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第二章 原作開始
第97話 疑惑の○○
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「駄目だ! 射たヤツ見つかんねえ!」
「こっちも痕跡すら見当たらねえぞギルマス!」
次々と狙撃者を追い出ていったものたちが戻ってきた。
「Aランクのお前たちで見つからないとは……」
Aランクの人なんだ……鑑定では、斥候タイプの人と魔法使いのようだ。
追跡で役立つスピードで一級品のスキル、縮地や索敵にもってこいの鷹の目を持ってるのに逃げられた、か。
魔法使いの方は魔力視スキルで魔力の残滓を追いかけようとしていたんだと思うけど、今回は弓での射撃だから駄目だったようだ。
「手の空いているもので衛兵に連絡! 残りのものは通常業務に加え、更なる襲撃に備えろ!」
ギルマスさんの命令で受け付けカウンターの奥から一人、『衛兵の詰め所には私が行きます』と立ち上がる。
「サブマス、頼む、依頼主を喋ろうとした途端に殺そうとする輩だ、急いでくれ」
「わかりました。ギルマスはここを頼みますね」
そう言うと消えた。鑑定で一瞬見えた高速移動と縮地だけじゃないな。
……あれは、ミラさんやカイラさんと同じタイプの人だ。逆らっちゃ駄目な人リストにサブマスさんを入れておこう。
そんなことを考えていると、ギルマスさんが声をかけてくる。
「英雄ドライ、一応聞くが、話の流れ的にお前に恨みがあるヤツの仕業だ。なにか心当たりはあるか?」
「無いことはないですけど……」
どうしようか。『ヒ』が、依頼主の最初の文字だとして思い浮かんだのがヒエン王子。
それに、依頼の邪魔をして失敗させようとした。
目的は失敗だ。殺そうとはしていない、中途半端な依頼だから余計にヒエン王子だと思ったんだけど……おかしいよな。
ヒエン王子の依頼だとして、魔牛捕獲の依頼を受けた当日に絡まれたのは納得できる。
二日遅れで高原に到着したところに居合わせたのも、馬車で移動していたなら時間的に合う。
それなのに魔牛を運ぶ人員があの高原にはおらず、あのパーティーだけしかいなかったからほぼ間違いなく狙いは俺たちだ。
だけど、そこでこの狙撃だ。高原から転移で俺が帰ってくるとか誰が予想できる?
確かに転移は建国祭でも使ったから知っていてもおかしくないかもしれない……のか。
そこまで考えていたら、あいつらが失敗したら冒険者ギルドに帰ってくることは予想できる……。
だけど、帰ってきて数分で起きた狙撃。ずっとギルドを監視していたってところなのかもしれないけど、納得はできないな。
監視者がついていたなら……難しいな。ファラのファフニールについてこれて、俺の転移に合わせられるか?
「なにかありそうだな。ここでは口にできないのか?」
中々するどい。別に言えなくはないけど、それは失敗させようとした男たちについてだけだ。
あのヒエン王子が後始末まで考えていたかと言われれば、違うとしか言えない。
どうせ癇癪を起こしたヒエン王子は、俺の失敗を広め、リズとファラをものにしようとしただけだと思うし。
なら……口封じは誰がと考えたとき、ふと思い出したことがある。
……いや、まさかね。
「そう、ですね。ちょっと公にしていいかどうか微妙なことなので」
「……貴族絡みか。なら、ここで聞けば面倒なことになるか……わかった、別の部屋を用意しよう」
貴族、か。……ここは一度仕切り直したいな。この場から離れ、みんなの意見も聞きたい。
「それなんですが、仲間を高原に残しているので、帰らないと行けないんですよ」
「なに、そんなに時間は取らせない」
駄目か。仕方がない、転移で――
「ギルマスすまない! ヤられた!」
――逃げようとしたのに、血を流した男が奥の扉から飛び出てきた。気絶していた男たちを運んだ人だ。
「何があった!」
血を滴らせているが、そこまで深い傷ではなさそうだ。
「治療します!」
怪我をしたところに手をかざし、回復魔法をかける。服が裂け、スッパリ開いた傷口から溢れだしていた血が止まる。
「こりゃスゲーな、すまねえ感謝する」
「さすが英雄ドライってところか。で、何があったんだ?」
「ギルマス、あいつらを解体場に運んだんだが、そこで襲撃された。すまない、抵抗したんだが、手も足も出なかった」
「なに! 他のものはどうした!」
「俺たちは怪我をしてるが生きてるけどよ、あいつらは全員殺られた……」
力なく横に首をふる。ギルマスも顔に手をあて、大きくため息を吐いた。
「なんということだ……襲撃者はどうした、まだ解体場にいるなら」
「駄目だ、奴らの首をかっ切ったあと、消えた。たった一人に一撃すら与えられなかったのに、こっちはこのざまだ」
くそ……これで俺たちの依頼を失敗させようと雇ったものが全員口封じされたってことか……。
でもこれで狙撃と、口封じをしたヤツの予想はできる。だけどなぜなんだ?
人混みの中でピンポイントに狙撃して、Aランクの冒険者から逃げられる実力者。
一人で複数人の冒険者を相手に、目的のものだけを殺し、逃げられる実力者。
そんな人たちってそういないと思う。おそらく俺でも不意を突かれれば怪我はするかもしれない。
そんな人がフリーのはずもないし、どこかの組織に所属しているはずだ。
目的はわからないけど、ほぼ確実に関与はしているはずだ。
聞いても教えてくれないよね……ギルマスさん。
「こっちも痕跡すら見当たらねえぞギルマス!」
次々と狙撃者を追い出ていったものたちが戻ってきた。
「Aランクのお前たちで見つからないとは……」
Aランクの人なんだ……鑑定では、斥候タイプの人と魔法使いのようだ。
追跡で役立つスピードで一級品のスキル、縮地や索敵にもってこいの鷹の目を持ってるのに逃げられた、か。
魔法使いの方は魔力視スキルで魔力の残滓を追いかけようとしていたんだと思うけど、今回は弓での射撃だから駄目だったようだ。
「手の空いているもので衛兵に連絡! 残りのものは通常業務に加え、更なる襲撃に備えろ!」
ギルマスさんの命令で受け付けカウンターの奥から一人、『衛兵の詰め所には私が行きます』と立ち上がる。
「サブマス、頼む、依頼主を喋ろうとした途端に殺そうとする輩だ、急いでくれ」
「わかりました。ギルマスはここを頼みますね」
そう言うと消えた。鑑定で一瞬見えた高速移動と縮地だけじゃないな。
……あれは、ミラさんやカイラさんと同じタイプの人だ。逆らっちゃ駄目な人リストにサブマスさんを入れておこう。
そんなことを考えていると、ギルマスさんが声をかけてくる。
「英雄ドライ、一応聞くが、話の流れ的にお前に恨みがあるヤツの仕業だ。なにか心当たりはあるか?」
「無いことはないですけど……」
どうしようか。『ヒ』が、依頼主の最初の文字だとして思い浮かんだのがヒエン王子。
それに、依頼の邪魔をして失敗させようとした。
目的は失敗だ。殺そうとはしていない、中途半端な依頼だから余計にヒエン王子だと思ったんだけど……おかしいよな。
ヒエン王子の依頼だとして、魔牛捕獲の依頼を受けた当日に絡まれたのは納得できる。
二日遅れで高原に到着したところに居合わせたのも、馬車で移動していたなら時間的に合う。
それなのに魔牛を運ぶ人員があの高原にはおらず、あのパーティーだけしかいなかったからほぼ間違いなく狙いは俺たちだ。
だけど、そこでこの狙撃だ。高原から転移で俺が帰ってくるとか誰が予想できる?
確かに転移は建国祭でも使ったから知っていてもおかしくないかもしれない……のか。
そこまで考えていたら、あいつらが失敗したら冒険者ギルドに帰ってくることは予想できる……。
だけど、帰ってきて数分で起きた狙撃。ずっとギルドを監視していたってところなのかもしれないけど、納得はできないな。
監視者がついていたなら……難しいな。ファラのファフニールについてこれて、俺の転移に合わせられるか?
「なにかありそうだな。ここでは口にできないのか?」
中々するどい。別に言えなくはないけど、それは失敗させようとした男たちについてだけだ。
あのヒエン王子が後始末まで考えていたかと言われれば、違うとしか言えない。
どうせ癇癪を起こしたヒエン王子は、俺の失敗を広め、リズとファラをものにしようとしただけだと思うし。
なら……口封じは誰がと考えたとき、ふと思い出したことがある。
……いや、まさかね。
「そう、ですね。ちょっと公にしていいかどうか微妙なことなので」
「……貴族絡みか。なら、ここで聞けば面倒なことになるか……わかった、別の部屋を用意しよう」
貴族、か。……ここは一度仕切り直したいな。この場から離れ、みんなの意見も聞きたい。
「それなんですが、仲間を高原に残しているので、帰らないと行けないんですよ」
「なに、そんなに時間は取らせない」
駄目か。仕方がない、転移で――
「ギルマスすまない! ヤられた!」
――逃げようとしたのに、血を流した男が奥の扉から飛び出てきた。気絶していた男たちを運んだ人だ。
「何があった!」
血を滴らせているが、そこまで深い傷ではなさそうだ。
「治療します!」
怪我をしたところに手をかざし、回復魔法をかける。服が裂け、スッパリ開いた傷口から溢れだしていた血が止まる。
「こりゃスゲーな、すまねえ感謝する」
「さすが英雄ドライってところか。で、何があったんだ?」
「ギルマス、あいつらを解体場に運んだんだが、そこで襲撃された。すまない、抵抗したんだが、手も足も出なかった」
「なに! 他のものはどうした!」
「俺たちは怪我をしてるが生きてるけどよ、あいつらは全員殺られた……」
力なく横に首をふる。ギルマスも顔に手をあて、大きくため息を吐いた。
「なんということだ……襲撃者はどうした、まだ解体場にいるなら」
「駄目だ、奴らの首をかっ切ったあと、消えた。たった一人に一撃すら与えられなかったのに、こっちはこのざまだ」
くそ……これで俺たちの依頼を失敗させようと雇ったものが全員口封じされたってことか……。
でもこれで狙撃と、口封じをしたヤツの予想はできる。だけどなぜなんだ?
人混みの中でピンポイントに狙撃して、Aランクの冒険者から逃げられる実力者。
一人で複数人の冒険者を相手に、目的のものだけを殺し、逃げられる実力者。
そんな人たちってそういないと思う。おそらく俺でも不意を突かれれば怪我はするかもしれない。
そんな人がフリーのはずもないし、どこかの組織に所属しているはずだ。
目的はわからないけど、ほぼ確実に関与はしているはずだ。
聞いても教えてくれないよね……ギルマスさん。
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