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第二章 原作開始
第96話 魔牛とたわむれる
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「こ、こら、舐めるな、ぶっ飛ばすぞこのやろう」
「アンジー、魔牛も助けてもらって感謝してるだけだし、殴ったら駄目だからね」
□□□□□□□
□□□□□□□
□□□■□□□
□□□□□□□
□□□□□□□ □=魔牛 ■=俺たち
怪我を治した魔牛に囲まれた俺たちは、顔をこすり付けられ、舐め回されている。
「これじゃあ身動きとれないわね。ドライどうするの?」
そう言うファラもペロペロと舐められている。
「捕獲するにしても、子魔牛と母魔牛を一緒にだろ? さすがにこの子たちを全員連れて行くわけにもいけないし」
「それより先ほど捕まえたものたちのことを、まずは王都に連行するのがよいかと」
「そうか、すっかり忘れてたよ。でも、あの人たちなにが目的なんだ?」
刺客にしたら弱すぎだし、中途半端すぎる。鑑定でも教会関係者では無いとわかっているし……何者なんだろ。
「わかりかねます、が、知らなかったとはいえ、三王女を含む貴族の子女である私たちに剣を向けたのですから、軽い罰では済まないでしょう」
カイラさん、いつも通りすました顔してますけど……髪の毛をムシャムシャされてますよ。
「……だよな。転移で王都に連れていってくるよ。ギルドでいいよな」
「はい。冒険者ですので、ギルドで采配してもらったあと、衛兵に引き渡され、罰を下される流れでよいかと」
今度は両サイドから舐められてるし……。
「……わかった。じゃあちょっと行ってくるね」
あっ、キャルは頭に顎乗せられてる……。
リズはなぜか魔牛に乗ってるし……。
魔牛ってこんなに人懐っこい魔物だったのか、そりゃ飼ってミルクを取ろうとするわけだ。
転移で魔牛の囲いから脱出した俺は、気絶している男たちを連れて王都の冒険者ギルドに転移で移動した。
突然現れた俺と、拘束された男たちを見て、冒険者ギルド内が騒然となったけど、騒ぎのお陰でギルドマスターを呼ぶ手間が省けた。
「なんの騒ぎだ英雄ドライ」
冒険者ギルドのマスター、中々強そうな人だな。というか、暗殺ギルドのマスターでもあるのか。
「依頼途中で襲われたので、捕まえて連れてきたところです。って英雄ドライってなんですか?」
「カサブランカどころか大陸全土を救った英雄だからな。というか、英雄ドライを襲うとか、なにを考えてるんだコイツらは……」
「はぁ、そうなんですね」
「コイツらはとりあえず冒険者ギルドの資格停止だな。衛兵も呼んで調べてから処分の最終決定を決める。それでいいか?」
ギルドマスターは爪先で拘束されて床に転がされてる男たちをつんつんと蹴っている。
うん。妥当かな。犯罪奴隷で強制労働何年になるかわからないけど、しっかり罪を償ってもらおう。
「いや……英雄ドライが襲われたとなると、アンジェラ王女殿下も一緒にいたのか?」
「はい。いましたね」
あと、グリフィンとミレニアムの王女もいたけど、言っちゃうと、極刑まっしぐらだよな。
アンジーがいただけでもほぼ確定でギロチンだと思うけど。
「……こりゃ、資格停止どころか除名処分だな。王族に剣を向けた罪は重い」
「ううっ……なっ! ここはどこだ! あ、お前は!」
ずっとギルドマスターが蹴っていた人が起きた。
「やっと起きたか。ギルドカードはどこだ……」
「ギルド、マスター? え? ここ、冒険者ギルド……どうなってんだ……」
男の体をまさぐり、ギルドカードを探す人がギルドマスターだと気づいたようだ。
「ふむ。Cランクのザバネロか、とりあえずお前たちの冒険者資格は今をもって無くなった。除名だ」
「は? なんのことだよギルマス、俺たちが除名? ちょっとなに言ってるかわからないんだが」
「ああ、除名だ。アンジェラ王女殿下がいるパーティー超越者を襲うなんてな。なにを考えてんだお前ら」
「アンジェラ王女殿下? え?」
「先日パーティー超越者に絡んでいた報告も受けてる。良くて極刑だな」
「え? 極刑? いや、ちょっとドライってヤツを脅して依頼を失敗させろって……」
ん? どう言うことだ? 依頼を失敗させる?
「お前、この王都にいて英雄ドライを知らないのか? 建国祭で陛下が紹介していただろ」
「英雄ドライ……まさか、だが、ヒ――」
トスッ――
「ケフッ――」
男の首に矢が刺さり、ゆっくりと倒れていく。
「なに! 矢を放ったヤツを捕まえろ!」
あわただしくギルドにいた冒険者たちが武器を手にギルドを出ていく。
矢の角度的に入口の正面から矢を放ったと思う。
それも野次馬でごった返している中をピンポイントでこの男を狙える腕の持ち主だ。
簡単ではない。おそらく捕まらないだろうな。くそ、イスがいれば追ってもらえたのに……。
それよりこの男を、まだ生きている。回復させてさっきの続きを聞き出さないと駄目だと思う。
おそらくこの男に依頼したものの名前を言おうとしていたはずだ。
それに、『ヒ』から始まる名前……まさか……。
考えるのはあとだ。今はこの男を回復させなきゃな。
ナイフを取り出し、突き抜けている矢じりを――
スパッ――
「英雄ドライ、お前なにを――」
切り落とし、矢羽を握り、一気に引き抜いた。
ブシュと血が吹き出して来たが、回復魔法と再生を同時にかける。
「回復魔法か! なら、残ってるものは追撃があるかもしれん! そこのお前とお前! それとそっちのお前らも手伝え! この転がってる奴らを奥の解体場に運ぶぞ!」
「この人も傷は治しました! 運んでください!」
男たちが運ばれていくのを視界の端で見ながら追撃の警戒をしておく。
その場にまだ残っている人たちも盾を構えたり、食堂のテーブルを倒して盾の代わりに身を隠し、警戒している。
……おそらく依頼したのは俺に恨みに近い感情を持っているヒエン王子。
謹慎中だと思っていたけど、これはいくらなんでもマズいよね……。
「アンジー、魔牛も助けてもらって感謝してるだけだし、殴ったら駄目だからね」
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□□□□□□□ □=魔牛 ■=俺たち
怪我を治した魔牛に囲まれた俺たちは、顔をこすり付けられ、舐め回されている。
「これじゃあ身動きとれないわね。ドライどうするの?」
そう言うファラもペロペロと舐められている。
「捕獲するにしても、子魔牛と母魔牛を一緒にだろ? さすがにこの子たちを全員連れて行くわけにもいけないし」
「それより先ほど捕まえたものたちのことを、まずは王都に連行するのがよいかと」
「そうか、すっかり忘れてたよ。でも、あの人たちなにが目的なんだ?」
刺客にしたら弱すぎだし、中途半端すぎる。鑑定でも教会関係者では無いとわかっているし……何者なんだろ。
「わかりかねます、が、知らなかったとはいえ、三王女を含む貴族の子女である私たちに剣を向けたのですから、軽い罰では済まないでしょう」
カイラさん、いつも通りすました顔してますけど……髪の毛をムシャムシャされてますよ。
「……だよな。転移で王都に連れていってくるよ。ギルドでいいよな」
「はい。冒険者ですので、ギルドで采配してもらったあと、衛兵に引き渡され、罰を下される流れでよいかと」
今度は両サイドから舐められてるし……。
「……わかった。じゃあちょっと行ってくるね」
あっ、キャルは頭に顎乗せられてる……。
リズはなぜか魔牛に乗ってるし……。
魔牛ってこんなに人懐っこい魔物だったのか、そりゃ飼ってミルクを取ろうとするわけだ。
転移で魔牛の囲いから脱出した俺は、気絶している男たちを連れて王都の冒険者ギルドに転移で移動した。
突然現れた俺と、拘束された男たちを見て、冒険者ギルド内が騒然となったけど、騒ぎのお陰でギルドマスターを呼ぶ手間が省けた。
「なんの騒ぎだ英雄ドライ」
冒険者ギルドのマスター、中々強そうな人だな。というか、暗殺ギルドのマスターでもあるのか。
「依頼途中で襲われたので、捕まえて連れてきたところです。って英雄ドライってなんですか?」
「カサブランカどころか大陸全土を救った英雄だからな。というか、英雄ドライを襲うとか、なにを考えてるんだコイツらは……」
「はぁ、そうなんですね」
「コイツらはとりあえず冒険者ギルドの資格停止だな。衛兵も呼んで調べてから処分の最終決定を決める。それでいいか?」
ギルドマスターは爪先で拘束されて床に転がされてる男たちをつんつんと蹴っている。
うん。妥当かな。犯罪奴隷で強制労働何年になるかわからないけど、しっかり罪を償ってもらおう。
「いや……英雄ドライが襲われたとなると、アンジェラ王女殿下も一緒にいたのか?」
「はい。いましたね」
あと、グリフィンとミレニアムの王女もいたけど、言っちゃうと、極刑まっしぐらだよな。
アンジーがいただけでもほぼ確定でギロチンだと思うけど。
「……こりゃ、資格停止どころか除名処分だな。王族に剣を向けた罪は重い」
「ううっ……なっ! ここはどこだ! あ、お前は!」
ずっとギルドマスターが蹴っていた人が起きた。
「やっと起きたか。ギルドカードはどこだ……」
「ギルド、マスター? え? ここ、冒険者ギルド……どうなってんだ……」
男の体をまさぐり、ギルドカードを探す人がギルドマスターだと気づいたようだ。
「ふむ。Cランクのザバネロか、とりあえずお前たちの冒険者資格は今をもって無くなった。除名だ」
「は? なんのことだよギルマス、俺たちが除名? ちょっとなに言ってるかわからないんだが」
「ああ、除名だ。アンジェラ王女殿下がいるパーティー超越者を襲うなんてな。なにを考えてんだお前ら」
「アンジェラ王女殿下? え?」
「先日パーティー超越者に絡んでいた報告も受けてる。良くて極刑だな」
「え? 極刑? いや、ちょっとドライってヤツを脅して依頼を失敗させろって……」
ん? どう言うことだ? 依頼を失敗させる?
「お前、この王都にいて英雄ドライを知らないのか? 建国祭で陛下が紹介していただろ」
「英雄ドライ……まさか、だが、ヒ――」
トスッ――
「ケフッ――」
男の首に矢が刺さり、ゆっくりと倒れていく。
「なに! 矢を放ったヤツを捕まえろ!」
あわただしくギルドにいた冒険者たちが武器を手にギルドを出ていく。
矢の角度的に入口の正面から矢を放ったと思う。
それも野次馬でごった返している中をピンポイントでこの男を狙える腕の持ち主だ。
簡単ではない。おそらく捕まらないだろうな。くそ、イスがいれば追ってもらえたのに……。
それよりこの男を、まだ生きている。回復させてさっきの続きを聞き出さないと駄目だと思う。
おそらくこの男に依頼したものの名前を言おうとしていたはずだ。
それに、『ヒ』から始まる名前……まさか……。
考えるのはあとだ。今はこの男を回復させなきゃな。
ナイフを取り出し、突き抜けている矢じりを――
スパッ――
「英雄ドライ、お前なにを――」
切り落とし、矢羽を握り、一気に引き抜いた。
ブシュと血が吹き出して来たが、回復魔法と再生を同時にかける。
「回復魔法か! なら、残ってるものは追撃があるかもしれん! そこのお前とお前! それとそっちのお前らも手伝え! この転がってる奴らを奥の解体場に運ぶぞ!」
「この人も傷は治しました! 運んでください!」
男たちが運ばれていくのを視界の端で見ながら追撃の警戒をしておく。
その場にまだ残っている人たちも盾を構えたり、食堂のテーブルを倒して盾の代わりに身を隠し、警戒している。
……おそらく依頼したのは俺に恨みに近い感情を持っているヒエン王子。
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