【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第二章 原作開始

第101話 教皇登場

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「誰だ!」

 先客がいたようだ。今までの枢機卿より豪華な白のローブを羽織ったおじさんが険しい顔で叫ぶ。

 教会の人だとはわかるけど、なにしに来たんだろ。

 ……おお! 教皇だこのおじさん! 謝りに来たのかな?

 ならこの城で一番豪華な応接室にいるのも納得だ。

 普段使われないからここに転移してきたんだけど、失敗したかな。

「おお、ドライ、みんなはどうしたのだ? それに、その男は……」

「陛下、来客中とは知らず申し訳ありません。みんなはまだ高原です。この男はですね、襲われたので捕まえてきました」

「王よ、今は私との話の最中、関係ないものは退出していただきたい」

 一瞬、首狩りを見たおじさんの顔が驚きの表情を見せた。

 知ってるのかな?

「そうか? 聞いてもらった方が良さそうだぞ。このものも被害者の一人なのでな教皇」

「どうも、クリーク辺境伯家のドライ・フォン・クリークです」

「……ふむ。貴様がドライ、か」

「そうだぞ教皇、しっかり頭を下げて謝るんだな」

 ニヤニヤと笑いそう言う王様。いや、謝ったところで絶対口先だけでしょ。

「私が頭を垂れるのはアザゼル神様だけだ」

 教皇がアザゼル派なのは予想していたけど……。

「なら、カサブランカ国からアザゼル派の教会を排除することになるが、構わないのだな」

 にやけ顔のままだが、目は笑っていない。

「そうそうこの話はカサブランカだけではない。グリフィン王国、ミレニアム女王国をはじめ、大陸のほぼ全ての国からだ」

 五年前の熱病騒ぎを解決したあと、アザゼル派の教会排除は話を進めていると聞いていたけど、やっと乗り出すのか。

「それと、この程度の慰謝料ではまったく話にならないぞ? この額は熱病にかかったものへの保証金百人分ほどしかない」

 慰謝料の数字が書かれた紙をテーブルから取り上げ、俺にも見えるように持ち上げた。

 金貨千枚か、そりゃ少なすぎるよね。

「チッ! 私がわざわざ出向いたというのに話にならん! アザゼル派の教会を排除だと! そのようなことができてたまるか!」

『ドライ、コイツ、魔法を使いそうよ』

『うん。手に魔力が集まってるね。撃とうとしたら邪魔してやろう』

『邪魔するだけ?』

『うん。ここで攻撃魔法なんて使ったら、それはもう戦争しましょうよってことだろ?』

『なるほどね。大義名分ができちゃうわけか。って撃つわよ』

 ガバッと立ち上がった教皇は、王様に向かって魔力を貯めた右手を付きだし――

「死ね! ファイアボール!」

 ――撃ち出した。

「させませんよ!」

 転移で王様の前に移動して、飛んできたファイアボールを弾けないようにそっと押し返してやる。

「なにっ! ガアッ!」

 ボフンと音を立て、教皇に当たる寸前で弾けたファイアボール。

『対攻撃魔法結界の魔道具ね、コイツの服』

『うん。鑑定で見たときそう書いてあったしね。それに転移の魔道具も持ってるんだよな』

『どうするの? 転移される前に倒しちゃう?』

『う~ん、この人を捕まえても、またすぐに新しい教皇が選出されるだけだしなぁ』

『時間稼ぎは出きるんじゃない?』

『それもそうか』

『それに、前々から思ってたけどさ、アザゼル派っての、馬鹿じゃない? 自分の思い通りにならないと、すぐ攻撃してくるし』

『……そうかも。あまりにも愚策だよね……』

「助けてくれるとは思っていたが、冷や汗が出たぞ。ありがとうなドライ」

 あきれてるところに、背後から王様が声をかけてきた。

「いえ、当然です。それに冷や汗ならファイアボールで温かくなった方が良かったかな?」

「ふざけるな! お前と一緒にするなよ! 私が受けたら死んでるぞ! まったく」

「私のファイアボールを弾き返すとは……こうなれば仕方ありません。仕切り直させてもらいます」

「教皇様! 私の拘束を解いてくださいませ! そうすれば逃げるまでの時間稼ぎをします!」

 あ、首狩りをあっちに置いたままだった。

『どうするの?』

『う~ん。面倒だし、捕まえちゃおう。転移させて、またここに転移でつれてくるとかどうかな?』

『くふふふ。それ楽しそうね。使い捨ての魔道具みたいだし、どんな顔をするか楽しみだわ』

「良いでしょう!」

 懐から金色で、装飾された豪華な短剣を取り出し首狩りに投げる。

「ハグッ!」

 それを器用に口で受け止め、器用に首を振り、鞘から引き抜くと、スパスパとロープを切り捨て、教皇の前に一瞬で移動してきた。

「ドライ! 逃がすな! 騎士たちもこの部屋の前に待機させているが頼むぞ!」

「はい。それじゃあ教皇さんに首狩りさん。大人しく捕まってくださいね」

 残っている左手で、短剣を逆手に持ち睨んでくる首狩り。

「さらばだカサブランカ王よ! 次に会うときは貴様は断頭台の上だ! 首狩りとやら、お前も連れていってやろう。転移!」

 首狩りの肩に手を置き、転移していった二人。

『行ってくるねー』

『いってらっしゃい』

「ドライ、なぜ逃がしたのだ? お前なら簡単に捕まえられるだろう」

「いえ、逃がしてませんよ。ほら、帰ってきたし」

『たっだいまー』

『おかえりなさい。どこに飛んだの?』

『教国のお城の中だったわ。これでいつでも転移で乗り込めるわよ』

『いいねそれ。近いうちに乗り込んで大々的に浄化しちゃうのもいいかもね』

「こ、ここは! なぜだ! なぜ戻ってきている!」

 転移した格好のまま、もとの位置に現れた教皇と首狩り。

 転移の魔道具は使い捨てのひとつだけだし、これでもう逃げられることはない。

「じゃあ、捕まえますねっ!」

 首狩りを手加減パンチでぶっ飛ばし、教皇も同じようにぶっ飛ばしておく。

 バンバンと壁に貼り付き、ズルズルと床に崩れ落ちる二人。

 しっかり気絶しているみたいだし、これでいいかな。

「さすがだな。ついでにとなりの部屋にいる教皇についてきた聖騎士と枢機卿も捕まえてくれるか?」

 ……いいけど、人使い荒いよね。
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