【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第二章 原作開始

第88話 お披露目と○○

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「――そうしてこのカサブランカ……いや! この大陸を救ったものたちを紹介する!」

 帰ってきたとたんに城壁に上がれと言われ、すし詰め状態の民の前に出された。

『ひい! す、凄い人ですわ……』

『これは王都に住む人のほとんどが集まってきてるんじゃない?』

『ほとんどは言いすぎでしょうが、半数近くは集まっていると思われます』

 リズ、ファラ、カイラさんの言う通り、城の正門前広場、城壁をぐるりと囲むように端まで百メートルほどあるんだけど、城門前を除いて、人で埋まってしまってる。

『俺も初めての参加だけどこれは凄いね』

 横に並んだ俺たちをチラリと見たあと、話を続ける王様。

「さ ら に だ! 今日のパレードを見たものは知っているだろう。途中パレードから空を飛びたったものたちでもある」

 うん。カイラさんは不参加だったけどね。え? 門前に出せ?

 こそこそと兵士さんが、王様の握る拡声の魔道具に声が入らないよう小声でワイバーンを出すように言ってきた。

 出すのはいいけど、実はこっちに来なかったと、まだ報告してないんだよな。……まあ、出せと言うなら出すけどさ。

「そのものたちはこの王都に向かっていた強大な魔物。ワイバーンを討伐するため飛び立ったのだ!」

 王様のその一言で集まった民衆は我先にと逃げようと騒ぎ始めるが――

「静まれ! 逃げずとも良い!」

 さすがだ。入学式でも思ったけど、確実にこの人を静かにさせるのって王命スキルだよな。人心を掴むスキルか、王様やるんだったら必須スキルかもね。

「向かってきていたワイバーン十三匹は見事倒したものたちが、今ここにいるのだから!」

『『『うおおおおおおおおおおお!!!』』』

 ほんの少し間をおいて、地響きのような腹の底に響く大きな歓声が王都に響き渡った。

 スゲーな! 魔の森のスタンピードであった勝鬨よりでかいぞ! 人数が桁違いだけど!

 リズたちは俺と同じように耳に手を当て目を見開いて驚きを隠せてない。

『どう言うことですの! ワイバーン弱かったですわよ!』

『す、凄いわね……こんなことになるなんて、そんなに脅威の魔物なのあの鳥……』

『鳥ではありません。ワイバーンでございます。魔王が封印されている名もなき島にしか生息しておらず、歴代の勇者物語でも勇者たちを何度も苦しめたとされる魔物ですので』

 そうなんだ。結構有名なんだなワイバーン。ドラゴンの亜種だからそこまで強くはないと思ってたよ。

『そうですのね! でも……弱かったですの』

『そうね……弱かったわ』

『それは、わたくしたちがドライ様のお陰でとてつもなく強くなっているからです』

『『納得(ですわ)』』

 うん。とてつもなく強くなってるね。それも原作が始まる入学式までに……。頑張ったもんな。

「静まれ!」

 あれだけ興奮して、騒ぎ立てていた民衆がすぐさま落ち着きを取り戻し、静かになったと思ったら、城壁の上の王様に注目が集まる。

「だが聞いただけでは信じられぬものもおるだろう」

 それはそうだろうね。やっぱりどんなのが襲ってこようとしていたか目の前にしないとわからないよな。

 で、えっと、出すタイミングは?

 チラっと王様が俺を見て、城壁の下を指差した。

「ドライ、お前たちが討伐してきた十三匹のワイバーンを皆にも見せてもらえるかな?」

 ああ、このタイミングね。了解ですよ。

 門前は兵士さんがぐるりと立ち並んで、十三匹なら余裕でおけるスペースが確保されている。

「わかりました。出しますね」

 ん~と、この高さから落とすと石畳が割れたりするだろうから――そうだな。

 飛行スキルを使い、城壁からスルスルと降下していく。

 これくらいからなら大丈夫か。それにこの広さなら並べるより、少し積んだ方がいいかもな。

 ストレージからワイバーンを順番に3×3に並べて出し――

『『『うおおおおおおおおおおお!!!』』』
『『『きゃぁぁああああああああ!!!』』』

 ――うおっ! み、耳がヤバっ! レベル上がってるから破れはしないと思うけど!

 これはさっさと残りを出して退散しなきゃだよ!

 さっき出した上に今度は2×2に並べて出してしまう。

 それだけで正門の半分ほどの高さまで積み上がった。だいたい七メートルほどの高さだ。


『『『きゃぁぁああああああああ!!!』』』
『『『おっきいいいいいいいいい!!!』』』
『『『すげええええええええええ!!!』』』
『『『うおおおおおおおおおおお!!!』』』

 さらにボリューム上がったぞ! そうか、後ろの人は見えてなかったからか!

 門前のスペースを確保していた兵士さんには悪いけど、上昇して城壁の上に避難させてもらった。

 鼓膜が破れていたら後でしっかり治すので許してくださいね。

「静まれ!」

 今度は興奮しすぎていたのか、王様スキルも効きが悪いようで徐々にボリュームが下がり、静かになるまで十秒ほどかかった。

 静かになるだけでも凄いけどね……。

「どうだ! アンジェラの婚約者は凄いだろ!」

 おい! この流れで言うか!

『『『うおおおおおおおおおおお!!!』』』
『『『きゃぁぁああああああああ!!!』』』

 この後アンジーだけにとどまらず、ミレニアム女王国の王女と紹介されたキャルまで引っ張り出され、さらっと俺が伯爵を叙爵することも発表された。

 ……我慢したんだよ俺。

『どうだ? 驚いただろ?』

 って、顔の王様をこのまま城壁の上からぶっ飛ばしてやりたい気持ちを奥歯を噛み締めて。

 だけどアンジーは我慢できず、盛大にぶっ飛ばした。城壁から落ちるくらい。

 あわてて飛行スキルで助けに行ったけど……息もしてるし手加減スキルは働いてくれたようだ。

 その様子を見た民衆の笑い声は静めるものがおらず、長い間響き続ける。

 ……仕方がない。殴るのはまた今度にしておこう。

 勇者のお披露目だったはずの建国祭はオールナイトで続き、明日の夜の花火まで続く。

 次は――
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