけど、アイツら魔王が統治していた大陸に飛んだわね』
『ん? 魔王の大陸?』
『あら? 言ってなかった? 魔王はここじゃない不毛な大陸にある小さな小島にいるのよ。私も行ったことあるし間違いないわ』
……ん~っと、アーシュとモラークス枢機卿が転移したのは魔王が封印されてる島ってこと?
『それって……』
『封印中の魔王はすぐには動かないでしょうけど……』
ん~っと、どう言うことだ?
『簡単に言うと、その島に誰かが行くことで魔物たちが活性化するのよ……ドライ、聖剣持ってるよね?』
『持ってるね』
『モラークスってヤツが続けて転移ができるなら問題ないわ……あそこ、めちゃくちゃ強い魔物だらけだったのよね。わたしでも結構苦労するレベルの』
『どういうこと? あ、武器もない丸腰でってことか』
『そうそう。そこの魔物たちは普通に倒せるんだけど、聖剣が特効武器なのよね。面倒なことに』
えっと、どういうことだ? 聖剣は魔王のためだけじゃないのか?
『まあ、アイツらは爆裂魔法を連発している内に転移で逃げちゃうでしょうけど、活性化した魔物は魔王がいないから勝手に動き出すわね』
……あ、もしかして建国祭に飛来するアレって今回はそういうことなのか? アーシュとモラークスを取り逃がした……。
『ま、逃げちゃったものはしかたないし、あきらめるしかないわね』
『そ、うだね……』
……原作ではどこから来たのかわからなかったけど、今回はたぶんそういうことになるのかもしれない。
とりあえず……謝りに行くか……逃がしちゃったし、扉壊しちゃったし……。
鉄扉を吹き飛ばした爆裂魔法の熱気をなんとかしなきゃマズい。
床に書いている時間もない、書いてあったクリーニングが消えるけど、急いで服に魔法陣、クーラーを上書きして発動。
「クーラー! 急冷!」
魔法陣の発動が少し遅れたせいで、チリッと肌が焼ける熱気がひろがった――
「グアッ!」
騎士たちの悲鳴が聞こえたが、魔法陣の冷気が広がり、急激に冷やされ、赤くなっていた石壁が元の灰色に戻る。
遅れてすいません!
心の中で謝罪しながら、爆裂魔法で崩れてしまった場所を飛び越え、通路の先に足を踏み入れる。
いた。アーシュの手を握り、牢屋から出てきたモラークス枢機卿。
「逃がさないぞ!」
「お前はドライ! 騒がしいと思ったらやっぱりお前かよ! この極悪人! ここは城の中だぞ! なに暴れてんだ!」
「勇者様! 今はこの場から逃げることだけをお考えください!」
「何でだよ! 俺様は勇者だぞ! 堂々と正面から出ていってこそだろ!」
『ドライ、アイツ、転移をしようとしているわ。なんとか邪魔しないと逃げられるわよ』
『うん! 転移の魔法陣が見えてるから邪魔しておく』
行き先を示すところを削れば――ってどこだよ! はじめて見るし! 適当にぐちゃぐちゃにしておけばいいか!
「カサブランカ王が勇者様を閉じ込め出さないと言っております。まずはここを出てからでございます。このようなものに関わっている場合では――」
「うるせえな! 爆裂魔法をくらいやがれ!」
くっ! 何で魔法撃てるの! 鑑定! って、まずい! アーシュの奴隷の魔道具外れてるよ!
石造りの通路にギリギリ入るほどの爆裂魔法の球体が現れた。
カサブランカ王が言ってたスキルを封じる奴隷の魔道具が無いなら、当然だ。
『ドライ! 転移の魔法より爆裂魔法をなんとかしなさい! 地下牢が無くなるわよ!』
「無茶苦茶だな!」
「弾けろ!」
「させるかよ!」
アーシュが作り出した爆裂魔法を無理矢理魔力で包み込むと同時に、しゃがみこんで地下牢の壁や床を守るように硬化と、クーラーの急冷を書いて発動させた。
ぐぅ――
流石勇者の爆裂魔法だ。結界にもなっていない魔力だけでそのエネルギーを封じるのは厳しかった。
パンと爆裂魔法を包んでいた魔力が弾けとんだ。残ったのは爆風と触れれば炭化しそうなほどの熱気。
そのゆらめく空気の壁の向こうで、モラークス枢機卿と勇者アーシュが転移の魔法陣の光の中に消えていくのが見えた。
『逃げちゃったじゃない! ってヤバいわよこれ! ドライ、は間に合わないし、しかたないわね! わたしが受けてあげるわよ! ふんにゃー!』
イスが俺の背後で通路をふさぐように大きくなった。
「イス!」
『くぅー、熱いじゃない! ドライ早くなんとかしなさい! このままだと私でもしぼんで熔けちゃうわ! クーラーの魔法陣が爆裂魔法の威力で消えちゃう前に!』
「うん! 氷魔法! アイスエイジ!」
アイスエイジは空間そのものを絶対零度に限りなく近くまで熱を下げる魔法だ。
「解除!」
だから爆裂魔法で上がった熱に触れれば相乗効果でほぼ零度程度まで下げられる。
が――
「かはっ!」
熱を帯びた空気を吸い込み、続けて冷気を吸い込んだ肺にダメージが来る。
『ドライ! 再生しなさい! めちゃくちゃ血を吐いてるわよ!』
『うん! それは大丈夫だけど!』
出せない声の代わりに念話で返事。だけど……灼熱はアイスエイジで相殺され、なんとかなった。
……アーシュとモラークス枢機卿を逃がしてしまったけど……。
やられた。モラークス枢機卿を捕まえるどころか、今回の原因である勇者のアーシュまで。
『……へえ。ヤバいところに行ったわね』
そんなことを念話で言ってくるイスだけど、ヤバいのは逃げられた俺たちだ。
『転移魔法の残滓をたどってみたんだけど、アイツら魔王が統治していた大陸に飛んだわね』
『ん? 魔王の大陸?』
『あら? 言ってなかった? 魔王はここじゃない不毛な大陸にある小さな小島にいるのよ。私も行ったことあるし間違いないわ』
……ん~っと、アーシュとモラークス枢機卿が転移したのは魔王が封印されてる島ってこと?
『それって……』
『封印中の魔王はすぐには動かないでしょうけど……』
ん~っと、どう言うことだ?
『簡単に言うと、その島に誰かが行くことで魔物たちが活性化するのよ……ドライ、聖剣持ってるよね?』
『持ってるね』
『モラークスってヤツが続けて転移ができるなら問題ないわ……あそこ、めちゃくちゃ強い魔物だらけだったのよね。わたしでも結構苦労するレベルの』
『どういうこと? あ、武器もない丸腰でってことか』
『そうそう。そこの魔物たちは普通に倒せるんだけど、聖剣が特効武器なのよね。面倒なことに』
えっと、どういうことだ? 聖剣は魔王のためだけじゃないのか?
『まあ、アイツらは爆裂魔法を連発している内に転移で逃げちゃうでしょうけど、活性化した魔物は魔王がいないから勝手に動き出すわね』
……あ、もしかして建国祭に飛来するアレって今回はそういうことなのか? アーシュとモラークスを取り逃がした……。
『ま、逃げちゃったものはしかたないし、あきらめるしかないわね』
『そ、うだね……』
……原作ではどこから来たのかわからなかったけど、今回はたぶんそういうことになるのかもしれない。
とりあえず……謝りに行くか……逃がしちゃったし、扉壊しちゃったし……。
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