【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第二章 原作開始

第84話 本当にブレないな!

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 建国祭初日の今日。ザワザワと賑やかだった教室が緊張感に包まれた。

 謹慎中の王子が入学式以降はじめて学園に来たからだ……まあ、建国祭に参加するためなんだけどね。

 王様も悩んだらしい。だけど王子のパレード欠席はマズイと今日から三日続く建国祭だけ謹慎を解いたそうだ……。

「殿下。お願いですから騒ぎは起こさないでくださいませ」

「ドルーア。何度も言うな。そんなことはわかっている」

 付き人のドルーアくんが懸命に止めようとするけど、ヒエン王子が俺たちのところにやって来た。

 目線はリズのイス付き部分と、ファラの黒髪を行ったり来たり。

 本当に黒髪巨乳好きってところはブレないな。

「……クリーク辺境伯家のドライ。ファラフェル王女との婚約を破棄したまえ」

 いや、本当にブレないな!

「それとイルミンスール伯爵令嬢との婚約も破棄したまえ」

 てか本当にブレないな!

「殿下! そこまでにしてください! ファラフェル王女殿下にエリザベス嬢、それにドライ殿、誠に申し訳ありません!」

 王子と俺たちの間に立ち、ペコペコと頭を下げてくれるドルーアくん。

「謝る必要はない。いかにドライが功績をおさめ――」

「殿下! それはまだ口にしてはいけません! ここの皆さんは知っていますが、王命で口にすることは禁じられています!」

 そりゃそうだ。本来なら建国祭に発表されることだもんな。それに王命だ。王子といえど守らないと駄目だ。

 まあ、王様が入学式でフライング発表しちゃったから、入学式に参加した人は全員知ってるんだけどね。

「こ、こらドルーア押すな!」

「殿下は謹慎中なのですよ! 今また騒ぎを起こせばどうなるかわかっているのですか!」

 ドルーアくんはヒエン王子の向きをクルリと変え、背中を押して俺たちから懸命に離そうとしてくれている。

「ヒエンめ。アレだけオヤジに怒られたのにわかってねえな」

「アンジー。あの様子じゃまったく反省もしてないわね」

「ファラの言う通りだ。昔からヒエンはあんなだからな。付き人のドルーアが不憫だぜ」

 アンジーとファラがあきれ顔で遠ざかる王子とドルーアくんを見送る。

 リズとキャルは我関せずと、完全無視を決め、アーシュの襲撃の時に知り合ったローゼン伯爵令嬢のミュールと話をしてる。

 まあ、ミュールはオロオロと遠ざかる王子とドルーアくんを見てるけどね。

 なんとかヒエン王子を席につかせたドルーアくんの働きには脱帽だな。

 それに引き替えヒエン王子はまだ俺たちの方を向いてブツブツと何か言ってる。

 俺もアンジーとファラの意見に同意だ。まったく反省の色が見えない。

 そんなところに担任のレオナルド先生が教室に入ってきた。

「そのままで良い。耳だけこちらに集中したまえ」

 先生らしくないけど、こちらは楽でいい。それに魔法の授業は凄くわかりやすいし、今まで知らなかったことも沢山教えてくれる。

 そこは本当に先生らしい。まあ、ちょっと軍隊っぽい教え方だけどな。

「今日の連絡事項だけ伝える。事前に決めた班に別れ、遅れないように広場に向かいなさい」

 場所は学園から出てすぐの広場だ。新入生はパレードで王様の乗る馬車の後ろを歩くことになる。

 御披露目の意味もあるそうだけど、面倒だよな。

 それに……一番心配していること。勇者が倒すことになっていたワイバーンの襲来が心配だ。

 王城から出たパレードが、学園を経由して王城を中心とした大通りをぐるりと一周する。

 王城に王様が到着した直後にワイバーンの襲来だ。

 まあ、原作とはだいぶ違ってきているから来ない可能性もあるけど、気は抜けない。

「他の学年は授業中だから騒がず速やかに移動すること、以上だ」

 言いたいことだけ言い、教室を出ていくレオナルド先生。

 静まり返っていた教室に賑やかな空気が戻ってきた。

「じゃあ行こうか」

「だな。レオ爺ももう少し愛想良くできればいい先生なんだが……今度言ってやるか。っと、時間がねえな。おい、行くぞ」

 アンジーが立ち上がり、ファラとリズの手を引き立ち上がらせる。それに合わせてミュールとキャルも立ち上がった。

 あと、問題はドルーアくんが俺たちの班なんだけど、当然ヒエン王子がついてくる。

 レオナルド先生に『王族は固まっていた方が良いだろう』と言われて断ったんだけど駄目だった。

 せっかくドルーアくんが頑張って距離を開けたのに、こうなっては仕方がないか……。

 ヒエン王子の後ろで泣きそうな顔でペコペコ頭を下げるドルーアくん。

 ここ数日は王子がいなかったから元気だったけど……今は見る影もない。今度王様に付き人変えるように言っておこうかな……。

「ドライよ。お前は別の班に行け。邪魔だ」

 いや、本当にブレないな!

「ドルーア。俺が許可するからヒエンの口を猿ぐつわでふさげ。なんなら手伝うぞ?」

「アンジェラ王女殿下……それはさすがに」

「アンジェラよ、何を馬鹿なことを。口を塞ぐならドライの方だろう。そうだ、永遠に塞いでも良いな。その方が皆のためになるだろう。ドルーア、剣を持ってこい。極悪人ドライの首を――」

 あ、ヤバい。リズの目のハイライトが消えた。って早っ!

 バチン!

「ヘブッ!」

 間に合わなかった。宙を舞うヒエン王子。そして当然のごとく顔面で床に着地。うん。回復魔法かけておこう。

 教室に残るクラスメイトたちが呆然としている間にリズを抱き寄せ素早くキス。

 と同時にヒエン王子に回復魔法をかけた。ちょっとオマケで再生も。骨とか砕けてる可能性があるもんな。

 目にハイライトが戻り、へにゃりと笑顔で頬を赤めるリズ。

 いや、リズも本当にブレないな……。
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