【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

文字の大きさ
102 / 139
第二章 原作開始

第97話 疑惑の○○

しおりを挟む
「駄目だ! 射たヤツ見つかんねえ!」

「こっちも痕跡すら見当たらねえぞギルマス!」

 次々と狙撃者を追い出ていったものたちが戻ってきた。

「Aランクのお前たちで見つからないとは……」

 Aランクの人なんだ……鑑定では、斥候タイプの人と魔法使いのようだ。

 追跡で役立つスピードで一級品のスキル、縮地や索敵にもってこいの鷹の目を持ってるのに逃げられた、か。

 魔法使いの方は魔力視スキルで魔力の残滓を追いかけようとしていたんだと思うけど、今回は弓での射撃だから駄目だったようだ。

「手の空いているもので衛兵に連絡! 残りのものは通常業務に加え、更なる襲撃に備えろ!」

 ギルマスさんの命令で受け付けカウンターの奥から一人、『衛兵の詰め所には私が行きます』と立ち上がる。

「サブマス、頼む、依頼主を喋ろうとした途端に殺そうとする輩だ、急いでくれ」

「わかりました。ギルマスはここを頼みますね」

 そう言うと消えた。鑑定で一瞬見えた高速移動と縮地だけじゃないな。

 ……あれは、ミラさんやカイラさんと同じタイプの人だ。逆らっちゃ駄目な人リストにサブマスさんを入れておこう。

 そんなことを考えていると、ギルマスさんが声をかけてくる。

「英雄ドライ、一応聞くが、話の流れ的にお前に恨みがあるヤツの仕業だ。なにか心当たりはあるか?」

「無いことはないですけど……」

 どうしようか。『ヒ』が、依頼主の最初の文字だとして思い浮かんだのがヒエン王子。

 それに、依頼の邪魔をして失敗させようとした。

 目的は失敗だ。殺そうとはしていない、中途半端な依頼だから余計にヒエン王子だと思ったんだけど……おかしいよな。

 ヒエン王子の依頼だとして、魔牛捕獲の依頼を受けた当日に絡まれたのは納得できる。

 二日遅れで高原に到着したところに居合わせたのも、馬車で移動していたなら時間的に合う。

 それなのに魔牛を運ぶ人員があの高原にはおらず、あのパーティーだけしかいなかったからほぼ間違いなく狙いは俺たちだ。

 だけど、そこでこの狙撃だ。高原から転移で俺が帰ってくるとか誰が予想できる?

 確かに転移は建国祭でも使ったから知っていてもおかしくないかもしれない……のか。

 そこまで考えていたら、あいつらが失敗したら冒険者ギルドに帰ってくることは予想できる……。

 だけど、帰ってきて数分で起きた狙撃。ずっとギルドを監視していたってところなのかもしれないけど、納得はできないな。

 監視者がついていたなら……難しいな。ファラのファフニールについてこれて、俺の転移に合わせられるか?

「なにかありそうだな。ここでは口にできないのか?」

 中々するどい。別に言えなくはないけど、それは失敗させようとした男たちについてだけだ。

 あのヒエン王子が後始末まで考えていたかと言われれば、違うとしか言えない。

 どうせ癇癪を起こしたヒエン王子は、俺の失敗を広め、リズとファラをものにしようとしただけだと思うし。

 なら……口封じは誰がと考えたとき、ふと思い出したことがある。

 ……いや、まさかね。

「そう、ですね。ちょっと公にしていいかどうか微妙なことなので」

「……貴族絡みか。なら、ここで聞けば面倒なことになるか……わかった、別の部屋を用意しよう」

 貴族、か。……ここは一度仕切り直したいな。この場から離れ、みんなの意見も聞きたい。

「それなんですが、仲間を高原に残しているので、帰らないと行けないんですよ」

「なに、そんなに時間は取らせない」

 駄目か。仕方がない、転移で――

「ギルマスすまない! ヤられた!」

 ――逃げようとしたのに、血を流した男が奥の扉から飛び出てきた。気絶していた男たちを運んだ人だ。

「何があった!」

 血を滴らせているが、そこまで深い傷ではなさそうだ。

「治療します!」

 怪我をしたところに手をかざし、回復魔法をかける。服が裂け、スッパリ開いた傷口から溢れだしていた血が止まる。

「こりゃスゲーな、すまねえ感謝する」

「さすが英雄ドライってところか。で、何があったんだ?」

「ギルマス、あいつらを解体場に運んだんだが、そこで襲撃された。すまない、抵抗したんだが、手も足も出なかった」

「なに! 他のものはどうした!」

「俺たちは怪我をしてるが生きてるけどよ、あいつらは全員殺られた……」

 力なく横に首をふる。ギルマスも顔に手をあて、大きくため息を吐いた。

「なんということだ……襲撃者はどうした、まだ解体場にいるなら」

「駄目だ、奴らの首をかっ切ったあと、消えた。たった一人に一撃すら与えられなかったのに、こっちはこのざまだ」

 くそ……これで俺たちの依頼を失敗させようと雇ったものが全員口封じされたってことか……。

 でもこれで狙撃と、口封じをしたヤツの予想はできる。だけどなぜなんだ?

 人混みの中でピンポイントに狙撃して、Aランクの冒険者から逃げられる実力者。

 一人で複数人の冒険者を相手に、目的のものだけを殺し、逃げられる実力者。

 そんな人たちってそういないと思う。おそらく俺でも不意を突かれれば怪我はするかもしれない。

 そんな人がフリーのはずもないし、どこかの組織に所属しているはずだ。

 目的はわからないけど、ほぼ確実に関与はしているはずだ。

 聞いても教えてくれないよね……ギルマスさん。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...