【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第三章 原作崩壊

第114話 大聖堂崩壊

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 アザゼルの心臓が放った最後の攻撃にやられた聖騎士さんたちが、悲痛な叫びをあげている。

 それだけじゃない。トゲが刺さり、血を流しながら、いや、頭に刺さっている人はおそらく死んでいるのに動いているのだ。

 最初は隣の人と抱き合うだけの動きだったのに、十数人の聖騎士が押しくら饅頭のように体を寄せ合い、折り重なり合い、隙間がなくなるほどに密集している。

 そしてうず高く積み重なったあと、叫び声をあげるだけの肉塊に変わっていった。

『なにあれ、気持ち悪いねー。みんなくっついちゃったわよ』

『うえっ。くっつくというか、融合? 溶けて混ざっちゃってるよ……』

 肉塊の表面が、複雑に色が混ざるように流れ初め、ガシャン、ゴトッ、バサリと肉塊から鎧や武器、衣服などが吐き出され、石畳に落ちて音を立てる。

 いくら敵認定の聖騎士たちでも、これはヤバいだろ……でも鑑定ではまだ十数人分のステータスが見える。

 HPは少し減ってるだけの今ならまだ間に合うかもしれない。ならやるだけやってみよう。

「浄化!」

 一か八かで浄化を肉塊にかけた。もし毒や呪いならこれで元に戻るはずだ。

『あぶない! この! ほりゃ! そい!』

 浄化が聖騎士だった肉塊に届いたとき、肉塊からまるでイスのように触手が何本も伸びてきた。

『甘いわよ!』

 頭の上のイスがペチペチと触手を伸ばし、弾いてくれる。

『くぬっ! 気を付けなさいドライ! 結構強いわよ!』

 言うとおり、イスでさえなんとか受け流している感じだ。

 それを嘲笑うように触手の本数が増え、攻撃スピードも上がっていく。

『くそ! 浄化は多少効いてるけど、どうすりゃいいんだよこれ!』

 手数が増えてきて、俺も浄化を止め、一緒に触手の嵐をさばいていくが、またさらに触手が増えた。

『また増えた! ドライ! 聖剣はどうなの! これじゃ防御しきれなくなるわよ!』

『一旦爆裂魔法を試してみる! 熱いから気をつけてね! 行くよ! 爆裂魔法!』

 四方八方から繰り出される触手は無視して肉塊本体を狙い放つ。

 バスケットボール大の爆裂魔法が軌道上の触手を蒸発させながら肉塊本体に届く。

 ドバンッ! と三メートルほどにまで大きくなっていた肉塊の真ん中に命中。

『触手の動きが止まったわ!』

『鑑定! やっぱりアザゼルの心臓に変わってる! 聖剣は――』

 瓦礫の上にあったアザゼルの心臓に刺さっていたはずの聖剣は、根本から折れ、瓦礫の上に落ちていた。

『――くそ!』

『ドライ! 魔法で私が熱を囲っちゃうからどんどん撃ち込みなさい! ほりゃ! 燃えちゃえ!』

 爆裂魔法の熱に黒い煙をあげるアザゼルの心臓を包み込むように、真っ青な炎が球体を作る。

『いけー!』

 炎の球体が縮み初め、心臓が圧縮していく。

『俺も! 爆裂魔法!』

 イスが作り出した球体に近づき、触れるか触れないところで、球体の内側に爆裂魔法を放つ。

『もういっちょ! 爆裂魔法!』

『ぬぎぎぎ! 破裂なんてさせないんだから! もう一回包むわよ! ほりゃ!』

 俺とイスは何度も魔法で攻撃するけどHPの減りは少しずつだ。

 元々のHPが多いのもあるが、魔法の耐性が高いため、埒があかない。

『イス! このままじゃ時間がかかりすぎる! やっぱり特効の勇者が必要だ! マオーを連れてきて!』

『ぐにゅにゅにゅ! で、でも、炎壁が消えちゃうわよ! 絶対あっついよ! 焦げちゃうから!』

『なら一回上空に転移だ! その後マオーを連れてこよう! そうじゃないとコイツはすぐには倒せない!』

 俺たちがここを離れたら、おそらく今いる建物は蒸発するレベルで熱にやられるだろう。もちろんこの建物内にいる人も含めて。

『イス! 転移をお願い! 俺は魔方陣を書くから!』

『あれね! 任せて! 発動したらすぐに転移するから!』

『お願いね! いくよ! 魔方陣! クーラー! 全開の冷却だ!』

 床に降て手をついて、一気に魔方陣を書いて発動させた。

『さん! にー! いち! 転移!』

 肌に感じる熱が魔方陣のお陰でマシになったところで転移が発動した。



『あっつかったねー。って、あららら……お城、崩れていくわよ』

 転移した直後、ドカンとお腹に響くような音が聞こえ、眼下のお城というか、大聖堂の真ん中の塔が土煙を上げて崩れていった。

『爆裂魔法を何発も撃ったからだけど、やりすぎたか? ってのんびりしてる暇はないよイス!』

『そうね、ほらあそこ見て、あの心臓、大きくなってるわ。さっさとしなきゃ、この街、壊滅するわよ』

 イスの言うとおり、崩れ落ちたところから、いそぎんちゃくのように触手が伸びてくる。

 よく見ると、崩れた大聖堂から逃げ出す人たちを触手が追いかけ飲み込まれている。

『アレもう心臓って言うより真っ赤なスライムね』

『あんなのが暴れ続けたら教国どころか世界が滅んじゃうよ……。イス、急ごう』

『そうね、もうみんなで一斉攻撃してあとはマオーの攻撃がどこまで通用するかよね』

 その通りだ。せっかく倒したと思ったのに、復活された。

 あんなことができるなら、上手く倒してしまわないと堂々巡りにしかならない。聖剣も神剣も今は無いからマオーだけが頼みの綱だ。

『急ごう。転移!』

 ムクムクとさらに大きくなっていくアザゼルの心臓を見ながら俺たちはカサブランカの王城に転移した。
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