【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

文字の大きさ
103 / 139
第二章 原作開始

第98話 依頼主は誰だ

しおりを挟む
「お兄さん、他の方も回復魔法をかけますので案内してください」

「そ、そうだ! こっちだ来てくれ!」

 俺の提案に、思い出したのか、身をひるがえし奥へ走り出すお兄さん。

 ギルマスに早く聞きたいことがあるけど、今は怪我人の回復が先だ。

 お兄さんを追いかける俺に対してを、ひき止めも声もかけずギルマスは見送っていた。



「頼む!」

 解体場は、濃い血の匂いが充満していた。

 俺たちを襲った人たちの体から離れた首と、その体が石畳に転がっていた。

 見ただけでわかる……相当な腕だ。剣の効果もあるだろうけど酷すぎるよ……。

「……わかりました! 重傷の方から順に回復魔法かけます!」

 今は生きてる人が先だ。

 倒れてうめく七人は、手首を落とされていたり、アキレス腱を切られてるだろう人もいる。

 一番の重傷はお腹を切り裂かれていた。

「あなたから治しますね!」

「うぐっ、た、たの、むっ」

 これは内臓までいってるな。回復魔法に再生を重ねが消しながら、浄化もかけておく。

 もし、俺の想像通りなら、武器に毒が仕込まれてる可能性がある。

 脇腹がスッパリとやられていたけど、みるみる内に傷がふさがり、青ざめていたお兄さんの顔も少しマシになった。

「もう大丈夫です。が、血を流しすぎてますので動かないでくださいね」

「すげえ、もう駄目だと思ってたが……ありがとう英雄」

「どういたしまして。次はあなたを」

 隣にいた手首を落とされた方。近くに落ちていた切り離された手を拾い上げ、クリーニングで汚れを落とす。

「よし、お兄さん、くっつけますよ!」

「そん、なことが、でき、るのか……」

 痛みにうめきながらも大人しく治療を待つお兄さんの傷口を合わせ回復魔法と再生、浄化を同時にかけていく。

 そんなかたちで七人を治療し終えたところに、衛兵を連れたギルマスたちが解体場にやって来た。

 ギルマスも含め、やって来たものの顔がこの惨状歪む。

「ギルマスさん、回復は終わりましたが、皆さん血をたくさん流してますので、安静にしてもらってください」

「あ、ああ。わかった」

 やって来た衛兵たちは、亡くなった方たちを一人ずつ大きな布で包み、運び出していく。

「それでギルマスさん、少し聞きたいことがあるんですが、いいですか?」

「……場所を変えよう」

 こくりとうなずき、小さな声でそう言う。

「お前たちは医務室に行ってもらう。とんでもないことを頼んでしまったようだ。すまなかった」

 そしてまだ座り込んでいるお兄さんたちにも深く頭を下げた。




 ギルマスについて、解体場を出て向かったのは、応接室だ。

 ソファーに向かい合って座り、お茶をいただきながら、ふうとため息をはいたあと、ギルマスは話し始めた。

「殺されたものに依頼をしたものの正体はわかるか?」

「そうですね、おそらく、ですが口封じを依頼した人はまだなんともわかりませんね。それと、ギルドにいたひとで、殺害を指示した人も」

「……その話し方なら」

「殺害の実行犯は暗殺ギルドの人でしょうね。ギルマスなら誰がやったか見当はついてるんじゃないですか?」

「……ああ。その三人は把握してる。それに依頼主もな」

 ほほう。素直に話してくれるのかな?

「英雄ドライの依頼を邪魔したものたちの依頼主は予想だが私にもわかる……ヒエン殿下だ」

「俺もそう考えてます」

「……建国祭の日、暗殺ギルドに一つの依頼が入った。だが、その依頼主の名は出せない」

 でしょうね。信用問題になっちゃうし。だけど、暗殺ギルドの存在を知っていて、莫大な依頼金を払える人物。

 それだけでもだいぶしぼれる。伯爵以上の高位貴族。

 それもヒエン王子を支持してる貴族だ。従者を任されているアモルファス伯爵は怪しいんだよな。

 ドルーアくんなら王子の依頼した内容は知ってるだろうし、それを父親に話すこともあるだろうし。

「わかりました。殺された人たちは、どちらにせよ処刑になっていたと思います」

「そう、だな。それで、このことは陛下に?」

「……王様に報告はしないと駄目でしょうね。ヒエン王子は最悪……」

 元々の原因を作った王子を無罪にするには無理がある。

 俺たちを襲うってことは、妹を含め、グリフィン国とミレニアム国の王女を襲わせるってことだしな。

「なので、この後みんなのところに戻り、報告に向かいます。なので、ギルマスさん、あなたはどうするか知りませんが、もう行ってもいいですか?」

「ああ。時間を取らせたな。私もこの後、陛下と謁見ができるよう申請に行くとしよう。暗殺ギルドではなく、冒険者ギルドのマスターとして謝罪はしなければならないからな」

「ですね。ほっておけばあの王様のことだからキツい悪戯をされるかもですからね」

 立ち上がり、転移しようとしたその瞬間――
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

処理中です...